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大衆心理を利用して、契約の意欲を高めるコツとは?【バンドワゴン効果】

記事公開日:2023/08/22

最終更新日:2023/08/18

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最近はSNSが発達しており、気が付けば何を見るわけでもなくチェックしている人も多いのではないでしょうか。

そこに流れる広告には「1万人が効果を体感!」「売り切れ続出」など、少し怪しいような気もしながらどこか惹かれる気持ちが湧いてくるものです。

本日は、このどこか惹かれる「バンドワゴン効果」のメカニズムについてご紹介します。うまく活用することで、賃貸仲介営業でも役立てることが可能です。バンドワゴン効果は営業単体ではなく、物件決定やクロージングでも役立ちます。ぜひ最後までお読みください。

バンドワゴン効果とは

列をなす人形の画像

日本人は集団心理が働きやすく、周りが良いと思っているものを無条件に自分も良いものと思う傾向にあります。たとえば、行列のできる飲食店がなぜかおいしそうに思えたり、即日完売したコンサートが素晴らしいものに思えたりするなどです。

このような多くの人々が選んでいる選択肢を、良い選択肢と思う心理的作用のことを「バンドワゴン効果」と言います。

スノッブ効果との違い

周りの人たちと一緒のものをどこか嫌い、珍しくて人が持っていないものに惹かれた経験はないでしょうか。これがスノッブ効果と呼ばれるものであり、多数の選択を良しとするバンドワゴン効果とはまったく真逆の性質を持ちます。

アンダードッグ効果との違い

たとえば、朝市や夜店のようなたくさんのお店が立ち並んでいるところで、ある1軒だけ全然お客さんがいないお店があったとき、かわいそうな気持ちになることはありませんか?この同情票のことを「アンダードッグ効果」と言います。

バンドワゴン効果が大多数に向けて同調するのに対して、アンダードッグ効果は少数に向けて同調するところが異なる点です。

バンドワゴン効果のメリットと注意点

人気があることを利用したバンドワゴン効果には、どのようなメリットや注意点があるのかを確認していきましょう。

バンドワゴン効果のメリット

バンドワゴン効果の最大のメリットは、受け入れられやすいことです。日本人特有の同調気質にマッチするものですので、誰もが違和感なく活用できる再現性の高さが魅力と言えるでしょう。

バンドワゴン効果の注意点

バンドワゴン効果で注意すべきポイントは、使いやすいがゆえに矛盾が生じやすいところです。「なんだか言っていることが違うなぁ」と思われないように注意しましょう。

【具体例あり】バンドワゴン効果を用いた不動産賃貸仲介での営業方法

提案をするスーツの男性の画像

バンドワゴン効果とは何か、そのメリットと注意点がわかったところで、具体的な賃貸仲介営業での活用方法をご紹介します。

新築や退去予定など内見ができない物件を提案する場合

たとえば、新築物件や退去予定の物件をご紹介し、手ごたえも抜群で、立地もとくに問題がないとします。しかし、過去の写真なども確認いただき「これしかないですよ」と最後の一押しをしても、お客さまが決めきれないことはよくあるものです。

そんな行き詰ったクロージングで、このバンドワゴン効果は有効と言えます。中を見てから決めたいというお客さまには「中を見ないで決める方も多くいらっしゃいます」と、内見なくして契約に至るケースがあることを強調しましょう。

物件の人気度を強調することも、バンドワゴン効果を使えば簡単です。隣に座っているほかの営業担当者や店長に「この物件どうでしょうか」と聞いてみましょう。「人気のある物件で、いつも退去予定の段階で成約するよね」や「今度自分のお客さまにも紹介する予定です」と言ってもらうだけで、お客さまに最後の一歩を踏み出すように促せます。

また、ポータルサイトの問合せ状況を伝えてみるのも良いでしょう。言葉でなくとも、人気があり多数の方が興味を持っていることが伝わればそれで良いのです。

ただし、新築物件でほかにも空いている部屋が多数あるときや、退去予定の物件でほかにも空室があるときなどは、信憑性が一気に下がってしまいますので注意しましょう。

付帯商品やサービスを販売したい場合

成約いただいた際に、さまざまな付帯商品やサービスを販売することがあるでしょう。消毒や鍵交換、消火器の販売から最近では盗聴器の調査まで、幅広い商材を賃貸仲介業者も取り扱うようになりました。

過剰な付帯商品の販売はするべきではありませんが、必要としている方に必要な商材を提案するのは決して悪いことではありません。むしろ、積極的に提案すべきです。

アパートなどは気密性も低く、入居前に専門業者による殺虫消毒作業を行うことは、虫の発生を抑制する効果が見込まれます。消防設備が共用部分に備わっていないこともありますので、消火器の販売などは自炊する方々には喜ばれることが多いでしょう。このような成約後の付帯商品販売にも、バンドワゴン効果を利用することで販売を強化できます。

自炊をよくされる方には消火器が喜ばれることをお伝えしたり、虫の発生や侵入を懸念される方には市販の殺虫処理ではなく、専門業者による作業が効果的であることを伝えたりしましょう。「ほかのお客さまも購入されています」と言うだけでは不十分です。

消火器であれば、実際の使用事例や使用映像を用いましょう。殺虫消毒作業であれば、施工事例や施工映像、保証期間の有無などもきちんと伝え、これらの優位性とメリットがあるからほかのお客さまにも好評を得ていると論理的に説明する必要があります。

また、言葉ではないバンドワゴン効果として著者がおすすめするのは、成約したお客さまにお渡しするノベルティや販売商品をお客さまから見えるところに陳列しておくことです。店舗名が印刷された専用の紙袋などに入れて「祝ご成約」と札を貼っておけば、自社の成約件数を対外的にアピールできるほか、本当にほかのお客さまが購入されているんだという説得材料にもなり、一石二鳥と言えます。

まとめ

バンドワゴン効果の素晴らしいところは、言葉でなくとも表現できるところだと著者は考えます。

・ほかの営業担当者が行っている営業活動をフォローする店舗意識
・店舗として市場に認められていることをアピールする見せ方の意識

これらはすべてバンドワゴン効果で説明できるのではないでしょうか。明日からはバンドワゴン効果を意識した営業活動で、お客さまの信頼を勝ち取り、お店ぐるみで成約を勝ち取りましょう。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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