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両面提示の法則とは?一般・賃貸仲介営業で活きるシーンや例文も紹介

記事公開日:2023/09/28

最終更新日:2023/10/12

両面提示の法則

営業をするとき、顧客にメリットばかりを伝えていませんか?人は良いことばかりを伝えられても、逆に不信感を抱くことがあります。そんなときに知っておくと良いのが、両面提示の法則です。ビジネスシーンや賃貸仲介営業では、心理学を応用した営業戦略を取り入れることがあります。両面提示の法則は、営業活動をするうえでセールストークにとても役立つ法則です。

今回は、両面提示の法則を用いるメリットや、活用できるシーンについて解説していきます。営業成績が伸びないと悩んでいるビジネスマンや賃貸仲介営業マンは、ぜひ参考にしてみてください。

※下記の関連記事では賃貸営業で成功するためのコツを解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

両面提示の法則とは?

両面提示の法則は、情報伝達において、2つの側面または視点を提供することが効果的であるというアイデアに基づくものです。両面提示の法則は、肯定的な側面(良い点)と否定的な側面(悪い点)をバランス良く提示することで、他人にアピールします。物事の両面を提示することにより、受け手は情報をより全体的に理解し、より適切な判断を下せるのです。

この法則の背後にある考え方は、人々が単一の視点や情報だけを提供されるよりも、複数の視点を持つことにより合理的な意思決定につなげることです。肯定的な情報だけを提供すると、受け手は情報に対する信頼性を失うことがあります。何かが完璧だと主張されると、人々は逆に疑念を抱くものです。情報伝達や説得のプロセスにおいて、人々に情報を効果的に伝えるために重要な法則であり、営業、ビジネスプレゼンテーションなど、さまざまなシーンで活用できます。

両面提示と片面提示の違い

「両面提示」は心理学用語ですが、「片面提示」という言葉もあります。片面提示は、情報の肯定的な側面だけを伝える方法で、否定的な側面について触れないことが多いです。片面提示は、伝える内容や相手との信頼関係の違いなどによって、使い分けるのが有効です。

また、片面提示では、話し手が情報の一部を省略することがあり、それによって信頼性が低下する可能性があります。また、完全な情報を提供しないため、一時的には肯定的な感情を喚起するかもしれませんが、情報の不完全性や偏りが明らかになると、受け手の信頼が揺らぐ可能性もあるのです。片面提示は、すでに信頼関係が構築されている相手に用いるのが良いでしょう。

両面提示の法則を活用するメリット

ビジネスシーンや賃貸仲介営業においては、情報のメリットとデメリットの両方を理解・比較検討し、最終決定をする必要があります。そのため、両面提示の法則を活用することがとても有効です。ここでは、両面提示の法則を活用するメリットを3つ紹介します。活用するメリットはこちらです。

  • 相手との信頼関係が築きやすい
  • 説得力が増す説明をできる
  • クレーム予防になる

メリットをきちんと理解したうえで、ビジネスや賃貸仲介営業に活用していきましょう。

相手との信頼関係が築きやすい

まず、両面提示の法則は、相手との信頼関係を築きやすいことがメリットです。一方に偏った提示ではなく、情報の両面を提示することで、相手は尊重されていると感じます。この尊重の意識が信頼関係の基盤となり、信頼関係を築きやすくなるのです。

また、両面提示は、対話の透明性を高めることも特徴です。複数の選択肢や視点を提示することで、情報の偏りや隠しごとが少なくなります。相手は情報を操作されているわけではないことを理解し、信頼感を持ちやすくなります。

信頼関係を築くことは、ビジネスや賃貸仲介営業においてとても重要なことです。両面提示の法則をうまく活用すれば、相手との信頼関係も生まれ、成果につながっていくでしょう。

説得力が増す説明をできる

両面提示の法則は、説得力を高めるコミュニケーション戦略の一つです。一方的な情報提供ではなく、バランスのとれた情報提供をすることにより、情報が客観的で公正であると感じられ、信頼性が向上します。説明が偏らないため、相手はより説得力を感じやすくなるのです。また、 反対意見や欠点を率直に認識し、説明する姿勢は客観的であり、説得力が増します。

さらに、自身の提案に対する反対意見や批判をあらかじめ提示することで、それに対する備えを持つことが可能です。このため、相手が反論を試みる際には、より検討が行き届き、説得力のある反論を行えます。そして、お互いが合意に達しやすくなり、意見の対立も軽減できるのです。

クレーム予防になる

両面提示の法則を活用することによって、クレーム予防になるというメリットも生まれます。両面提示は、情報提供者が隠しごとや、情報を操作していないことを示す重要な手段です。相手は情報が偏っていないと感じ、情報提供者に対する信頼を高めます。これにより、不正確な情報に基づくクレームや不信感の発生を防ぐことが可能です。

