記事公開日:2022/06/02
最終更新日:2024/01/11
どれだけ優れた商品やサービスを提案しても、セールストークがうまくいかなければ契約に繋げることはできません。営業トークのテクニックにはさまざまなものがありますが、なかでも応酬話法は営業トークの基本とも呼ばれるテクニックで、新人・ベテラン問わず幅広く採用されています。
今回は、応酬話法の具体例やメリット、おすすめの書籍などを解説していきます。具体例では賃貸仲介業・一般営業それぞれを紹介するので、自身のセールストークを見直したいと考えている営業マンはぜひ参考にしてください。
※下記の関連記事では「会話術を磨くテクニック」、「賃貸営業のコツ」をまとめてますのでこちらもチェックしてみてください。
目次
応酬話法とは、顧客の反応に対して上手に切り返すトーク術のことです。「トークがぶつ切りになってうまく続かない」「切り返しに困って顧客との会話が終了してしまう」といった悩みも、応酬話法を身につけることでなくすことができます。慌てることなく切り返しができ、仮にマイナス発言で場の雰囲気が悪くなったとしてもトークを継続させることが可能です。
応酬話法は対人コミュニケーション全般に使えるスキルであり、業種・職種問わず活用できるほか、家族や友人との会話で使うことも可能です。
営業トークにおいて、応酬話法を活用するべき理由は以下の4つです。
どの理由も営業トークに必要不可欠なもののため、営業マンは応酬話法を身につけることが求められます。
応酬話法の活用で営業トークの質が高まれば、顧客との信頼関係も構築しやすくなります。営業トークにおいて、会話を弾ませることはお客様との信頼関係を構築させるためにも重要なポイントです。顧客との商談中、さほど盛り上がらずに会話が終了してしまうようでは、質の高い営業トークは叶いません。
たとえ雑談であっても会話が弾めばさまざまな話に繋がり、提案物件の話題に振ることもできます。トークスキルに自信がない営業マンは、トークの質を高めるためにも応酬話法を身につけることが重要です。
応酬話法を使って会話を進めると、顧客との信頼関係が深まり本音を話してくれる可能性が高まります。これにより、最初にヒアリングしても聞けなかったような顧客の潜在ニーズを引き出すことも可能です。
顧客の悩みや課題をヒアリングできると、それを解決するための商品やサービス選びが容易になります。悩みに寄り添い一緒に解決する手段を導き出すことで、さらに強固な信頼関係へと発展します。
応酬話法によって話の流れを作りやすくなるほか、その都度上手に切り返すことでスムーズなトークが叶います。仮にマイナス発言を繰り返す手強い顧客だったとしても、切り返しのテクニックを活用すればそこから良い提案に繋げることもできます。
応酬話法の活用で顧客ニーズを引き出せれば、結果的に成約率アップを目指せます。成約率の向上には、顧客の気持ちに寄り添うことが重要です。応酬話法を活用することで、人間心理にうまくアプローチする営業トークが叶います。
応酬話法といってもその種類は数多く、使い方のバリエーションも豊富にあります。ここでは応酬話法の特徴や使い方について解説していきますので、実際のビジネスシーンをイメージしながらチェックしてみてください。
質問話法とは、顧客に対して質問を重ねながら課題や悩み、ニーズなどの本音を導き出す話法のことです。質問を投げかけながら、商品やサービスに誘導するための話のきっかけを探していきます。
質問話法は、特に営業トークの序盤やヒアリングの際に活用できます。質問話法を活用することで、顧客自身が気づいていない課題を引き出すことも可能です。
このように、質問から相手のニーズを引き出していくことで顧客が求めている適切な商品やサービスを提案します。
寄り添い話法とは、その名のとおり顧客の気持ちに寄り添いながら営業トークを進める話法です。たとえマイナス発言をされても前向きに受け止めつつ、少しずつ共感を示していくことが大切です。この寄り添い話法は、顧客の悩みや課題を引き出すヒアリング時に多く用いられます。
共感する姿勢を顧客に見せ続け、顧客の気持ちに応えられるような商品やサービスを提案しましょう。
ブーメラン話法とは、顧客のマイナス発言を逆手に取ってポジティブな印象に変えるための話法です。顧客の意見に対して違った側面があることをブーメラン話法で説明することで、商品やサービスの新たな価値が伝わります。
上記の会話は、予算に不安を感じる顧客に対して長期的なメリットを提案するブーメラン話法の例です。特に不動産営業の場合、金額の高さに不安を感じる方も多いので、ブーメラン話法を使って状況を打開してみるのもひとつの手です。
イエスバット法とは、相手の意見を受け止めて「しかし(=but)」で反論する話法です。このとき顧客の意見を受け止めずに「しかし…」と返してしまうと、単なる反論になってしまい顧客に良い印象を与えません。最初は肯定したうえで自身の意見を述べることで、反論に対して耳を傾けてもらいやすくなります。
この例文のように、最初は顧客の意見を肯定するのがポイントです。
イエスアンド法とは、相手の意見を受け止めた後、「さらに(=and)」で詳しい説明を行う話法です。相手に反論するイエスバット法に比べると、やわらかい印象になるのが特徴です。
言い回しによっては顧客に寄り添った優しい言い方にすることもできるため、顧客に面と向かって反論するのが苦手な方は、イエスアンド法を試してみてください。
イエスバット法と同じシチュエーションの例文ですが、顧客に反論せずに追加情報を説明しています。「しかし」を「実は」に置き換えることで、否定の印象を薄くさせるのがコツです。
例話法とは、例え話を用いながら商品やサービスを契約した後の状態を想像してもらう話法です。例え話によって顧客への購買意欲を湧かせ、実際の契約に繋げることができます。この例話法は、主にクロージングのときに活用されています。
例話法は、契約への一押しとして使うとより効果的です。
