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「収納」の多さは物件探しで重要!お客様にご納得いただく物件の紹介ポイント

記事公開日:2023/09/23

最終更新日:2023/10/09

収納が広い賃貸物件

自分の部屋はいつもきれいにしておきたいものですが、物が多いお部屋の場合、片づけができず雑多な印象になってしまうことも少なくありません。このような問題を解決してくれるのが、広い収納があるお部屋です。

そこで今回は、誰もが悩む賃貸物件における収納問題について解説します。接客から内見、クロージングに至るまで、収納問題でお悩みの賃貸仲介営業マン必読の内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

※下記の関連記事では内見(物件案内)のコツ(内見時に意識すべきポイント、潜在的なニーズを汲み取る方法、クロージングまでにとるべき行動など)をまとめてますのでこちらもチェックしてみてください。

賃貸物件では「収納」はもちろん広い方が良い!?お客様のニーズを掴むポイント

お客様を接客しているとき、状況を見て収納に対するヒアリングをすることになります。お客様のニーズを正確に掴むことができるよう、以下の項目で基本のヒアリングポイントを確認しましょう。

「収納は広い方がいいですか?」はほぼすべてのお客様が”はい”と答える意味のない質問!

一般的なヒアリングシートには、「収納に関する希望はありますか?」「収納は広い方が良いですか?」といった質問項目があり、これらを聞くことに問題はありません。しかし、重要なのは「なぜ広い収納が必要なのか」を深掘りすることです。これができないと、単に「収納が少ない」という理由でお部屋を候補から外してしまうおそれがあります。

お客様が理想とする生活から必要な収納を逆算しよう

収納が必要な理由をお客様に確認すると、多くの場合は「物が多い」という回答が返ってきます。そこで、さらに今の生活でどの部分で物が多くて収納を必要としているかを具体的にしていく作業に入りましょう。

たとえば、アウトドアやゴルフを趣味にしている方であれば、シューズクロークなどの玄関周りの収納が重要になります。服やバッグを多数持っている方であれば、洋室の収納やウォークインクローゼットが望ましいでしょう。漠然としたニーズを因数分解し、求めるべきお部屋像をクリアにすることが、賃貸仲介営業におけるヒアリングの基本です。

収納と家賃の優先度を擦り合わせしよう

多くの場合、家賃・間取り・立地などについて優先順位をつけ、その中から実際に住むお部屋を決めることになります。

収納が多いお部屋となれば、当然面積も広くなることになり、同時に家賃も高くなります。ヒアリングでは、一度お客様にすべての希望条件を挙げてもらい、そこから重要なものを拾い上げていくことに注意して進めましょう。

※下記の関連記事もチェックしてみてください。

賃貸仲介営業マンなら知っておくべき、収納が広い物件の特徴

賃貸仲介営業マンなら、収納が広い賃貸物件の傾向を知っておかないといけません。どのような賃貸物件であれば、収納が広いとされているのか、以下で詳しく確認していきましょう。

戸建て物件

戸建ての物件は、基本的に各部屋に必ず収納があるほか、部屋数も多い傾向にあります。また、戸建て物件では玄関周りや土間部分も広いことが多く、靴の収納やアウトドアグッズ・ゴルフグッズ・ベビーカーの収納に悩まされることも少ないでしょう。

さらに、キッチンサイズが大きいことも、戸建て物件の優位性のひとつです。一般的に、単身用物件のキッチンのサイズは1,500~1,800mmが主流で、ファミリータイプであれば1,800~2,100mmのタイプが多く設置されています。一方、戸建て物件の場合、多くが2,100mmを満たしていることが多く、なかには2,550mmのものも珍しくありません。

リノベーション物件

リノベーション物件とは、古い賃貸物件の1室をスケルトンにして、給排水や間取りなどをすべて一新させたフルリフォーム物件のことです。古い3DKタイプの1室を改装して2LDKにする、2DKタイプの1室を1LDKにするなど、部屋数を減らし広いリビングに変えるといった改装が主流です。

リノベーション工事においては、室内を一度すべて何もない状態にして、一から部屋を作っていきます。そのため、最近のトレンドであるウォークインクローゼットが設置されたり、狭い洗面所が広くなったりと、見た目だけではなく利便性も向上させる仕様になることが多いです。こういったリノベーション物件では、間取りを新しいものに変化させるため、総じて収納スペースが広く取られる傾向にあります。

