イケノウハウ

単身赴任・転勤向け賃貸物件とは?主な特徴やおすすめの人、賃貸仲介営業で成功する提案のコツを紹介

記事公開日:2023/09/27

最終更新日:2023/10/07

転勤・単身赴任向け賃貸物件

引っ越しには、さまざまな理由があります。そのなかでも、やむを得ない引っ越しとして考えられるのは、単身赴任や転勤によるものです。賃貸仲介営業をしていると、単身赴任や転勤によるお部屋探しはホットな案件として取り扱われます。

今回は、単身赴任・転勤向けの賃貸物件について解説します。この記事を読めば、どのような賃貸物件が単身赴任や転勤に向いているのか、単身赴任や転勤を理由とするお客様への部屋探しはどのようにするのが良いのかがわかるでしょう。今まで何気なく対応してきた転勤者への対応が変わること間違いなしの内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

※下記の関連記事では賃貸営業で成功するためのコツをまとめてますのでこちらもチェックしてみてください。

単身赴任・転勤向け賃貸物件とは

単身赴任や転勤者向け賃貸物件の特徴は、一般のお客様との違いを考えるとわかりやすいでしょう。

転勤者は、長期にわたってそこに住むことを前提としていません。また、次の引っ越しも、転勤による可能性も十分に考えられます。このことからも、引っ越しに労力を費やす必要がないことが、賃貸物件に求められる特徴として挙げられるでしょう。

また、転勤の場合は、法人契約になることがあります。そのため、賃貸物件を所有する大家さんや管理する管理会社が、法人契約に柔軟な対応を示してくれることも、単身赴任や転勤者向けの賃貸物件に必要な要素です。

単身赴任・転勤向け賃貸物件の主な特徴

それでは、具体的にどのような賃貸物件が単身赴任や転勤者に向いているのかを確認しましょう。

家具や家電がもともと備え付けられている場合が多い

とくに単身赴任の場合は、家具や家電の購入費用がかさむことが考えられますので、家具や家電が設置されている物件が適しているといえます。

最近では、家具や家電をレンタルできるサービスもあり、単身赴任をする人に好評なようです。なかには、一定期間を過ぎるとそのまま自分の物にできるサービスまでありますので、参考にしてみてください。

主要駅に近い立地にある

郊外の工場や研究所勤務でなければ、ターミナルやハブ駅の近くというアクセスの良い場所に位置していることも、単身赴任や転勤者に適した賃貸物件であるといえます。単身赴任者の目的はあくまでも支店や営業所への通勤であるため、生活環境よりも交通アクセスを望む傾向にあるからです。

サポートが充実している

単身赴任や転勤者の場合、平日は日中に仕事をしていることがほとんどです。そのため、室内の不具合が発生したときに、管理会社や家主さんと連絡が取れないことも考えられます。

そういったトラブルに備えて、24時間サポートがあったり、土日・祝日も営業している管理会社が運営していたりする賃貸物件を選べば、何かあったときも対応をお願いできて安心感が増すでしょう。

サービスが充実している

単身赴任や転勤においては、今まで家族がしてくれていた家事を自分でしなければならなくなることがあります。そのため、クリーニングの取次サービスや、宅配物の受け取り代行サービスなどがある賃貸物件は喜ばれるでしょう。

また、食事の宅配サービス会社と提携している賃貸物件も存在しています。一般的には、オートロック内部まで宅配会社は入れませんので、提携会社があれば食事に関するサービスも享受することが可能です。

契約条件に柔軟な対応をしてくれる

法人契約の場合、細かく定められた法人の社宅規定をクリアしないと、社宅として認めてもらえません。大家さんや管理会社が柔軟に対応してくれる賃貸物件であれば、社宅規定に合わせた契約条件に変更してくれるため、スムーズに契約を締結できます。

賃貸仲介営業の担当者なら必ず知っておきたい単身赴任・転勤向け賃貸物件がおすすめの人

単身赴任や転勤者向けの賃貸物件は、なにも赴任者や転勤者に対してのみ紹介するものではありません。類似するお客様には、積極的に提案していきましょう。

ここでは、どのようなお客様であれば、単身赴任や転勤者向けの賃貸物件を提案して喜ばれるのかをみていきます。

単身赴任や転勤がある企業に勤めている人

言わずもがなですが、単身赴任や転勤という必要性に迫られている人は、積極的に単身赴任・転勤者向けの賃貸物件を紹介していきましょう。

短い期間で賃貸物件を借りたい人

住宅を建築・リフォームするための一時的な仮住まいを探されている方にも、転勤者向け賃貸物件はおすすめできます。一般的に、短期の賃貸借契約は大家さんや管理会社から断られたり、短期で解約するときの違約金を設定されたりすることがあるからです。

しかし、転勤者に適した賃貸物件であれば、謝絶されることはほとんどないでしょう。事情を話せば、契約条件を融通してくれることも考えられます。

家事が面倒な人

単身赴任や転勤者をターゲットにしている賃貸物件では、入居者に対するサービスが充実していることがよくあります。とりわけコンシェルジュがいるような賃貸物件においては、ホテルと同程度のサービスを受けられるため、めんどくさがりの人にはとくにおすすめです。

クリーニング・タクシー・レンタカーの取次をはじめ、インターネットの接続手続きや宅配便の受発送まで幅広く対応してくれます。さらには、家事代行サービスの取次もありますので、面倒な家事をお願いすることも可能です。

ただし、コンシェルジュが常駐している賃貸物件は高額になる可能性が高いため、その点がデメリットといえます。クリーニング程度であれば、クリーニングの取次サービスを紹介してみるのも一つの方法です。最近では、コンビニで発送・受け取りを行えるものもありますので、一度調べてみてください。

