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決定回避の法則から学ぶ営業戦略を紹介!類似法則も押さえておこう

記事公開日:2022/07/07

最終更新日:2022/07/06

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営業成績を伸ばす手段のひとつとして、心理学を学んでいる営業マンも多いのではないでしょうか。人が持つ心理効果を営業活動へ利用できれば、営業戦略の確度はより高くなります。

「売上・利益アップを図りたい」「営業戦略の効果を最大化させたい」といった方に向けて、今回は意思決定に関する「決定回避の法則」について解説します。基本的な理論と日々の営業戦略への活用方法を理解・習得し、自身の目標を達成させましょう。

決定回避(選択回避)の法則とは

決定回避(選択回避)の法則とは、「選択肢が増えるほど人は選べなくなる」という心理効果を指します。提案する商品・サービスが多すぎる場合、顧客は「どれを選ぶべきかわからない」と悩んでしまう可能性があるということです。

選択肢が多ければ多いほど選ぶ自由の幅は広がるものの、意思決定の際にはこれがかえって邪魔になります。決断力の低下によって購入・契約にいたらないリスクもあるため、営業マンはこの心理効果について理解しておきましょう。次項からは、決定回避の法則&現状維持の法則の2種類について解説します。

別名「ジャム理論」とも呼ばれる

決定回避の法則は別名「ジャム理論」とも呼ばれ、社会心理学者のシーナ・アイエンガー氏によって実験が行われました。スーパーで24種類のジャムと6種類のジャムを陳列し、試食率・購入率を比較するという実験です。実験結果とジャム理論の注意点について見ていきましょう。

【ジャム理論の実験】

試食率購入率
24種類のジャム60%3%
6種類のジャム40%30%

24種類のジャムを陳列した場合の購入率は3%でしたが、6種類のジャムを陳列した場合、購入率は30%と約10倍の差がつきました。しかし、上記の数字には注意点があります。

実験結果の数字は「購入率に10倍の差がついた」という意味であり、必ずしも売上・利益にまでこのような差が出るというわけではありません。さらに、上記の数字はあくまでも割合であり、購入数について言及されていないことにも注意してください。

ビジネスシーンにおいては、利益率も考慮して選択肢を絞ることが大切です。「選択肢を絞って意思決定を促す」ということだけに注力してしまっては、売上・利益率アップには繋がらないおそれがあるので気をつけましょう。

類似法則「現状維持の法則」についても確認しよう

現状維持の法則とは、自分が過去に経験したこと・ものを再度選んでしまう心理効果で、「現状維持バイアス」とも呼ばれています。現状維持の法則が起こりうるシーンとして、主に以下の4つが挙げられます。

<現状維持の法則が起こるシーン>

  • 選択によるリスクを避けたいとき
  • 選択の責任が重いとき
  • 過去に経験したことがある場合(時間や労力、金銭面など)
  • 与えられた選択肢に初めて直面する場合

複数の選択肢の中から1つを選ぶ際、人はリスクや失敗を少しでも回避できるよう、過去に経験したものを選ぶことがあります。効率的・合理的ではないと理解していても、一度経験したことであれば今後起こりうるリスク・損失などをある程度イメージできるためです。

また、初めて見る選択肢を与えられたとしても、人は過去の経験をもとに自分の判断基準を再構築します。そして、特別な理由がない場合には、過去に経験したことと似たような選択肢を選びます。

顧客の希望条件に合わせ、メリットを十分に与えられる商品・サービスを提示したとしても、現状維持の法則が働けば選ばれない可能性もゼロではありません。しかし、この法則を逆手に取ることができれば、購入・契約への誘導に期待できます。

たとえば現状維持の法則を賃貸契約に活用する場合、契約更新の際は以前と変わらない内容を入居者へ提示しましょう。入居者は契約内容に大きな変化がないことへ安心感を得られるため、入居者数の維持に期待できます。

決定回避の法則から学ぶ営業戦略

ここでは決定回避の法則を営業戦略へ活用する方法をご紹介します。どれも実践的な内容なので、自分に合った方法があればぜひ取り入れてみてください。

選択肢を絞って提示する

顧客の意思決定を促せるよう、選択肢を絞って商品・サービスを提示します。先述したように、人は選択肢が多すぎると「ありすぎて選べない」「どれを購入すべきかわからない」といった状況に陥る可能性があります。こうした心理状況に陥らないよう、顧客が希望する条件に合わせつつ選択肢を絞って提示しましょう。

