記事公開日:2022/07/21
最終更新日:2022/09/18
営業活動などのビジネスシーンにおいて、さまざまな心理テクニックが活用できるのをご存知でしょうか。心理効果をうまく活用することで、商品やサービスに興味がなかった消費者に対して、違った角度からのアプローチが叶います。
心理テクニックにはさまざまな種類がありますが、今回はその中でも有名な「バンドワゴン効果」について、具体的な事例やコツなどを交えながら解説していきます。心理学を学び、営業の成績をアップさせたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
バンドワゴン効果とは、数ある選択肢の中で大勢の方が選択しているものがさらに選ばれるという心理のことです。たとえば、行列ができているラーメン店Aと人がまったくいないラーメン店Bの場合、Aの方に興味がそそられるという人は多いのではないでしょうか。これが、バンドワゴン効果の一例です。
バンドワゴンとは、行列の先頭にいる楽隊車のことを指します。バンドワゴンは賑やかで人目につきやすく、バンドワゴンを見ると「何か良いことが起こりそう」と思うのが心情で、バンドワゴン効果という呼び名はここからきているとされています。
また「バンドワゴンに乗る」という言葉は、「時流に乗る」「勝ち馬に乗る」などといった意味でも使われており、成功する要素のひとつといわれることも少なくありません。なお、このバンドワゴン効果は主に経済学や政治学、社会学でたびたび登場しますが、それ以外のさまざまな企業のマーケティングでも多く使われています。
・多数が選択している方に人が集まるという効果
・人が集まるものに注目が集まりやすい心理を利用
・さまざまな企業がマーケティングで活用
バンドワゴン効果の逆の心理テクニックに、「スノッブ効果」というものがあります。注目が集まると需要が高くなるバンドワゴン効果とは異なり、注目が集まると需要が低くなるのがスノッブ効果です。これは、似たような商品やサービスが世の中に増えると、人はそれとは違う商品・サービスに興味をそそられてしまうためです。
バンドワゴン効果 | 注目されるほど多くの人からの関心を集める |
スノッブ効果 | 注目度が高まることで人々の需要が少なくなる |
たとえば、旅行中に「地元の人しか知らないもの」を教えてもらい、つい買ってしまったという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。数量限定や地域限定など希少性のある商品は、このスノッブ効果によって高い販売数を誇っているとされています。
・バンドワゴン効果とは真逆の効果
・注目が集まると需要が低くなる
・他の人と差別化したいという心理が働く
バンドワゴン効果についてさらに詳しく知るために、ここからは以下のカテゴリー・分野別でバンドワゴンの事例について見ていきましょう。
ビジネスシーンだけでなく日常生活でも活用できるため、気になるものがあればぜひ自身の実生活に取り入れてみてください。
多くの有権者を集めたい選挙活動において、バンドワゴン効果の活用は欠かせません。たとえば、選挙演説に多くの人が集まっていると、「著名な方が演説をしている」と考えさらに演説を見る人が増えるでしょう。
また選挙活動においては、有力候補として注目を集めている候補者に票が集まりやすいといわれています。このような現象も、集団心理を使用したバンドワゴン効果のひとつです。
広告において、このようなキャッチコピーを目にしたことはないでしょうか。
これらすべてのキャッチコピーは、いかに商品・サービスに人気があるかを証明するためのものです。このようなキャッチコピーを目にすると、多くの人が「こんなにすごいものなら自分も試してみようかな…」と思うことでしょう。この心理現象こそがバンドワゴン効果です。
SNS上では、フォロワーが多く影響力を持つ方をインフルエンサーと呼びます。そのようなインフルエンサーが紹介するものや場所は、「あの人がおすすめしているから利用してみたい」と多くの人の関心を集めるでしょう。
また、知らないアカウントでも「いいね」や「リツイート」の数が多い投稿に興味を持ったという経験はないでしょうか。近年では、多くの人がSNSを通じて情報収集をしているため、バンドワゴン効果を活用すれば効率の良い宣伝活動が叶います。
マーケティングだけでなく、日常生活の恋愛においてもバンドワゴン効果を確認できます。たとえば、著名な芸能人の方は「人気がある」という理由だけでさらに人から注目されることがあります。これもバンドワゴン効果のひとつです。
また、他の人が好きな異性のことが気になるのも、バンドワゴン効果の一種です。そのため、多くの人から関心を集めたいと考えている人は、自分に人気があることを周囲に対してアピールすると良いかもしれません。
