記事公開日:2021/12/16
最終更新日:2022/09/18
不動産の営業をしているなかで、きついと感じたことのある人は少なくないでしょう。不動産業界は離職率も高く、大変な仕事であると言われていますが、不動産営業に向いている人も多く存在します。
今回は不動産営業がきついといわれる理由をいくつかピックアップしてご紹介します。また、不動産営業のメリットについても解説していきますので、営業の仕事が向いていない、結果を出して見返したいと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産の営業職は、取り扱う物件や仕事内容によって3つの種類に分けられます。不動産営業がきついといわれる理由を知る前に、それぞれの仕事内容をしっかりと把握していきましょう。
賃貸のマンション・アパート・物件などを探しているお客様と、賃貸物件を所有している管理会社や大家さんを仲介するのが賃貸仲介営業です。賃貸物件の紹介から鍵の引渡しまでの仲介に必要な業務をトータルでおこないます。賃貸仲介営業の一般的な仕事内容として、以下のものが挙げられます。
賃貸仲介営業というと、お部屋を借りるお客様への応対というイメージが強いかもしれません。しかし、「仲介」という言葉の通り、物件を貸す側である大家さんとの関係づくりも、非常に重要な業務です。
また近年は、インターネットのポータルサイトから賃貸物件を探す人がほとんどなため、多くの人の関心を集める魅力的な物件写真や詳細情報の掲載が求められます。ポータルサイト経由のお客様からのさまざまな問合せに対応するのも、賃貸仲介営業の大切な業務の1つです。
賃貸仲介営業は来店されたお客様を応対する必要があるため、基本的には店内に常駐しています。前もって予約するお客様だけでなく、店頭の物件情報を見て飛び込みで来店するお客様もいるため、すぐ対応できる準備をしておかなければいけません。
お客様が希望する賃貸物件があれば内覧に行き、物件の特徴やポイントを紹介しながらアピールします。また、契約になった場合、契約の締結業務も賃貸仲介営業の仕事です。入居審査や契約書の作成、鍵渡しなどさまざまな業務をおこないます。
中古住宅やマンション、土地や投資用の物件などの売り手と買い手を仲介するのが売買仲介営業です。おもに個人や企業が所有している不動産の買い手を見つけるための営業活動と、不動産を探している方のニーズを満たす売り手を見つけるための営業活動の2パターンがあります。売買仲介営業のおもな業務は以下のとおりです。
どちらの営業方法であっても、賃貸仲介でも仕入れ業務はあるため、自分から見込み客を探す業務からはじめなければいけません。そのために、広告出稿やチラシ配りなどさまざまな営業活動をおこなう必要があります。買い手を見つける営業の場合は、不動産の状態を知るために前もって確認することも求められます。
さらに、売値や買値の設定や交渉をおこなうのも売買仲介営業の大切な業務の1つです。売り手と買い手の双方が満足するようなアプローチが必要とされます。
不動産販売営業のおもな業務は、戸建て住宅やマンションといった新築物件の売却活動です。不動産の購入を考えている方の数は比較的少なく、テレアポや飛び込み営業などの営業活動をする必要があります。不動産販売営業のおもな仕事は以下の3つです。
不動産販売営業は、最初に物件を購入する見込み客を探します。見込み客に物件を購入してもらえるよう、「今購入するメリット」をわかりやすく伝える必要があります。また、物件は人生において非常に大きな買い物のため、お客様のライフプランに合わせた提案力も必要となるでしょう。
これら3つの不動産営業は、それぞれ違った難しさがありますが、基本的には契約金額が高くなるほどその難易度は上がります。また、不動産業界では基本的に営業の難易度が上がるにつれてインセンティブの金額が高くなります。販売目標や件数などといったノルマをしっかりこなせば、その分収入も増えていくことになるでしょう。
保険業界や人材業界など、ほかの業界と比べて「不動産の営業職はとくにきつい」といわれがちです。ここからは、不動産の営業職がきついといわれている理由を見ていきましょう。
