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効果を高める営業ロープレのポイントとは?流れやメリットなども解説!

記事公開日:2022/06/02

最終更新日:2023/10/03

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営業部全員のスキルをアップし、売上を伸ばすためには営業ロープレが効果的です。営業ロープレを実施することで、成功体験や成功事例を共有でき、組織全体のレベルアップに繋がります。しかし、営業ロープレは正しく実施しないと自身の成長に繋がらず、形だけのロープレになっていることも少なくありません。

今回は、効果を高める営業ロープレのポイントを6つご紹介します。また、営業ロープレで得られるメリットや具体的な流れについても解説していきますので、ノルマの達成に困っている方は参考にしてみてください。ロープレの必要性は営業初心者のみならず、ポジションや職責により目的を異にしつつ全員に必要なものです。

特に、少ないメンバーで長く成果を出し続けるという賃貸仲介営業において、ロープレは定期的に行うべき重要な、店舗全体で行う営業施策であると認識しましょう。賃貸仲介営業では、一定程度成長すると営業手法に口を出さなくなるという傾向が高いように見受けられます。しかし、伸び悩みを防いだり、成長過程にある営業担当者の課題を知り解決を測るためにもロープレは不可欠です。その他、ロープレは演じるのみならず、見るロープレ・見せるロープレの重要性についても解説しています。マネージャーの方は、ぜひとも明日からのロープレに取り入れてみてください。

※下記2本の関連記事では「会話術を磨くテクニック」、「人材育成のポイント」などをまとめてます。ロープレの際は、実際にお客様と会話することを想定して進めていきますのでこちらもチェックするとスキルアップにつながります。

目次

営業ロープレとは

営業ロープレは、顧客役と営業担当者役の2つに分け、実際の商談を想定して実践力を身につけていく取り組みのことです。これは営業ロールプレイングの略であり、「役割(role)」と「演じる(play)」を合わせた造語でもあります。

営業経験のない新入社員や営業職に異動した社員にそれぞれの役割を演じさせ、営業の現場に慣れてもらうのが主な目的です。座学だけでは理解が難しい営業の所作を身体で学び、適切な応対ができるよう営業スキルの向上を目指します。

営業ロープレの種類

営業ロープレは以下のようにさまざまな種類があります。

  • ケース型ロールプレイング
  • グループ型ロールプレイング
  • 問題解決型ロールプレイング
  • モデリング型ローリングプレイング

上記4つの内容について、詳しく解説していきます。

営業ロープレの種類①:ケース型ロールプレイング

顧客の業種、立場、課題などの条件を細かく設定し、本番の商談に近い状況で行うロープレです。より現実に近い状態で行うため、臨場感のある営業の現場を再現できます。

営業ロープレの種類②:グループ型ロールプレイング

少人数のグループを作り、同じテーマで役割を変えながら行うロープレです。全員が顧客役と営業担当者役を演じるため、それぞれの視点から対応方法を考えられます。

営業ロープレの種類③:問題解決型ロールプレイング

問題解決型ロールプレイングは、過去にあった商談内容や、現状起きている問題を取り上げてロープレを行います。たとえば、実際に起きた失注案件を取り上げ、解決策を検討していくなどが挙げられます。具体的な問題解決に取り組むため、新人だけでなくベテランのスキル向上にも効果的です。

営業ロープレの種類④:モデリング型ローリングプレイング

特定の人の営業スタイルを全員で真似しながらロープレを行います。主にトップセールスマンを代表者にすることが多く、その人の営業スキルを共有し、メンバー全員が臨機応変に対応できるように練習します。また、モデリング型ローリングプレイングは個別のロールプレイングに入る前に実施することが多く、成約イメージを体感しやすいのが特徴です。

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営業ロープレを行うメリット

営業ロープレを実施することで、5つのメリットが得られます。

  • 営業スキル向上が見込める
  • 営業における改善点を発見できる
  • 新人営業マンの自信がつく
  • 事前準備の精度が高まる
  • 商品やサービスの理解度が高まる

上記のメリットについて、詳しく見ていきましょう。

営業スキル向上が見込める

営業ロープレは実際の商談を想定して行われるため、営業マンのスキル向上に期待できます。当たり前のことですが、商談の場では顧客と話す必要があり、考え方や質問は顧客ごとに異なります。状況によって柔軟に対応を変えるには、座学で得た知識だけでは限界があるのです。

顧客からの質問に対する切り返しなどのテクニックは、さまざまな状況を想定したロープレを何度も行うことで身につけられます。また、優秀な人の営業スキルを自分のスタイルに取り入れたり、フィードバックを受け改善したりすることで、実践力を強化できるのもポイントです。

