記事公開日:2022/05/05
最終更新日:2023/11/17
営業マンにとって名刺交換は大事な仕事のひとつで、名刺交換のやり方次第で相手に与える印象が変わると言われています。しかし、中には「名刺交換に慣れていない」「マナーでわからないことがある」といった悩みを持つ方も少なくありません。
賃貸仲介業者の方々にとっては、名刺交換は最初のご挨拶程度にしか認識していないのではないでしょうか。しかし、名刺の効果を自己紹介の道具だと思っていてはもったいないの一言に尽きます。
今回は、賃貸仲介営業担当者に向けて目的やマナーの基本、NG行動など、名刺交換に関するマナーを網羅的に解説します。また、名刺交換における万が一の事態の対処法も紹介していきますので、不安な点がある人はぜひ参考にしてみてください。
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目次
名刺交換をする目的は主に3つあります。
名刺にはビジネスマンとしての個人情報が記載されています。お互いに名刺を交換することで相手の身分が明らかになり、不信感が払拭されます。どこの誰かわからない相手と商談を始めるのではなく、名刺交換によって互いの信用を得ることが目的のひとつです。
さらに、名刺交換は挨拶のような役割も持っているので、初対面の際に交換しておけばスムーズにコミュニケーションを始められます。名刺交換におけるビジネスマナーが重要視されているのは、「挨拶としての役割を発揮させるため」という理由もあります。
また、名刺には連絡先も記載されているので、名刺交換によって人脈形成も可能です。人脈の広さは見込み顧客との接点の多さにも繋がります。ビジネスマンとして活躍したいと考えている人は、名刺交換におけるマナーへの理解を深めていきましょう。
なお、個人情報が記載された名刺は「自身の分身」でもあります。相手からいただいた名刺をより丁寧に扱えるよう、次項からマナーのポイントについて見ていきましょう。
前述した目的を果たすためにも、ここから解説するポイントについて実際のシーンをイメージしながらチェックしてみてください。
「丁寧に扱う」とは、以下のポイントを押さえることです。
状況によっては、名刺を両手で受け取れないことも少なくありません。このような場合、受け取った後で両手に持ち替えて名刺入れにしまいましょう。
自分の上司も同行している場合、以下の順番で名刺交換を行います。
状況にもよりますが、上記の2と3の順番が入れ替わることもあるので注意しましょう。また1対1の場合は、訪問者から名刺を渡すのがマナーです。
名刺入れの素材にも配慮して、商談へ支障をきたさないようにしましょう。名刺交換の際は、自然に相手の名刺入れが目に入ります。このとき、カジュアルすぎる名刺入れでは、社会人の持ち物として不適切に思われてしまうかもしれません。
さらに、名刺入れに汚れや傷がある場合、「仕事道具を丁寧に扱わない」「自己管理が雑」といったネガティブな印象を与えてしまう恐れもあります。商談への影響も懸念されるため、レザーでシンプルなデザインの名刺入れがおすすめです。素材選びにも気をつけて、自分はもちろん自社の印象を崩さないよう意識しましょう。
名刺交換のマナーをより深く理解できるよう、ここではパターン別のポイントを解説します。また、NG行動も紹介していきますので、日頃の名刺交換に問題がないかどうかチェックしてみてください。
名刺を同時交換する場合のマナーとポイントから見ていきましょう。
名刺を同時に取り出した際は、まず目下の人から名乗りましょう。具体的なポイントは次のとおりです。
同時といっても多少のタイムラグはあるので、自分から動いて名刺を渡せるよう準備することが大切です。さらに、名刺交換は机の上で行わないことがマナーです。スペースに余裕がある場合は横へ移動して、名刺交換できるようにしましょう。
以下は、名刺を取り出す際のNGな行動例です。
文字やロゴが見えない渡し方では名刺の内容を把握できないため、名刺を差し出す際は文字やロゴが相手の読める向きになっているかを確認しましょう。読みやすさを意識することで、丁寧な印象を与える効果にも期待できます。また名刺を受け取った際には、記載された内容に目を通してください。
以下のポイントを意識して、より丁寧に名刺を差し出せるようにしましょう。
さらに、NGポイントもチェックして、相手の失礼にならないよう気をつけましょう。
相手の名刺は自分の名刺入れの上で受け取ることがマナーです。先ほどもご紹介しましたが、自分の名刺は右手で差し出し、左手で相手の名刺を受け取ります。このとき、受け取る側の左手には名刺入れがあるため、名刺入れの上に相手の名刺が来るよう受け取りましょう。
