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不動産業界におけるRPAとは?メリットや活用例を確認しよう

記事公開日:2022/03/10

最終更新日:2023/11/16

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RPAは業務内容の改善に効果的といわれているものの、「RPAの導入で業務がどう変わるのか」「社内にどんな効果をもたらすのか」など、導入に躊躇している方も多いのではないでしょうか。導入前にRPAの活用ポイントを確認して、期待する効果が得られるよう準備しておきましょう。

今回は、RPAとはどのような機能なのかを詳しく解説します。また、導入時の参考となるよう、得られるメリットや実際の活用例も紹介していきますので、お困りの方はぜひ参考にしてください。

不動産業界におけるRPAとは?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、これまで手作業で行っていた作業をロボットによって自動化する仕組みのことです。不動産業界でも導入が進んでおり、物件情報の更新や問合せ対応などで活用されています。

定型化された業務を自動化することで、業務効率アップやヒューマンエラーの防止、人件費カットなどのメリットがあります。

不動産業界でRPA導入が進んでいる理由

まずは不動産業界でRPA導入が進んでいる理由について解説していきます。主に3つに分けられているので、それぞれ見ていきましょう。

理由①:労働人口の減少

労働人口の減少により、不動産業界でも働き手の足りない状況が予想されるため、RPAの導入が進められています。1970年代は出生数が年間最大200万人以上でした。これに対し、2040年には約70万人に低下すると予想されています。

※出典:総務省 出生数、合計特殊出生率の推移

今後は市場から若手が不足していくため、新規人材の雇用が思うように進まないかもしれません。さらに、少子高齢化の影響で経験やノウハウをもったベテラン社員が次々に引退していくと、労働力不足に拍車がかかります。これらの問題を解決するため、RPAを活用した業務の自動化による人材不足解消の動きが不動産業界でも進んでいます。

理由②:長時間労働や膨大な業務量

人材不足が進むことで、残された人材には膨大な量の業務や長時間労働など負担増加が懸念されます。特に不動産業界は残業時間が多い業界で、VORKERSの調査によると、不動産業界の残業時間は全業界の5番目(全30業界のうち)に位置しています。

出典:VORKERS 『約6万8000件の社員口コミから分析した’残業時間’に関するレポート』

人材不足により業務負担が加速すれば、既存人材のさらなる流出を招くかもしれません。そのため、RPAによって業務負担を軽減し、人材流出を防ぐことが重要視されています。働きやすい環境であれば、新規人材の獲得にも繋がります。

理由③:デジタル化が進んでいない現状

業務負担の一因はデジタル化が進んでいないことも含まれており、RPAによる改善が求められています。不動産業界はデジタル化が進んでおらず、顧客や物件などを書類ベースで管理している場合、従業員への負担が増加します。

さらに、アナログ業務への工数が割かれると、注力しなければならない業務(接客や商談など)がおろそかになるかもしれません。アナログ業務は顧客獲得機会の損失に繋がる他、業務効率の悪化も招きます。RPAは従来のアナログ業務を自動化(デジタル化に移行)することで、これまで懸念されてきたデメリットの解消に役立てられます。

不動産業界でRPA導入をするメリット

ここからは、不動産業界でRPAを導入するメリットについて解説していきます。

業務自動化で業務効率が上がる

RPAの導入により、手作業での業務が自動化され業務効率の向上が期待できます。RPAは以下のような作業を自動化してくれます。

<RPAが得意な作業の例>
  • データの登録や転記
  • アプリ操作
  • 情報収集
  • 自動入力

たとえば物件情報をデータベースへ登録する場合、RPAであれば一連の作業(情報収集から登録まで)が自動化されます。日々の業務の合間を縫って行っていた作業が自動化されれば時間に余裕が生まれ、注力したい業務へ集中して取り組めます。また、RPAにはいくつか種類があり、現場の状況やニーズに合わせた機能が導入できるのも魅力です。

従業員の残業時間が減る

業務効率の改善によって、従業員の残業時間が減ることも見逃せないポイントです。毎日行う定型業務を自動化することで作業工数が減り、時間にゆとりができます。空いた時間を利用して本来やるべき業務へ集中して取り組めるので、長時間残業のリスクを回避できる他、生産性の向上も見込めます。

