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「全宅連」と「全日」の違いを解説!おすすめの人や料金・サービス内容がわかる

記事公開日:2022/06/16

最終更新日:2024/01/11

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不動産会社の設立にあたり、不動産団体への加入を検討されている方も多いのではないでしょうか。不動産団体への加入には、宅建業の免許の有無や資本金・売上金の額などさまざまな審査をクリアしなければならないため、加盟することで会社への信用を高めることができます。

不動産団体には、不動産流通経営協会や全国住宅産業協会など複数の団体があります。今回は、その中でも比較的メジャーな「全宅連」と「全日」について解説していきますので、加盟を検討している方はぜひチェックしてみてください。

そもそも「全宅連」と「全日」とはなに?

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「全宅連」の正式名称は「全国宅地建物取引業協会連合会」で、昭和42年に設立されました。ハトがシンボルマークとなっている宅建建物取引業協会の連合体で、所属している不動産会社はいずれも規模の大きい組織ばかりです。全宅連では、「開業支援」「営業支援」「実務支援」「スキルアップ支援」「業務の多角的サポート」という5つの支援を行っているので、初めての不動産会社経営でも安心して始められます。

ウサギがシンボルマークとなっている「全日」の正式名称は「全日本不動産協会」で、昭和27年に公布された宅地建物取引業法に基づき、同年10月に設立されました。不動産業界の中ではもっとも歴史のある、内閣総理大臣認定の公益社団法人です。

主な活動は不動産に関する調査研究・不動産情報流通事業・各種教育研修・不動産情報の広報事業・不動産取引の相談事業の5つです。新規開業を検討される方のサポートはもちろん、実績のある不動産会社の支援にも定評があります。

【分野別】全宅連と全日本不動産協会の違い

全宅連と全日本不動産協会は、どちらも不動産経営を手厚くサポートしている団体ですが、正式名称やマークなどに違いがあります。

全宅連全日
正式名称全国宅地建物取引業協会連合会全日本不動産協会
設立昭和42年9月昭和27年10月
シンボルマークハトウサギ

もし顧客から尋ねられた場合、不動産営業マンなら正しく答えておきたいところです。また、入会金や会員数なども異なっているため、次項から双方の違いについて詳しく解説していきます。

入会金総額を比較

まずは入会金の総額を見ていきましょう。全宅連は、各都道府県に設置されている宅建協会ごとに入会金の費用が異なるので、ここでは東京都宅地建物取引協会(本店)と、全日本不動産協会(本店)の入会時にかかる費用の総額を比較していきます。

東京都宅地建物取引協会(本店)全日本不動産協会(本店)
入会金500,000円315,000円
会費(年額)48,000円33,000円
印刷物代2,000円
保証協会(※1)入会金200,000円80,000円
弁済業務保証金分担金600,000円600,000円
保証協会年会費6,000円12,000円
その他(※2)131,000円114,800円
合計1,485,000円1,156,800円

※1保証協会の正式名称は各団体で異なる
※2入会時に必要な経費ではあるものの、共通項目ではないため金額をまとめて記載

参考:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 東京都宅地建物取引業協会 「入会応援パック」
参考:公益社団法人 全日本不動産協会 東京都本部 「入会諸費用」

年会費は入会月によって異なりますが、4月入会で計算した場合、全日本不動産協会の方が全宅連よりも30万円ほど安く入会できます。ただし、どちらの不動産協会も入会金が割引になるキャンペーンを行うことがあるので、タイミングによっては全宅連の方が安くなるケースもあることは覚えておきましょう。

会員数を比較

次に会員数を比較してみましょう。

全宅連全日本不動産協会
会員数約100,000社33,094社(2021年4月末現在)

会員数は圧倒的に全宅連の方が多く、約67,000社の差がついています。会員数が多ければ、その分ネットワークが広がり、豊富なネットワークが新たな仕事に繋がる可能性もあるので、特に開業したばかりの会社にとって全宅連に加入するのはメリットが大きいといえます。

保証協会を比較

保証協会は、宅地建物の取引を行ううえで生じることのある、苦情の解決や弁済業務を代行してくれる組織です。どの保証協会でも、不動産業をサポートしてくれますが、全宅連と全日本不動産協会の保証協会もチェックしておきましょう。

全宅連全日本不動産協会
保証協会公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会公益社団法人不動産保証協会

サービス内容を比較

加入するうえで重要となるのがサービスの質です。全宅連も全日本不動産協会もあらゆるサービスを提供しており、内容はほとんど同じなので問題はありませんが、加入を検討する際の参考にしてください。

