記事公開日:2022/06/02
最終更新日:2022/09/18
どれだけ優れた商品やサービスを提案しても、セールストークがうまくいかなければ契約に繋げることはできません。営業トークのテクニックにはさまざまなものがありますが、なかでも応酬話法は営業トークの基本とも呼ばれるテクニックで、新人・ベテラン問わず幅広く採用されています。
今回は、応酬話法の具体例やメリット、おすすめの書籍などを解説していきますので、自身のセールストークを見直したいと考えている営業マンはぜひ参考にしてください。
応酬話法とは、顧客の反応に対して上手に切り返すトーク術のことです。「トークがぶつ切りになってうまく続かない」「切り返しに困って顧客との会話が終了してしまう」といった悩みも、応酬話法を身につけることでなくすことができます。慌てることなく切り返しができ、仮にマイナス発言で場の雰囲気が悪くなったとしてもトークを継続させることが可能です。
応酬話法は対人コミュニケーション全般に使えるスキルであり、業種・職種問わず活用できる他、家族や友人との会話で使うことも可能です。
営業トークにおいて、応酬話法を活用するべき理由は以下の4つです。
どの理由も営業トークに必要不可欠なもののため、営業マンは応酬話法を身につけることが求められます。
営業トークにおいて、会話を弾ませることはお客様との信頼関係を構築させるためにも重要なポイントです。顧客との商談中、さほど盛り上がらずに会話が終了してしまうようでは、質の高い営業トークが叶いません。
たとえ雑談であっても会話が弾めばさまざまな話に繋がり、商品やサービスの話題に振ることもできます。トークスキルに自信がない営業マンは、トークの質を高めるためにも応酬話法を身につけることが重要です。
応酬話法を使って会話を進めると、顧客との信頼関係が深まり本音を話してくれる可能性が高まります。これにより、最初にヒアリングしても聞けなかったような顧客の潜在ニーズを引き出すことも可能です。
顧客の悩みや課題をヒアリングできると、それを解決するための商品やサービス選びが容易になります。悩みに寄り添い一緒に解決する手段を導き出すことで、さらに強固な信頼関係へと発展します。
自分が話そうとする意識が強すぎてうまく話せないという人も多いのではないでしょうか。応酬話法を身につけることで話の流れを作ることができ、その都度上手に切り返すことでスムーズなトークが叶います。
仮にマイナス発言を繰り返す手強い顧客だったとしても、切り返しのテクニックを活用すればそこから良い提案に繋げることもできます。
営業活動の成約率を上げるために、質の高い営業トークは欠かせません。成約率の向上には、顧客の気持ちに寄り添うことが重要ですが、応酬話法を活用することで人間心理にうまくアプローチする営業トークが叶います。顧客の不安や疑問を解消し、買わない理由を取り除いて成約に繋げることができます。
応酬話法といってもその種類は数多く、使い方のバリエーションも豊富にあります。ここでは応酬話法の特徴や使い方について解説していきますので、実際のビジネスシーンをイメージしながらチェックしてみてください。
質問話法とは、顧客に対して質問を重ねながら課題や悩み、ニーズなどの本音を導き出す話法のことです。質問を投げかけながら、商品やサービスに誘導するための話のきっかけを探していきます。
質問話法は、特に営業トークの序盤やヒアリングの際に活用できます。質問話法を活用することで、顧客自身が気づいていない課題を引き出すことも可能です。
顧客:今の家の日当たりが悪くて悩んでいます…
営業マン:なるほど、◯◯様にとって日当たりの優先順位は高いですか?
顧客:高いけど一番というわけではないです。
営業マン:それでは、どのような優先順位付けをされているのでしょうか?
このように、質問から相手のニーズを引き出していくことで顧客が求めている適切な商品やサービスを提案します。
寄り添い話法とは、その名のとおり顧客の気持ちに寄り添いながら営業トークを進める話法です。たとえマイナス発言をされても前向きに受け止めつつ、少しずつ共感を示していくことが大切です。この寄り添い話法は、顧客の悩みや課題を引き出すヒアリング時に多く用いられます。
顧客:引越しの初期費用を抑えたいのだけれど…
営業マン:引越しには諸々費用がかかりますよね。敷金・礼金が抑えられる賃貸物件を一緒に考えていければと思います。
共感する姿勢を顧客に見せ続け、顧客の気持ちに応えられるような商品やサービスを提案しましょう。
ブーメラン話法とは、顧客のマイナス発言を逆手に取ってポジティブな印象に変えるための話法です。顧客の意見に対して違った側面があることをブーメラン話法で説明することで、商品やサービスの新たな価値が伝わります。
顧客:お金がないので新築物件の購入は難しいと思います…
営業マン:お金がないからこそ、新築物件を購入すべきです。金利が安い今の時期に購入すると大きな利益に繋がりますよ。
上記の会話は、予算に不安を感じる顧客に対して長期的なメリットを提案するブーメラン話法の例です。特に不動産営業の場合、金額の高さに不安を感じる方も多いので、ブーメラン話法を使って状況を打開してみるのもひとつの手です。
イエスバット法とは、相手の意見を受け止めて「しかし(=but)」で反論する話法です。このとき顧客の意見を受け止めずに「しかし…」と返してしまうと、単なる反論になってしまい顧客に良い印象を与えません。最初は肯定したうえで自身の意見を述べることで、反論に対して耳を傾けてもらいやすくなります。
顧客:他の不動産会社の賃貸物件に決めようと思っているんです。
営業マン:たしかに◯◯会社で賃貸物件を借りると初期費用を抑えられますよね。しかし、弊社は△△マンションの管理会社のため、長期的に◯◯様の暮らしをサポートすることが可能です。
この例文のように、最初は顧客の意見を肯定するのがポイントです。
イエスアンド法とは、相手の意見を受け止めた後、「さらに(=and)」で詳しい説明を行う話法です。相手に反論するイエスバット法に比べると、やわらかい印象になるのが特徴です。
言い回しによっては顧客に寄り添った優しい言い方にすることもできるため、顧客に面と向かって反論するのが苦手な方は、イエスアンド法を試してみてください。
顧客:他の不動産会社の賃貸物件に決めようと思っているんです。
営業マン:たしかに◯◯会社で賃貸物件を借りると初期費用を抑えられますよね。実は、弊社の初期費用が◯◯会社より高いのには理由があります。それは、〜〜〜だからなんです。
イエスバット法と同じシチュエーションの例文ですが、顧客に反論せずに追加情報を説明しています。「しかし」を「実は」に置き換えることで、否定の印象を薄くさせるのがコツです。
例話法とは、例え話を用いながら商品やサービスを契約した後の状態を想像してもらう話法です。例え話によって顧客への購買意欲を湧かせ、実際の契約に繋げることができます。この例話法は、主にクロージングのときに活用されています。
営業マン:この賃貸物件で暮らすとしたらどのような生活が送れそうですか?
