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メラビアンの法則から学ぶ営業戦略を紹介!非言語コミュニケーションの重要性もわかる

記事公開日:2022/07/07

最終更新日:2024/01/11

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「人は第一印象で決まる」「人は見た目が大事」ということをよく耳にしますが、これは「メラビアンの法則」によって派生した考え方だといわれています。一般的なビジネスシーンはもちろん、賃貸仲介営業の現場でも、心理学を応用した営業戦略を取り入れることがよくあります。メラビアンの法則は、営業活動をするうえで重要な人間関係をスムーズに構築するための法則です。

今回は、メラビアンの法則の法則を用いた営業戦略について解説していきますので、営業成績が伸びないと悩んでいるビジネスパーソン、特に賃貸仲介営業マンはぜひ参考にしてみてください。

※下記の関連記事では会話術を磨くテクニックをまとめてますのでこちらもチェックするとスキルアップにつながります。

メラビアンの法則とは

「メラビアンの法則」は、カリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアンの著書「Silent messages(邦題:非言語コミュニケーション)」の中で発表された法則のことです。アルバート・メラビアンは、「言葉」「聴覚」「視覚」という3つの要素が持つ情報が、相手にどれぐらい影響を与えるかという実験を行いました。

笑いながら叱ったり、不機嫌な顔をしながらありがとうと伝えたりするなど、言葉と声のトーンや表情が真逆の状態で相手に伝えるなどの実験をしたところ、「叱る」「ありがとう」「褒める」という言葉よりも「笑い」「不機嫌」「無表情」などの情報が優先されることがわかりました。これらの割合は、言語情報が7%なのに対し、聴覚情報が38%、視覚情報に関しては55%と半分以上を占めます。

この実験から、人間は93%もの割合で非言語コミュニケーションとされる「聴覚」と「視覚」から得る情報を優先しているということがわかりました。メラビアンの法則は、コミュニケ-ションにおいて、言葉に対し口調や表情を一致させることの重要性を説いています。

別名「7-38-55ルール(3Vの法則)」とも呼ばれる

メラビアンの法則は、別名「7-38-55ルール(3Vの法則)」とも呼ばれています。「7-38-55ルール(3Vの法則)」の7-38-55は、メラビアンの実験で割り出された言語情報・聴覚情報・視覚情報の割合の数字です。メラビアンの法則では、言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%の割合となっているため「7-38-55ルール(3Vの法則)」とも呼ばれているのです。

ちなみに「3Vの法則」は、「Verbal(言語情報)」「Vocal(聴覚情報)」「Visual(視覚情報)」の3つの頭文字を取ってつけられた法則であり、こちらの名称を使って説明を行う方も少なくありません。

メラビアンが法則を導き出す際に行った実験方法

メラビアンは以下の2つの実験を行い、「メラビアンの法則」を導き出したといわれています。

  • 実験1:口調の強弱や表情を変えた実験
  • 実験2:視覚情報を刺激した実験

実験1…口調の強弱や表情を変えた実験

メラビアンは、口調の強弱や表情の変化が感情伝達に与える影響を調査しました。特定の文言を異なる口調や表情で伝える被験者が用意され、それに対しての感情反応を測定するという実験です。同じ言葉でも怒りの口調で発せられた場合と喜びの口調で発せられた場合、被験者の感情反応がどのように変わるかを観察します。

具体的には、口調や表情を変えて、「maybe(そうかもしれない)」といわれた場合、強い口調で「maybe」といわれたときの方が、より強い説得力を感じたという実験結果になりました。この実験により、口調や表情が感情の伝達において非常に重要な役割を果たすことがわかることになります。

実験2…視覚情報を刺激した実験

メラビアンは、被験者に異なる画像や映像を提示し、それに対する感情反応を観察しました。笑顔の人物の画像や怒っている人物の画像を見せ、それぞれ「表情と同じ意味を指す言葉」「表情とは別な意味を持つ言葉」を伝え被験者の感情がどのように変わるかをチェックします。つまり、言語や視覚、聴覚が示す情報が矛盾する状況で表現された場合、人はどれを一番重要視するかを調べるという実験です。

