営業マンバイブル

3C分析とは?マーケティングとの関係性やポイントなどを解説

記事公開日:2022/05/12

最終更新日:2024/01/11

3C分析とは?マーケティングとの関係性やポイントなどを解説の見出し画像

3C分析は、数あるフレームワークの中でも特に重要といわれている分析方法のひとつです。マーケティングでは、3C分析を使い自社の強みや競合の動向、顧客ニーズを分析して、最適な戦略を立てていきます。また賃貸仲介営業においても、3C分析で自社のことや自社を取り巻く環境を分析し、売上アップを図るケースも少なくありません。

今回は3C分析について、具体的な分析の仕方や大事なポイントについて解説していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。また、賃貸仲介業の方には特別に、具体的な3C分析の方法も解説します。すぐにすべての分析を行えなくとも、部分的にできそうなところから始めてみてください。

※下記の関連記事では反響営業のコツやマーケティングについて解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

3C分析とは

マーケティングでよく使われる3C分析は、競合・自社・顧客の視点で分析を行い、戦略を立てるためのフレームワークです。3Cは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字で、この3つの「C」を分析することで自社の状況や今後の課題を把握できます。3C分析は、マッキンゼーの日本支社長を務めた経営コンサルタントの大前研一氏が考案したことで有名です。大手企業をはじめ、さまざまな企業で活用されているフレームワークの基本です。

3C分析と混同されるものに、「SWOT分析」があります。「SWOT」とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの頭文字を意味します。

両方とも、自社の内部・外部要因を客観的に分析する点は同じです。しかし、3C分析は「顧客」視点で分析するのに対し、SWOT分析は「自社」視点で分析します。また、3C分析は「自社の価値を明確にする」ことが目的である一方、SWOT分析は「状況を把握する」ために行われます。何を分析の中心とするのか、それぞれ分析の目的が違うため、両者を混同しないようにしましょう。

3C分析のやり方・手順

3C分析のやり方・手順を解説していきますので、確認していきましょう。

Customer(市場・顧客)の分析

最初に分析するのは自社のターゲットと市場環境です。市場や顧客の視点から、市場規模や成長性、顧客の購買行動やニーズなどを分析していきます。不動産営業においては、顧客のニーズや物件のトレンドなどが当てはまります。

また、市場を分析する方法として「マクロ分析」と「ミクロ分析」の2つがあるので、それぞれの違いも押さえておきましょう。

■マクロ分析

景気変動や法改正など、企業や業界ではコントロールできないものが自社にどのような影響を与えるかを分析します。マクロ環境の分析には、「PEST分析」が効果的です。

PEST分析は、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字からなる分析方法です。自社に影響がありそうなマクロ環境を、この4つの視点から分析します。

企業によっては、マクロ環境はチャンスにもピンチにもなり得ます。しかし、自社で対応できるものではないため、分析をして今後の時代の流れやニーズに自社の戦略を合わせることが大切です。

■ミクロ分析

特定の業界が自社に直接影響を与えるもので、流通や競合調査など、自社である程度コントロールできるものが主な分析対象です。ミクロ分析は、顧客(市場)と競合の2つにわけて分析をし、このうち顧客(市場)は3C分析の対象となるのが特徴です。

Competitor(競合)の分析

競合の分析は、他社の業績や戦略、コスト、強み・弱みを分析項目にします。不動産営業では、競合物件の特徴や、短所・長所を考えるのが一般的です。

また、競合の分析では「競合他社の結果」と「結果が出た理由」にわけて分析します。「結果」の内容は、競合他社の売上やシェア、顧客単価などが挙げられます。

「結果が出た理由」は、販売ルートや営業活動、顧客サポートなど、さまざまな側面から検討しましょう。これにより、自社に取り入れるべきものや差別化のポイントなどが見つけられます。

Company(自社)の分析

自社の分析は、市場分析や競合分析をまとめ、戦略の方向性や競合と差別化できるポイント、自社の強み・弱みなどを見つけていきます。不動産営業では、所有物件の短所・長所を分析しましょう。自社の強みと弱みを分析するためのフレームワークは、冒頭で述べた「SWOT分析」を使います。

なお、自社が提供できる価値を見出し、経営資源にフォーカスした「VRIO分析」も、自社分析に役立つフレームワークのひとつです。「経済価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Imitability)」「組織(Organization)」の視点から分析をします。

3C分析を行う目的

企業は、なぜ3C分析を行う必要があるのでしょうか。その目的に迫ります。

お客様の目線に立った事業活動を行うため

お客様のニーズや動向を理解し、それに合わせた商品やサービスを提供することは、ビジネスの基本です。3C分析によって、地域や扱う商品・サービスごとに異なるお客様独自の特性やニーズを明確に把握し、それに基づいたお客様目線の戦略を展開できます。

競合他社との差別化を図るため

市場を正確に把握することで、自社と競合他社における強みと弱みを見極めることが可能です。自社がどのような競争優位性を持っているのか、劣位性を持っているのかを知ることで、差別化された戦略を構築し、弱点を補完しながら市場での地位を確立できます。