営業における改善点を発見できる

営業ロープレは、自分では気づけない課題や改善点を見つけることができます。顧客役からのフィードバックはもちろん、第三者からのアドバイスで自身の営業スタイルの改善点を発見できる点もメリットです。

のちほど詳しく説明しますが、営業ロープレは3人1組で行うのが基本です。顧客役と営業担当者役の他、3人目は客観的にロープレを評価します。

営業担当者は、商談を振り返って改善できるところがないかを探しますが、自分では気づけない改善ポイントも少なくありません。別視点からのフィードバックを受けられるのも、営業ロープレのメリットのひとつです。

新人営業マンの自信がつく

新人営業マンがいきなり現場に出て商談を成功に導くことはほとんどありません。いくら知識をインプットしていても、実際に顧客を目の前にするとうまく伝えられなかったり、想定外の質問に答えられなかったりします。営業マンは会社の代表として顧客と商談するため、うまく対応できずに固まってしまうと自社の信用も損なわれてしまいます。

ロープレは、営業の基本を覚えられるだけでなく、応酬話法などのテクニックも身につけられる貴重な練習の場です。事前にあらゆる状況をロープレで経験しておけば、自信を持って本番の商談に臨めます。

事前準備の精度が高まる

先述したとおり、商談においては想定外の質問が出ることが多々あります。新人営業マンは、経験の少なさから質問に答えられないことも少なくありません。

そのような場面でも対応できるよう、実際の商談で起こり得る質問に答える練習をしておかなければなりません。ロープレで練習をしておけば、必要な資料を用意できるなど事前準備の精度が高まります。

商品やサービスの理解度が高まる

自分の言葉で商品やサービスの説明をすることで、より理解度が深まります。顧客に商品やサービスについて伝えるためには、おすすめすべきポイントはもちろん、デメリットや注意点についても知っておかなければなりません。

知識はアウトプットすることでより理解でき、長く自分の頭に残ります。自分のものとなった知識は、どのように話せば相手に伝わるか、話し方や話す順番を変えることも容易です。

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営業ロープレ前にあらかじめ決めておきたい3つの事項

営業ロープレはただ漠然と始めてしまいがちですが、細かい役割やシチュエーションを設定することが重要です。なぜなら、昨今はお客様のニーズや販路も多様化しているため、営業担当者が抱える課題もかなり個別に異なるからです。

営業担当者のボトルネックになっている部分を強化して、営業ロープレの効果を最大化させるためにも、以下の事項については必ず設定して、ロープレに臨むことを心がけましょう。

対象者の年齢や性別、性格タイプ

顧客役の年齢や性別、性格は、営業ロープレを実施するうえで必ず設定しておくべき内容です。過去に対応したお客様や苦手なお客様を想定して、可能な限り細かくお客様の属性を設定すると良いでしょう。年齢や性別、性格以外に設定したほうが良い内容として、以下のようなものが考えられます。

  • 学生か社会人か
  • 社会人であれば職種や職業はどのようなものか
  • お客様のニーズはどのようなものか
  • 反対意見はどのようなものが考えられるか

また、賃貸仲介業者で営業ロープレを行う際は、賃貸仲介に対する造詣がどの程度あるかという観点を盛り込むことも重要です。

想定シーン

営業ロープレを実りあるものにするためには、ロープレを行う目的を達成するために、適したシチュエーションを想定して行うことが必要です。

一般の営業会社で行う営業ロープレであれば、新人営業担当者に対する流れを知るロープレなのか、既存営業担当者に対する弱点補完ロープレなのかによって想定シーンは異なります。新人営業担当者向けであれば、商談における一連の流れを確認できれば良いでしょう。既存営業担当者向けであれば、過去に失敗した商談や苦手な顧客を想定した商談など、再現性が重要といえます。

さらに深堀りすれば、商談も多数に対するプレゼンコンペ形式や、マンツーマンでの売り込み形式など、商談とは言ってもさまざまなシーンが存在します。商談に利用するツールはパソコンか、紙で説明するのかなど、再現できる部分は可能な限りこだわりましょう。

賃貸仲介業者が営業ロープレを行うのであれば、飛び込みのお客様なのか、再来のお客様なのかも重要です。最近であれば、オンライン内見の場合も想定すべきでしょう。また、商談の導入部分・内見・クロージングと分けることも効果的です。

