記事公開日:2023/09/27
最終更新日:2023/10/07
賃貸仲介業では、さまざまなお客様が来店されます。その多様なニーズに合わせて日々提案を行い、成約に向けて尽力されていることでしょう。また、賃貸仲介業における売上は、仲介手数料という法的根拠に基づき決定されます。そのため、1円でも高い家賃の物件で成約いただき、顧客単価を上げていくことも重要な要素です。
そこで今回は、お客様の多様なニーズを満たし、高い顧客単価を実現するファミリー向け賃貸物件について、解説します。ファミリー向け賃貸物件の特徴や、紹介における留意点、お客様へのアップセル提案の具体的方法手順を盛り込んだ、指南書となっています。新人仲介営業担当者の方からマネージャーの方々まで、復習と発見を盛り込んだ濃い内容に仕上がっていますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
ファミリー向け賃貸物件とは、一般的に2LDK以上の部屋数を持つ賃貸物件のことを指します。ファミリーという言葉からもわかるように、ご両親とお子様がいらっしゃる、少なくとも3名以上が居住できる間取りが備わっていることが最低条件です。
2DKタイプも、ファミリー向け賃貸物件として活用できます。しかし、部屋数が2部屋であっても、ダイニングキッチンの広さを考えると、ファミリーというよりはカップルでの利用が現実的といえるでしょう。
ファミリー向け賃貸物件といっても、その特徴はさまざまです。どのような設備・仕様・特徴が備わっているのでしょうか。また、お客様へご紹介するにあたって、チェックしておくべきポイントもご紹介します。
前述のとおり、ファミリーが住むにあたって、十分な広さと部屋数が確保されていることがファミリー向け賃貸物件の特徴です。LDKとは別に、居室が2室以上あれば、ファミリー物件として提案して差し支えないでしょう。
ファミリー向け賃貸物件では、立地環境が重要な要素になります。
シングルであれば、コンビニエンスストアで足りるかもしれませんが、ファミリー向けではスーパーマーケットが欠かせません。最近であれば、ドラッグストアの有無も気にしておくとよいでしょう。
また、お子様のことを考えて、保育園・幼稚園・小中学校や公園などへのアクセスも要チェックです。そのほか、小児科や救急病院との距離も把握しておくと、スムーズなご紹介ができます。
子育て世帯は車を所有していることが多いため、駐車場の有無もファミリー向け賃貸物件の特徴といえるでしょう。また、昨今は大きいワゴンタイプの自家用車も増えてきましたが、駐車場が立体駐車場である場合、規定で駐車できないこともあります。駐車場の仕様や近隣の月極駐車場も、事前にチェックしておくとよいでしょう。
ファミリー向け賃貸物件は部屋数が多いことに伴って、収納が多いことが特徴として挙げられます。子育て経験のある方はおわかりいただけますが、子育ては何かと荷物が増えるものです。収納の場所や広さは住み心地に直結し、お客様からのリクエストも多いところなので、必ず確認しておきましょう。
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子どもの行動を制限することは不可能であるため、足音や振動に悩んでいる人も多いでしょう。こういった騒音トラブルを回避するためにも、ファミリー向け賃貸物件では、防音性に優れている資材が利用されていることが多い傾向にあります。
床フローリングはL値やL等級といって、床に物を落としたときにどのくらい音を吸収するかが数値で表されています。これらの指標はあくまでも目安であり、必ず防音されるものではありません。しかし、新しいファミリー向け賃貸物件であれば、建築会社や管理会社からこのような資料が提示されることもあります。紹介の際には、このような建物自体が持つ防音性能についても、確認しておくとよいでしょう。
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では、ファミリー向け賃貸物件は、どのようなお客様にご提案するのがよいのでしょうか。上述した特徴を踏まえて、ご紹介します。
ファミリー向け賃貸物件ですので、当然のことながら子育て世帯には積極的に提案をすべきでしょう。もちろん、子育て世帯からは部屋数と広さに関するリクエストが出ると思われますので、それに合う物件を提案するようにしてください。
昨今は企業に所属していても、テレワークを行う方が増加してきました。また、在宅でフリーランスという働き方も決して珍しくありません。そのような方々に対して、ファミリー向け賃貸物件は有効に働きます。なぜなら、部屋数が多いと、仕事とプライベートを空間で分けられるからです。
在宅フリーランサーなどは、ごくまれに来客もあるかもしれません。そういったときに、生活感溢れるリビングで打ち合わせを行うのは、なかなか現実的ではないでしょう。そのため、部屋数の多いファミリー向け賃貸物件を提案するのは、よい選択肢といえます。
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荷物が多くてお悩みという単身のお客様にも、ファミリー向け賃貸物件の収納力は役立ちます。お部屋1室に荷物をまとめておいてしまう、いわゆる収納部屋として利用いただくことを提案する方法です。さすがに1室を収納部屋として利用しても、なお収納が足りないというお客様は少ないため、解決策として思い切った提案をしてみるのもよいでしょう。