一般的な営業マンには、毎月営業ノルマが存在します。賃貸でも売買でも、お部屋の契約はお客様にとって大きな金額が動く決断となるため、すぐに契約が決まることはほとんどありません。そんななかでも営業マンには毎月決められた件数や金額のノルマが課せられるため、日々大きなプレッシャーと向き合いながら仕事をする必要があります。
営業ノルマを達成できないと、給与に影響したり上司に詰められたりします。同僚や先輩がノルマを達成するなかで、自分だけがノルマ未達成では居心地も悪くなってしまうでしょう。
会社によって営業手法はさまざまなため、会社が定めている営業のやり方と自分が得意とする営業のやり方が異なる場合もあります。たとえば、時間をかけてお客様のニーズに合った提案をするのが得意な場合でも、数をこなすことが大事とされる飛び込み営業のような手法がメインの会社である場合、思うような結果が出せなくなってしまうおそれがます。
さらに、不動産営業はさまざまなクレームにも対応しなければいけません。紹介した物件のことだけでなく、騒音や人間関係などいった周辺環境によるクレームの対処を求められることもあります。クレーム処理はすべての人が得意なわけではなく、人によっては精神的疲労を感じてしまうでしょう。
不動産業界は、一般的に引越しの多い1〜3・9・10月が繁忙期です。繁忙期は1日に数多くの来客・内覧対応をしなければならず、一日中外出しっぱなしの日も少なくありません。そんな場合でも事務作業は必須なので、長時間残業などのハードワークになることがどうしても増えてしまいます。
さらに、不動産営業マンは常にお客様の都合を優先させます。たとえ定時が19時であっても、21時にアポが入ればその時間に対応しなければなりません。繁忙期はとくにそのようなイレギュラー業務が多くなるため、疲労が溜まり、体調を崩してしまうことになるでしょう。
不動産営業の給与体系は会社によってさまざまですが、なかには完全歩合制のところもあります。完全歩合制とは、自分が出した結果によって給料が決まる給与形態のことです。一定の年収を得るためには、どれだけきつくても毎日努力を継続する必要があります。
完全歩合制の会社ではその月の達成率によって給料が大きく変わるため、来月や半年後など、今後の収入がどうなっているのかどうか把握することができません。そのため、大きな買い物など計画性をもった支出が難しくなります。万が一体調を崩して働けない状態になれば収入もなくなり、年収にも大きく影響します。
不動産営業は基本的に、お客様が来店しやすい土曜・日曜・祝日にも仕事をする必要があります。土日祝日に休みが取れず、プライベートの面で苦労している人も少なくありません。
またお客様の都合によって、たとえ休みを取っていたとしても、休日に対応を求められることもあるでしょう。仕事とプライベートをしっかり分けたい人にとっては、比較的働きづらい業界ともいえます。
ここからは、営業職をきついと感じたまま働き続けるデメリットについて解説します。営業職が自分に向いているか判断するためにもチェックしてみてください。
営業職の仕事が「きつい」と感じている場合、ストレスによってメンタルに支障をきたす可能性があります。以下のような状態に陥っているor陥りやすい人は、仕事を一時中断して心身をケアしましょう。
メンタル面への影響は、仕事においてもネガティブな結果をもたらす可能性があります。以下に、ストレス解消法をいくつか挙げていくので参考にしてみてください。
上記はあくまでも一例なので、気持ちが前向きになる自分なりの方法があれば実践してみましょう。
自分に自信がなくなってしまうと、営業ノルマ達成が遠のいてしまう可能性があるので注意しましょう。人は何かをはじめる際、自分の能力を見積もってから行動を起こします。自信がある人は自分の能力を高く評価するため、行動への意思決定がスムーズであるのはもちろん、機会損失のリスクも少なくなります。