RPAの導入は業務効率改善だけでなく、仕事へのモチベーションやQOL(心身ともに健康な状態)向上などにも繋がる取り組みです。定時内に仕事が終わるというのが当たり前になれば、ワークライフバランスも安定するようになるかもしれません。

退職率が減少する

RPAは退職率増加の一因となる「業務負担」の軽減に効果が期待できるため、優秀な人材の流出を防ぐことにも繋がります。前述のとおり、不動産業界は業務量が多く残業も当たり前の業界のため、オーバーワークによる体調不良によって退職する方も少なくありません。

GMO賃貸DX WEBメディアが行ったアンケート調査によると、不動産会社へ勤めていた人の退職理由には以下の内容が含まれていました。

<退職理由>
  • 労働時間が長い
  • 身体、精神の健康を崩した

※出典:GMO賃貸DX WEBメディア

上記2つの回答は全体の22.5%を占めており、これらは労働環境が起因しています。RPAの導入で業務量・残業時間が減少すれば、労働環境が改善され退職率の軽減にも効果が期待できます。

作業の質が上がる

RPAの導入により、手作業で行っていた作業の質が上がります。不動産業界に限らず、どんな仕事でも人が作業を行う際はヒューマンエラーのリスクが伴います。

たとえば紙資料をデータ化する際、手作業で行うと誤字や脱字、入力内容のミスなどが起こるかもしれません。長時間労働で疲れている従業員であれば、ヒューマンエラーの可能性はさらに高くなります。

しかし、RPAを使ってヒューマンエラーが起こりそうな作業を自動化させられれば、業務上で起こりがちなケアレスミスは発生しません。安定したクオリティで作業を続けられるのは、RPAならではのメリットです。

また、RPAを活用することで作業時間の短縮も叶い、顧客満足度向上にも繋がります。問合せへのレスポンス速度、掲載情報の更新速度などをアップさせられれば、顧客への印象も良くなります。顧客流出のリスクも回避できる他、既存顧客からの紹介など新たなビジネスチャンスの創出も可能です。

不動産業界におけるRPA効果を上げる活用ポイント

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ここからは、不動産業界においてRPAの効果をアップさせる活用ポイントを見ていきましょう。

従業員が利用できるシステムかどうか

RPAの導入を進める際は、従業員が利用できるシステムかどうかを確認しましょう。ツールやシステムを導入しても、それらを扱えなければ意味がありません。

不動産業界はデジタル化が遅れている業界でもあるため、まずはRPAという仕組みを理解し、誰でも簡単に扱えるRPA用のツール・システムを導入しましょう。なお、RPA用のツール・システムには無料トライアル製品もあるので、問題なく扱えるかどうか試してみることをおすすめします。

少しずつ導入していく

RPAの運用に失敗したときのことを考え、まずは業務へ支障がないレベルの作業から自動化していきましょう。定型化された全業務を自動化してしまうと、慣れない従業員はRPAツールをうまく扱えないかもしれません。慣れるまでに時間がかかる他、問題なく行えるはずの業務がストップしてしまうおそれもあります。

最初のうちは一部作業を自動化し、問題なく運用できるようであれば自動化の範囲を広げていきます。また、業務の流れを変更しなければならないことも考えて、自動化の範囲を広げる際は運用方法を具体的にイメージしておきましょう。

サポート体制を必ず確認する

RPAを導入する際は、ベンダーのサポート体制を事前に確認してください。ITに関する知識が深くない、もしくは専任の担当者などがいない場合、導入方法や運用方法が不明なままRPAを導入してしまうかもしれません。期待する効果を得られないおそれがある他、自社の顧客にまで影響を及ぼす可能性があります。

そのため、RPA導入時は運用後までサポートしてくれるベンダーを選ぶことが大切です。RPAベンダーによっては、導入支援としてヘルプデスクやRPAの勉強会、導入後のフォローなどのサポートが用意されています。トラブル発生時に相談へ乗ってくれる相手がいれば、各種問題の解決がスムーズで業務へ支障をきたしにくくなります。

