記事公開日:2023/09/27
最終更新日:2023/10/07
現代では、ペットが家族として扱われることもあり、その存在に一喜一憂したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、そんな貴重なペットの存在も、賃貸仲介業界では少し話が変わります。種類や大きさ、頭数によって制限されるため、お部屋探しが難航してしまい、追客の手が止まってしまった仲介営業担当者の方も多いかもしれません。
そこで今回は、ペット可の賃貸物件および、ペット飼育希望のお客様への対応方法について解説します。最も伝えたいメッセージは、賃貸仲介業者はお客様に鍵を渡すまでが仕事ですが、鍵をお渡ししてからの生活に満足してもらえなければ、失格であることです。お客様の満足度が高ければ、必ずお客様から他のお客様を紹介していただけます。
特にペット可賃貸物件は数が少ないため、消去法的なお部屋探しのお手伝いに終始してしまいがちです。しかし、そこであと一歩の説明や理解があることで、満足感は大きく変わります。そのためにも、ペット可の賃貸物件や、ペット飼育希望者の対応をよく理解して勉強することが重要です。ぜひ最後までお読みください。
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目次
ペット可の賃貸物件とは、入居者がペットを飼育することを許可している賃貸物件のことです。そもそもペット可の賃貸物件は数が少ないため、空室が発生したら早い段階でお客様へアプローチしないと、他の賃貸仲介業者やお客様にそのお部屋を申込されてしまうこともあります。
少なくとも、ペット可の賃貸物件をお探しのお客様が突然来店されても、対応できるくらいには商圏の物件知識を頭にいれておきましょう。
ペット可の賃貸物件にも、さまざまな種類があります。まずは、飼育できるペットの種類があり、犬なのか、猫も飼育可能なのかなどに違いがあります。また、ペットの大きさも重要な要素です。小型犬ならOKと記載されていても、首からしっぽの付け根まで何センチと定められていることもあるので注意しましょう。
そのほか、飼育できる頭数にも制限がされていることがほとんどです。ペット可の賃貸物件ごとに異なる条件も、必ず把握しておきましょう。
ペット可賃貸物件に近いものに、ペット相談可能な賃貸物件があります。これは、原則として飼育できないけれども、ご相談には乗れますというものです。家主や管理会社の気持ちとして、ペットをそこまで前向きに飼育してほしくないけど、最悪は交渉に応じましょうといった程度のものとご理解ください。
ペット相談可能な賃貸物件に出会ったときも、事前に飼育条件や飼育検討可能な内容を確認しておきましょう。
最近は、ペット共生賃貸物件という新しいジャンルのペット可賃貸物件も出てきています。これは、賃貸物件を建築する段階から、ペットと共に生きることを前提に計画された建物です。ペットに関する設備がかなり充実しているのが、特徴といえるでしょう。
ペット飼育可能な賃貸物件は、かなり数が少ないことを申し上げました。希少性があるのであれば、家主や管理会社が積極的にペット飼育可能とすることで、空室を軽減させられるのではと考える人もいることでしょう。
賃貸管理の実情として、ペット飼育によるトラブルは数が少ないものの、一定数存在していることは事実です。大きなトラブルになれば、百万円単位の原状回復費用が家主や管理会社にかかってくることもあります。そのため、家主や管理会社は、可能な限りペット飼育可能という判断を下したくないのが本音です。
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それでも、ペット飼育可能な賃貸物件が存在する理由はどのようなものでしょうか。良い理由としては、ペット飼育や共生というコンセプトに共感した家主が、ペット飼育可能賃貸物件を建築するケースです。悪い理由としては、長期化した空室に入居者を連れてくるためという消極的な理由で、ペット飼育可能賃貸物件にあとから変更されるケースがあります。
当然のことながら、後者の場合はペットを飼育するに足りる設備が整っていなかったり、家主やすでに住まわれている入居者がペットについて理解がなったりすることが考えられます。
安易にペット飼育可能物件と理解するのではなく、賃貸物件がペット飼育に対してどのくらい理解があるかどうかについても、把握しておくべきです。さもないと、紹介したお客様が居住してから、不利益を被ることになるでしょう。
戸建ての賃貸物件は、もともとペット飼育を許可されていなかったとしても、交渉によっては許可してくれることがあります。また、室内では難しいが、室外犬を庭で飼育するのはOKの場合もあります。
お客様のご要望に合わせて交渉してみましょう。
ペット可賃貸物件には、どのような特徴が考えられるのでしょうか。特に、設備や仕様面は飼い主たる入居者の満足度に直結しますので、必ず確認しておきましょう。
ペット可物件では、賃貸物件でありながらペットと共に暮らせます。
ペット可賃貸物件においては、大家さんや管理会社、他の入居者の方々がペットやペットを飼育することに対して、理解を示してくれていることが考えられます。
他の賃貸物件であれば問題になりうる鳴き声なども、多少は寛大になってくれるでしょう。ただし、何をやっても許されるわけではありませんので、その点は注意してください。
ペット可賃貸物件では、ペット用の設備が整備されていることもあります。ペット用の設備として、以下のようなものが考えられます。
【共用部】
【室内】
賃貸物件でペットを飼育するとき、どうしても傷や汚れが発生してしまうものです。そのときのために、礼金やクリーニング費用の事前の支払いが求められることもありますので、初期費用が高額になることがあります。