しかし、自信がない状態に陥ると能力を低く見積もってしまい、「行動に移せない」「できるはずの仕事がこなせない」など、自分の可能性を狭めるおそれがあります。本来のポテンシャルを発揮しノルマを達成するためにも、以下の方法で自分に自信をつけましょう。
思うように仕事ができないと感じたときは、上記4つの方法を試してみてください。
不動産営業へのネガティブなイメージをもってしまうと、業界全体を嫌いになってしまうおそれもあります。不動産営業の仕事内容は、事務仕事や物件紹介などどんな企業でもさほど変わりません。「営業」という仕事そのものに「つらさ」を感じてしまうと、転職を検討する際は業界自体を避けてしまうかもしれません。
営業職として働き続けたい意思がある場合、以下の対処法を実践してみましょう。
営業職への苦手意識が強く残ってしまった場合は、他業界・業種への転職も検討してみましょう。
きついといわれることが多い不動産会社の営業職ですが、反対に多くのメリットが存在します。ここからは不動産営業職のメリットを3つご紹介します。
不動産業界は扱う金額が高額なため、歩合の割合がほかの業界と比べてやや高くなります。なかには年収1,000万円を超える不動産営業マンも存在するため、高収入を得たいと考えている方にとってはおすすめの仕事といえます。
不動産営業は、不動産の知識はもちろん法律・金融・建築などさまざまな専門知識を身につける必要があります。これらの専門知識は仕事においてだけでなく、日常生活でも大いに活かすことが可能です。
さらに、お客様に合わせた提案をし続けることで、自ずと提案力や経験値も高まります。提案力が高まれば異業種でも活躍することができ、汎用性の高いスキル・キャリアの1つともいわれています。
お客様の暮らしに直結する不動産業界は、たくさんの人の人生に携わることができます。お客様は日々の暮らしをよくするために住まいを探しているため、物件に対する期待は自然に高くなります。そんななかでお客様に喜んでもらえる提案ができたときには、大きなやりがいを感じるでしょう。
大変なことも多い不動産の営業職には、どんな方が向いているといえるのでしょうか。ここでは、営業職に向いている方の特徴や性格について解説していきます。
不動産営業はお客様のニーズを引き出すために、コミュニケーションをたくさん取らなければいけません。またお客様だけでなく、大家さんや管理会社などたくさんの人と信頼関係を構築する必要もあります。人とのコミュニケーションが好きな人や苦手意識がない人には、不動産営業が向いているといえるでしょう。
不動産営業は、肉体面はもちろん精神面にもストレスを感じることが多い仕事です。そのため、自分なりのストレス解消法をもっていると、ハードワークでも無理せず働き続けることができます。仕事とプライベートを区別しにくい仕事ではありますが、プレッシャーやストレスをはねのけられるような趣味などをもつことができれば、望む結果も手に入れることができるようになるでしょう。
先述のとおり、不動産営業にはノルマが存在します。ノルマが与えられることにやりがいを見出せる人がいる一方、ノルマを「負担」や「義務」ととらえてしまう方も少なくありません。ノルマをネガティブな方向に考えるのではなく、ノルマを「成長するための手段」ととらえて働ける方は営業職に向いているといえるでしょう。
また、仕事を続けていくことで専門知識や提案力が身につきます。そのため、将来的に独立や専門知識を活かしたステップアップを考えている人にもおすすめできる仕事といえます。
不動産会社の営業職へ就く前に、自分の適性を確認しておきましょう。次項に挙げる特徴に当てはまる人は、不動産会社の営業職だけでなく、他業界・業種も選択肢に入れてみてください。
仕事よりプライベートを優先させたい人は、不動産会社の営業職以外も検討してみましょう。不動産会社の営業職は、お客様の都合に合わせて動くケースもあります。
たとえば、「土曜日に内見したい」という希望があれば、お客様のスケジュールに合わせて自分の時間を調整しなければなりません。プライベートを優先して働きたい場合、時間の取りにくさにストレスを感じてしまう可能性があります。