この結果、視覚情報も感情伝達に影響を与えることが示されました。なお、のちに行われる研究においても、この実験で得た「視覚刺激の重要性」は強調されることになります。

メラビアンの法則の法則から学ぶ4つの営業戦略

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メラビアンの法則では、何か物事を伝える際には言語コミュニケーションだけでなく非言語コミュニケーション(視覚・聴覚)を意識することも大切とされています。では、営業活動に対してこの法則をどのように活かせば良いのか、ここでは4つの営業戦略をご紹介します。特に多くのお客様と話す賃貸仲介営業マンは、ぜひ参考にしてみてください。

営業戦略①:視覚情報・聴覚情報・言語情報が一致する営業を心がける

視覚情報・聴覚情報・言語情報を一致させると、自分が思っていること、伝えたいことを正確に伝えることができます。これらの情報の中で、1つでも一致していないものがあると、相手はその部分の情報に違和感を持ってしまいます。これにより、話の意図を勘違いしてしまう方も珍しくありません。

たとえば、「ありがとう」を伝える際には声のトーンを上げることで相手にポジティブな印象を与えられます。また賃貸仲介営業マンであれば、賃貸物件について説明する際、笑顔でハキハキと説明すれば「本当に良い部屋」ということを伝えられるので、視覚情報・聴覚情報・言語情報すべてが一致する説明や提案を心がけましょう。

営業戦略②:表情豊かに説明を行う

メラビアンの法則では、自身の表情も大きく影響することがわかっています。たとえば賃貸仲介営業の方であれば、「素晴らしい考え方ですね」という言葉を大家さんに使う際、うなずきながら笑顔で伝えてみましょう。このような意識をすることで、心から同意しているという意思が伝わります。

反対に、うなずきもせずに無表情で「素晴らしい考え方ですね」と伝えるのは控えましょう。大家さんに「口先だけで同意しているんだな」という印象を与えてしまうおそれがあります。

表情は、言葉の内容を視覚的に伝える役割を持っています。相手も表情を見ながら言葉の内容を判断するので、自分が伝えたいことや説明をするときは自身の表情にも注意を向けましょう。もし今までの営業活動の中で「相手にうまく伝えられない」という経験がある方は、鏡を見ながらどんな表情になっているのかをチェックしてみてください。

営業戦略③:声の高さを変えるなど抑揚をつけて話す

顧客と話すときは、できるだけ抑揚をつけて話すということも重要です。声が低いと聞き取りづらくなるので、「話を聞こう」という気持ちがなくなってしまうかもしれません。

また、単調な話し方ではどんなに魅力的な内容であっても退屈に感じてしまうものです。抑揚がない話し方は、どこが重要なポイントなのか、一番伝えたいことは何なのかを理解してもらうことが難しいとされています。

通販番組で製品を紹介している人は、声のトーンを上げたり、大げさな話し方をしたりすることで視聴者を惹きつけます。このように、抑揚というのは相手に興味を持ってもらう大事なポイントとなるので、営業活動の際には話し方が単調にならないよう注意しましょう。

営業戦略④:誤解なく伝わる言葉を選ぶ

メラビアンの法則では、相手が受け取る言語情報は7%と少ないですが、だからといって言語情報を軽視してはいけません。メラビアンの実験結果は、言語・聴覚・視覚の3つの要素が矛盾している場合であり、3要素が一致しているなら相手は言語情報も大事にします。間違った言葉を使うと、相手にあらぬ誤解を与えてしまうかもしれません。
言語は人間にとって、意思疎通をするために使う有効なコミュニケーションツールです。そのため、言語情報・視覚情報・聴覚情報の3つをそれぞれ一致させることのほか、伝え方も重要です。難しい言葉やかしこまった言葉を使うのではなく、相手が理解しやすい言葉を選べば誤解されることも少なくなるので、会話の際は正しい言葉遣いを意識しましょう。