時間設定

営業ロープレを行う際には、時間を決めて行うようにしてください。ことのほか夢中になって時間をかけすぎると整理がつかなくなり、フィードバックも困難になります。

一般の営業会社であればプレゼンの持ち時間を設定する、マンツーマンの商談であれば自社商品の説明時間として15分程度など、実務に近い形で対応するのが良いでしょう。

賃貸仲介業者で行う際には、商談スタートのヒアリングから最初の物件提示までを15分以内と定めたり、クロージングは10分以内と定めたりするなど、現実的な時間設定が必要です。

営業ロープレを行う流れ

状況によって異なることもありますが、営業ロープレは以下の流れに沿って行いましょう。

  • 顧客や状況などを設定する
  • 各営業マンの役割を設定する
  • 事前準備を行う
  • 実施とフィードバックを受ける

上記4つのステップの内容について、詳しく説明していきます。

営業ロープレの流れ①:顧客や状況などを設定する

ロープレを始める際には、ベースとなる顧客情報や、何回目の商談で顧客の意思はどの段階なのかなど、具体的な場面設定をすることがポイントです。顧客が企業であれば、事業内容や業績、規模や課題などを設定します。

たとえば不動産仲介営業の場合、顧客は社会人5年目の20代男性で一人暮らし、希望のマンションの家賃は◯◯円までというように、細かい設定をしておくことでロープレの充実度が高まります。

営業ロープレの流れ②:各営業マンの役割を設定する

通常、ロープレでは顧客役と営業担当者役の2つに分けられます。顧客役は上司や先輩など教育担当者が演じ、営業担当者役を新人営業マンが担うケースが一般的です。しかし、さまざまな視点で考えられるよう、あえて役割を変えて実施する場合もあります。

営業ロープレの流れ③:事前準備を行う

営業担当者役は、顧客役の上司・先輩に対してどのような提案を行うのかを考えつつ、必要な資料を準備します。実際の商談でも、事前準備なしに訪問することはほとんどないため、本番と同じように事前準備を進めておきましょう。

商談前の準備段階もロープレに含めることで、実際の商談をより明確にイメージできます。なお、顧客役はロープレ中に投げかけられる質問を考えておきましょう。

営業ロープレの流れ④:実施とフィードバックを受ける

ロープレは、緊張感を持って本番同様に取り組みます。ロープレの途中で関係のない私語が入ると緊張感がなくなり、練習の効果が下がってしまうからです。

また、ロープレを実施した後は顧客役からフィードバックを受けましょう。フィードバックをする側は、具体的かつ簡潔に伝えることが大切で、フィードバックの内容が抽象的では改善点がわかりにくくスキル向上に繋がりません。事前にチェックシートなどを作成し、フィードバックするポイントを決めておくと評価にバラつきが出ない他、ポイントを絞って改善点を伝えることができます。

また、改善点だけを伝えないようにすることも大切なポイントです。ロープレのたびに悪い点だけ指摘すると、ロープレを受ける側のモチベーションが下がってしまいます。改善点とともに、良かった点も伝えるようにしましょう。

一般・賃貸仲介営業担当者用ロープレの効果を高める6つのポイント

大切な時間を使ってまでロープレを実施するのは、営業部全体のスキルを向上し、売上アップに繋げるためです。日々の業務時間を割いて行うため、営業ロープレの質を高める必要があります。

  • 動画の撮影や録音を行う
  • さまざまな状況を設定したうえで実施する
  • ロープレを行う習慣をつける
  • オブザーバー役を含めて実施する
  • フィードバックを記録する
  • できる営業担当者のロープレを見る

上記6つのポイントを押さえて営業ロープレを実践しましょう。

動画の撮影や録音を行う

スマホやパソコンなどを使い、ロープレの内容を録画・録音しておきましょう。たとえば、フィードバックで「髪を頻繁に触っている」と指摘された場合、本人は「そこまで触っていない」と思っている場合も珍しくありません。しかし、自分の姿をスマホやパソコンから客観的にチェックすれば、そのような指摘も受け入れやすくなります。

また、会話のスピードや言葉遣い、提案の仕方をどのようにしているか確認することも大事です。動画や音声を繰り返しチェックすることで、自分一人でも改善点を見つけられます。

さまざまな状況を設定したうえで実施する

商談の場では、顧客ごとに考え方・話し方が違うため、たとえ似たような相手でも同じ商談内容になることはほとんどありません。そのため顧客の年齢や性別、家族構成などを細かく設定し、どのような顧客でも対応できるよう、練習をしておく必要があります。

ロープレを行う習慣をつける

ロープレは、週に一度など定期的に行うことでその効果を高められます。新人営業マンは経験の少なさから商談に臨めないことも多く、経験を積める場がロープレに限られることも珍しくありません。ロープレは本番と同じような状況で実践力を身につけられるため、定期的に行えるよう、メンバー全員のスケジュールを確認しておきましょう。

