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学生向け賃貸物件とは?主な特徴やおすすめの人、賃貸仲介営業で成功する提案のコツを紹介

記事公開日:2023/09/27

最終更新日:2023/10/07

学生向け賃貸物件

学生向け賃貸物件とは、大学生や専門学校生などの学生を対象とした賃貸物件のことです。立地、設備、家賃などが、学生のニーズに合わせて設定されています。大学や専門学校が近くにある賃貸仲介業者にとっては、繁忙期の重要なカテゴリーです。

ここでは、学生向け物件の主な特徴やおすすめのターゲット、そして賃貸仲介営業における学生向け賃貸物件の提案のコツを紹介します。学生向け賃貸物件と学生ニーズを把握することで、繁忙期に売上面で焦ることもなくなるでしょう。

また、商圏内に大学や専門学校がなく、学生向け賃貸物件ニーズがないという賃貸仲介業者の方であっても、ご一読ください。学生から社会人になり、あらためてお部屋探しをするとき、一般の賃貸物件との違いを理解しておくことは無駄ではないからです。ぜひ最後までお読みください。

※下記の関連記事では賃貸営業で成功するためのコツをまとめてますのでこちらもチェックしてみてください。

学生向け賃貸物件とは

学生向け賃貸物件とは、大学や専門学校に通う学生向けに提供される賃貸物件のことをいいます。大学や専門学校の近くに建築されており、比較的安価な家賃設定になっているものが多いことなどが特徴です。

学生向け賃貸物件の中には、下宿や寮のような形態をとっているものもあります。下宿や寮になると、食堂や水回りが共同利用になることが一般的で、賃貸仲介業者が取り扱う物件としてはほとんど見かけなくなりました。しかし、大学が直接運営したり、紹介したりする賃貸物件の中には、下宿や寮は今もなお存在しています。

一般のマンションとの違い

学生向け賃貸物件は、主に学生をターゲットとした賃貸物件です。中には、学生であることが入居条件として設定されていたり、学校まで指定していたりするケースもあります。しかし、一般のマンションでは、そのような条件が設定されることはありません。

学生向け賃貸物件と一般の賃貸物件の間には、入居条件が設定されているかいないか程度の差があると理解すれば大丈夫です。学生専用賃貸物件であれば、門限が設定されていたり、外泊に届けが必要だったりという制約があることも覚えておきましょう。

学生向け賃貸物件の主な特徴やメリット

学生向け賃貸物件には、入居条件以外にもさまざまな特徴が存在しています。特徴を理解して、学生の方に提案しやすい賃貸物件のイメージを具体的にしていきましょう。

学校までのアクセスが良い

学生向け賃貸物件の最大の特徴は、大学や専門学校近くに位置しており、各学校へのアクセスが良いことです。

単身向けの間取り

一人暮らしを想定しているため、コンパクトな間取りが特徴です。ワンルームや1Kなど、最低限の間取りタイプがほとんどになります。

家具家電が設置されている物件が多い

学生の一人暮らしであっても、最低限の家具や家電は必要です。そのため、賃貸物件にもともと家具や家電が設置されているものがあるほか、家具や家電をレンタルできるプランが準備されているものもあります。

食堂で食事が提供される

学生向け賃貸物件の中には、食事が提供されるタイプのものがあります。食費は家賃に含まれているケースもあれば、別途実費で精算するケースもありますので、事前に確認しておきましょう。

女性専用物件・女性専用フロアがある

自分の娘を一人暮らしさせるにあたり、やはり心配なのは異性との交流ではないでしょうか。その点、学生向け賃貸物件では、女性専用であったり、女性専用のフロアが設定されていたりすることもあるので安心です。

インターネットが無料

昨今の大学や専門学校の授業は、オンラインで受講することも増えてきています。また、日々の調べ物や授業の予習復習に、パソコンとインターネットはもはや欠かせません。

そのため、学生向け賃貸物件には、インターネットが無料で利用できるものが多いという特徴があります。

学生向け賃貸物件のデメリット

学生向け賃貸物件や学生が多い賃貸物件のデメリットは、どのようなものでしょうか。悪い面もきちんと把握しておきましょう。

騒がしいことがある

学生が多く住むため、騒音や混雑が起こる可能性もあります。学生であれば勉強環境に、社会人であればプライベートな生活に悪影響を与える可能性があることが懸念点です。

部屋が狭い

学生の本分が学業である以上、余計なスペースは学生向け賃貸物件に存在していません。そのため、そもそもお部屋が狭いことがデメリットといえるでしょう。

居住期間に制限がある

大学であれば、4年間という在学期間が決まっています。そのため、入居条件として卒業する4年後には、退去しなければならないと定められていることがあります。

生活ルールが設定されている

門限や外出規制など、学生専用賃貸物件にはさまざまな生活ルールが設定されていることがあります。一人暮らしに自由さを求める学生には、このような生活ルールは窮屈に感じることがあるかもしれません。

賃貸仲介営業の担当者なら必ず知っておきたい学生向け賃貸物件がおすすめの人

学生向け賃貸物件をおすすめできるのは、どのようなお客様になるのでしょうか。学生に限らず、学生向け賃貸物件への入居提案ができる可能性を探ります。

地方から上京する予定の学生

最もイメージしやすいのが、大学や専門学校に入学するにあたり、一人暮らしを始める学生でしょう。物理的に通学が困難になるため、一人暮らしをしなければなりません。学生向け賃貸物件への入居が必須になります。