「土日祝日は休みたい」「定時後はプライベートタイムにしたい」などを希望する人は、不動産会社以外の企業も検討してみてください。
不動産会社では成功報酬(歩合制)を導入しているところもあり、仕事の成果次第では給与が安定しないおそれがあります。成功報酬とは、仕事の成果に対して報酬が上乗せされる制度のことです。たとえば契約金額の○%、売上の○%など、決められた割合で報酬が上乗せされます。
一見すると魅力的な制度ですが、仕事での成果を得られなければ報酬は固定給のみです。固定給が低く設定されている場合、得られる収入に満足できないかもしれません。仕事や給与に安定志向を望む人は、他の業界・業種も選択肢に入れましょう。
他人にあまり興味がない人は、不動産営業の仕事で期待する成果を得られない可能性があります。不動産会社の営業職は、お客様におすすめの物件を紹介する、ヒアリング内容をもとに物件を提案するなどがおもな仕事です。
相手に寄り添えるかどうかが重要なポイントとなるため、他人に興味がなければお客様のニーズに応えるのは難しくなります。不動産会社の営業職へ就く際は、自己分析を繰り返しながら「他人への興味の度合い」を確認しておきましょう。
ここからは、不動産業界の営業として活躍している人たちのエピソードトークをご紹介します。先輩たちの声を参考に、自分自身の働き方に照らし合わせてみてください。
Q:今までで一番「きつい」と感じたエピソードを教えてください。
A:取り扱える物件が増やせず、お客様に合った提案ができなかったことです。
Q:どのように対応・解決しましたか?
A:通常の業務+αを心がけました。
Q:メンタル面で問題を乗り越えるために重要なことを教えてください。
A:自分がスーパー営業マンでないことを自覚することです。
最初のうちは取り扱える物件の数が少なく、お客様のニーズを満たした賃貸物件の紹介が難しいケースが少なくありません。物件数はすぐに増やせる獲ものではないため、通常業務のほかに、大家さんから連絡をこまめに取る、大家さんの発言や要望をきちんと記録しておくなど、+αの行動を心がけていくことが重要といえます。真摯に仕事に向き合うことで、大家さんとの信頼関係も構築することができるようになるでしょう。
また、自分ははじめからどんなことでもできるスーパー営業マンとは思わず、失敗を積み重ねて成長していくといったマインドをもつことも重要です。余計なことは考えず、目の前のことだけに一生懸命取り組むことができれば、望む結果を手にすることができるでしょう。
Q:今までで一番「きつい」と感じたエピソードを教えてください。
A:結果がすべて数字になることです。
Q:どのように対応・解決しましたか?
A:数字=すべての結果だという考えに変え、あらためて日々の業務と向き合っていきました。
Q:メンタル面で問題を乗り越えるために重要なことを教えてください。
A:柔軟に考えて行動することです。
どれだけお客様や大家さんから感謝されても、数字に反映されなければモチベーションも下がってしまうでしょう。しかし、「数字が上がらないのはお客様が本当に求めているものに応えられていないからだ」とマインド自体を変えてみると、数字を伸ばすヒントが見つかるようになります。
また、迅速で丁寧な対応を心がけたり、年齢に合わせて接客方法を変えたりするなど、小さなことをコツコツと続けていくことも重要です。お客様と信頼関係を築くことができれば、やがて数字にもあらわれていくようになるでしょう。さまざまな角度から物事をとらえ、いつでも柔軟に対応できるようなマインドで仕事に取り組んでみてください。
ノルマやハードワークなどできついといわれがちな不動産営業ですが、収入面ややりがいなど、魅力的な部分も多くあります。そのため、コミュニケーションが得意で長期的な目標が定まっている人にとってはおすすめの仕事といえるでしょう。
たとえきついノルマが課せられたとしても、うまく気持ちを切り替えることで、長期的に働くことができるようになります。不動産営業がつらいと感じている方は、今回の内容を参考にしてモチベーションを高めてみてください。