また、相手への敬意を示すためにも、受け取る際のNGポイントもチェックしておいてください。
名刺を受け取る際は、「頂戴いたします」と一言添えましょう。受け取る際の一言は、相手に感謝の意を伝えるという目的もあります。無言で受け取るのは失礼にあたり、悪い印象を与えるかもしれません。
名刺を受け取った後は右手を添えて、両手で持ち直しましょう。これは名刺を丁寧に扱い、相手への敬意を示すためにも必要な行動です。
名刺を受け取る際は相手の名前を確認して、後に行う商談をスムーズに始められる準備をします。読みやすい名前であれば「○○様ですね」と一言確認を入れましょう。
一方、読みにくい名前の場合は「恐れ入りますが、なんとお読みすればよろしいのでしょうか」と質問しても問題ありません。商談が始まってからでは、名前を確認するタイミングを逃してしまう恐れがあります。
また、このような会話はコミュニケーションをスムーズに始めるきっかけにもなるため、相手の人となりがわかっていないときは積極的に行いましょう。
こちらから「名刺を差し出すのみ」のケースを想定したマナーを解説します。
丁寧かつスムーズに名刺を取り出せるよう、名刺は取り出しやすい場所に置いておきましょう。取り出す際にもたついてしまうと、相手を余計に待たせてしまいます。「準備ができない人」といったネガティブな印象を持たれかねないので、胸ポケットやカバンの収納スペースなど、取り出しやすい場所に名刺入れをしまっておいてください。
また、名刺を取り出す際は訪問した側や目下の人から名乗るのがマナーです。詳しくは後述しますが、相手よりも先に社名や部署名、氏名などを伝えましょう。
名刺を取り出した後は、自分が読める向きに名刺を置いて差し出す準備をします。一般的に名刺交換は名刺入れを持った状態で行うため、名刺を置くのは名刺入れの上です。もしテーブルなどの上に置いてしまうと名刺を取りづらくなり、名刺を持つ際にもたついてしまうかもしれません。
名刺を渡す際は、相手の目を見ながら名乗ることがマナーです。以下のポイントを意識して、丁寧に名乗りましょう。
名乗る際は氏名だけでなく、社名・部署名・役職もつけて名乗りましょう。名刺交換は身分を証明する役割もあるため、どこの誰が対応しているのかを示す必要があります。
今度は名刺を受け取るのみのケースについて見ていきましょう。
名刺を受け取る際は、「頂戴いたします」と一言添えて両手で受け取りましょう。手は胸の高さ、名前を指で隠さないよう受け取るのがコツです。また、社名やロゴを指で隠してしまった場合、マナーが理解できていないと認識されかねないため、名刺の端や余白部分を持つよう心がけてください。
名刺を受け取った際は、自分の認識に間違いがないか相手の名前を確認することも大切です。相手の名前が読みやすい場合は「○○様ですね」と確認し、自信がなければ読み方について尋ねても問題ありません。
名前が聞き取れない、読みにくい字の場合は「恐れ入りますが、なんとお読みすればよろしいのでしょうか」と確認し、読み間違いなど失礼のないようにしましょう。このとき、名刺へ直接読み方を記載するのはNG行為です。商談後や帰社する際に、メモ用紙などへ記載しておいてください。
相手の名刺を持ったまま話を続ける場合は、胸の高さで名刺をキープしましょう。このとき、すぐに名刺をしまうのはマナー違反なので注意が必要です。
また、相手のペースに合わせて会話するのは問題ありませんが、こちらから無理に会話を続けるのは避けましょう。相手も名刺を持ったまま会話しているため、余計な負荷をかけてしまいます。自己紹介程度に留めつつ、商談へ移ることを忘れないでください。
ここでは、賃貸仲介営業において名刺を交換したり、お渡ししたりする最適なタイミングをご紹介します。今後の営業の参考にしてみてください。
お客様に初めてお会いするときは、必ず名刺をお渡しするようにしてください。これはマナーであり、礼儀でもあります。ビジネスの場で初めてお会いした方に、名刺をお渡ししないのは失礼にあたり、信用を得ることは困難です。
お客様の状況によっては、ご来店されずに現地や最寄りの駅で待ち合わせをして、賃貸物件の内見に赴くこともあります。そのようなタイミングでも、お客様へ名刺をお渡しするのを忘れないようにしましょう。
最近は物件資料を紙で送付する機会も少ないですが、もしあればそのときに名刺を同封しておくと良いでしょう。なぜなら、名刺には社名・氏名・連絡先のみならず、保有資格や顔写真、グループ会社などが記載されているからです。こういった総合的な情報をもとに、賃貸物件を検討すると同時に「どの賃貸仲介業者、もしくは賃貸営業担当者に相談するか」も、お客様は検討していると心得ましょう。
