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インサイト営業とは?成功ポイントや事例からスキルを磨いて成約率を上げよう!

記事公開日:2022/08/25

最終更新日:2022/09/18

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時代の変化は営業スタイルにも影響をおよぼし、多くの営業マンは新規顧客の獲得に向けて効果的な方法を模索しています。顧客が自分で情報を集められる現代では「インサイト営業」が注目されていますが、具体的にどんな営業なのかわからないという方も少なくありません。

今回は、インサイト営業の概要やソリューション営業との違い、実施する前に確認すべき点について解説します。また、成功のポイントや成功事例も紹介していきますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

インサイト営業とは

インサイトは「洞察」や「発見」と訳されますが、ビジネスにおいては「人を動かす隠れた心理」を意味します。そのため、インサイト営業は顧客自身も意識していない、気づいていない購買意欲を刺激したり、課題や問題を見つけて解決に導いたりする営業手法といわれています。

インサイト営業は、2012年のハーバード・ビジネス・レビューで掲載された「ソリューション営業は終わった」という論文で注目を集めました。これまで主流だったソリューション営業も有効な手段ではありますが、さらなるビジネスチャンスの獲得に向けて、インサイト営業にシフトチェンジする方も徐々に増えてきています。

ソリューション営業との違い

インサイト営業とソリューション営業の違いを以下の表にまとめました。

【インサイト営業とソリューション営業の違い】

 インサイト営業ソリューション営業
顧客の状態気づいていない課題がある課題を認識している
アプローチ顧客を分析・調査してインサイトを見つける課題をヒアリングし、解決に導く商品やサービスを提案する

インサイト営業もソリューション営業も、課題を解決する点は同じです。ただ、インサイト営業は、顧客が気づいていない「潜在的」な課題を先に発見します。一方、ソリューション営業は、顧客が課題を認識している状態のため、明るみに出ている「顕在的」な課題に対して解決策を提案する営業手法です。

また、インサイト営業は商品やサービスを売ることよりも、「顧客自身の利益」について深く考えるスタンスが求められます。顧客すら気づいていない課題に気づくには、顧客の立場になって考える必要があるからです。

インサイト営業が注目されている理由

近年、インサイト営業が注目されている理由のひとつがIT技術の発達です。これまでソリューション営業が主流だった時代は、顧客は課題を認識しているものの、解決策がわからない状態でした。そのため、営業担当者に課題を聞いてもらい、解決策を提案してもらうソリューション営業が求められていました。

しかし、IT技術が発達した現代では、顧客自ら検索して解決方法を知ることができます。解決策をすでに把握し、他社との比較検討が容易にできる現代では、ソリューション営業が通用しなくなってきているのです。ただし、いくら顧客自身が解決策を出せるとはいえ、いくつか注意しなければならないことがあります。

たとえば、顧客が出した解決策が誤っている場合、再び新たな解決策を探さなければなりません。また、課題そのものが間違っている場合もあり、これでは課題の改善には繋がりません。そこで、顧客さえも気づいていない課題を見つけるインサイト営業が注目されているというわけです。

顧客は自社のことを俯瞰で見るのは難しく、正確に課題を引き出せていない可能性があるため、営業担当者がヒアリングから課題を見つけることは顧客にとって大きな価値となり得ます。顧客の課題に沿った提案をするソリューション営業ではなく、顧客も気づいていない・言語化できていない課題を先回りして見つけるインサイト営業こそ、これからの時代に必要な営業手法といえるでしょう。

インサイト営業のメリット

ソリューション営業に変わるインサイト営業には主に3つのメリットがあります。

  1. 優良な既存顧客の育成ができる
  2. サービスや商品の受注率が上がる
  3. 効率良くリードの獲得ができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

優良な既存顧客の育成ができる

インサイト営業は、見込み客や既存顧客との信頼関係構築が重要です。商品やサービスの売り込みではなく、顧客とのコミュニケーションから潜在的な課題を見つけるため、顧客との信頼関係がより深まります。営業をする・されるといった関係よりも、より一歩踏み込んだ関係性となり、優良な既存顧客の育成に繋がるのです。

