記事公開日:2022/03/03
最終更新日:2022/11/01
不動産の売買・賃貸に関わらず、不動産業界の営業マンにはお客様の要望を把握するヒアリング能力が欠かせません。お客様へのヒアリングを徹底することは、お客様だけでなく営業マン自身にとってもメリットがあります。
今回は、不動産営業のヒアリングの重要性やヒアリング能力を高める具体的な方法について解説していきますので、ヒアリングに苦手意識を感じている人や成約率を高めたい人はぜひ参考にしてください。
目次
不動産営業にヒアリングが重要な理由は以下の4つです。
それぞれの詳しい内容について見ていきましょう。
不動産営業は、お客様が欲している要望を理解し、それに合う物件を紹介する仕事です。たとえば賃貸営業の場合、将来ペットを飼う予定があるお客様にはペットの飼育ができるマンションをおすすめする必要があります。
お客様のニーズや生活スタイルが何もヒアリングできていないと希望に沿った物件が提案できず、お客様とのミスマッチに繋がります。このようなミスマッチが積み重なると、お客様は不動産営業マンに対し不信感を抱いてしまうかもしれません。
不信感が募ってしまうと、小さなことでもトラブルが起きてしまいます。たとえば契約時に営業マンが伝えた情報も、「そんな話は聞いていない」など衝突してしまう可能性もあります。このようなトラブルを防ぎ、お客様との良好な関係を続けるためにも、ヒアリングは不動産営業にとって重要な仕事なのです。
不動産業界で働く人間が当たり前だと思っている知識や常識も、お客様によってはまったく知らないというケースも珍しくありません。必要な知識をお客様がもっていない場合、物件選びで損をする可能性もあるため、不動産営業マンはお客様の理解不足を解消させなければいけません。
お客様の理解不足をなくすためには、まずはどんな部分がわかっていないかを営業マンが理解する必要があり、このときに実践するのがヒアリングです。お客様のニーズや抱えている問題などさまざまなことをヒアリングすることで、不動産に対してどれくらいの知識や常識があるのかを確認できます。
お客様の理解が不十分なまま営業活動を続けてしまった場合、心から納得してもらえない可能性があります。「本当はもっと良い条件があるのでは?」と疑念を抱いてしまわないようヒアリングを徹底し、お客様が不動産知識に対してクリアになれるよう務めましょう。
審査の際にチェックされる資産額や信用情報はお客様によってそれぞれ異なり、場合によって希望の不動産の審査に通らないケースもあります。不動産の審査には時間も手間もかかるため、あらかじめ審査が通らない物件だとわかっていればその旨を伝えなければなりません。審査で重要なお客様の属性も、細かくヒアリングすることで事前に知ることが可能です。
審査に不要な個人情報を聞き出す必要はありませんが、職業や家族構成、物件探しの理由や過去の住居トラブルなどは、通常の会話の中で聞いておく必要があります。お客様のステータスと希望する物件が釣り合うかを判断するためにも、抜け漏れのないようにチェックしておきましょう。
急いで物件を探したい人、時間はかかってもいいから納得がいく物件を見つけたい人など、お客様の要望は人それぞれです。たとえば、できるだけ早く引越し先を見つけたいお客様を担当する場合、このときに求められるのはスピードです。たくさんの選択肢を用意してもお客様を悩ませてしまうことになるため、お客様の条件を聞き出し、最適な賃貸物件を2〜3つ提案するのが喜ばれます。
契約までをスムーズに進めて成約率を高めるためにも、ヒアリングをベースにお客様の要望に叶うような提案をすることが重要です。
不動産営業でのヒアリングは、その質の高さが求められます。お客様のニーズに応えられるよう、以下のポイントを意識しながらヒアリングを行ってみましょう。
上記5点について、詳しく解説していきます。
賃貸契約・売買契約のどちらにおいても人生の重要なターニングポイントのひとつになるため、最初は緊張しているお客様も少なくありません。そのため、不動産営業マンの最初の仕事はお客様の緊張をほぐすことです。
また、ニーズや問題点をヒアリングする際は、難しい質問だと萎縮してしまう可能性があるため、最初は以下のような答えやすい質問から始めてみましょう。
答えがはっきりしている質問は、お客様もすぐに答えやすいのでおすすめです。特に上記の質問はプライベートに立ち入りすぎていない質問なので、初めにヒアリングしても失礼にはなりません。
ただし、このような簡単な質問であってもマニュアルどおりの尋問のようなヒアリングはNGです。矢継ぎ早にヒアリングすると、お客様が不信感や威圧感を抱いてしまい営業マンに対して良い印象をもちません。通常の会話の中から自然と答えを引き出すようなトークが大事です。
いきなりヒアリングをするのではなく、最初は雑談から入ってお客様をリラックスさせてください。お客様の緊張状態がほぐれた頃合いを見計らって、具体的なヒアリングを行いましょう。
お客様の緊張状態がほぐれたところで、お客様のニーズを探るためのヒアリングを行います。ここでも、尋問のように質問だけを投げかけるのではなく、カウンセラーのように相談しやすい雰囲気を作ることが重要です。
お客様の発言に対して復唱することで、「自分の話を丁寧に聞いてくれている!」と思ってもらえ、さらに細かなニーズが引き出せる可能性が高くなります。また、ヒアリングにおいてマストで聞いておくべき質問事項は以下の4つです。
上記の4つはお客様の物件探しにとって重要な事項なので、聞き漏らしのないよう丁寧にヒアリングしましょう。
お客様の中には、自分のことを話すのが得意でない人も少なくありません。そのようなお客様には、質問事項を投げかけて答えてもらうといったインタビュー形式の会話になってしまいがちですが、これでは威圧感や不信感を与えてしまう可能性があります。お客様からの信頼を得るにはキャッチボール形式の会話が重要なので、お客様主体で話を進めることを意識し、お客様が話したいことを引き出すようなヒアリングに努めましょう。
また、会話のペースもお客様によってさまざまなので、急かすような会話はNGです。質問に答えている間は相槌を打ちつつ、矢継ぎ早に質問しないことが求められます。
たとえばお客様が複数の不動産で迷っているときに、「AではなくBの物件がおすすめです!」などと一方的に提案するのはNGです。「AとBの物件、どちらが魅力的に思いますか?」などと比較できるような質問を投げかけることで、お客様自身が選択でき、自分の選択に納得がいきやすくなります。また、「家賃と築年数ならどちらを優先させたいですか?」といった質問をすることで、お客様の潜在的なニーズを引き出すことも可能です。
営業マンの努力だけではなく、お客様の気分や状態によってもヒアリングの結果は変わります。ヒアリングを行っても、お客様が物件探しに積極的ではない状態なら良い回答が得られないのも無理はありません。そこで重要なのが、ヒアリングを行う前にお客様のモチベーションを上げておくことです。
「不動産契約にはこんなメリットがある」「生活スタイルがこのように変化する」など、賃貸・購入・売却に対しての良いイメージを与えることで、お客様のモチベーションは高まります。モチベーションが高まることで物件探しがポジティブになり、ヒアリングへの回答がより具体的になります。