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SPIN話法とは?具体的な質問やコツなどタメになる情報も紹介!

記事公開日:2022/05/19

最終更新日:2022/09/18

営業マンが会話する手元の画像

商談が苦手で、なかなか契約にいたらないと悩んでいる営業マンも多いのではないでしょうか。結果が出ない理由は人によって異なりますが、もし一方的に商品やサービスの説明をしていた場合、そこが問題かもしれません。

商談では顧客の話を聞く力が重要で、そんな聞く力をより高めるのがSPIN話法というテクニックです。今回は、SPIN話法の特徴や質問のコツについて解説していきますので、ノルマが達成できずに困っている方はぜひ参考にしてください。

SPIN話法とは

SPIN話法は、顧客の潜在ニーズを引き出すためのフレームワークです。イギリスの行動心理学者、ニール・ラッカムが提唱したもので、35,000件以上の商談を調査・分析して生まれました。SPIN話法の「SPIN」は、以下の4つの頭文字を取ったものです。

  • Situation (状況質問)
  • Problem(問題質問)
  • Implication (示唆質問)
  • Need-payoff (解決質問)

商談を成功に導くために重要となるのが、ヒアリング能力です。顧客のニーズを引き出すためにこのSPIN話法を用いて、自分が聞きたいことを相手に話させることができます。

SPIN話法の特徴は、主に以下の3つです。

  1. 潜在ニーズが引き出せる
  2. 商談へ繋がりやすくなる
  3. ヒアリング自体の質が上がる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

SPIN話法の特徴①:潜在ニーズが引き出せる

顧客は、すでに自覚している顕在ニーズならスムーズに話すことができます。しかし、自身も気づいていない潜在ニーズは、営業担当者の質問によって言語化していくことで気づくことがほとんどです。

この潜在ニーズを引き出すのに役立つのがSPIN話法です。先ほど述べた4つの質問をすれば、顧客も自覚していなかった課題を見つけることができます。

SPIN話法の特徴②:商談へ繋がりやすくなる

SPIN話法は営業担当者ではなく、顧客が中心となって話します。これにより、課題解決を「自分のこと」と意識するようになり、顧客自身の温度感が高まる効果に期待できます。

商談では、営業担当者が中心になって商品やサービスについて説明をすることが多く、なかには一方的なセールストークを繰り広げる方も珍しくありません。顧客が話す機会がなくなり、真のニーズも見つからなくなります。

SPIN話法では、営業担当者が話すことを顧客自身に話させることで、課題や解決策を意識させます。その結果、課題解決のために自社の商品やサービスの導入を前向きに検討するようになり、成約率アップに繋がるという仕組みです。

SPIN話法の特徴③:ヒアリング自体の質が上がる

商談を成功させるためには、商品やサービスを説明するだけでなく、顧客の話に耳を傾けるヒアリング能力が求められます。顧客が話さなければ、何が課題なのかがわからず、課題に合った提案ができません。このままでは、商談が失敗に終わってしまうおそれがあります。

顧客の話には、さまざまな情報が隠れています。たとえ雑談中であっても真摯に耳を傾けて、大事なトピックを取りこぼさないように注意しましょう。

SPIN話法が求められる背景

自社商品・サービスの魅力を伝えるのは大切です。しかし、いきなり商品説明をしても、顧客は興味を持ちません。営業担当者の売り込みが強いと感じ、聞く耳を持たない可能性もあります。

自社に興味を持ってもらうには、顧客自身が潜在ニーズに気づき、潜在ニーズを解決するために必要な商品・サービスであることを認識してもらわなければいけません。

また、営業マンが顧客の潜在ニーズがわからないと、思わぬ取りこぼしをすることもあります。顧客が話す顕在ニーズだけで「自社商品では解決できない」と判断しても、潜在ニーズでは課題解決が可能だったという場合もあるからです。

反対に、顕在ニーズで解決できると思い商談を進めても、根本的なニーズから外れていたため、成約にいたらないこともあります。商談では、潜在ニーズを引き出すことが重要です。顧客が本当に求めているものを明らかにし、適切な提案をして商談を成功させるために、SPIN話法が求められています。

SPIN話法における具体的な質問の種類【例文あり】

ここではSPIN話法を用いた具体的な例文をご紹介します。顧客との商談中、どのようにSPIN話法を取り入れるかを順番に見ていきましょう。

Situation (状況質問)

状況質問は、顧客の現状を把握するための質問です。顧客のことを理解できなければ、今後に行う提案も的外れなものになってしまうおそれがあります。

■現在のお住まいの住心地はどうですか?