メラビアンの法則が賃貸仲介営業中に活用できるシーン

メラビアンの法則は、仕事・生活のさまざまなシーンで活用することができます。ここでは、メラビアンの法則が賃貸仲介営業中に活用できるシーンを紹介していきます。

  • 上司や部下とコミュニケーションを取るとき
  • 大家さんと会話をするとき
  • お客様に物件を案内するとき
  • 電話で話すとき
  • メールを送るとき

それぞれ詳しく見ていきましょう。

上司や部下とコミュニケーションを取るとき

賃貸仲介営業は、個人よりチームで仕事をする方が効率も良く、成果に繋がります。しかし、上司や部下にきちんと意思を伝達できなければ、仕事をスムーズに進めることができません。

たとえば、報告や相談をする際には、一定のトーンで話すのではなく、抑揚をつけて話すようにしましょう。こうすることで、報告・相談内容の重要性が伝わるようになります。

大家さんと会話をするとき

大家さんと会話するときには、言語コミュニケーションはもちろん非言語コミュニケーション(特に視覚情報)が大切です。大家さんと会話をするには、まずは自分の身だしなみや表情に気をつけましょう。

清潔感があり、自信に満ちた表情であれば、多くの大家さんは安心し信用してくれるようになります。逆に、不潔な恰好をして、さらにオドオドした口調で話してしまうと信用してもらえなくなるため注意が必要です。

お客様に物件を案内するとき

お客様に物件を案内しているときも、メラビアンの法則を活用することができます。物件を案内されているときのお客様は、賃貸仲介営業マンの話をすべて聞いているわけではありません。基本的に物件のことで頭がいっぱいで、話半分で聞いていることが多いです。

そのような状況の中、物件の良さについて説明しても、お客様の心には残りません。きちんとポイントを絞り、メリハリのある話し方でお客様に物件の案内を行いましょう。

※内見(物件案内)については下記の関連記事もチェックしてみてください。

電話で話すとき

電話では、意思伝達に重要な表情やしぐさなどの視覚情報がありません。そのため、対面以上に話す内容や声のトーンに注意して話すことが大切です。

難しい言葉を使わずに、少し大きめの抑揚をつけて話すと伝わりやすくなります。また、一方的に話さず、相手にうまく話させるのも有効な方法です。

※電話・メールの問合せ対応については下記の関連記事もチェックしてみてください。

メールを送るとき

感情を伝えるのは難しいとされるメールのシーンでも、メラビアンの法則を活用することは可能です。たとえば、文章に加えて物件の写真を添付することで、お客様の視覚情報に訴えることができます。なお、ビジネスシーンでは、マナー違反となるため絵文字を使うことはやめましょう。

※下記の関連記事では状況別(訪問後お礼/返信マナー/催促/謝罪/遅れた時のお詫び/日程調整/新規開拓など)のビジネスメール文例をまとめてます。こちらもチェックしてみてください。

メラビアンの法則を活用する際の注意点

メラビアンの法則を活用するには、コミュニケーションの要素を総合的に考え、相手からの信頼や理解を深めることが重要です。ジェスチャーや非言語的な要素を効果的に組み込み、相手の心情や状況を尊重し、自然な感情表現を心がけることで、効果的な営業コミュニケーションを実現できます。

ここでは、効果的なコミュニケーションを実現するためにメラビアンの法則を活用する際の注意点を3つ紹介しますので、ぜひ押さえておくようにしましょう。

  • 言葉に合ったジェスチャーを行う
  • 言葉に合わせて感情を乗せるようにする
  • 視覚情報を重視し過ぎて言語情報をおろそかにしない

言葉に合ったジェスチャーを行う

メラビアンの法則を営業活動に活かす際、非言語コミュニケーションであるジェスチャーの効果は重要なポイントになります。しかし、ジェスチャーは状況によって異なる意味を持つことがあり、誤解を生じる可能性もあります。そのため、まずは対象の状況や心情を理解し、そこから適切なジェスチャーを選ぶようにしてください。