不動産業界におけるRPA活用例

RPAを導入する際は、ここからご紹介する不動産業界におけるRPAの活用例を参考にしてみてください。

RPA活用例①:物件情報の更新作業

RPAは賃貸物件情報の更新・登録業務などに活用できます。手作業で賃貸物件情報の更新を行う場合、テキストや画像などを1件ずつ登録して情報を更新しなければなりません。この手順では、1つの物件情報を登録するのに約20分かかってしまいます。

たとえば1日30件分を登録しようとすると、約600分の時間が必要です。複数人で作業しても膨大な作業量なので、業務効率は決して良くありません。

そのため、RPAを活用して登録・更新業務を自動化させます。登録・更新業務に人的リソースを割く必要がなくなり、空いた工数を顧客への接客や商談に充てることで顧客損失を防ぐことができます。作業時間の短縮だけでなく、労働環境の改善にも役立てられる活用方法です。

RPA活用例②:情報収集

賃貸物件の情報収集にもRPAは有効です。賃貸物件の情報収集は、不動産専門のネットワークシステム(レインズ)へアクセスして行われます。しかし、この作業は先ほどご紹介した更新作業と同様に人的リソースを割かなければなりません。

そこで、情報収集の作業時にRPAの自動化機能を活用します。毎日決まったタイミングで情報収集を行い、収集された情報は担当者へ転送するという仕組みです。RPAの活用により、業務負担の軽減はもちろん、集められた情報から分析・営業戦略の策定などへ費やす時間を増やすこともできます。

RPA活用例③:問合せ対応

物件情報の問合せ対応にもRPAは活用できます。具体的には、あらかじめ回答内容をテンプレート化し、顧客の知りたい情報に合わせて自動返信するだけです。情報は事前に整理されているため、回答に必要な情報を引き出すまでに時間はかかりません。

従来は手動で回答内容を作成して返信していましたが、RPAによって問合せ対応を自動化できます。問合せから返信までの時間が短縮されるので、顧客満足度向上に期待できる活用方法です。

RPA活用例④:集計作業

集計作業においては、RPAを活用することでヒューマンエラーの防止・業務効率化が可能です。契約情報(日別の契約数・キャンセル数など)を整理するときも、システムが必要な情報を自動で集計してくれます。そして、あらかじめ作成しておいたレイアウト表に基づいてデータを加工・入力することにより、集計表も短時間で作成できます。

RPAの導入によって、担当者が不在でも集計作業ができる他、集計にかける時間も必要ありません。入力ミスなどもなく、従来よりも精度の高い集計表の作成が可能です。

RPA活用例➄:紙資料の文字を自動入力

物件情報のやり取りをFAXや手書き資料などで行っている場合、これらの入力作業もRPAで自動化できます。このケースでは、文字認識用のツールと連携させて自動化を行います。

具体的には、紙資料に書かれた文字を文字認識用ツールに読み込ませ、それをRPAで自動入力するという仕組みです。顧客アンケートなども自動入力可能なので、事務作業の業務効率改善に役立てられます。

不動産業界におけるRPA活用で効率の良い業務を!

RPAによる業務の自動化は不動産業界でも活用できるので、これまでネックとなっていた膨大な作業量や作業時間を削減し、起こりがちなヒューマンエラーを回避しましょう。導入する際は、RPAのメリットや活用ポイントなどを把握し、日々の業務に有効活用できるか判断することが大切です。

<RPAのメリット>
  • 業務自動化で業務効率アップ
  • 従業員の残業時間を削減
  • 退職率減少
  • 作業内容の質がアップ
<RPAの活用ポイント>
  • 従業員が利用できるかどうかチェックする
  • 少しずつ導入を進める
  • RPAベンダーのサポート内容を確認しておく

また、実際に導入を進めるときは今回ご紹介した具体例を参考に、運用後のイメージを固めておきましょう。具体的なイメージがあれば、運用後のトラブルなどのリスクを回避できます。

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この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。

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