否定話法とは、相手の発言や意見を真っ向から否定する話法です。主にマイナスな意見に対して使われ、顧客の不安や心配を払拭するときに役立ちます。
ただし、強い言い方をしてしまうとやや強引に聞こえてしまうため、やわらかな言い回しが求められます。タイミングやトーンなどに気を配りながら活用すべきテクニックのひとつです。
商品やサービスにたしかな自信があるときは、否定話法を選ぶと説得力が増します。
肯定話法とは、顧客の意見をそのまま受け止めて発展させる話法です。肯定話法を活用することで顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、営業マンへの信頼度が高まります。
上記の例のように、顧客のマイナスイメージをそのまま繰り返し、自然な形で自社の商品やサービスを提案するのがコツです。
聞き流し話法とは、顧客のマイナス意見を聞き流して別の話に変える話法です。マイナス意見を否定すると、顧客によってはトラブルに発展してしまうかもしれません。相手の心情を理解しつつ、別の話に切り替えることで、マイナス意見を冷静に考え直してもらうことができます。
また、クロージングのときに出した結論を逸らすためにも聞き流し話法は使われます。クロージング中、「検討します」などという言葉を使って商談を終わらせようとする顧客も珍しくありません。このセリフに対して聞き流し話法を使うことで、契約しないという結論から別の方向に転換できます。
営業トークが終わりそうになってしまったときは、「ところで」「ちなみに」などを使って会話を続けてみてください。
資料転換話法とは、顧客との会話が行き詰まったときに資料を見せながら会話を続ける話法です。資料を使って具体的な数字や詳細内容を伝えれば、顧客の気が変わるかもしれません。また、顧客が資料を読んでいる間はトークを続ける必要がないので、次の話題を考えることもできます。
会話が詰まり、場の雰囲気が悪くなったと感じたときは資料転換話法を取り入れましょう。
応酬話法のトレーニング方法を4つ解説します。
実践力をつけるため、先輩や上司とロールプレイングを行って応酬話法を身につけましょう。ロールプレイングとは、商談でよくあるシーンや実際の事例などをもとに、顧客・営業マンに分かれて商談シーンを再現するトレーニング方法です。
応酬話法のテクニックを頭に入れただけでは、実際にどのような場面で活用できるのかわかりません。ロールプレイングは知識・スキルのインプット・アウトプットが同時にできるため、本番の商談でも自然に応酬話法を活用できます。
賃貸仲介業の場合、幅広い属性の顧客に対応しなければなりません。汎用的なケースのロールプレイングでは対応しきれない可能性もあるため、年齢・性別・家族構成などを具体化させてからトレーニングしましょう。
個人+社内のスキルアップも兼ねて、応酬話法のマニュアルやトークスクリプトを作成してみましょう。応酬話法に関するマニュアル・トークスクリプトがあれば、顧客の疑問・意見に応じた返答方法を知識として習得可能です。
賃貸仲介業の場合、時代によって顧客ニーズは変化します。そのため、新人・ベテラン関係なく、その時代のニーズに応じたトーク力・提案力が必要です。最新のマニュアル・トークスクリプトを社内で作成・共有し、成約率アップに繋げましょう。
より実践的な応酬話法を学ぶのであれば、上司やトップ営業マンのテクニックを見習うことも重要です。前述したトレーニングは、あくまでも実践を想定した練習にすぎません。応酬話法の質を高め、実践で使うには、本物の顧客を相手に商談を重ねていく必要があります。
そのため、上司やトップ営業マンの商談に同行させてもらい、応酬話法を直接学びましょう。新人の場合、物件案内などに同行させてもらう機会があるため、顧客との会話内容をチェックしつつ、どの応酬話法が活用されているのか確認してみてください。現場でのテクニックを習得できれば、応用的なスキルも身につきやすくなります。
トレーニングを実践した後は、上司や先輩からフィードバックをもらって、不足するスキル・知識を補完しましょう。トレーニングによりスキル・知識を得た際、必ずしも習得しているとは限りません。実際の商談で応酬話法を活用し、何が不足しているのかを見極める必要があります。
上司や先輩から自分の商談をフィードバックしてもらい、客観的な意見をもらいましょう。現在の成果と今後の課題を言語化し、これまで解説したトレーニング方法を繰り返し実践することで、応酬話法の質は向上します。
最後に、応酬話法について学べる書籍について解説していきます。
3ヶ月でトップセールス営業マンになるためのフレーズを50個紹介している本です。営業活動の中でもアプローチ・プレゼンテーション・クロージング・フォローアップの4つに特化した構成で、顧客と相対するときに活用できる会話を網羅しています。
この本を読めば、アポイントに労力をかけず、お客様がお客様を呼ぶ状態を作り上げることも可能です。
<おすすめポイント>
この本を読むことで、一般の営業マンは知らないプロの営業マンが使う実践的なテクニックが学べます。
小説形式で営業マンの成長物語が描かれており、共感するところも多く、比較的読みやすいのが特徴です。また、実際に営業で輝かしい功績を残している人が書いているという点も大きな魅力です。
<おすすめポイント>
心理学とセラピーを徹底的に学んだ佐藤さんだからこその深い人間観察力と、1,000社以上の営業指導で培った経験がこの一冊に集約されています。
<おすすめポイント>
顧客の発言にうまく切り返すという意味を持つ応酬話法を自身の営業トークに取り入れることで、以下のようなメリットが得られます。
応酬話法といっても数多くの種類があるため、顧客との会話の中で使い分けることが重要です。今回ご紹介したポイントを押さえるだけでなく、トップ営業マンが書いた書籍を読むのも勉強になるので、自分に合った方法・ツールを使い、成績アップを目指しましょう。
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