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お茶出しの基本マナーはこれで完璧!トラブル別スマートな対応も解説

記事公開日:2022/05/12

最終更新日:2023/11/17

お茶出しの基本マナーはこれで完璧!トラブル別スマートな対応も解説の見出し

社会人になるとビジネスマナーや来客応対を学びますが、最初に身につけておきたいのがお茶出しのマナーです。単にお茶を出すものと思う方も多いのですが、お茶の淹れ方から出し方にいたるまで細かいマナーが決まっています。

今回は、通常のビジネスシーンや賃貸仲介営業のシーンで必要となるお茶出しのマナーについて解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

※下記2本の関連記事では新人営業研修・人材育成を成功させるためのポイントやアイデアを紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。

目次

お茶出しの基本マナー

お茶出しでは淹れ方や出し方が重要で、まずはそれらの基礎を覚えることから始まります。では、基本となるマナーについて詳しく見ていきましょう。

おもてなしの気持ちを忘れないようにする

お茶出しのときには、おもてなしの気持ちを忘れないようにすることが大切です。オリンピック東京招致のときに注目された、日本の美しい文化と称される「おもてなし」の気持ちは、お茶を淹れるときの丁寧さやお出しするときの所作にあらわれます。

賃貸仲介営業の場合、ご年配や子どもの方に対応する機会も多く、お茶のマナーを知っておくことで会話が弾み、他の営業マンに差をつけられるかもしれません。また、おもてなしの気持ちを持っていれば細かく決められているマナーも覚えやすくなるので、まずは「お茶を淹れて出す」ことに対する気持ちから整えていきましょう。

上座と下座を意識する

お茶出しでは、順番が大事なマナーになるので上座と下座を意識してください。会議室はもちろん、応接室でも上座と下座が決まっています。

上座はドアから一番遠い奥の席で、下座はドアに一番近い席になるので、順番は奥の席の方から順に、ドアに近い席の方が最後になるようにお出しするのが正解です。

ただし、会議室などで向かい合って座る場合は、ドアから離れている側の席の真ん中が上座になることもあるので、事前にチェックしておきましょう。順番を間違えるのは失礼にあたるため、上座と下座の位置は部屋ごとに確認しておくと安心です。

湯呑みと茶托は別々で運ぶ

湯呑みと茶托は別々に運ぶのが基本です。茶托とは、湯呑みの下に置く小さな受け皿のことを指します。茶托があれば、こぼれてしまった場合でも机が汚れたり書類を濡らしたりすることがないため、湯呑みとセットで出すのが一般的です。

ただし、セットした状態で運んでしまうと、来客者にお出しする前にお茶がこぼれてしまう可能性があります。こぼれている状態でお出しするのは失礼にあたるほか、スーツなどに垂れてしまうこともあるので、必ず湯呑みとわけて運びましょう。

ペットボトルで出す際は紙コップを添える

近年は、コロナの感染を防ぐために、ペットボトルでお茶やコーヒーを出す企業も増えています。ペットボトルで出すのは失礼にはなりませんが、女性の場合はボトルのまま飲むのを控えていることもあるので紙コップを添えるのがマナーです。このような場合、キャップ部分にかぶさるように置き方を工夫しましょう。

おいしいお茶の淹れ方とポイント【お茶出しのマナー】

お茶を淹れた経験がないと、おいしく淹れるのは難しいイメージがあるかもしれません。しかし、手順とポイントさえ覚えておけば誰でもおいしいお茶を淹れることができます。では、どのように淹れればおいしくなるのか、ポイントを踏まえつつ淹れ方を紹介していきます。

①茶碗を温めておく

まずは茶碗にお湯を注ぎます。先に茶碗を温めておくとお茶が冷めにくくなり、最後までおいしく飲むことができます。少々手間かもしれませんが、お出しする相手の気持ちを考えた「おもてなしの心」を表現するための工程として覚えておきましょう。

②急須に茶葉とお湯を注ぎ、1分ほど蒸らす

急須に茶葉を入れてお湯を注いだら、1分ほど蒸らします。蒸らすことで茶葉が広がり、より芳醇な香りとコクを引き出すことができます。

蒸らし時間が長すぎると苦みや渋みが出てしまうので、1分以上蒸さないように気をつけてください。また、この間に湯呑みに注いだお湯を捨てておきましょう。

③お茶を湯呑みに注ぐ

蒸らし終わったら、お茶を湯呑みに注ぎます。このとき、1つの湯呑みごとに淹れてしまうと最初に淹れたお茶の味が濃く、最後に淹れたお茶の味が薄くなってしまうので、すべての湯呑みに少しずつ注ぎ、味が均等になるように工夫しましょう。