顧客:そうですね。ベランダが広いのでガーデニングが楽しめそうです。
例話法は、契約への一押しとして使うとより効果的です。
否定話法とは、相手の発言や意見を真っ向から否定する話法です。主にマイナスな意見に対して使われ、顧客の不安や心配を払拭するときに役立ちます。
ただし、強い言い方をしてしまうとやや強引に聞こえてしまうため、やわらかな言い回しが求められます。タイミングやトーンなどに気を配りながら活用すべきテクニックのひとつです。
顧客:たしかにこの賃貸物件は魅力的だけど、防犯性能に不安を感じる…
営業マン:そのような心配は不要です。弊社には○○というサービスがあり、他の住人の方も満足していただいております。
商品やサービスにたしかな自信があるときは、否定話法を選ぶと説得力が増します。
肯定話法とは、顧客の意見をそのまま受け止めて発展させる話法です。肯定話法を活用することで顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、営業マンへの信頼度が高まります。
顧客:新築物件を購入する余裕はありません。
営業マン:そうですよね。新築物件は決して安い買い物ではないため、すぐに購入を決断するのは難しいかもしれません。予算に不安がある状況だからこそ、金利の安い今の時期に新築物件を購入しておくのをおすすめしております。
上記の例のように、顧客のマイナスイメージをそのまま繰り返し、自然な形で自社の商品やサービスを提案するのがコツです。
聞き流し話法とは、顧客のマイナス意見を聞き流して別の話に変える話法です。マイナス意見を否定すると、顧客によってはトラブルに発展してしまうかもしれません。相手の心情を理解しつつ、別の話に切り替えることで、マイナス意見を冷静に考え直してもらうことができます。
また、クロージングのときに出した結論を逸らすためにも聞き流し話法は使われます。クロージング中、「検討します」などという言葉を使って商談を終わらせようとする顧客も珍しくありません。このセリフに対して聞き流し話法を使うことで、契約しないという結論から別の方向に転換できます。
顧客:家族と相談して検討します。
営業マン:ありがとうございます。ところで、先ほどローン回数のご心配をされていましたが具体的にどのようなポイントがご不安なのでしょうか。
営業トークが終わりそうになってしまったときは、「ところで」「ちなみに」などを使って会話を続けてみてください。
資料転換話法とは、顧客との会話が行き詰まったときに資料を見せながら会話を続ける話法です。資料を使って具体的な数字や詳細内容を伝えれば、顧客の気が変わるかもしれません。また、顧客が資料を読んでいる間はトークを続ける必要がないので、次の話題を考えることもできます。
顧客:返済イメージがうまくつかめないです…
営業マン:なるほど。それではこちらの資料をご覧いただけますでしょうか。
会話が詰まり、場の雰囲気が悪くなったと感じたときは資料転換話法を取り入れましょう。
ここまでご紹介した応酬話法は、関連書籍を読むことでさらに深い知識を得ることが可能です。ここからは、応酬話法について学べる書籍について解説していきます。
3ヶ月でトップセールス営業マンになるためのフレーズを50個紹介している本です。営業活動の中でもアプローチ・プレゼンテーション・クロージング・フォローアップの4つに特化した構成で、顧客と相対するときに活用できる会話を網羅しています。
この本を読めば、アポイントに労力をかけず、お客様がお客様を呼ぶ状態を作り上げることも可能です。
<おすすめポイント>
著者の中村信仁さんは、外資系営業会社で入社初年度から2年連続で世界トップ10に名を連ねたプロセールスマンです。この本を読むことで、一般の営業マンは知らないプロの営業マンが使う実践的なテクニックが学べます。
小説形式で営業マンの成長物語が描かれており、共感するところも多く、比較的読みやすいのが特徴です。また、実際に営業で輝かしい功績を残している人が書いているという点も大きな魅力です。
<おすすめポイント>
営業コンサルタントとして実績のある、佐藤昌弘さんが執筆された本です。心理学とセラピーを徹底的に学んだ佐藤さんだからこその深い人間観察力と、1,000社以上の営業指導で培った経験がこの一冊に集約されています。
<おすすめポイント>
顧客の発言にうまく切り返すという意味を持つ応酬話法を自身の営業トークに取り入れることで、以下のようなメリットが得られます。
また、応酬話法といっても数多くの種類があるため、顧客との会話の中で使い分けることが重要です。今回ご紹介したポイントを押さえるだけでなく、トップ営業マンが書いた書籍を読むのも勉強になるので、自分に合った方法・ツールを使い、成績アップを目指しましょう。