無事お客様にご成約いただき、鍵をお渡しするタイミングで、あらためて名刺をお渡ししておきましょう。
自社と自分の名前をより強く覚えていただくことで、成約したお客様から新しいお客様のご紹介を受けられる可能性があるからです。厚かましく感じられるかもしれませんが、堂々と「お知り合いの方でお部屋を探される方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください」と紹介営業を行いましょう。
店頭看板に陳列している賃貸物件資料を真剣にご覧になっている方がいらっしゃったら、さりげなく声がけを行っていることと思います。多くの場合は遠慮されることになりますが、そのときにさりげなく名刺をお渡ししてはいかがでしょうか。
将来、その方が本当にお部屋探しの必要にいたったとき、あなたのことを思い出してくれるかもしれません。
自社でお世話になっている賃貸物件の家主さんへも、積極的に名刺をお渡しするようにしましょう。訪問による手渡しが望ましいですが、成約後の契約書類送信のときに同封する形でも問題ありません。
また、訪問時に不在であれば、名刺の裏にメッセージを添えてポストに入れておくなどすると、「来てくれたんだ」ということが伝わります。
賃貸仲介営業を行っていると、管理会社の担当者とよく電話で話はするものの、顔を合わせたことがないという人が増えてきます。いつも郵便で終わらせている契約書類送付や鍵取りなど、一度赴いてみてはいかがでしょうか。その際にきちんとしたマナーで名刺交換をして、日頃の感謝を伝えられれば、今後の賃貸物件紹介にプラスに働くことは間違いありません。
受け取った名刺はすぐにしまわず、名刺入れの上に置いておきます。テーブルについた際は、名刺入れの上に名刺を重ねた状態で、自分から見て左側へ置きましょう。
相手が複数の場合、各名刺を一列に並べて置くことがマナーです。立場が上の人の名刺を自分の名刺入れの上に置き、その後順番に並べていきます。席順に並べておくと、名前を確認しながら商談を進められます。
トラブルが起こらないよう、名刺を並べる際のNGポイントもチェックしておきましょう。
名刺交換では、ここまで解説してきた以外のパターンもあります。万が一の事態に備えて、各パターンの対処方法を確認しておきましょう。
名刺を先に差し出された場合は、素直に受け取って以下の流れで対応しましょう。
先に名刺を差し出されたからといって、こちらもすぐに名刺を準備するのは避けましょう。相手はこちらが受け取るのを待っているため、まずは素直に手に取ることが大切です。
名刺を切らしてしまった場合は、お詫びをしてから持っていないことを素直に伝えましょう。「申し訳ございませんが、現在名刺を切らしております」と伝えた後、相手の名刺を受け取って自己紹介をします。
そして、相手と近々会う予定がある場合は、その際に渡すことを忘れてはなりません。会う予定がないのであれば、資料などと一緒に名刺も添付してメールで送信しましょう。
注意点として、「忘れてしまいました」「なくしてしまって」などの言い訳をしてしまうのはNGです。相手に良い印象を与えないため、名刺を切らした旨を伝えることが大切です。
さらに、不動産仲介業の場合、1日に複数名の顧客を案内することもあります。名刺を発注しても完成までには時間がかかるので、不動産仲介業の営業マンは常に余裕を持った枚数を準備しておきましょう。
相手が名刺を出すのに手こずっている場合は、しばらく待ってから名刺を差し出すことが大切です。こちらが先に差し出す準備をしてしまうと、相手を急かしてしまう可能性があります。相手側の動きを見ながら、準備ができた頃合いを見計らうことを意識しましょう。
相手が名刺を出す素振りを見せない場合は、商談後に名刺を催促しても問題ありません。催促する際は「恐れ入りますが、お名刺をいただいてもよろしいでしょうか」と丁寧に伝えます。名刺を出さないこと、マナーを理解していないことなど、相手の落ち度を指摘するような言い回しは避けましょう。
名刺交換はほとんどの場合、ビジネスの場で初めてお会いする人と行うものです。これからビジネスでの信頼関係を築いていくためにも、絶対にやってはいけないNG行動をご紹介します。
頂戴した名刺は、おおむね名刺入れの上に置いておくものです。しかし、何かの拍子に手に取り、そのまま名刺で遊んでしまうことがあるかもしれません。
言わずもがなですが、名刺は自己紹介のツールであり、相手方の社名や個人名も記載された重要なカードです。そんな重要な名刺を自分の目の前で手遊びされて、いい気になるわけがありませんので、絶対にやめましょう。