ちなみに、お湯の温度は茶葉によって変えるのもおいしく淹れるポイントです。番茶であれば熱湯、煎茶など比較的良い茶葉は低めの温度のほうがおいしくなるので、来客用のお茶の場合は70~80℃くらいのお湯で淹れましょう。

入室からお茶出しを行うまでの流れ【お茶出しのマナー】

お茶の画像

お茶出しは、ただお茶を入れてお客様や社員の前に出せば良いというものではありません。入室するときやお茶を置くときの立ち振る舞いもマナーがあります。いくらおもてなしの心を持っていても、丁寧にお茶を入れても、お茶を出してから退室するまでのマナーが守れていないと台無しになってしまうので、入室からお茶出しを行うまでの流れについても覚えておきましょう。

①ドアを3回ノックして入室する

お茶は、お盆を胸の高さで持ち、自分の息がかからないように少し横にずらして運びます。ドアの前に来たらお盆を片手で持って、空いている方の手でゆっくりと3回ノックをしますが、ドアがない場合にはノックは不要です。

一呼吸置いて「失礼いたします」と声をかけてからドアを開け、お盆を両手で持ち会釈をして入室します。入室をしたら、再度片手でお盆を持ち、空いている方の手でドアを静かに閉めましょう。会釈をするときや、片手でお盆を持つときはバランスを崩しやすいので、お茶をこぼさないように注意してください。

②お盆をサイドテーブルに置く

入室をしたら、お盆をサイドテーブルに置いて、お茶出しの準備をします。サイドテーブルがない場合は、下座側の人に一言「失礼いたします」と断りを入れて、テーブルの上に邪魔にならないようお盆を置きましょう。もしテーブルの上にお盆が置けない場合は、「お茶出しの準備をさせてもらってもよろしいでしょうか?」と声をかけて、スペースを確保してください。

お盆を置いたら、茶碗の底をふきんに乗せて水分を取って茶托に乗せます。このときに使うふきんはお客様の目に触れるので、シミなどがついていないきれいなものを使ってください。

③相手の右後ろ側から両手で出す

お茶は、上座のお客様から下座のお客様の順番で出します。自社の担当者には、たとえ自分の上司であっても、すべてのお客様にお出ししてから出すのが基本です。

お茶を出すときは、相手の右後ろ側から両手でお出ししましょう。茶碗に絵柄が描かれている場合は、正面に絵柄が向くように置きます。また、茶托に木目がある場合は、木目の線が相手と平行になるように置くことも忘れないでください。

もし狭くて後ろに回れない場合は、「前から失礼いたします」と声をかけ、相手の前に両手で置きましょう。ただし、話し込んでいるときは邪魔にならないように目礼だけでかまいません。

④お盆を脇に挟んだ状態で退出する

すべてのお茶出しが終わったら、お盆を左脇に挟んで退出してください。退室する際には、お客様に向かって会釈をした後、右手でドアをゆっくり開けて廊下に出ます。このとき、ドアを閉める前にもう一度会釈をするとより丁寧な印象になります。

ただし、室内の状況によっては、早めにドアを閉めた方が良い場合もあるので、状況に合わせて対応するのがベストです。

ペットボトルでお茶出し行うまでの流れ【お茶出しのマナー】

ペットボトルでお茶出しを行う流れは以下のとおりです。

  • ペットボトルに紙コップを添える
  • 蓋の空いていないものを出す

詳しく見ていきましょう。

①ペットボトルに紙コップを添える

ペットボトルでのお茶出しのマナー1つ目は、紙コップを添えて出すことです。紙コップを添えるときは、ホコリやゴミが入らないよう、上からかぶせて出しましょう。

また、ストローを添えると喜ばれます。その際のストローは、裸のものではなく個包装のタイプを選びましょう。特に賃貸仲介のシーンでは、小さな子どもと一緒に来るお客様も多いので、事前にストローを用意することをおすすめします。

②蓋の空いていないものを出す

ペットボトルでお茶出しをする際は、飲みかけと勘違いされないよう、蓋が空いていないものを出すことがマナーです。また、一度空いたものを出すとホコリが入ることがあるので、衛生面でも良いといえるでしょう。

賃貸仲介営業の場合、お客様に手土産感覚で持ち帰っていただくことも可能です。そうすることで、「飲みきれなかった」という罪悪感を抱かせることなく商談を終えられます。

一般的な営業マンで、会議中にペットボトルでお茶出しをされると、飲み干すことがマナーだと考える人も中にはいます。そのため、会議やセミナーにはハーフサイズのペットボトルを用意した方が良いでしょう。

【疑問】ペットボトルは冷やしたものを出してもいいの?