なお、本番の商談は1~2時間ほどかかるのが一般的ですが、商談の初めからクロージングまでの流れを毎日行うと、時間もかかるうえに集中力も続きません。そのため、ロープレでは商談の一部分を切り取り、段階を分けながら一回を30分程度に収めるようにしましょう。

オブザーバー役を含めて実施する

ロープレをする際には、顧客役と営業担当者役、そしてオブザーバー役の3人で実施すると効果的です。オブザーバー役は、ロープレを客観的に見る人のことです。顧客役と営業担当者役の2人だけでは、それぞれの役割に集中してしまい、正確なフィードバックがしづらくなります。

オブザーバーを入れてロープレを行い、俯瞰的にチェックしてもらいながら改善点や良かった点を評価してもらいましょう。

フィードバックを記録する

フィードバックをする側は、フィードバックの内容を記録しておきましょう。ロープレを重ねるごとに自身の特徴が見えてくるため、どの部分を改善するのかの把握も容易です。また説明がうまい、顧客へのヒアリングがスムーズなど、得意とする部分も確認できるため、自信をなくすことも少なくなります。

できる営業担当者のロープレを見る

営業ロープレは、できない部分を補完するための作業と捉えがちですが、できる営業担当者のロープレを客観的に見ることも重要です。

成約を勝ち取れるスキルと、自身が持つノウハウを言葉で説明し、教育に活かして共有できるスキルは、まったくの別物といえます。一部の営業担当者は言語化できない「感覚」で営業を行っていることもあり、その感覚を掴むためには客観的にロープレを見ることも必要です。

賃貸仲介営業担当者向けロープレ原稿の作成に参考にしたい会話例

ここからは実践編として、賃貸仲介営業担当者向けの営業ロープレで役立つシチュエーション設定と、解決できる課題をご紹介します。

想定シチュエーション①:希望条件のヒアリング

■想定シチュエーション:
飛び込みのお客様が来店され、希望条件のヒアリングを完了させる
■目的:
短時間で的確にお客様のニーズを把握する
■課題:
コミュニケーション能力とヒアリング能力の向上
■ヒアリング事項:
✓挨拶
✓自己紹介
✓アンケート記入
✓当社への来店理由
✓初期費用予算
✓月額家賃予算
✓間取りや面積
✓希望エリアや希望駅
✓入居時期

想定シチュエーション②:妥協可能条件のヒアリング

■想定シチュエーション:
案内後に気に入った物件がないとき、妥協できる条件がないかどうかのヒアリング
■目的:
お客様のテンションを落とさず、優先順位を整理して他物件に誘導する
■課題:
再案内率の向上
■ヒアリング事項:
✓実際に物件を見た感想
✓良い点と悪い点の整理
✓そもそもの引っ越しニーズや必要性
✓妥協可能ポイントの検索
✓次回案内予定のスケジューリング

想定シチュエーション③:他社紹介物件との2択状況でのクロージング

■想定シチュエーション:
他社紹介物件との競合になったときのクロージング
■目的:
他社競合時の自社優位性や自社でも紹介可能であることのアピール
■課題:
競合排他営業による顧客の囲い込み
■ヒアリング事項:
✓他社名と他社紹介物件名
✓他社紹介物件のメリット・デメリット
✓自社紹介物件の優位性とニーズの合致点
✓自社の信頼性
✓他社紹介物件を自社でも紹介できることのプレゼン

営業ロープレで営業マンとしてのスキル向上を目指そう

営業ロープレは、実践力を身につけるためには欠かせない取り組みです。特に、商談の場に慣れていない新人営業担当者にとっては貴重な練習の機会であり、ロープレを繰り返し行って自身のスキルを高めている方も少なくありません。本番と同じ緊張感を体験し、客観的なフィードバックを受けながら営業スキルを向上させていきましょう。

また、本文中にも記載しましたが、ロープレは演じるものであり、見るものであると著者は考えます。得てして、できる営業担当者はさまざまなトークスキルや人間力を「生まれ持っている」ことが往々にしてあり、教わらずともできる人がいることも事実です。そのような営業担当者の持つ感覚は、言葉で説明できるものではありません。ロープレを見て感じるという作業は、決して無駄ではないのです。マネージャーの方々におかれましては、ロープレを見せることも重要なのだと理解しましょう。

さまざまな先輩や同僚のロープレを経験して、さらなるスキルアップを目指し、1件でも多い成約を勝ち取れるように頑張りましょう。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

CHINTAI JOURNAL
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