サービスや商品の受注率が上がる

ソリューション営業は顧客の顕在的課題にアプローチするため、すでに多くの企業が解決策を出しているレッドオーシャンです。しかし、顧客も気づいていなかった不満や欲求への解決策は、まだどこにも出ていません。他社が見抜いていない課題へのサービスや商品を提案できれば、顧客は「価値あるもの」と好意的に受け取ってくれる他、ライバルのいないブルーオーシャンで戦えるため受注率アップに繋がります。

効率良くリードの獲得ができる

3つ目のメリットは、インターネットを利用し、効率良くリードを獲得できる点です。SNSやデジタル広告などを活用し、潜在顧客が検索して自社商品やサービスに辿り着くよう促します。リード獲得を効率良く獲得するためにも、インサイト営業は役立つのです。

インサイト営業のデメリット

インサイト営業は、ソリューション営業よりも高い営業力が求められます。前述のとおり、インサイト営業は顧客が自覚していない課題を発見して解決策を提示する営業手法です。そのため、そもそも顧客が抱える本質的な課題を見抜けなければインサイト営業とはいえないのです。

営業側には、課題を探り当てる能力や新たな価値が求められます。洞察力や傾聴力など高度な能力が必要なため、人材の確保や育成において労力がかかるということを覚えておきましょう。

インサイト営業で成功するためのポイント

インサイト営業は現代に必要な営業手法です。インサイト営業を成功させるために、以下の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 自社の商品やサービスの理解を深める
  2. 顧客自身の状況を把握するためにヒアリングを徹底する
  3. 顧客自身が課題を認識できるように質問を投げかける

自社の商品やサービスの理解を深める

まずは自社商品・サービスへの理解を深めましょう。自社商品やサービスについて理解がなければ、なぜ顧客が抱える課題に有効なのか説明できません。

インサイト営業は、潜在的な課題を見つけて自社商品やサービスを提案する必要があります。発見したインサイトに対して、自社商品やサービスが解決策に繋がるものだということを顧客に伝えましょう。

顧客自身の状況を把握するためにヒアリングを徹底する

2つ目のポイントは、ヒアリングの徹底です。営業にはヒアリング力が求められるのは当然ですが、顧客とのコミュニケーションを重視するインサイト営業では、特に重要視されるスキルです。

一見、商談と関係のない話でも、顧客の潜在的課題に結びつくヒントが隠れている可能性もあります。不動産営業マンなら、失礼のない範囲で家族構成や将来の展望などを聞いてみると良いでしょう。どのような話にも耳を傾け、あらゆる角度から質問をして顧客のインサイトを見つけ出しましょう。

また、競合や市場状況、社会情勢について把握しておくことも大切です。顧客の業界の状況や動向を知ることで具体的な質問が叶い、相手との距離が縮まります。これによってインサイトがより見つけやすくなる他、説明に説得力が増して信頼も得やすくなります。

顧客自身が課題を認識できるように質問を投げかける

3つ目のポイントは、質問をする際には、顧客自身が課題を認識できるように投げかけることです。営業担当者が「必要だから」と商品やサービスを提案しても、顧客が課題を認識していなければ押し売りされていると感じてしまいます。

顧客自ら課題を認識するように質問を投げかけることで課題が言語化され、徐々に課題を解決したいという思考に変化していきます。タイミングを見計らって商品やサービスを提案できれば契約へのハードルが下がり、自身の目標達成に近づくでしょう。

質問には、顧客に話してもらえるオープンクエスチョンと、「YES・NO」で答えられるクローズドクエスチョンの2種類があります。ヒアリングでは顧客の話を聞くためにオープンクエスチョンを使うなど、状況によって使い分けると良いでしょう。

インサイト営業の成功事例

ここまでインサイト営業について詳しく見てきましたが、実際にどのような効果をもたらしているのでしょうか。ここでは、成功事例を4つご紹介します。

  1. IKEA(イケア)
  2. 「Got Milk?(ミルクある?)」キャンペーン
  3. 大戸屋
  4. コンビニエンスストア

どれもおもしろい事例なので、今後の業務の参考にしてみてください。

IKEA(イケア)

日本でもおなじみのIKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具・インテリア雑貨店です。IKEAのオーストラリア店では、男性客の不満を解消した「MANLAND」という施策を実施しました。

IKEAのオーストラリア店では、男性客の利用が少ないという課題がありました。女性をターゲットとした商品展開や売場のレイアウトは、男性にとっては退屈な場所であったのです。