市場の変化を知るため

市場は常に変化しており、新たなニーズと競合他社が雨後の筍のように出現します。3C分析を通じて、市場の動向やお客様が求めるニーズの変化を把握し、迅速に適応できるため、長期的な持続可能性を確保することが可能です。

人員の配置計画を適正にするため

自社のリソースや社員が有する能力を最大限に活用するためには、どのような市場や顧客に注力すべきかを明らかにする必要があります。3C分析を活用することで、限られたリソースを最適に配置する戦略を考えられるでしょう。

3C分析とマーケティングの関係性

タブレットを見つめながら考えるスーツを着た男性二人の画像

マーケティングは、自社の商品やサービスを売るための仕組みを整えるために行われます。3C分析は、マーケティングの方向性を決め、新規事業の立ち上げ時の他、現在のマーケティング手法を見直す場合に使います。3C分析は、マーケティングを成功に導くために欠かせない重要な工程のひとつです。

3C分析を行うコツやポイントと注意点

マーケティングに欠かせない3C分析は、以下の6つのポイントを押さえて行いましょう。

  1. 相手に対する先入観を排除する
  2. 3C分析に時間をかけすぎない
  3. 顧客の生の声を集める
  4. 自分自身で情報収集を行う
  5. 正しい順番で分析を行う
  6. 顧客業界の3C分析も行う

ひとつずつ見ていきます。

相手に対する先入観を排除する

3C分析を行う際の心構えとして、顧客や市場に対する先入観を排除することが重要です。先入観を持って3C分析を行うと、競合の情報・市場のデータ・分析結果を恣意的な解釈によって不要と判断したり、ひどいときには重要度を一存で上下させたりすることにつながります。このような環境下で行われた3C分析には、何の意味も効果もありません。

3C分析を行う目的をきちんと認識して、先入観を一切排除することに努めましょう。

3C分析に時間をかけすぎない

市場は常に変化の過程にあり、スピード感のある対応が求められます。時間をかけた過度の分析によって対応能力が低下すると、市場の変動や急な状況に対する適切な対応が難しくなるでしょう。

その結果、意思決定が遅れてビジネスチャンスを逃したり、他社に漁夫の利をさらわれたりと、さまざまな機会損失が想定されます。

顧客の生の声を集める

顧客の生の声を直接聞くことで、顧客のニーズを正確に把握できます。顧客が何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを理解することで、より具体的で的確な戦略を立案できるようになるからです。

また、顧客の生の声とは、直接的な音声に限った話ではありません。インタービュー以外にも、アンケートの回答や口コミ、配信メールの開封率や閲覧率、SNSの分析も活用することが重要です。

自分自身で情報収集を行う

まずは3C分析に必要な情報を集めましょう。3C分析には、顧客・市場や競合の情報が不可欠ですが、その情報はインターネットで簡単に手に入ります。

しかし、SNSやインターネットの情報は表面的なものも多く、必ずしも精度の高い情報とはいえません。顧客へのアンケート調査などを行い、時間をかけてでも質の高い情報を手に入れることが大切です。

正しい順番で分析を行う

分析の優先順位を確認し、正しい順番で行いましょう。最初にCustomer(市場・顧客)を分析し、次にCompetitor(競合)、Company(自社)の順で行います。

このときに重要なのは顧客ニーズや市場の把握です。市場や顧客動向をふまえたうえで、「なぜ競合他社は売上が良いのか」を分析します。競合他社の強みや成功理由がわかれば、自社に足りないものが明確になり、有効な戦略を立てやすいからです。

自社分析や競合分析に気を取られ、肝心の顧客分析がおろそかにならないよう、市場・顧客→競合→自社の順番で行いましょう。

顧客業界の3C分析も行う

自社目線ではなく、顧客の視点から3C分析をするのもポイントです。顧客の業界や市場の情報から分析できれば、より精度の高い3C分析が叶います。

3C分析では不十分な場合、6C分析というフレームワークの活用も考えられます。6C分析とは、自社だけでなく、顧客の3C分析もするフレームワークです。顧客の課題まで考えることができれば、より鮮明な戦略を立てることができるかもしれません。

賃貸仲介マンが3C分析を使うべき場面

ここでは、賃貸仲介マンが3C分析を活用できるシチュエーションを紹介します。どのような分析に基づいて、どのような行動を起こすべきなのかを確認してみましょう。

どれも身に覚えのあるシチュエーションなので、何気なく感覚値や経験値に基づいて行っているかもしれません。感覚や経験も否定しませんが、データや理論に基づいて行動を起こすことも重要です。

ポータルサイトへの物件掲載戦略

ポータルサイトへの物件掲載は、集客の重要な部分を担っています。どのような物件を掲載するか、どのタイミングで物件を入れ換えるかは集客に直結するため、客観的にも理由のある根拠に基づいて行われるべきです。営業担当者に反響の所感を聞いたとき、よく聞かれる回答は以下のようなものではないでしょうか。