名刺入れに入れられる名刺には限りがあります。そのため、予備として財布などに数枚程度の予備名刺を入れておくのは、悪いことではありません。しかし、相手の目の前で財布やポケットから直接取り出して、そのままお渡しするのはいただけません。
お客様やビジネスの相手方とお会いする前に、名刺入れの中に名刺が入っているかどうかを確認する癖をつけておきましょう。
名刺を受け取るときに、相手企業や相手方の氏名の上に指を添えていると、不快に感じる方もいらっしゃいます。少し細かいかもしれませんが、受け取るときも大事なものを受け取るような、繊細な気遣いを持ちましょう。
頂戴した名刺は、必ず名刺入れに納めて持って帰るようにしてください。名刺を忘れて帰ってしまうのは、失礼にあたります。
名刺交換後、商談をしていると机上に書類が広がることもあるでしょう。そのとき、何かの拍子で頂戴した名刺を床に落としてしまうこともあります。すぐに拾い上げて「失礼いたしました」と言えば、特に問題はありません。しかし、気づかずにそのままでは失礼にあたります。
名刺交換後、机に資料を広げるときは、事前に名刺を納めさせていただくか、場所を移動させるなどの配慮を心がけてください。
名刺交換は、社会人になりたてのころには何かと緊張してしまうものです。そんなとき、マナーを気にしすぎて、自社名や名前も名乗ることなく、名刺を差し出してしまうことがあります。
名刺交換の際には自己紹介を行い、相手方にいつもお世話になっていることと、商談の場を頂戴できたことのお礼を申し添えたうえで、名刺交換を行うようにしましょう。
賃貸仲介業は主に名刺交換するよりも、お客様に名刺を一方的にお渡しする機会のほうが多いのではないでしょうか。そこで、お客様に名前を覚えていただき、印象に残るための名刺活用法を伝授します。
飛び込みや反響によりお客様が来店され、商談の結果、即決にいたらないことも当然あります。そのときに、お部屋探しの流れや物件・地域に関する資料を必ずお渡ししましょう。
そのときに、お客様にお渡しする資料(≒お土産)にも名刺を忍び込ませてください。これだけマナーについて論じていても、意外とお客様は営業担当者の名刺をなくしてしまったりするものです。
ホームページや会員登録ページへの誘導が、賃貸仲介営業におけるお客様の囲い込み施策として有効と謳われています。名刺にQRコードを貼付しておくことで、簡単に誘導することが可能です。
多くはホームページのトップページに設定していることが多いですが、お客様用として登録ページなどに設定するなどすれば、他社との差別化が図れるかもしれません。
退職などの理由で、多くの方から頂戴した名刺を処分するときがあるかもしれません。名刺は、個人情報が記載されている重要なカードです。そのままゴミ箱に捨てることは、個人情報保護の観点からも絶対にやめましょう。
名刺の処分方法について、解説します。
シュレッダーにかけることで、名刺を復元できない形で処分できます。少し気が引けるところもありますが、情報が外部に漏れることを考えるとやむを得ません。
シュレッダーがないときは、はさみで細かく裁断して捨てましょう。なお、シュレッダー状に破砕できるはさみも市販されていますので、シュレッダーの購入が費用面で気になる方は、専用はさみの購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
会社によっては、個人情報が記載された紙書類や名刺を、溶解処理してくれる専用の廃棄ボックスが準備されていることがあります。もし社内に専用の廃棄ボックスがあれば、楽に処分できるでしょう。
名刺管理アプリとは、名刺を写真撮影すれば、デジタルで保存できる優れものです。識字率も非常に高く、ほとんど間違いはありません。また、住所録などへの転用も可能ですので、暑中見舞いや年賀状作成時にも役立つでしょう。たくさんの種類がありますので、ぜひ一度お試しください。
名刺交換は、先方とコミュニケーションを取るための第一歩です。お互いの信頼関係を構築するためにも必要な行為なので、マナーへの理解を十分に深めておきましょう。
相手との距離感やその場の雰囲気など、実際に名刺交換をする様子をイメージしながらチェックしておきましょう。また、名刺交換では予想外の事態が発生することもあるので、万が一のときは今回ご紹介した対処法を実践してみてください。
そのほか、賃貸仲介営業において、名刺のお渡しはお客様と交わす初めてのアクションと言えます。名刺をきちんとお渡しして持ち帰っていただくためのコツや、効果的に自分のことを覚えてもらうためのポイントについても、ぜひ一度お試しください。
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