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不動産にかかる税金を全網羅!具体的な費用や計算方法も徹底解説

記事公開日:2022/07/21

最終更新日:2022/09/16

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不動産購入を検討している人にとって、ネックポイントのひとつとなるのが不動産にかかる税金です。そのような人たちに不動産を購入してもらうためには、不動産にかかる税金について的確に伝える必要があります。大事なビジネスチャンスを逃すことがないよう、日々変化していく税金のルールや制度について学んでおきましょう。

今回は、不動産にかかる税金について解説していきますので、税金について深く知りたいと考えている方は参考にしてみてください。

不動産を取得した際にかかる税金

土地や建物などの不動産は、その所有権を得たときから税金が発生します。

  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

不動産営業マンであれば、各税金の内容を把握して顧客に正確な説明を行わなければなりません。上記3つに関しては基本ともいえる知識なので、復習のためにもチェックしてみてください。

不動産取得税

不動産取得税とは、土地・建物を購入する際にかかる税金です。納税先は各都道府県となり、購入時に一度だけ納める必要があります。住宅を購入した場合は新しい住まいに納税通知書が送られてくるため、忘れずに支払っておくようにしましょう。

不動産取得税は、「税率×不動産の価格」で算出される課税標準額で求められます。課税標準額は時価よりも低く、土地は地価の約70%、建物は地価の約50〜60%が一般的です。税率は4%ですが、土地と住宅については2024年3月31日まで3%に引き下げられています。

たとえば、3,000万円の土地と5,000万円の住宅を購入した場合、かかる費用は以下のとおりです。

<通常>

([3,000万円×0.7]+[5,000万円×0.5])×0.04=184万円

<2024年3月31日まで>

{([3,000万円×0.7]×0.5)+[5,000万円×0.5]}×0.03=106.5万円

2024年3月31日までに土地を購入した場合、土地の税額は通常時の2分の1で計算するのが特徴です。また、条件を満たした住宅は、建設された時期によって控除が適応されます。最大1,200万円の控除が受けられるため、控除の対象になるか必ず確認しましょう。

印紙税

印紙税とは、経済的な取引のために作成した書類にかかる税金のことです。さまざまなシチュエーションで必要となる印紙税は、不動産登記の登録免許税を納める際に必要です。

また、印紙税の金額は取引金額によって以下のように異なります。

【印紙税の金額】

領収書に記載された取引金額印紙税の金額軽減税率後の金額
10〜50万円400円200円
50〜100万円1,000円500円
100〜500万円2,000円1,000円
500〜1,000万円1万円5,000円
1,000〜5,000万円2万円1万円
5,000万円〜1億円6万円3万円
1〜5億円10万円6万円
5〜10億円20万円16万円
10〜50億円40万円32万円
50億円以上60万円48万円

軽減措置の対象になるのは、不動産取引に関して10万円以上を超え、2014年4月1日〜2024年3月31 日の間に取引された契約です。不動産購入を渋っている人には、この軽減措置の期日を伝えることで「今が不動産を購入するチャンスかも!」と思わせることも可能です。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の購入時に所有権を登記する際にかかる税金のことです。不動産の登録を行わないと、自分が所有している不動産だということを対外的に示すことができません。この登記時に、登録免許税を納める必要があります。

登録免許税は、固定資産税の評価額に税率をかけて計算されます。ただし、新築物件には固定資産税の評価額がつけられていないため、法務局が認定する課税標準価格を用いるのが一般的です。

税率は不動産の種類によってそれぞれ異なり、以下のように定まっています。

  • 土地:2.0%
  • 新築住宅:0.4%
  • 中古住宅:2.0%

固定資産税評価額は、先述した課税評価額と同様です。そのため、3,000万円の土地を購入した場合は、以下の計算式で登録免許税が求められます。

  • [3,000万円×0.7]×0.02=42万円

また、登録免許税も軽減措置が用意されています。税率が半分以上低くなるものもあるので、顧客の不動産がその条件に満たしているかを丁寧に確認しましょう。

不動産(住宅・土地)を所有している際にかかる税金

不動産の所有には、主に2つの税金が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

馴染み深い方も多いかもしれませんが、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

固定資産税

固定資産税とは、固定資産である土地・建物・償却資産にかかる税金のことです。固定資産税は毎年発生し、毎年1月1日の段階で不動産を所有していれば、固定資産税を各地方公共団体に納める必要があります。