また、自然な流れでジェスチャーをするのも重要です。「演じている」というような印象を与えないよう、十分に注意しましょう。

言葉に合わせて感情を乗せるようにする

言葉だけでなく、声のトーンや表情を通じて感情を伝えることも、メラビアンの法則の重要なポイントのひとつです。

営業活動においては、商品やサービスの魅力を伝える際に、声のトーンや表情を使って感情を乗せることが大切です。ただし、過剰な演技は相手に不信感を抱かせることもあるため、自然な感情表現を心がけましょう。適度な感情の強調を行い、相手からの共感を誘うのがコツといえます。

視覚情報を重視し過ぎて言語情報をおろそかにしない

メラビアンの法則では、言語情報ではなく視覚情報が重要視されています。しかし、だからといって「言語情報を無視しては良い」ということではありません。

感情や態度は言葉で表現されることも多く、単に非言語的要素だけでコミュニケーションを理解すると誤解が生じるおそれがあります。たとえば、どんなに表情や声のトーンが素晴らしくても、言葉がきちんと伴っていないと相手は不信感を持つかもしれません。言葉と非言語要素はお互いに影響し合うので、バランスを取りながら話すようにしてください。

そもそもコミュニケーションは大きく2種類ある

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営業活動では、顧客とコミュニケーションを取ることで信頼関係を構築し、そこから成約に繋げていきます。コミュニケーションは「話す内容が大事」と考えている方も多いのですが、コミュニケーションには言葉を使う「言語コミュニケーション」と言葉を使わない「非言語コミュニケーション」の2種類があります。最後に、それぞれの意味について解説していくので「コミュニケーション」への理解を深めておきましょう。

言語コミュニケーション

言語コミュニケーションは、その名のとおり自分の気持ちや考え方などを「言葉」で相手に伝えるコミュニケーションといわれています。対面でのやり取りだけでなく、メールや手紙など、言葉を文字にして相手に伝えることができるのが言語コミュニケーションの特徴です。

非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションは、言語ではなく五感を使うコミュニケーションのことです。主に相手の聴覚や視覚に訴えて自身のメッセージを伝えるのが非言語コミュニケーションの特徴で、会話の内容以外に話すときの表情や声のトーンなどにも意識を向けます。

業務上の報告など、自分の意見や考え方を正確に伝えるには言語コミュニケーションが必須です。しかし、いくら正しい言葉を使っても表情や声、態度などが言葉の内容とずれていると真意が相手に伝わりません。

メラビアンの法則では、「非言語コミュニケーションである視覚情報と聴覚情報の影響力が強い」とされているので、相手に会話の内容を理解してもらうためには、非言語の要素にも注意しながらコミュニケーションを取ることが重要です。

メラビアンの法則を使ってコミュニケーションスキルをアップさせよう

ビジネスシーンでは、商品やサービスの魅力を相手に伝える「会話術」が重視されます。そのためには、伝えるテクニックはもちろん、コミュニケーションスキルを身につけることが重要です。

メラビアンの法則では言語情報に比べ、視覚や聴覚による情報が優先されるといわれています。人見知りでトークスキルに不安を覚える方は、相手の聴覚や視覚に訴えかけるコミュニケーションを心がけてみてください。会話が得意な方の真似をするのではなく、自分なりのやり方で営業成績を伸ばしていきましょう。

記事の監修者_てつなり

てつなり

この記事を書いた人

賃貸仲介営業として、関西で数多くのお客様にお部屋を紹介。入居後のトラブルサポートもしており、賃貸生活についての知識は豊富です。現在は、宅建の資格と賃貸仲介営業スキルを活かし、WEBライターとしても活動しています。グルメや旅行が大好きで、時間あればいろんな場所に足を運んでいます。日本各地のおすすめグルメやスポットを紹介するブログも運営中。

■現在の職業・肩書き・資格など
賃貸仲介営業マン / ルームアドバイザー / 宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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