サービス内容全宅連全日本不動産協会
開業時に必要な営業保証金の免除
Web書式作成システム
税務・法務無料相談
キャリアサポート研修制度
セミナーの開催×
レインズの利用
法定講習の実施
情報誌やインターネットによる情報提供
コールセンター×
会員支援制度×○(全日オリジナル)
会員支援事業○(全宅連オリジナル)×

参考:公益社団法人 全日本不動産協会 「街と人の未来をつなぐ」
参考:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 「ハトマークサポートガイド」

全宅連も全日本不動産協会も、開業時だけでなく経営を続けるうえで必要なサービスを取り揃えているので、サービス内容に関してはほとんど差がありません。

不動産団体(全宅連・全日本不動産協会)に加入すべき理由

不動産団体に加入するには、入会金や年会費などの費用がかかります。起業をするときには何かとお金がかかるので、加入するのはもったいないと思うかもしれません。しかし、お金を払ってでも加入すべき理由があります。

営業保証金で預ける額が抑えられる

不動産団体に加入すると、営業保証金で預ける額を抑えることができます。宅建業法では、不動産業を開業する際に「営業保証金の供託」をしなければならないと定められています。営業保証金の金額は1,000万円であり、用意できず悩んでしまう方も少なくありません。

しかし、全宅連や全日本不動産などの不動産団体に加入すると、営業保証金1,000万円が免除となり、60万円の分担金(※)で開業できます。つまり、開業時にかかる費用を940万円抑えられるというメリットが得られるのです。

※分担金は、入会時に払う「弁済業務保証金分担金」のことを指す

レインズの利用ができる

不動産団体に加入すると、レインズを利用できます。レインズは、国土交通省の指定を受けた不動産流通機構によって運営されているコンピューターネットワークシステムで、不動産取引の円滑化、適正化を目的とした組織です。

レインズの不動産情報は、媒介契約制度に基づいて登録されています。安全に不動産取引ができるのはもちろん、過去の成約情報を見ることで、エリアや物件ごとの適正価格を把握することも可能です。

物件情報を登録すると、即時に全国の加盟不動産や仲介会社に情報が公開されます。早期売買が可能になるなどのメリットがあるので、不動産経営には欠かせない情報網といえます。

なお、売主であれば一部情報を閲覧できますが、個人情報を扱っているため、正式に会員登録をしている不動産会社でなければすべての情報を見ることはできません。

会員数や規模を求めるなら全宅連がおすすめ!

全宅連は、会員数や規模を重視する人におすすめの団体です。前述のとおり、全宅連の会員数は国内最大級であり、横の繋がりのネットワークが強いという特徴があります。また、青年部会や女性部会なども開催されるので、不動産経営への不安や悩みも相談しやすいといえます。

また、宅建士賠償責任保険に加入できるので、不動産経営に不安を感じる人や、万が一のトラブルに備えたいと考えている人にもおすすめです。不動産取引において、顧客への説明を間違えるのは厳禁です。しかし、人間ですから間違える可能性があることも事実で、顧客に損害を与えてしまうリスクがあります。

全宅連では、割安な保険料で宅建士賠償責任保険に加入できるので、気になる方は一度問合せてみることをおすすめします。

会費の安さを求めるなら全日本不動産協会がおすすめ!

全宅連も全日本不動産協会も、開業時に必要な営業保証金を免除してもらうことができますが、開業にかかる費用をより抑えたいという人は全日本不動産協会がおすすめです。先述した「入会金総額の比較」を見るとわかるように、全日本不動産協会の方が全宅連より総額が安くなっており、約30万円の節約が叶います。

また、起業時に広報や契約書作成を選任するスタッフを雇うのは、人件費の都合上難しいことがあるかもしれません。しかし、全日本不動産協会はホームページ作成や業務支援ポータルサイトなどWebサポートが充実しているので、スタッフの人数が少ない場合にもおすすめです。

全日本不動産協会には、「マイページメーカー」という無料のホームページ作成システムがあるので、手軽にホームページを作れます。また、独自の不動産情報システム「ラビ-ネット」では、レインズへの登録や公開指定ができるほか、契約書などもオンラインで作成可能なため、少ないスタッフでも効率よく業務を進められます。

全宅連と全日本不動産協会の違いを知って加入先を決めよう

全宅連も全日本不動産協会も起業後のサポートを受けられるので、加入するのはどちらでも構いません。会員数を重視するなら全宅連、コスト面を重視するなら全日本不動産協会など、自分が加盟したいと思う団体を選ぶのがベターです。

加入した後に悩まないよう、双方の違いを把握して自分にとってメリットが大きい方を選んでみてください。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。

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