記事公開日:2022/07/28
最終更新日:2022/09/18
仕事に集中しようと思っていても、気づいたら関係のないことをしていて「どうして集中できないんだ…」と自分を責めてしまうことはないでしょうか。集中してテキパキと仕事をこなし、残業せずに帰宅するためにも、集中力の維持に役立つコツや方法を事前に押さえておきましょう。
今回は、仕事に集中できない原因や具体的な改善策を紹介していきますので、なかなか集中できずに悩んでいるという方はぜひチェックしてみてください。
目次
可能であれば仕事に集中して取り組みたいものですが、どうしても途中で疲れてしまったり、他のことを考えたりしてしまうこともあるでしょう。「仕事中はずっと集中したい!」と考えても、そもそも休憩を取らずに集中力を維持することは難しいのです。
人が集中できる時間は90分が限度とされています。レム睡眠とノンレム睡眠のように、日中も集中力が高まる90分と眠気の出る20分が交互に現れるといわれており、90分を目安に休憩を挟む方も珍しくありません。
また、「15-45-90の法則」に沿って仕事や勉強をしているという方も多いのではないでしょうか。これは、人が集中できる時間は15分・45分・90分の3つであることを唱えた法則で、たとえば15分は特に集中できる時間とされており、深い集中力が求められる同時通訳者はこの15分を目安に交代するといわれています。
真ん中にある45分は一般的な集中時間で、学校の授業時間も40〜50分程度で設定されています。最後にある90分は、大学の講義やサッカーの試合などで採用されており、人が集中できる時間の限界といわれているのです。
人間の集中できる時間は90分が限度とされているため、仕事の時間を90分で区切って休憩するというサイクルを回すことが有効なように思えます。しかし実際のところ、「90分間も集中できない」という方も多いのではないでしょうか。そのような方は、比較的短時間での集中・休憩を繰り返すサイクルから始めてみると良いでしょう。
たとえば、「ポモドーロテクニック」という時間管理術を試してみましょう。作業時間を25分に設定し、タイマーが鳴ったら5分休憩します。この「25分作業+5分休憩」を4回繰り返したら、15〜30分程度の休憩を取り、作業全体の進捗を確認しましょう。
25分という短い時間であれば集中しやすい他、適度に休憩を挟むことで疲れにくくなります。また、業務を細かく分解できるため、全体の作業量を把握しやすいといった点もメリットです。
また、株式会社ベネッセコーポレーションと東京大学 薬学部の池谷裕二教授が行った実験によると、60分学習を行ったグループよりも、休憩を挟みながら15分学習を3セット(45分)行ったグループの方が、学習した内容が定着しているという結果が出ています。
※参考 株式会社ベネッセコーポレーション 「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」
この実験結果からも、短時間と休憩を繰り返すことの重要性がわかるのではないでしょうか。無茶な目標を立てるのではなく、自分に合ったサイクルを回し、作業全体の効率化を図りましょう。
「仕事に集中できない!」と悩んでいる人がいる一方で、集中して仕事に取り組んでいる人もいます。仕事に集中できない人にはいったいどのような特徴があるのでしょうか。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産営業であれば、顧客対応から内見、事務処理など膨大な仕事をこなす必要があり、目の前にはタスクが山積みという状況も多いでしょう。素早く処理しようと、あれもこれも同時に作業をしていると、一見効率が良さそうに見えますが、このようなマルチタスクは脳を疲れさせる原因です。脳が疲れると集中力は落ちてしまうため、1つの作業が終わるまで他の作業に手をつけない「シングルタスク」で仕事を終わらせていきましょう。
単純作業が続いたり、長時間作業が続いたりすると、途中で飽きてしまうのもうなずけます。このような飽き性な方は、単純作業に工夫を加え、自分なりの価値ややりがいを見出してみると良いでしょう。
業務量を把握したり、締め切りから逆算してスケジュールを立てたりできれば、どの作業から取り掛かるべきか優先順位をつけられます。しかし、計画性がないと優先順位の低い業務から手をつけたり、余計な仕事を引き受けたりしてしまい、膨大な業務量を前にパニックになってしまうことも珍しくありません。
人によって異なりますが、主に以下の5つが仕事に集中できなくなる原因といわれています。
自分はどのケースに該当するのかどうか、1つずつたしかめながらチェックしてみてください。
睡眠不足や疲労、肩こりや頭痛といった体調不良があると、仕事に集中できません。ゲームや動画視聴で夜更かしをしたり、残業が多かったりして休めていない場合があります。疲労が溜まった状態では脳も働かなくなるため、集中力も低下してしまうのです。
また、不動産営業の場合、内見で車を運転することも多いため、睡眠不足による交通事故にも注意しなければなりません。
姿勢の悪さも集中力低下の原因です。気づいたら猫背になっている人も多いですが、猫背は胸部を圧迫し呼吸が浅くなります。そうすると、酸素が脳に行き渡らずに集中力が落ちてしまうのです。