固定資産税の税額は、課税標準額×1.4%と定められています。課税標準額は、3年に一度評価が変わる固定資産税評価額によって決められており、先述のとおり土地は地価の約70%、建物は地価の約50〜60%が一般的です。

住宅用の土地や建物の場合は、新築後数年間は税額が軽減される優遇措置が適用されます。毎年かかる固定資産税は不動産購入者にとって大きな負担となるため、優遇措置などを説明することで不動産購入の意欲が高まるかもしれません。

都市計画税

都市計画税とは、計画的に市街化を進める区域に対して支払われる税金のことです。この都市計画税は、主に道路や公園などの施設整備に使われます。指定された街の中に土地や建物を持っている人は、各地方公共団体に毎年支払わなければいけません。

市街化を進める区域は、さまざまなルールの中で定められています。不動産営業マンは、不動産を購入するか迷っている顧客に対して、都市計画税がかかるエリアに該当するかどうか確かめてから物件を提示すると良いでしょう。

都市計画税は、不動産の課税標準価格×0.3%の計算方法で求められます。ただし、自治体によっては0.3%よりも安い税率の場合もあるので、一度チェックしておくと良いでしょう。

賃貸住宅経営をしている際にかかる税金

タブレットを扱う営業マンの画像

賃貸住宅を所有し、一般の人に部屋を貸し出して所得を得ている場合には、上記の他に以下の税金を納める必要があります。

  • 所得税と住民税
  • 事業税

それぞれの内容を見ていきましょう。

所得税・住民税

所得税とは、所得に対して支払う税金のことです。賃貸住宅を経営すると家賃収入が発生するため、所得税を支払わなければいけません。所得税は種類によって計算方法が異なりますが、不動産所得の場合の計算方法は以下のとおりです。

  • {不動産所得(家賃収入-必要経費)×税率}-課税控除額=所得税

税率は、所得金額によって以下のように異なります。

【所得金額にかかる税率と控除額】

課税所得金額税率控除額
1,000円〜194.9万円5%0円
195〜329.9万円10%9.75万円
330〜694.9万円20%42.75万円
695〜899.9万円23%63.6万円
900〜1,799.9万円33%153.6万円
1,800〜3,999.9万円40%279.6万円
4,000万円以上45%479.6万円

※参考 国税庁 「No.2260 所得税の税率」

たとえば収入が3,000万円、経費が1,000万円の場合、計算式は以下のとおりです。

  • (2,000万円×40%)-279.6万円=520.4万円

家賃収入の他にも収入がある場合は、他の給与と合算する必要があるので注意しましょう。

また、所得税と同じく住民税も毎年各自治体に納める必要があります。住民税には2種類あり、以下のように税率が異なります。

  • 所得割:(収入額-控除額)×税率10%
  • 均等割:5,000円

どちらのやり方がお得なのかは自身の収入額によって変わるため、気になる方は一度計算してたしかめておくようにしてください。

事業税

事業税とは、個人事業主にかかる税金のことです。賃貸物件オーナーは、法人名義ではなく個人名義で収入を得ているケースがあります。そのような場合は個人事業主となるため、毎年事業税を各都道府県に納めなければいけません。

事業によって税率が異なる事業税ですが、賃貸住宅経営の場合は5%が一般的です。そのため、税額は以下の計算式で算出されます。

  • {不動産所得(家賃収入-必要経費)-(290万円+その他控除額)}×5%=事業税額

※参考 東京都主税局 「個人事業税」

事業主は毎年290万円の控除を受けることができ、さらに青色申告特別控除など節税に繋がる便利な制度を利用することも可能です。

不動産を売却した際にかかる税金

所有している不動産を売却する際には、「譲渡所得税」という税金が発生します。場合によっては先送りすることもできるため、詳しい内容について詳しく見ていきましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却した利益に対して支払う税金のことです。税額は、以下の方法で求められます。

