イケノウハウ

不動産関連の法律はどこで見ることができる?確認したい項目別に紹介

記事公開日:2022/07/14

最終更新日:2024/01/11

不動産関連の法律はどこで見ることができる?確認したい項目別に紹介の見出し画像

不動産に関する契約を円滑に行うためには、不動産や土地、税金に関するさまざまな法律を知っておく必要があります。もし法律違反の行為をしていると気づかずに不動産取引を続けてしまうと、顧客や自身の会社に大きな迷惑をかけてしまうかもしれません。

そこで今回は、不動産業務を行ううえで関わってくる14の法律をご紹介します。不動産会社に勤めている人はもちろん、不動産業界に興味がある人や不動産を所有している人はぜひ参考にしてください。

不動産取引に関する6つの法律

笑顔の男性営業マンの画像

まずは、不動産取引に関する6つの法律を見ていきましょう。

  • 不動産登記法
  • 区分所有法
  • 借地借家法
  • 宅地建物取引業法
  • 消費者契約法
  • 国土法、地価公示法

不動産営業マンの方は、復習の意味も含めてチェックしてみてください。

①不動産登記法

不動産登記法とは、土地や管理などの不動産の権利関係を公にするための法律です。実際の不動産登記には、不動産の状況や土地の所在、権利の所有者や目的、日付などが記入されています。不動産の現状に関する記載は法律上の義務ですが、不動産の権利に関する記載は法律上の義務ではありません。

不動産登記は、不動産を取得したときや住宅ローンを完済したときなどに必要です。不動産を取得したにもかかわらず不動産登記を行っていないと、不動産を自分のものだと主張するのが難しく、不要なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

▼不動産登記の詳しい内容はこちらから
【不動産登記の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123

②区分所有法

区分所有者法は、正式には「建物の区分所有等に関する法律」という名前がついており、一棟のマンションにおける所有者ごとの所有関係を定めるための法律です。たとえば分譲マンションの場合、住んでいる部屋の壁や柱のどこまでを所有しているかの判断は難しいとされています。区分所有法は、そのような判断が難しい区分所有を明らかにするための法律です。

また、区分所有法はマンションの共有部分にも活用されます。建物の保存に有害な行為や用法に従わない使用は区分所有法に反しており、法律違反としてみなされます。しかし、なかには明確なルールが設けられていない部分もあるので、そのような場合はマンションごとの管理規約でルールを定めるのが一般的です。

▼区分所有法の詳しい内容はこちらから
【区分所有法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069

③借地借家法

借地借家法とは、借地権や建物の賃貸借契約に関して特別に定められた法律のひとつで、法的弱者とされる借主を保護するために制定されました。不動産に関する知識や経験が薄い借主は不利な契約を押し付けられるおそれがあり、それを防ぐためのルールが定められています。

たとえば、借地権は30年と定められており、もし土地を借りる年数を契約の際に決めていない場合、最長30年間は契約が有効になるとされています。契約の途中、貸主が「今すぐ返してほしい」と伝えても、借主は借地借家法で守られているためこの要求に従う必要はありません。このように、借地借家法には借主に有利な内容のルールが多くあります。

▼借地借家法の詳しい内容はこちらから
【借地借家法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090

④宅地建物取引業法

宅地建物取引業法は、宅地建物取引における適切な運営と消費者の保護のために設けられた法律です。この法律があるおかげで、円滑な不動産取引が実現しているともいわれています。

通常、不動産売買は宅建業者が仲介するのが一般的です。しかし、宅建業者のみに利益が出るような取引を行うと、顧客にはデメリットしかありません。このような悪質な不動産売買を防ぐための法律が宅地建物取引業法です。

▼宅地建物取引業法の詳しい内容はこちらから
【宅地建物取引業法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176

⑤消費者契約法

多くの消費者は商品やサービスに対する知識にうとく、売り手側に不当な契約を結ばれてしまうケースがあります。消費者契約法は、消費者と事業者の間にある知識や情報のギャップをカバーするために制定された法律です。

この消費者契約法は、不動産売買だけでなくさまざまな契約に対して活用されます。消費者契約法に従って契約が不当であると判断できた場合は、契約そのものをなかったことにできる可能性もあります。

▼消費者契約法の詳しい内容はこちらから
【消費者契約法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000061

⑥国土法・地価公示法

国土法・地価公示法とは、土地を販売するために目安となる金額を提示するための法律です。土地の売値は自由に決められますが、個人が正確な金額を設定するのは簡単なことではありません。特に公共事業には金額の基準が必要なため、土地取引の指標や公共用地の査定基準になるようこの法律が制定されました。

地価公示法によると、土地鑑定委員会と国土交通大臣が標準地を選び、2人以上の不動産鑑定士が標準値の価格を鑑定評価します。その標準値の地価を参考にすることで、他の土地の価格を決めることができます。

▼地価公示法の詳しい内容はこちらから
【地価公示法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=344AC0000000049

▼国土利用計画法の詳しい内容はこちらから
【国土利用計画法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=349AC1000000092_20200907_502AC0000000043

土地開発や建築物に関する4つの法律

次に紹介する4つの法律は、土地開発や建築物に関するものです。

  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 宅地造成等規制法
  • 消防法

①都市計画法

都市計画法とは、都市が健全に発展するよう秩序のある整備をするために制定された法律です。商業に関する発展だけでなく、自然や文化、住宅などすべての調和を図りながら街づくりが行われます。