お茶出し用のペットボトルは、冷やしたものを出しても問題ありません。賃貸仲介営業の現場では、内覧後に冷たい飲み物を飲みたいとおっしゃるお客様が多いためです。

しかし、持ち帰りの際に鞄の中が濡れてしまうことも考えられますので、冷えたペットボトルを出す前に一言声をかけることも忘れないようにしましょう。

一般的な営業マンや仲介営業マンの場合、セミナーや会議で出すペットボトルは常温の方がおすすめです。なぜなら、冷たい飲み物だと資料が濡れてしまうことがあるからです。

冷たいお茶やコーヒー・紅茶、お茶菓子の出し方マナー

お茶やコーヒー・紅茶、お茶菓子の出し方のマナーを守ることも重要です。

  • 冷たいお茶や飲み物の出し方のマナー
  • コーヒーや紅茶の出し方のマナー
  • お茶菓子やおしぼりの出し方のマナー

1つずつ詳しく解説します。

冷たいお茶や飲み物の出し方のマナー

暑い時期は冷たい飲み物が喜ばれます。しかし、冷たい飲み物の場合は机が水滴で濡れてしまうおそれがあるので、コースターを使いましょう。コースターは一人につきひとつずつで、その上にグラスを置きます。

特に賃貸仲介営業の場合、商談用の机には多くの物件資料や契約書が置かれていますので、資料が濡れないように細心の注意を払いましょう。

コーヒーや紅茶の出し方のマナー

お茶ではなくコーヒーや紅茶を出す場合もあります。砂糖とミルクを個別に出す場合、スプーン、砂糖、ミルクはソーサーの手前に置くのが基本です。

ただし、人によっては砂糖とミルクを使わないお客様もいるので、その場合は砂糖とミルクを別の皿に入れて中央に置きます。それを自由に使ってもらうようにすると良いでしょう。

賃貸仲介営業の現場では、ジュースを別で用意しましょう。何種類かのジュースを用意すれば、小さなお子さんを持つお客様や、お子様本人に喜んでもらえます。

一般的な営業マンや仲介営業マンなどが会議や商談の場でコーヒー・紅茶を出す場合は目上の人から出すことがマナーです。あらかじめ席順を把握しておくと良いでしょう。

お茶菓子やおしぼりの出し方のマナー

お茶菓子は飲み物の左、おしぼりは右側に置くのがマナーです。また、お出しするお茶菓子については、なるべく個包装のものを選びましょう。食べなければそのまま持ち帰っていただくことができるほか、感染症予防にもつながるためです。クッキーやおせんべいなど、お客様が手に取りやすいものを選ぶようにしましょう。

なお、一般的な営業マンや賃貸仲介営業マンは、お茶菓子を遠慮するお客様を相手にするときも多いので、「もしよければどうぞ」など、一言声をかけることを忘れないようにしてください。

意外とよくある!?お茶出しにおける万が一の事態

お茶を出す流れを頭に入れていても、実際にお茶出しをするときには思わぬアクシデントが起こるかもしれません。慣れてくれば臨機応変に対応できますが、マナーを覚えたてのときには慌ててしまい、粗相をしてしまう可能性があります。ここからは、万が一の事態を切り抜ける対処法を紹介していくので、いざというときのためにチェックしておきましょう。

お茶の数が足りない場合

人数を確認したとしても、途中から人が増えてお茶の数が足りなくなることも少なくありません。足りない場合は不足分をあらためて持っていき、慌てずに上座のお客様から順番にお出ししましょう。

お茶を出し終わったら、「あらためてお持ちします」と断りを入れて給湯室に戻ります。不足した分のお茶を淹れたら、再度入室をして「お待たせいたしました」と一言添えてお出しするのがマナーです。

会議が長引いている場合

会議が長引いている場合、最初に出したお茶がなくなっているおそれがあるので、2杯目をお出ししましょう。ただし、会議の場合は頻繁に出入りをすると邪魔になるので注意が必要です。

2杯目を出すタイミングは、1杯目を出した30分後が目安とされていますが、会議の開始後30分はちょうど本題に入るタイミングかもしれません。また、会議は1時間程度で設定されているのが一般的なので、まずは1時間様子を見てください。