お試しで一人暮らしをしてみたい学生

動機は薄いですが、一人暮らしをしてみたいという興味本位の学生にも、学生向け賃貸物件はマッチします。一般の賃貸物件と比較しても、立地やセキュリティという観点から、ご両親が安心する可能性が高いです。また、家具や家電が設置されているなど、一人暮らしに対するハードルが低いことも安心材料といえます。

初めて一人暮らしをする学生

大学ではあまりないかもしれませんが、専門学校などではアルバイトをしながら、自分で生計を立てるという学生の方も多く存在しています。そういったケースでも、学生向け賃貸物件では、学生本人・ご両親ともに初めての一人暮らしでも安心できるでしょう。

大学や専門学校近くに勤務する新社会人

立地やセキュリティを考えると、学生向け賃貸物件ほど魅力的なものはありません。新社会人が一人暮らしをするにあたって、学生専用という条件がついていない学生向け賃貸物件に住むことは、有益といえるでしょう。

学生向け賃貸物件を希望するお客様に向けた賃貸仲介営業で成功するコツ

学生向け賃貸物件を希望するお客様の取り込みや、成約件数を増やすためには、どのような方法が有効なのでしょうか。細かく確認して、実践できるものは早くから実践しておきましょう。

※下記の関連記事ではヒアリングシートに取り入れるべき項目や、効果を高めるポイントついて解説してますので、こちらもチェックしてみてください。

①学生「向け」賃貸物件か、学生「専用」賃貸物件かをヒアリングする

なぜ学生向け賃貸物件にこだわっているのか、その理由を把握しましょう。深掘りすべきは、学生向け賃貸物件でも良いのか、学生専用賃貸物件でないといけないのかという点です。

ご両親の思いと学生本人の希望の両方を叶えるのが理想ですが、双方の思いが対立することもあるため、どちらの心情も立てながらヒアリングを進めてください。一般論ではありますが、学生の一人暮らしにあたっては、決定権が両親にあることがほとんどです。言い換えれば、両親に謝絶されてしまっては成約に至りませんので、その点に注意しましょう。

②経済条件をヒアリングする

学生の一人暮らしでは、両親の学生時代の思い出や思い込みによって、誘導的にお部屋探しが進むことがあります。偏った知識や経験により、思わぬ方向で賃貸物件が決まることは双方にとって良いことではありません。可能であれば、経済条件を具体的にヒアリングするようにしましょう。

ヒアリングの内容をもとに「学生向け賃貸物件」と「学生専用賃貸物件」を並列に説明することで、誤解や偏見を排除したお部屋探しを進めることが可能です。

経済条件をヒアリングする必要性は、いくつか考えられます。家賃は誰が負担するのか、追加で仕送りはするのか、学生本人のアルバイトによる収入を前提としているかなどによって、選択は変わるものです。

学生専用賃貸物件であれば、外出制限によりアルバイトが困難になる可能性も否定できません。家具や家電の費用も設置しているか否かという点で、一人暮らしにあたっての初期費用は大きく変わってきます。経済条件なくして、学生のお部屋探しのお手伝いをすることは非常に困難です。

③賃貸物件へのニーズはどのようなものか

賃貸物件に求める設備や環境ニーズについても、ヒアリングを行いましょう。

  • セキュリティを重視するのであれば、それはどの程度のものなのか
  • オートロックがついていればセキュリティが十分と呼べるのかどうか、はたまた管理人が常駐していなければいけないレベルなのか
  • 学生が女性であれば、女性専用物件を求められるのか

金銭感覚や社会の一般常識が備わっていない可能性が高い学生に対するお部屋探しは、一般のお部屋探しとは異なります。賃貸仲介業者も同様であり、一般の方に接するのと同じ要領では、話が伝わらないこともあるでしょう。今後起こりうるリスクや可能性を考え、ヒアリングした内容をもとに提案を進めることを心がけてください。

学生向け賃貸物件の仕入れは夏から始まっている

学生のお部屋探しは、早くても推薦入学が決定する秋ごろと思われていないでしょうか。実は、これは大きな間違いです。物件の仕入れは、夏ごろから始めておかなくてはいけません。

一般の賃貸物件であれば、新築物件は繁忙期が始まる12月から1月くらいに募集が始まります。しかし、学生向け賃貸物件では、夏ごろから情報が開示されることが多いためです。

また、繁忙期になり、学生が来店されてから物件の仕入れを行っていては、もはや手遅れになってしまいます。各大学の生協や専門学校の総務窓口へは、夏ごろからコミュニケーションをとりましょう。入試日程や賃貸募集活動の参加の可否などは、最低限各校に分けてとりまとめを行う必要があります。

各校の一人暮らしの割合や各校指定寮の空室状況、自社専任物件に学生向け賃貸物件があるときは4年生が何名いるかなど、確認すべき内容はたくさんあります。また、推薦合格者の仮押さえは可能かどうか、物件別に把握しておかないと物件提案もできません。

学生の一人暮らしは、繁忙期の売上において重要な柱になりますので、閑散期から準備を進めておきましょう。

まとめ

学生向け賃貸物件を希望されるお客様が来店され、成約に結びつけるためには、事前準備とヒアリングが重要です。近くに大学があるからという理由だけで賃貸仲介業者が繁栄するほど、世の中は甘くありません。どうしても繁忙期は数をこなさなければならないため、スピードを重視した接客に終始してしまいがちですが、これも大きな間違いです。

学生のコミュニティや口コミ力は想像以上の影響力があり、来年度からの紹介件数にかなり大きな影響をもたらすことは容易に想像できます。学生向け賃貸物件の成約件数を安定させるためには、日々の努力と正しい知識をもって接客に臨むこと以外になしえません。勝負は、閑散期から始まっています。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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