たとえば、都市計画区域として定められたエリアでは、行政の許可がなければ建物を建てることができません。都市計画法では、この都市計画区域以外にも、区域区分や用途地域など細かなルールが定められています。

▼都市計画法の詳しい内容はこちらから
【都市計画法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=343AC0000000100

②建築基準法

建築基準法は、建築物の最低基準を定めている法律のことです。先ほど紹介した都市計画法と建築基準法はそれぞれ似ている部分が多く、建築基準法は都市計画法によって定められた街づくりのための内容が含まれています。

建物の階数や大きさ、立地などは建築基準法によって定められています。建築前の建物が建築基準法に反している場合、希望どおりの建物を建てることができません。

▼建築基準法の詳しい内容はこちらから
【建築基準法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201

③宅地造成等規制法

宅地造成等規制法は、宅地を造成することによって生じる崖崩れや、土砂の流出などの災害を防止するためのルールが定められた法律です。主に、宅地造成による災害で危険を被るだろうと考えられる区域が規制の対象に指定されています。

そもそも宅地造成とは、建物を建てるために傾斜のある土地を平らにすることを指します。宅地造成工事が規制される区域は、各都道府県の県庁や市役所で調べることが可能です。

▼宅地造成等規制法の詳しい内容はこちらから
【宅地造成等規制法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336AC0000000191

④消防法

消防法とは、火災から生命と財産を守り、安心かつ安全な生活を送るための法律です。消防法は、市区町村ごとの火災予防条例の法令もあり、それらはすべて順守しなければならないとされています。また、消防法は主に消防機関の立入検査や措置命令、住宅用火災警報器の設置や維持、防火管理者の選任に関するルールなどを定めています。

▼消防法の詳しい内容はこちらから
【消防法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000186

不動産所有者の義務や権利に関する4つの法律

ネクタイを締める男性の画像

最後に、不動産所有者の義務や権利に関する4つの法律を紹介していきます。

  • 民法
  • 住宅品質確保促進法
  • 住宅瑕疵担保履行法
  • 空家等対策特別措置法

①民法

民放は、あらゆる契約の礎となる法律です。不動産売買や不動産賃貸借などあらゆる契約の基本的な考え方の根底にあるのが民法で、契約関係における当事者同士の公平性が原則とされています。

しかし、先述のとおり貸主と借主には知識や情報に大きな差があります。そのため、民法ではなく他の法律(特別法)が優先されるケースも少なくありません。

▼民法の詳しい内容はこちらから
【民法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=131AC0000000011

②住宅品質確保促進法

住宅品質確保促進法は、良質な住宅を選び安心して暮らすことを目的として定められた法律です。この法律は、「新築住宅の瑕疵担保責任の特例」「住宅性能表示制度」「住宅専門の紛争処理体制」の3つの柱で構成されています。

すべての内容において、住宅を購入しようと考えている方に損がないよう細かなルールが制定されています。

▼住宅の品質確保の促進等に関する法律の詳しい内容はこちらから
【住宅の品質確保の促進等に関する法律の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000081

③住宅瑕疵担保履行法

住宅瑕疵担保履行法とは、新築住宅を提供する不動産会社に10年間の瑕疵担保責任を負ってもらうための法律です。瑕疵とは、通常では見つけることのできない建物の欠陥を指します。たとえば、内見では気づかないような雨漏りや、建物の内部に住むシロアリなどが瑕疵にあたります。

住宅瑕疵担保履行法に基づいて、物件の購入後10年以内に瑕疵が見つかれば、不動産会社は担保責任を負わなければいけません。瑕疵の箇所の補修や瑕疵によって生じた損害の賠償が担保責任となります。

▼特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の詳しい内容はこちらから
【特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000066

④空家等対策特別措置法

近年、全国的に空き家問題が問題視されており、この問題の解決を図るために空家等対策特別措置法が制定されました。空家等対策特別措置法では、空き家の実態調査や所有者への適切な管理指導、空き家の活用促進に関するルールが定められています。

空家等対策特別措置法では段階が決まっており、それぞれの段階により処罰方法が異なります。空き家の所有者が何らかの対処を行わなければ、場合によっては罰金が科せられる可能性が高いです。

▼空家等対策の推進に関する特別措置法の詳しい内容はこちらから
【空家等対策の推進に関する特別措置法の公式ホームページ:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127

不動産に関する法律を学んで業務の幅を広げよう

不動産関連の法律は多岐にわたり、不動産業界に従事する人はそれらの概要をあらかじめ把握しておく必要があります。

  • 不動産登記法
  • 区分所有法
  • 借地借家法
  • 宅地建物取引業法
  • 消費者契約法
  • 国土法・地価公示法
  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 宅地造成等規制法
  • 消防法
  • 民法
  • 住宅品質確保促進法
  • 住宅瑕疵担保履行法
  • 空家等対策特別措置法

上記の中には理解が難しいものも多いため、自分のペースで少しずつ学んでいくことが重要です。自身のスキルアップにも繋がりますので、ぜひ興味のある法律から取り組んでみてください。

「CHINTAI JOURNAL編集部」の画像

CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。

記事へのコメント
1
2
3
4
5
送信
     
キャンセル

コメントを書く

CHINTAI JOURNAL
レビュー:  
 0 コメント