■お住まいの家賃はどのくらいですか?

いきなり質問を始めると尋問のようになってしまい、顧客は口を閉ざしてしまうので、質問をする前には「今からいくつか質問をさせていただきたいのですが」と前置きします。また、質問の数が多すぎると顧客も疲れてしまうため、事前に質問する数を絞り、前置きをしてから質問を始めましょう。

商談相手が企業の場合、従業員の数など企業のホームページに掲載されているようなことを質問すると、「リサーチ不足」と判断されるおそれがあるため注意してください。

Problem(問題質問)

現状を理解したら、顧客の悩みを聞く質問を投げかけます。質問をしていくと、顧客が認識していない課題、つまり潜在ニーズが明確になっていきます。

■お子様が大きくなることを考えると、今のお住まいはどうですか?
■毎月の支出のうち家賃が多くを占めているようですが、今後も続けられる予定ですか?

状況質問で把握した情報から問題質問を導きます。状況を把握しても、「ここが問題ではないですか?」と営業側から指摘するのではなく、顧客が自ら気づいていくことが大切です。

質問には「YES・NO」で答えられるクローズドクエスチョンと、自由に答えてもらうオープンクエスチョンの2つがあります。状況によって使い分けるのが理想ですが、問題質問ではクローズドクエスチョンを多く用いると、顧客への負担が軽くなります。

Implication (示唆質問)

示唆質問は、SPIN話法で特に重要な質問です。顧客が課題に気づき始めたら、課題の深刻さを認識してもらいます。

■お子様が中学生、高校生になったときにどのような環境が理想ですか?
■これから10年、20年と家賃を払っていくのは大きな負担ではないですか?

顧客が思い描く理想に向けて、直視しなければいけない現実や、そのままにすることで起こり得るリスクを自覚してもらう質問です。示唆質問によって、顧客に「問題を解決する必要がある」と感じてもらいます。

また、以下のワードを含めて深堀っていくのも有効です。

時間:迷惑をかける、納期に間に合わない

労力:人材の流出、人材不足、非効率、無駄な業務

経費:無駄な出費

責任:会社、担当者

信頼:顧客との信頼、契約

Need-payoff (解決質問)

状況、問題、示唆で浮き彫りになった課題が解決した場合の、理想の姿をイメージしてもらう質問です。ここまでの「SPI」の質問を通じて、顧客は課題そのものと課題を放置したことによるリスクを認識します。何らかの解決策が必要と感じ、具体的なアクションプランを模索します。

■今よりも部屋が広くなり、周辺環境が良いエリアがあるとしたらいかがですか?
■もし今の家賃と同じ額でマイホームが手に入るならどう思いますか?

ポイントは、顧客自らが解決策を導くまで、自社商品やサービスを提案しないことです。特に不動産営業の場合、おすすめのマンションや戸建て、賃貸物件などを顧客に紹介しがちですが、場合によっては強引な営業と取られてしまうおそれがあります。自身が解決策を出し、理想をイメージした状態になるまで提案するのは控えるようにしてください。

SPIN話法を活用する営業ヒアリングのコツ

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SPIN話法を活用した営業ヒアリングのコツは以下のとおりです。

  1. 念入りに事前準備を行う
  2. 「S→P→I→N」の順番で質問を行う
  3. 顧客自身が現状や課題に気づける質問を行う
  4. アフターフォローを必ず行う