  • 最近はファミリー物件に反響がある
  • 〇〇駅周りの物件に反響が多い
  • 反響件数が落ちてきた

このような回答が営業担当者から出てきたときは、すぐにでも分析を行ってください。営業担当者の私見や所感は、あくまでも自分が対応している反響に引っ張られることがあります。そのため、俯瞰で見た客観的データや傾向とは、程遠いことがあることを理解しましょう。

反響が多いことの分析

反響が多いといっている要素は本当なのか、ファミリーや特定の駅に近いところがホットになっている理由は何なのか、真の理由を探ることが重要です。

例えば、反響が10件あったとして、ある特定の物件で反響を5件得ているのであれば、実際の反響件数は5件といえます。特定の反響がある物件は他物件への振り替えが効くのかどうか、そのあたりまでふまえて反響分析を行いましょう。

急に閲覧件数が落ちたときの分析

突然、閲覧件数が落ち込むことがあります。そのときは、他社掲載物件と被っていないかを確認してみてください。掲載当初は自社しか掲載していなかったが、一定期間が経過して他社も掲載を行った結果として、自社の閲覧件数が落ちることはよくあることです。

旬な物件ばかり掲載することは困難ですが、どのタイミングで落とすか、掲載を続けるかの目安を社内で共有するためにも、分析は必要といえます。

※分析した結果、掲載内容のうち物件写真で大きく反響が変わる(増減する)ことがわかった場合、下記2本の関連記事もチェックしてみてください。

お客様の分析により追客を効率的にする

顧客管理システムを導入している会社では、追客で自動物件提案を利用していると思われます。このとき、自動物件提案が閲覧されているかどうかを確認してみてください。

確認する内容は、閲覧されているかどうかだけではなく、開封曜日や時間をチェックするのです。これにより、お客様が部屋探しに費やしている日時を知ることができます。その時間をめがけて電話連絡することで、着電率をアップさせられるでしょう。

来店経路の分析

お客様がどのような経路で来店されたかを分析してみましょう。各反響媒体別に反響件数が何件あるのか、来店が何件できたのか、成約も同様に調べます。これにより、どの反響媒体が最も効果があるのかを知ることが可能です。

マイナーなポータルサイトであっても、意外と1件あたりの反響効率や反響単価を見ると、良い数字が出ていることもあるでしょう。規模感という感覚値だけでは、見つけられない部分です。広告宣伝費の削減や見直しを図るときには、必ず来店経路の分析を行ってください。

※下記2本の関連記事ではSNS(主にインスタ、tiktok、youtube)、Googleビジネスプロフィールについて紹介しているので、ポータルサイト・自社サイト以外で来店につながる集客チャネルを増やしたい時は参考にしてみてください。

各営業担当者のKPIを確認する

営業担当者ごとに、以下の比率を確認してみてください。

  • 反響から来店までの来店率
  • 来店から成約までの成約率

これにより、伸び悩みがあるようであれば、どの営業担当者にどのような教育が必要なのかがわかります。お客様を呼べないのであれば、呼び方の教育が必要です。電話追客の回数や頻度、電話対応の品質を再教育すべきでしょう。

お呼びしたお客様を成約できないのであれば、接客の教育が必要です。ロープレ、物件知識、設備知識、商談の組み立てなど、再教育すべき内容は多岐にわたります。

競合他社の情報を知る

競合他社の情報や動向も知っておく必要があります。他社情報を知る方法としては以下のような方法が有効です。

  • 決まった時間に来店・接客している件数を把握する
  • 競合他社がポータルサイトに掲載した物件をチェックする
  • カスタマーサクセスから動向を伺う
  • ホームページ更新情報(物件情報のみならずブログなど)をチェックする

このような方法を用いて、他社の情報や動向も随時チェックしておきましょう。

他社の物件掲載情報を知ることで、注力している方向性がわかります。例えば、新築だったり、単身向けだったり、ペット飼育可能であったりと、さまざまな戦略が考えられるでしょう。その中から、自社に足りないものを補完したり、強みがあるところで勝負したりしましょう。

ホームページの更新情報とポータルサイトの更新情報を比べることで、他社の集客販路を知ることができます。ポータルサイトのみ更新していて、ホームページの更新がされていないときは、集客がポータルサイトに依存していることがわかります。そういうときは、自社でブログやお役立ち情報を更新して、エリアや駅名で検索されたときの自社掲載順位をアップさせると、集客につながるでしょう。

3C分析で事業を成功に導こう

ビジネスマン後ろ姿とグラフイメージの画像

3C分析は、顧客・競合・自社の3つの視点から、マーケティングの方向性を確立するためのフレームワークです。3C分析の順番通りに分析すれば、自社の強みや弱み、差別化を図れるポイントなどが明確になり、戦略を立てるのに役立ちます。

3C分析に当てはめることで情報が整理され、企業・個人の進むべき方向性が見えてきます。3C分析を活用し、売上アップに効果的な戦略を考えてみてください。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

記事へのコメント
1
2
3
4
5
送信
     
キャンセル

コメントを書く

CHINTAI JOURNAL
レビュー:  
 0 コメント