また、姿勢の悪さは首や肩へ大きな負荷をかけます。過度な負担は頭痛や肩こりを招き、これらにより集中力が続かなくなるおそれもあります。
テレワークの推進により、自宅で仕事をする機会が増えたという人も多いでしょう。自宅は職場よりも誘惑が多く、気も緩みがちです。TVを見たり、漫画を読んでしまったりして仕事に集中できないということも考えられます。
また、職場でもスマートフォンの通知が目に入ってしまい、そこで集中力が途切れてしまうことも少なくありません。人によっては、業務のメールだけでなく、TwitterやLINEなどSNSの通知も頻繁に届くでしょう。通知が目に入るだけでも脳への刺激となり、さらにSNSを開くとマルチタスク状態になるため集中力が続かなくなってしまうのです。
仕事量が多すぎると、どこから手をつけていいかわからなくなり軽いパニックに陥ります。思考がまとまらず、考え方に一貫性がなくなることでも集中力はなくなるのです。
仕事場の環境が悪いことで集中力が続かなくなってしまうこともあります。たとえば、同僚の話し声が大きかったり、デスクの周りが散らかっていたりすることで集中力が途切れてしまうことも珍しくありません。また職場の人間関係が悪く、陰口や悪口が常態化しているような場合、「もしかしたら嫌われているのかも」と気になり仕事が捗らなくなってしまうおそれがあります。
仕事に集中できないときには、以下の5つの改善策を試してみましょう。
どれも手軽にできる方法なので、自分に合ったものを実践してみてください。
仕事の量が多くて何から手をつけていいかわからない場合、やるべきタスクを書き出してみましょう。脳が混乱した状態では優先順位がつけられないうえに、「仕事が終わるのか?」といった不安が押し寄せ集中できません。
業務を細かく分解してタスクとして書き出すと、頭の中でまとまらずにいた情報が整理され、今やるべきことが見えてきます。優先順位が高い順に取り掛かり、短時間で仕事を終わらせましょう。
デスクを掃除して余計なものが視界に入らないよう、仕事場の環境を整えましょう。また、自宅であれば本棚やTVにカバーをしたり、スマートフォンの通知を切ったりするのも良いでしょう。工事の騒音が気になるなら、ワイヤレスイヤホンを持ってコワーキングスペースやカフェで作業をするのもおすすめです。
「集中できない」と思った時点で休憩を取りましょう。先述のとおり、人間の集中力は90分が限界で、短時間の作業と休憩を繰り返すのがベストとされています。
集中力が落ちたままだらだらと作業を続けていると、業務が終わらないだけでなくケアレスミスにも繋がります。思い切って休憩を取り、外の空気を吸ったりストレッチをしたりしてから再度業務に取り掛かりましょう。
残業が続いたり夜更かしをしたりすると、十分な睡眠が取れず寝不足のまま会社に行くことになるため注意が必要です。夜は睡眠の質を高めて眠り、そして朝に食事を取れば生活リズムは整います。集中力が続かず、生活リズムが乱れているようなら日々の生活を見直してみましょう。
「今日の業務を時間内に終わらせたらお寿司を食べよう」といったご褒美を決めておくのも改善策のひとつです。たとえば、楽しい旅行中はワクワクして早起きしてしまうものです。楽しいときはドーパミンというホルモンが出ますが、これから起こる楽しいことを考えたときにもこのドーパミンは出るといわれています。
事前にご褒美を決めておけば、ドーパミンが出た状態で仕事に取り組めます。モチベーションが上がって集中力も高まるため、お酒やスイーツなど自分にとって最適なご褒美を用意しておきましょう。
「面倒だから」「やる気がない」からと、集中できない状態をそのままにしておくと、以下のようなトラブルが起きてしまうかもしれません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
集中が続かないということは、本来であればすぐに終わる業務も終わらなくなります。生産性が低下してしまうだけでなく、ケアレスミスも多くなってしまうため、確認不足により顧客や取引先に迷惑をかけることも考えられるでしょう。
生産性が低下してミスが多くなると、上司や先輩からの評価が下がります。ビジネスパーソンは、限られた時間の中でパフォーマンスを発揮しなければなりません。しかし、期限内に終わらなかったりだらだらと仕事をしたりしていると、場合によっては左遷や降格などの処分に繋がるおそれがあります。
前述のとおり、集中力の低下はミスに繋がり、周囲との関係にヒビが生じます。このような状況が続くと次第にストレスが溜まっていき、うつ病や適応障害など精神的な症状に苦しむことになるかもしれません。悪化すると仕事を続けること自体が困難となるため、何らかの症状が出ている場合には医師に相談して適切な治療を受けるようにしてください。
どんなに優れたビジネスパーソンであっても、集中力を長く保つのは難しいことといわれています。無理して「これから3時間集中しよう!」と思っていても、途中で疲れたり他のことをしたりしてしまうため、自分にとって最適な集中と休憩のサイクルを見つけて実践することが重要です。また、体調や環境によっても集中力は左右されるので、「自分には何が欠けているのか」を考えながら集中力のアップに努めてみてください。