投資においても、バンドワゴン効果を活用することは可能です。たとえば、株価が高騰して注目度が高まっている銘柄の株は、それだけで多くの方の興味・関心を集めます。ニュースなどで話題になる企業の株も、バンドワゴン効果のおかげでさらに株価が上がる傾向が見られます。
以前はさほど注目されていなかった暗号通貨への投資も、SNSで取り上げられるとたちまち価格が高騰しました。このような現象も、バンドワゴン効果の影響です。
特にマーケティングにおいて効果の高いバンドワゴン効果ですが、より効果を出すためには以下の3つのコツを押さえておく必要があります。
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
バンドワゴン効果とスノッブ効果を掛け合わせることでさらなる効果が期待できます。たとえば、商品やサービスのマーケティングの場合、以下のような制限をかけることでバンドワゴン効果がさらに高まることでしょう。
このような制限がかかると、商品やサービスに希少価値が生まれます。人気のある商品・サービスに制限がかかると入手しにくくなるので、実店舗であれば長蛇の行列が予想されます。また不動産営業の場合、大家さんと相談してフリーレントの特典をつけて入居者を募るケースも少なくありません。
対面契約の場合は、アポイントの日程をあえて限定するのも効果的です。「忙しい」「予定が詰まっている」などをアピールすることで希少性が増し、バンドワゴン効果がさらに高まります。
いくら「人気の商品です!」と伝えても、何か具体的な証拠がないと信じてもらえないかもしれません。そのような場合は、「販売数累計◯◯万個突破!」など、どれくらいの売れ行きや人気度があるかを提示して顧客の興味を引きましょう。また、商品を店舗内で陳列している場合は、陳列棚の一部をわざと空けておき、需要の高さをアピールするのも有効です。
実際に利用した顧客の声や評判を提示することも、バンドワゴン効果をさらに活かすことに繋がります。たとえば、○○グランプリ第一位など誇らしい実績を書いた看板を店舗の前に設置するのもひとつの手です。お店のホームページにも載せておき、さまざまな方面で集客率のアップを図ってみてください。
バンドワゴン効果以外にもさまざまな心理テクニックがありますが、ここではマーケティングに活用できる4つの行動心理学を紹介します。
比較的手軽に実践できるものもありますので、ぜひ自身の仕事に取り入れてみてください。
アンダードッグ効果効果とは、勝負や投票などで不利な状況であると思われている方に同情票が集まる心理効果のことです。たとえば格闘技の試合で大柄の選手と小柄な選手が戦う場合、小柄の選手を応援したくなるでしょう。これがアンダードッグ効果です。
マーケティングにおいては、不利な状況でも頑張る状況を見せたり、弱い一面を見せて同情を誘ったりといった使い方ができます。たとえば、商品・サービスの買い手がつかないことを正直に伝えたり、人気がないことを正直に伝えたりして顧客からの信頼を得るといった具合です。
・不利な状況の方を応援したくなる心理効果
・顧客の同情を集めることに活用できる
誰かに見せびらかしたいという気持ちを利用し、人の購買意欲を駆り立てるのがヴェブレン効果の特徴です。これは高級ブランドのアイテムや限定商品に興味を持っている方に効果的で、そのためマーケティングで活用するには商品・サービスの付加価値を高めることが重要です。付加価値を高めて「誰かに自慢したい!」と思えるような商品であれば、このヴェブレン効果によって購入者数の増加が期待できます。
・見せびらかしたいという心理を利用して購買へと導く
・商品やサービスの付加価値を高めることが重要
社会的証明とは、自分ではなく他の人の判断によって自分の行動を決定するという心理のことを指します。この社会的証明は、バンドワゴン効果とほとんど同じ意味を持つとされており、行列のできている飲食店がおいしいだろうと考えるのは、バンドワゴン効果であり社会的証明でもあるといえます。
社会的証明は、どれくらいの多くの人に利用されているかが重要です。利用者数があまり多くない商品・サービスには、社会的証明があまり起こりません。そのため、社会的証明をマーケティングで活用する際には、多くの顧客を納得させる実績やレビューを集めることから始めてみてください。
バンドワゴン効果とは、大勢の人が選んでいるものやサービスがさらに選ばれるという心理のことで、これはマーケティングだけでなくさまざまなシーンで活用できます。
また、バンドワゴン効果以外にも興味深い心理効果はたくさんあります。今回ご紹介した心理効果はもちろん、他にも自身の目標達成に繋がるようなものがあればぜひ取り入れてみてください。