上記4つのコツについて、それぞれ詳しく解説していきます。

念入りに事前準備を行う

商談の際には、事前に顧客の情報を調べておきます。企業であれば、ホームページやSNSから情報を得たり、業界について調べたりしておくと、商談を成功させるための作戦を立てることが可能です。また、初歩的な質問をして、顧客に不信感を抱かせることもありません。

事前準備のひとつとして、ヒアリングシートがあります。あらかじめ質問することをリストアップしておけば、聞き忘れも防ぐ事ができます。

「S→P→I→N」の順番で質問を行う

SPIN話法は、「S→P→I→N」の順番で質問をすることが大切です。最初に顧客の状況を理解し、課題や悩みを聞き出します。顧客自身に問題の重要性を認識させ、課題解決に導いていきます。

SPIN話法は、顧客自らが商品やサービスの必要性を認識して、購入にいたるようにするものです。もし順番通りに質問できなければ、せっかくの商談がスムーズに進まなくなるおそれがあります。

顧客自身が現状や課題に気づける質問を行う

SPIN話法は、顧客に話させるための営業手法です。SPIN話法を使う際には、顧客自らが課題に気づけるような質問をする必要があります。他社の話を例に出すなど、現状や課題を認識しやすい質問をしましょう。

アフターフォローを必ず行う

ヒアリングが終わったら、ヒアリングの内容をまとめて送ります。このとき、訪問のお礼と一緒に送るのがおすすめです。

また契約にいたった後も、アフターフォローは必ず行うようにしてください。「契約が取れたからこれで終わり」ではなく、今後も自社商品やサービスを長く使ってもらうためにも、アフターフォローを大切にしましょう。

SPIN話法を活用する営業ヒアリングの流れ

SPIN話法を活用したヒアリングは、以下の流れで行います。

  1. アプローチ
  2. ファクトファインディング
  3. プレゼンテーション
  4. クロージングとアフターフォロー

おおよその流れを把握して、顧客に良い印象を持ってもらいましょう。

STEP①:アプローチ

アプローチは、顧客に興味や関心を持ってもらい、「話を聞いてみようかな」と思ってもらえるようにする取り組みです。相手に好印象を持ってもらうよう身だしなみに気を配り、「安心して任せられる担当者」を演出します。

また、挨拶やアイスブレイクなども大事な要素です。緊張をやわらげ、話しやすい雰囲気を作っていきます。

STEP②:ファクトファインディング

ファクトファインディングは「真実を見つけ出す・つかみ取る」を意味し、SPIN話法ではSituation(状況質問)の部分にあたります。すでに認識している情報が多ければ多いほど問題を把握しやすくなり、顧客の本当の課題を引き出すことが容易になります。思い込みや先入観は持たず、正しい事実を引き出すための質問を投げかけましょう。

STEP③:プレゼンテーション

顧客の課題に対して自社商品・サービスができることを説明し、今後の提案に繋げます。このプレゼンテーションは、SPIN話法のImplication(示唆質問)・Need-payoff(解決質問)にあたる部分です。

また、単なる見積もり提案ではなく、自社の商品・サービスの必要性が伝えられるようにプレゼンするのが重要です。顧客が自社商品に対して疑問などを残さないよう、質疑応答の時間も設けるようにしてください。

STEP④:クロージングとアフターフォロー

顧客に契約してもらうため、営業活動の終盤にクロージングを行います。このとき、正しいクロージングができていなければ「検討する」と回答され、場合によっては契約のチャンスを逃してしまうおそれがあります。

また、無事に契約にいたった場合も使用状況を確認するなどして、アフターフォローを怠らないようにしましょう。

SPIN話法を活用してヒアリング力を高めよう

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営業パーソンは自らベラベラと話すのではなく、顧客から話してもらうように導くことが大切です。そのために必要なのがヒアリング力ですが、SPIN話法を用いれば、より質の高いヒアリングができます。

顧客自ら課題に気づき、問題解決の方法として自社商品やサービスが必要だと認識してもらうよう、SPIN話法を活用しましょう。最初は難しいかもしれませんが、まずは自分にできる部分から実践してみてください。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。