ウォークインクローゼットがある物件

ウォークインクローゼットとは、人が歩いて(ウォーク)入ることのできる(イン)収納(クローゼット)のことを指します。

おおむね2~3帖程度のスペースに、ハンガーパイプが2~3面にわたって設置されています。

通常の収納と比べて多くの荷物が入るので、非常に人気のある設備です。広いスペースなので、服に限らずさまざまなものを収納することが可能です。ウォークインクローゼットがある物件であれば、収納に関する課題は基本的に解決すると考えて良いでしょう。

ロフトがある物件

ロフトとは、屋根裏部屋のことであり、ワンルームであればキッチン上部などにハシゴで昇ったところにあるスペースを指します。ロフト自体は約2~3帖程度と広くありませんが、立派な収納スペースとしての活用が可能です。

ハシゴを使うところが少し面倒ではありますが、それでも利用頻度の少ない物を置いておくには十分すぎる収納といえます。主にワンルームなどの単身用物件に設けられていますが、ファミリータイプでもマンションの最上階などであれば見る機会はあります。

トランクルームがある物件

分譲マンションなどでは、居室にトランクルームが付帯されている物件があります。トランクルームとは、1~2帖程度の倉庫のことを指し、居室横にあるときもあれば、マンションの1階にあることも珍しくありません。あくまでも倉庫ですので食品や服の収納には向いていませんが、自転車やゴルフ用具、アウトドア用品なら問題なく収納できるでしょう。

内見のときはチェックを促そう!意外と見落としがちな収納ポイント

賃貸仲介営業マンは、目の前にいるお客様に対し、物件のセールスポイントを端的に伝える必要があります。ここでは、お客様が気づきにくい収納ポイントをいくつか紹介しますので、ぜひ日々の業務にお役立てください。

脱衣所の収納スペース

お客様が気にされることはあまりありませんが、意外と荷物があふれてしまうのが脱衣所です。洗剤などの洗濯グッズはもちろんのこと、タオルやマット類などもここに収納されることになるでしょう。そのため、タオルやマットをかける場所を中心に、ラックやボックスを設置できるスペースがある旨を伝えると親切です。

また、洗面台にも注意が必要です。一般的な洗面台の横幅は600mmですが、大きいものだと750mmのものもあります。この場合、洗面台下の収納部分に多くの荷物を置くことができるでしょう。

収納は、量もさることながら、どのように収納されるかという点を含めて説明することが重要です。

キッチンの収納スペース

キッチンの収納スペースでチェックすべきポイントは、キッチンの横幅・吊戸棚の有無・カップボード設置スペースの3点です。

最近ではキッチン天板にコンセントが設置されているものもありますが、コンセントの数は少なく不便を強いられるケースも少なくありません。そのため、お客様がお持ちの家電とコンセント位置を確認しながら、新しい生活を具体的にイメージできるように説明してみてください。また、カップボードを設置するという前提であれば、「キッチン下部の収納スペースと干渉しないかどうか」「吊戸棚に収納するものはどのようなものか」を考えると良いでしょう。

さらに、最近は賃貸物件であってもグレードが高い仕様のものもあり、キッチン収納がソフトクローズ(閉めたときに最後に自動的にゆっくり閉まるタイプの収納)になっているものもあります。ソフトクローズは閉めたときの衝撃が緩和されるため、「中に入っている食器や調味料が倒れにくい」という点もアピールしていきましょう。

パントリー

主に、キッチン横あたりに設置されている食品保管専用の収納スペースのことをパントリーといいます。単に設置されているものがある一方、扉がついた収納スペースとして設置されているものもあり、見た目はさまざまですが、広さはおおむね0.5帖程度の場合がほとんどです。

「0.5帖なら収納力が低いのでは?」と考えるかもしれませんが、実際に使ってみると非常に便利です。カップボード1台程度の収納が不要になるので、スペースが有効活用できます。まとめ買いした食品も収納できるため、買い物の回数を減らすことも可能です。

各部屋の収納スペース

内見の際は、各部屋の利用用途と広さ・収納スペースが合致しているかどうかは必ず確認しておきましょう。ここでは、接客時にヒアリングした現在の状況をもとにお話しするのがセオリーです。

「収納に入らない服や小物はハンガーラックを設置して整理するのか」「季節外の服はどのように収納するのか」など、お客様が抱えている今の生活における悩みを解決できるよう、話を進める必要があります。

床下収納を活用できるかどうかは人次第

戸建て物件や分譲マンション、賃貸物件の1階などでは、キッチン周りで床下収納が設置されていることがあります。床下収納は床下の点検口を兼ねていることもありますが、主に調味料やお酒などの腐りにくい食料などを保管するための収納スペースです。