  • {不動産の売却価格-(必要経費)}×税率= 譲渡所得税

必要経費には、不動産の購入費用やメンテナンス費用、売却時に支払った費用などが含まれます。必要経費は建物の購入価格から減価償却費の相当額が引かれるため、不動産購入費用を丸々引けるわけではありません。

また、税率は不動産を所有していた期間によっても変わっていきます。

  • 5年以内=39.63%
  • 6年以上=20.315%

この税率には、所得税・住民税などが含まれています。

譲渡所得税の一部は先送りできる【事業用資産を買い換えた場合】

先送りとは、物事の判断や解決を先に延ばすことで、以下の条件に当てはまる場合は譲渡所得税の先送りが可能です。

<事業用の場合>
  • 不動産の所有期間が10年以上
  • 翌年までの一定の事業用資産への買替え
  • 面積300平方メートル以上の不動産

現時点では支払わずに済みますが、支払う義務は残っています。そのまま先延ばしにしていると延滞金などが発生する可能性もあるため、忘れずに手続きを済ませておくようにしましょう。

不動産の贈与や相続をした際にかかる税金

不動産を贈与、相続する場合は、以下の2つの税金が発生します。

  • 贈与税
  • 相続税

それぞれの内容は以下のとおりです。

贈与税

贈与税とは、贈与が成立した際に発生する税金のことで、不動産だけでなくさまざまな資産に課せられます。この贈与税は、原則以下の式で計算します。

  • (贈与財産の金額-110万円)×税率-控除額=贈与税

また、税率と控除額について以下の表でまとめましたので、こちらも併せてチェックしてみてください。

【贈与税にかかる税額と控除額】

贈与財産の金額-110万円の金額税率控除額
200万円以下0.1%
201〜300万円0.15%10万円
301〜400万円0.2%25万円
401〜600万円0.3%65万円
601〜1,000万円0.4%125万円
1,001〜1,500万円0.45%175万円
1,501〜3,000万円0.5%250万円
3,000万円を超える場合0.55%400万円

上記のように税額は決定されますが、以下のようなケースの場合、計算方法が変わります。

  • 子や孫などの直系卑属への贈与=特例贈与財産
  • 60歳以上の父母(祖父母)から20歳以上への子ども(孫)への贈与=相続時精算課税制度

なかでも相続時精算課税制度は、最大2,500万円まで贈与税が控除されるのがメリットです。状況に応じて控除の範囲が広がる可能性があるので、条件を満たしているかどうか確認しておくと良いでしょう。

相続税

亡くなった人の財産を引き継ぐ際、遺産相続の金額が一定額を超えたときに発生するのが相続税です。相続税は、相続が開始された10ヶ月以内に納税する必要があります。また、この相続税には以下のような基礎控除が設定されています。

  • 3,000万円+600万円×相続人の数

たとえば、4人家族の父親が亡くなった場合の基礎控除は以下のとおりです。

  • 3,000万円+600万円×3=4,800万円

遺産相続の額が上記の金額以内だった場合、相続税はかかりませんが、超えてしまうと超えた分だけ課税対象になります。基礎控除から超えた分の計算方法は以下のとおりです。

  • {(遺産相続の金額-基礎控除額)/相続人}×相続税率-控除額=相続税

また、相続税率は取得金額によっても変わってくるので、以下の表を参考にして実際にどれくらいの控除を受けられるのか確認してみてください。

【相続税にかかる税額と控除額】

相続人ごとの取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

なお、相続税が発生しなくても申告は必要なので、申告手続きは忘れずに済ませておきましょう。

不動産のプロとして税金に関するルールを学んでいこう

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不動産の購入に憧れを持つ方も多いのですが、不動産は主に以下のようなタイミングで決して安くない税金が発生します。

  • 不動産取得時
  • 不動産所有時
  • 賃貸住宅経営時
  • 不動産売却時
  • 不動産の贈与、相続時

税金の種類によって異なりますが、一時的に支払えば済むものがある一方、毎年発生するものもあります。税金の内容を十分に理解し、不動産の購入・売却を検討している人に具体的なアドバイスを行えるよう、自己研鑽に励みましょう。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。