一般的な女性は、ショッピングそのものを楽しんだりゆっくりと商品を見たりします。一方、男性は必要なものを効率良く見て購入するスタイルです。IKEAのような大型店舗では、女性が買い物を楽しんでいる間、男性が何もせずにただ座っているだけという姿が多く、一緒に買い物に行きたがらないことから男性客が少ないことがわかりました。

そこでIKEAは、テレビゲームや雑誌、無料のホットドッグなどを用意した、男性客向けの「MANLAND」を設置しました。女性が買い物をしている間、男性は「MANLAND」で時間を過ごせます。男性の買い物中の「つまらない」という不満を解消し、来店数アップに繋げたのです。

「Got Milk?(ミルクある?)」キャンペーン

カリフォルニア州の牛乳消費量をアップした事例です。カリフォルニア州では、1980年から1992年まで牛乳消費量が落ち込んでいました。「牛乳は健康に良い」とアピールしても効果がなかったため、牛乳が好きな方々に一週間牛乳を飲むのをやめてもらい、どのような場面で牛乳を飲みたくなったかを調査しました。

消費者たちからは、「クッキーやシリアルを前にすると飲みたくなる」という回答が多かったため、CMではクッキーにかぶりつく映像に「Got Milk?(ミルクある?)」とキャッチコピーをかぶせたり、スーパーマーケットのクッキー売場にポップを設置したりして訴求したのです。

牛乳そのものの魅力をアピールするのではなく、牛乳が飲みたくなるインサイトを見つけ出したことで牛乳の消費量は増加し、Got Milk?キャンペーンはアメリカで大成功を収めたキャンペーンのひとつとして語られています。

大戸屋

和食を中心としたチェーン店の大戸屋は、全国展開を始めた当初は男性客がメインでした。女性客の集客のため調査をしたところ、「一人で定食屋に入るのを誰かに見られたくない」というインサイトを見つけたのです。

そこで大戸屋は、女性が一人でも来店しやすいように、建物の地下や2階に店舗を構え、女性客の取り込みに成功しました。インサイトにより、飲食業界では異例の目立ちにくい場所に店舗を構えるというアイデアが生まれた事例です。

コンビニエンスストア

会社帰りに何気なく立ち寄っているコンビニエンスストアでもインサイト営業の成功事例があります。それは、買い物かごの設置です。

コンビニエンスストアのPOSデータを分析したところ、多くの客が1〜2点だけ購入しており、商品数が増えるほど客数が減っていることがわかりました。店舗で調査したところ、手に取った商品で両手がふさがり、それ以上は購入できないことが判明したのです。

そこで、大型のスーパーマーケットのように買い物かごを設置しました。その結果、購入点数が増えて売上アップに成功したというわけです。

インサイト営業には「CRM・SFAツール」の導入が有効的

インサイト営業には、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業活動自動化)などのツール導入がおすすめです。

CRMは顧客情報を管理するツールで、購買履歴や問合せ履歴などをデータとして管理します。一方SFAは、案件の進捗状況や顧客とのやり取りなど、営業プロセスを可視化して管理するものです。

CRMやSFAを取り入れれば顧客情報が一元化され、大事なデータが自動的に蓄積されます。ノンコア業務にかける時間が減ってより顧客に注力できるなど、効率良く顧客との関係を構築できるため、インサイトも発見しやすくなるでしょう。

インサイト営業はこれからの時代に欠かせない営業手法

男性営業マンの画像

顧客自身が気づいていない課題を発見し、そこに具体的な解決策を提案するインサイト営業は、顧客が大量かつ正確な情報を得やすくなった現代では特に重宝する営業手法です。問題解決の点ではソリューション営業と同じですが、顧客が意識していない課題を見つけて新たな価値を提供できれば、他社との差別化が図れます。

顧客が企業に求めるのは、課題解決を一緒にしてくれるパートナーです。契約に時間がかかっても、顧客と信頼関係を構築しながら問題の本質を解決することで、継続的な取引が成立します。「インサイト営業に興味がある」「自社の仕事に合うかもしれない」と考えている方は、CRMやSFAを活用しながらインサイト営業に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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CHINTAI JOURNAL編集部

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CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。