1時間を過ぎても終わらないようであれば長引いていると判断できるので、タイミングを見てお出しするのがベストです。2杯目は、中身が入っているいないに関係なく、1杯目のお茶を茶托ごと下げて新しいお茶を出してください。

お茶を置くスペースが狭い場合

書類や資料で机の上が埋まっていてお茶が置けない場合、「失礼いたします」と声をかけましょう。声をかけず、ただスペースを空けてくれるのを待つというのは失礼にあたります。また、確認もせずに書類をどかしたりするのはNGなので注意してください。

もし、声をかけても気がついてもらえない場合は、邪魔にならないスペースを探して「こちらでよろしいでしょうか」と断りを入れてからお出ししましょう。

お茶をこぼしてしまった場合

お茶をこぼしてしまった場合は、まず「申し訳ございません」と丁寧に謝り、衣服や書類などが濡れていないかを確認してください。濡れている場合はすぐにふきんなどで拭き取り、新しいお茶を淹れてお持ちします。お茶はちょっとしたことでこぼれてしまうので、事前準備としてお茶をこぼしたときに使えるきれいなふきんを用意しておきましょう。

もしお客様ご自身で拭いた場合、濡れたハンカチを入れるためのビニール袋をお渡しするのがベストです。

「結構です」と断られた場合

お茶をお出ししたときに「結構です」と断られた場合は、お客様のご意向を優先してそのまま下げるのがベストです。ただし、企業によっては断られたとしても、一応出すという方針を取っていることもあるので、事前に先輩社員に確認しておきましょう。

手土産をいただいた場合

手土産をいただいた場合、プライベートであればそのまま一緒に食べるのが礼儀とされていますが、ビジネスシーンではNGです。ただし、手土産をその場に置きっぱなしにするのは失礼なので、自社の社員から受け取ったら、「ありがとうございます」とお礼を伝え、お盆に乗せて退室します。

ただし、長年の付き合いがあり気心が知れている取引先や社長同士の場合は、社員や社長からお出しするよう指示があるかもしれません。そのような際には給湯室に持ち帰り、手土産の種類に合った盛り付けでお出ししましょう。

給湯室と会議室が遠い場合

給湯室と会議室が遠い場合、準備をして運んでいる間にお茶がぬるくなってしまうかもしれません。淹れたての熱いお茶を出すのが難しい場合、蓋付きの湯呑みを用意しておくのがベターです。蓋付きの湯呑みであれば、冷めにくくなるだけではなくホコリが入るのも防ぐことができ、衛生面でのリスクも回避できます。

もしワゴンがある場合、お茶出しセットを会議室の近くまで運び、そこで準備をしましょう。

マスクをしたままお茶を出しても良いのか

コロナ禍まではマスクをつけたままの対応は失礼だとの意見がありました。しかし今では、マスクをつけずに対応することに不快感を示すお客様もいるので、お客様がマスクをしたままであれば、こちらもマスクをつけたままお茶出しをしても問題ありません。

もし茶托が濡れてしまった場合はどうしたらいい?

お茶出しの際は、清潔なふきんを一緒にお盆に乗せてお客様へ運びます。そうすることで、茶托が濡れてしまっても焦らず対応できます。またふきんがあれば、机のホコリやゴミを取り除く際にも便利なので、ぜひ一緒に持ち運ぶようにしてください。

お茶出しはマナーとおもてなしの心が重要!

ビジネスシーンでのお茶出しは、友人や家族にお茶を出すのとは作法が違います。友人や家族であれば出されたお茶を楽しむ程度の感覚ですが、ビジネスシーンでは「ご足労をいただきありがとうございます」という感謝の気持ちで対応するため、マナーとおもてなしの心が重要です。

慣れるまでは細かいマナーや突然のアクシデントに戸惑うこともあるかもしれませんが、おもてなしの心を持っていれば臨機応変な対応が叶います。いずれにしても、慌てたり急いだりせずに、一つひとつの工程を丁寧にこなすことを意識してお客様をもてなしましょう。

記事の監修者_あきら

あきら

この記事を書いた人

元不動産営業のWEBライター。12年以上の不動産営業を経験。売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通している。住まいに関することや、不動産取引で失敗しないコツ、不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ等を発信中。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで、敷居が高い不動産をもっと身近に感じてもらいたいです。さらに、不動産取引で少しでもお得になるような情報も発信しています。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 賃貸不動産経営管理士 / 不動産特化WEBライター

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