単身赴任・転勤向け賃貸物件を希望するお客様に向けた賃貸仲介営業で成功するコツ

それでは、単身赴任や転勤向け賃貸物件を希望するお客様への提案ポイントをご紹介します。

※下記の関連記事ではヒアリングシートに取り入れるべき項目や、効果を高めるポイントついて解説してますので、こちらもチェックしてみてください。

なぜ単身赴任・転勤向け賃貸物件にこだわっているのかヒアリングをする

「単身赴任・転勤者に適した賃貸物件を探している」と口にするお客様は少ないでしょう。しかし、ヒアリングの過程で以下のようなワードや雰囲気があれば、単身赴任や転勤者向けの賃貸物件の提案が妥当と判断できます。

単身赴任や転勤で引っ越しを行う場合

単身赴任や転勤を伴うお部屋探しでは、転勤者向けの賃貸物件を積極的にすすめましょう。またいつまでに引っ越したいのかについても確認しつつ、急ぎの場合は即入居可能な物件も。

実家から離れて初めて一人暮らしをする場合

初めての一人暮らしをするときは、両親が付き添いで同席されることもあります。金銭管理の面から、決定権が一部両親にあることも考えられるでしょう。そのときに、家具や家電付きの単身赴任者や転勤者に適した賃貸物件を紹介することで、引っ越しに伴う家具家電の購入費用が抑えられるというメリットを伝えることは、ご両親に喜ばれる可能性があります。

遅くまで仕事をしている人

多忙を極めている方にも、単身赴任や転勤者向け賃貸物件の紹介は効果的といえます。なぜなら、平日に家事を行う時間がほとんど取れなかったり、宅配物や受け取りの確認が必要な郵便物を受け取れなかったりすることが考えられるからです。

その平日の多忙さを補う手段として、単身赴任や転勤者向けのサービスが充実した賃貸物件を紹介すると、喜ばれることが想定されます。

単身赴任や転勤者に対する法人契約の心得

単身赴任や転勤者からの反響対応や、来店時の対応で必要なことはどのようなことなのでしょうか。あらためてポイントを整理して理解することにより、来店率や成約率を上げられます。また、うまくいけば定期的に企業からお客様を紹介いただけることもありますので、ぜひチェックしてみてください。

法人の規定を確認する

法人契約、もしくは個人契約になるものの、補助が会社から得られる契約と判明したとき、まずは法人の規定を確認しましょう。

主なチェックポイントは、以下のようなところです。

  • 初期費用(敷金・礼金)の上限
  • 賃料の上限
  • 代行会社の有無
  • 個人支払いになる費用の確認

少なくとも来店前にこの段階はクリアしておかないと、賃貸物件の紹介は少々困難といえるでしょう。

申込段階で大家さんや管理会社との調整を行う

気に入った賃貸物件が見つかり申込を行ったら、大家さんや管理会社との条件調整に入ります。審査段階では、入居条件を確定させなければなりません。また、法人契約では貸主側の審査だけではなく、法人側の稟議も必要になります。

注意すべきポイントや行うべき内容をまとめました。

  • 保証会社を外せるか
  • 連帯保証人を外せるか
  • 火災保険は大家さんや管理会社指定か、借主法人の包括保険か
  • 入居社員の入替は可能か、可能であれば費用はかかるか
  • 借主法人や入居社員の提出書類はどのようなものか
  • 契約書の内容を特約で訂正してもらえるかどうか
  • 必要に応じて借主法人側が準備した契約書での入居が可能か、また覚書の締結は可能か
  • 法人負担と社員負担が別で契約書や重要事項説明書に記載されているかどうか
  • 社宅代行が間に入るとき、社宅代行側への重要事項説明が必要かどうか
  • 入居社員が月々支払う費用があるときの支払い方法、口座引落が可能かどうか

このようなポイントを押さえておかないと、あとあとトラブルになる可能性があります。最悪の場合、申込がキャンセルになることも考えられますので、注意しましょう。

悪質な条件変更はNG

法人契約を取り扱うとき、社員に有利になるように条件変更を依頼されたり、仲介業者側で社員に話を持ち掛けたりすることがあるかもしれません。しかし、原則としてこの条件変更は行わないようにしてください。

社員負担となる入居時の鍵交換費用を礼金に上乗せしたり、別途駐車場代を家賃に上乗せしたりするなどの行為は、事実上の横領と表現しても過言ではありません。

一般的に借主法人や管理会社では、内部監査などによってランダムに契約内容がチェックされることがあります。そのとき、ある1室やある1契約だけ条件が異なれば、当然ながら調査され、条件変更が白日のもとにさらされることとなるでしょう。もちろん、条件変更に加担した仲介業者もただでは済みませんので、このような話には乗らないようにしましょう。

まとめ

単身赴任や転勤向け賃貸物件を問われても、すぐに「この物件だ!」とイメージしにくいかもしれません。しかし、どのような賃貸物件が単身赴任や転勤者に人気があるのかを理解すれば、自ずとカテゴライズできるようになるでしょう。

そして、単身赴任や転勤者向け賃貸物件は、赴任者や転勤者以外にも紹介できます。赴任者や転勤者のニーズや要望をくみ取ることで、同じようなニーズをお持ちのお客様にもフィットするのは当然のことです。

ヒアリングと提案力を駆使して、単身赴任・転勤向け賃貸物件という新たなカテゴリーに挑戦しましょう。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

記事へのコメント
1
2
3
4
5
送信
     
キャンセル

コメントを書く

CHINTAI JOURNAL
レビュー:  
 0 コメント