よく両親や親戚が泊まるというお客様のために、ゲストルームとしてファミリー向け賃貸物件をご紹介してはどうでしょうか。いくら血縁関係があっても寝室は分けておきたいといったときに、ファミリー向け賃貸物件の部屋数の多さは役に立ちます。使わないときは一部収納としても利用できますので、一石二鳥といえるでしょう。
ペットはもはや家族の一員であり、ペット飼育が可能な賃貸物件も増えてきました。しかし、お部屋の中でペットを放し飼いにすると、どうしてもお部屋全体が汚れてしまうため、ペットの飼育可能スペースを分けておきたいというお客様もいらっしゃいます。
そういうときは、ペット専用の部屋を設けるという選択肢が現実的であり、その夢を叶える方法として(ペット可・ペット相談可の)ファミリー向け賃貸物件を提案するのがよいでしょう。
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最近の若いお客様は、ルームシェアに対する抵抗が少ない方もいらっしゃいます。ルームシェアで満足する間取りを考えると、ファミリー向け賃貸物件を提案することが現実的でしょう。
ファミリー向け賃貸物件は、さまざまなお客様に提案できる物件であることがわかりました。では、お客様のリクエストや提案にあたり、どのようなポイントに注意することで、成約に結びつけられるのでしょうか。成約後のトラブルを防止するためにも、必ず確認しておきましょう。
※下記の関連記事ではヒアリングシートに取り入れるべき項目や、効果を高めるポイントついて解説してますので、こちらもチェックしてみてください。
ファミリー向け賃貸物件は部屋数が多くなりますので、賃貸物件そのものの専有面積も広くなります。当然のことながら、広い面積を借りようとすると、家賃や初期費用も比例して増額されるものです。
なぜファミリー向け賃貸物件が必要なのか、そのリクエストやニーズはファミリー向け賃貸物件でないと解決できないのかを、きちんとヒアリングしましょう。
入居人数が多い子育て世帯であれば、ファミリー向け賃貸物件に絞って検討することは当然です。しかし、単身の方でファミリー向け賃貸物件を希望される際は、なぜ多くの部屋数が必要なのかを必ずヒアリングするようにしてください。
ファミリー向け賃貸物件に単身の方が住む理由は、必ず大家さんや管理会社に理由を聞かれると考えておいた方がよいでしょう。また、賃貸物件によっては、どのような理由があっても単身者お断りというケースも考えられます。お客様への紹介前に、確認しておくのがおすすめです。
お客様ごとに異なるニーズやリクエストについて、すべてのファミリー向け賃貸物件が解決できるわけではありません。個別のヒアリング内容がそもそもファミリー向け賃貸物件で解決できるかどうかを、必ず確認しておいてください。
なお、確認が必要と思われるポイントは、以下のような部分になります。
再三ですが、ファミリー向け賃貸物件に単身者が入居しようとするときは、理由を確認されることがほとんどです。また、物件によっては単身での入居が断られることもありますので、事前に確認しておきましょう。
ファミリー向け賃貸物件なら、どこでもペットが飼育できるわけではありません。ペット飼育の可否はもちろんのこと、飼育可能なペットの種類や頭数も押さえておく必要があります。また、賃貸物件によっては、ペット飼育によって家賃や初期費用・退去費用に変更を求められることもありますので、注意しておきましょう。
また、最近は珍しいペットの飼育も考えられます。契約書に想定していないペットの飼育要望も考えられますので、都度確認する癖をつけておきましょう。
在宅ワークは、住居を仕事するためのスペースとして利用するため、利用用途について事前に家主さんや管理会社の許可を得ることが必要になります。
確認すべき内容としては、以下のような点です。
子育てを目的として、ファミリー向け賃貸物件に引っ越しを考えている方に対し、本当にそのお部屋で快適に子育てができるのかという点に注意しましょう。
注意すべきポイントは、以下のような点です。
賃貸仲介業者からみれば、一組のお客様に過ぎないと感じることもあるでしょう。しかし、お客様からすると、一世一代の部屋探しであることを決して忘れてはいけません。
このようなお客様が気づいているか否かに関わらず、気配りや確認を行うことで、ファミリー向け賃貸物件の成約を安定して勝ち取れるようになります。ひいては、ファミリー向け賃貸物件の成約件数が安定することで、営業担当者や店舗の成約単価も上がることになるでしょう。
ファミリー向け賃貸物件は家賃帯も高額になるほか、決定までの時間が単身者に比べて長くなります。そのため、営業担当者が物件選定や近隣確認において息切れを起こしてしまい、最後まで追いかけないこともあるでしょう。
しかし、この部分こそ、他社と簡単に差別化を図れるポイントなのです。成約単価を上げようとするとき、単純にポータルサイトにファミリー向け賃貸物件を多く掲載することがあります。しかし、これだけでは、成約に結びつき単価を上げるという目標の達成は困難でしょう。
反響が入ったら、空室状況をお伝えするのではなく、近隣情報や収納に特化した情報をお伝えすることだけでも、お客様が来店いただける可能性はかなり高くなります。
他社と比較して、より良いサービスを提供できないと淘汰されるのは自然の摂理です。とりわけ、ファミリー向け賃貸物件を多く扱うことは、社宅仲介の促進につながり、店舗への影響は非常に大きいものと考えられます。
ファミリー向け賃貸物件を成約できるようになってこそ、一人前の営業担当者と呼べます。ファミリーや特殊な単身者へのお部屋探しを通じて、店舗の売上に貢献できるようになりましょう。
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