たとえば賃貸物件を紹介する場合、顧客の条件にマッチした物件が数十件あったとしても、おすすめの物件として3~4件程度に絞って提示します。このとき単に提示するのではなく、おすすめの理由も併せて説明し、説得力を持たせることが大切です。

また、提示する際は「契約するかどうか」ではなく、「どれにするか」をベースに話を進めましょう。「契約させられた」のではなく、「自分で選んで契約した」という意識を顧客側に持ってもらうことが大切です。顧客の意思決定を促す形で話を進めていくことが成約率アップのコツといえます。

さらに、「現在or過去に住んでいた賃貸物件」についてもヒアリングして、それらの条件に近い物件情報も提示してみてください。現状維持の法則によって、顧客の興味・関心を引ける可能性があります。

商品・サービスの不明点を解消する

商品・サービスの不明点を解消して、決定回避の法則が働かないようにしましょう。商品・サービスに関する知識がない人、自分の判断基準に自信がない人は選択を諦めてしまう(決定回避の法則)可能性があります。

不明点の解消には、顧客へのヒアリングが大切です。5W2Hをもとに、顧客の不明点を探っていきましょう。

<5W2Hとは>

  • Who(だれ)
  • What(なに)
  • When(いつ)
  • Where(どこに)
  • Why(なぜ)
  • How to(どのように)
  • How much(いくら)

不動産営業の場合、希望条件(なに・どこに)や引越しの理由(なぜ)、予算の上限(いくら)などをヒアリングします。ヒアリングした内容から不明点を探り、顧客の理解度に合わせた説明を行いましょう。

さらに、顧客に合わせた物件探しの判断基準、現時点での課題・問題点などを伝えることで、顧客の判断基準を明確化させられます。不明点の解消へ注力し、購入・契約へいたる道筋を作りましょう。

営業で提示する選択肢の最適な数

決定回避の法則を働かせないためには、顧客へ提示する選択肢を「3~7」に絞りましょう。この数字はマジカルナンバーと呼ばれ、人間が短期的に記憶できる情報の塊の数です。

マジカルナンバーは心理学者のジョージ・ミラー氏によって提唱された理論で、人は7±2個の情報まで短期的に記憶できるとされていました。しかし、2001年には新たな説が提唱され、現在では4±1が短期記憶の上限といわれています。

これらの理論から、ビジネスシーンにおいても顧客へ提示すべき選択肢は3~7個がベターです。7個を超える商品・サービスを同時に提示しても顧客の記憶には残りづらく、選択までの意思決定が難しくなります。

また、賃貸仲介業者においては、事前に顧客のスケジュールを確認しておいてください。内見にかかる時間も考慮して、提示する物件情報数を調整しなければなりません。時間の問題だけでなく、体力的な問題も生じるため、顧客の年齢や性別なども忘れずにチェックしておきましょう。

もちろん、業界・業種問わず、マジカルナンバーは日々の仕事に応用できます。各商品・サービスの名称やイメージなどを顧客に定着させて意思決定を促すために、人が記憶できる情報量の上限を把握しておきましょう。

顧客の意思決定の邪魔をしないために、決定回避の法則を覚えておこう

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余計な選択肢を提示すると顧客の決断力が低下し、大事なチャンスを失ってしまうおそれがあります。また、顧客のバックグラウンドも理解して、顧客の意思決定を購入・契約へ導くことが大切です。あらためて、今回ご紹介した2つの法則についておさらいしましょう。

<2つの法則について>

  • 決定回避の法則:選択肢が多くなることで1つを選びにくくなる
  • 現状維持の法則:過去の経験をもとに、リスクの少ない選択肢を選ぶ

上記2つの法則を逆手に取ってビジネスシーンへ活用できれば、商談から成約までスムーズに話を進められます。提示する選択肢の数を絞る、質問の仕方を変えるなどの工夫をしつつ、新規契約の獲得に向けて取り組んでみてはいかがでしょうか。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。