床下収納の活用はライフスタイルによるところが非常に大きいため、見られたくないものや、あまり使用頻度の高くないものを収納することが多くなるでしょう。また、床下収納は食品以外のものを収納しても問題ありません。昨今多い自然災害に備えて簡易式トイレを保管しておくなど、アイデア次第で非常に役立つ収納となるでしょう。

臨機応変に収納スペースを増やす方法も紹介できるようにしておこう

内見では収納の使い方や気づきを促すことも重要ですが、収納スペースを物理的に増やす方法についても提案する必要があります。以下の内容を覚えておけば、「収納が少ない」と懸念されたときに役立ちますので、ぜひ押さえておくようにしてください。

希望より1室多い賃貸物件を提案する

「荷物が多くて収納が足りない」と悩むお客様は多くいらっしゃいます。そのようなときは、1室を収納で使うことを前提に、2LDK希望なら3LDKを提案するという方法があります。

やや強引な方法ではありますが、実際にこのようなお部屋の使い方をされている方は少なくありません。家賃の問題はありますが、約6帖のスペースを利用できるとなれば、ほとんどの収納問題は解決できます。

トランクルームを活用するように提案してみる

トランクルームを借りることで、大きな荷物や利用頻度の低い荷物をお部屋に持ち込む必要がなくなります。一般的に、書籍や衣類、スポーツ用品などを預けるケースが多いです。また、家具や工具・アウトドア用品などを預けることもできるので、状況に応じてトランクルームの提案も検討してみてください。

ベッド下や洗濯機上など、家具で解決を提案してみる

引越しに伴い、家具や家電を一新するという方もいらっしゃいます。それに乗じて、収納機能がついた家具を紹介してみてはいかがでしょうか。たとえば、「ベッドの下部が引き出しになっているタイプのベッドを提案する」などが考えられます。

狭いキッチンをアイデアで解決

最近は男性のお客様でも自炊をすることも多く、広いキッチンは老若男女問わず憧れの的です。しかし、予算的な都合で広いお部屋をご紹介できないときなどは、アイデアで勝負してみましょう。

例えば、キッチンが狭く収納が足りないときは、100均の突っ張り棒が役に立ちます。最近では短いタイプのものもあるため、空間が余りやすいキッチン下部の収納力が格段に向上するでしょう。また、マグネットが対応するときはマグネットで壁を収納にするのも良いアイデアです。

最近では、キッチン下部収納のタオル掛けや取っ手に設置するタイプの作業台も販売されており、このようなアイデアを提案することで、狭くてもアイデア次第で解決できそうなイメージをお客様にお伝えすることができるでしょう。

収納がないなら作ってみる

収納は物理的なスペースですので、ないときはどうすることもできません。ここで発想を逆転させ「ないなら作ってみる」という手段もあります。

上述した突っ張り棒を玄関上部に設定して普段履かない靴を置いてみたり、流木を天井から吊るして、そこにキッチングッズや帽子・小物などを引っ掛けてみたり…突っ張り棒と聞くと少し安っぽいイメージがあるかもしれませんが、最近はかなりおしゃれなものも販売されています。

少し上級者向けではありますが、新生活をきっかけにおしゃれなお部屋を作るお手伝いも一緒にするくらいの気持ちで積極的に提案してみましょう。

収納グッズを提案してみる(インスタやSNSを一緒に見る)

便利な収納グッズを使って荷物を整理する方も少なくありません。ちょっとした収納アイデアやグッズを提案するには、インスタグラムやSNSを活用すると良いでしょう。

おしゃれで実用的な収納アイデアは、SNS上に多数存在しています。アイデアの画像をいくつか準備しておくことで、検索の手間を省くことができます。また、店舗内に写真を飾っておくのもひとつの手です。

ここで収納グッズや収納術を専門的に取り扱っているInstagramのアカウントをご紹介いたします。おしゃれな収納グッズを定期的に販売されており、参考になるのではないでしょうか。

山崎実業 Instagram公式アカウント

まとめ

収納に関する問題は、よほど大きなものでなければ賃貸仲介営業マンの提案とアイデアで乗り切ることができます。しっかりとヒアリングを行い、提案しているお部屋の収納状況と照らし合わせて、お客様の不安を払拭できるようなアドバイスをしましょう。事前に準備しておけば、内見当日も困らず説明できるようになるので、ぜひ今回紹介した内容を押さえておくようにしてください。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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