飼育しているペットによって、賃貸物件内に傷や汚れをつけてしまったとき、もちろんそれは入居者が原状回復する義務を負います。そのため、退去時に支払う原状回復費用がかさむことが考えられるでしょう。
ペットを飼育することが可能な賃貸物件は、非常に希少なものです。そのため、家賃が近隣相場と比較して、高額に設定されることがあります。
ペット可の賃貸物件をおすすめするべき人をピックアップしましたので、確認してみてください。
当然のことですが、すでにペットを飼育している人にはペット可物件を紹介しましょう。なお、ペットの無断飼育は、契約解除に該当します。くれぐれも「黙っていればわかりませんよ」といったことをいってはいけません。
今後、ペットを飼いたいと考えている人にも、ペット可能物件を紹介しておくと良いでしょう。いざペットを飼育しようとするときに、お住まいの賃貸物件でペットを飼育できない場合、あらためて引っ越しをしなければならないからです。
また、実際にペット賃貸物件で飼育している人たちと触れ合うことで、ペットを飼育する良さも悪さも知れることは、お客様にとっても良い経験になることでしょう。
また、ペット飼育可能な賃貸物件に住んでいるときであっても、途中からペットを飼育しようとするときは、必ず大家さんや管理会社へ報告を行い、手続きをとることが必要です。この手続きを行うことなくペットを飼育したときも、契約違反として悪質な場合は、解除に該当する可能性があることを覚えておいてください。
ペットの飼育予定がなくとも、ペットと触れ合うことが好きな人にはペット飼育可物件をおすすめできます。特に、ペット設備が整っている物件であれば、共用部分のドッグランなどで入居者同士の交流も盛んになることがあるため、自ずとペットと触れ合えるようになるでしょう。
一般的に賃貸借契約においては、ペットの飼育・預かりが禁止されています。簡単にいえば、たった1日であっても、ペットを持ち込むことは許されません。家族や親戚のペットを預かる機会が多い方は、何かあったときのために、ペット飼育可能な賃貸物件を紹介しておくのが良いでしょう。
ペット可の賃貸物件を希望するお客様との商談において、賃貸仲介業者が気をつけるポイントや商談のコツをまとめました。新人営業担当者からベテランの人まで、確認してみてください。
※下記の関連記事ではヒアリングシートに取り入れるべき項目や、効果を高めるポイントついて解説してますので、こちらもチェックしてみてください。
まずは、ペット飼育可能な賃貸物件である必要性を確認してください。すでにペットを飼育しているのであれば、その必要性は高く、ペット飼育可能な賃貸物件がマストとなります。一方、ペットが好き程度であれば、ペット飼育可能な賃貸物件の提案はベターな提案に留まるからです。
必要性の高さが提案物件を左右しますので、理由は必ずヒアリングしてください。また、このときすでにペットを飼育しているのであれば、ペットの種類と頭数も確認しておきましょう。
参考程度になりますが、ペット飼育されている方へのヒアリング事項は以下のようなものです。
上述のとおり、ペット飼育可能な賃貸物件にもさまざまな種類のものがあります。足洗い場がないと嫌な方もいらっしゃれば、飼育できれば何でもという方まで幅広い回答が考えられます。
設備が整っていることを希望される方には、ペット共生型に近い賃貸物件を紹介する必要があるでしょう。そうでない方には、ペット可の賃貸物件を紹介する流れになります。
突然ですが、ハムスターやウサギはペットでしょうか。熱帯魚はペットではなさそうですが、全長1メートルの巨大魚なら、大家さんや管理会社の承諾が必要かもしれません。また、比較的大きなトカゲなども、ペットかそうでないか微妙なところといえます。
こういった賃貸借契約上で承諾が不要な小動物かの判断は、極めて曖昧といわざるを得ません。必ず、こういったペットかどうかの判断に迷う小動物の飼育がないかどうかも、あわせて確認しておいてください。
ペット可である必要性や、その内容、ニーズを確認できたら、賃貸物件の紹介をしていきましょう。必要性の高いお客様にはペット可賃貸物件のみを紹介し、必要性が低いお客様にはペット飼育が不可能な賃貸物件も交えて紹介してください。
再三ですが、ペット可賃貸物件にもさまざまな種類があります。商圏のなかでもそこまで数は多くないでしょうから、ペット可の賃貸物件ごとのグレードや仕様を把握しておくと、商談がスムーズに進みます。また、このようなペット可賃貸物件ごとの設備や仕様を完全に把握している賃貸仲介業者は非常に少なく、差別化が図りやすいところです。
物件仕入れや調査の際に、このようなポイントも意識しながら行いましょう。取得した情報を必ず共有する癖をつけることで、接客の品質に差をつけてください。
ペット飼育という条件は、セパレートやカウンターキッチンと同じような、物理的な希望と捉えてはいけません。ペットの種類によって、提案できる物件も変わってきます。同じペット可の賃貸物件であっても、種類や頭数が異なれば、契約条件も異なることがあり得るでしょう。
飛び込みのお客様がペット飼育希望で、焦って大家さんや管理会社に条件変更を確認している様子を目にします。これはお客様に頑張ってますアピールをするには良いですが、お待たせしているという点においてはマイナスといえるでしょう。
ペット飼育可能もしくは相談可能な賃貸物件は、事前に飼育可能なペットの種類・頭数・変更される条件などをすべて確認しておくのがセオリーです。ただ残念なことに、意外と抜けているのも事実です。
裏を返せば、この情報をしっかりと埋めることで、他社と簡単に差別化を図れます。ぜひペット可賃貸物件を極めて、地域の一番店を目指してください。
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