ビジネスや賃貸仲介営業では、あらかじめ顧客に欠点やリスクを伝えることで、顧客は期待を調整して適切な判断を下せます。その結果、契約成立後に「こんな欠点は聞いていなかった」というクレームが発生する可能性も低くなるでしょう。

クレームを予防できれば、顧客と長期的な関係を築けて、ビジネスチャンスも広がります。両面提示の法則を活用することは、顧客との信頼関係を築き、クレームの発生を最小限に抑えることが可能です。

両面提示の法則の活用で注意すべき3つのこと

両面提示の法則は、ビジネスシーンや賃貸仲介営業においてとても有効な手段です。しかし、活用する際には、以下の注意すべき点があります、

  • デメリット→メリットの順番で話す
  • メリットとデメリットを関連づけて説明する
  • デメリットを強調しすぎない

両面提示は、情報の否定的な側面(デメリット)も提示するので、使い方を間違えると信頼を失う可能性もあります。使用する際には、ぜひこの注意点を参考にしてみてください。

デメリットメリットの順番で話す

両面提示の法則を活用する際には、最初にデメリットを提示し、それからメリットや解決策を紹介することが重要です。デメリットを最初に提示することで、相手に対して誠実さと信頼性を示せます。デメリットを率直・誠実に伝えることで、信頼できる相手として受け止めてもらうことが可能です。これにより、相手はあなたが問題を隠そうとしていないと感じ、それ以降のあなたの話を信じやすくなるでしょう。

また、デメリットを最初に提示することで、相手は問題の重要性を理解しやすくなります。問題点が先頭にあるため、相手はそれに焦点を当て、その解決策やメリットを受け入れられます。デメリットを率直・誠実に提示してから、具体的な解決策やメリットを提案することで、相手を納得させやすくなるのです。

なお、コミュニケーションの途中には、相手の反応を注意深く観察しましょう。デメリットを提示した後、相手がどのように反応しているかを把握することは重要です。相手の質問や懸念に対応し、適切に解決することも成約率アップにつながります。

メリットとデメリットを関連づけて説明をする

両面提示の法則においては、デメリットを提示するだけでなく、それが何らかの形でメリットにつながることを示すことで、提案やアイデアをより魅力的に伝えられます。

例えば、賃料が高い物件を提案する場合、その物件には月々の支払額が高くなるというデメリットがあるかもしれません。しかし、高い賃料を支払うことで、充実した設備が搭載された部屋で快適な生活を送れるうえに、住宅性能の向上で光熱費が下がるというメリットが生まれます。このメリットとデメリットを関連づけて説明することが、とても大切です。

なお、このアプローチを活用する際に伝える情報が複雑化しすぎると、相手を困惑させる可能性があります。デメリットとメリットを関連づけるときは、シンプルかつ明快な説明を心がけましょう。デメリットと思える内容がメリットにつながっていると、相手に信頼感や説得力を与えられます。

デメリットを強調しすぎない

両面提示の法則では、デメリットを強調しすぎないことも大切です。デメリットを強調しすぎると、情報が不均衡になり、相手が誤った判断を下す可能性が高まります。

また、デメリットを強調しすぎると、相手に不信感を与えてしまい、悪い結果に終わってしまうことがあります。過度にネガティブな情報を提示すると、相手は情報提供者を信じなくなり、情報の信頼性も低下するのです。デメリットは、20%以下に抑えておくのが良いでしょう。

もちろん、デメリットを無視することは問題です。デメリットを提示しないと情報は不完全であり、相手は必要な情報を欠いたまま判断を下すことになります。デメリットを適切に提示することは、相手に全体像を理解させ、より適切な判断をサポートすることにつながるのです。

賃貸仲介営業の現場では、ある物件に誘導するために、他物件のデメリットばかりを強調する営業マンもいます。しかし、そのような営業手法では、あなたへの信頼性はどんどん下がってしまうので注意が必要です。

一般・賃貸仲介営業で両面提示の法則が活きる具体的なシーン

ここからは、両面提示の法則が活きる具体的なシーンを紹介していきます。これまでに紹介したメリットや注意点を意識すれば、誰でも簡単に実践することが可能です。今回は、不動産仲介営業以外の業種でも使える例文も記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産賃貸仲介営業:物件提案/賃料交渉/契約の際の説明シーン

顧客に物件を提案するシーン

例文:「この物件は夜間の電車の音が少し気になるかもしれません。しかし、駅から近く、通勤には非常に便利です。」

賃料交渉を行うシーン

例文:「この物件は周辺の物件より少し賃料が高めです。その分、新築なので内装がとても綺麗です。」

契約の際の説明シーン

例文:「この物件は管理費が月々5,000円かかりますが、セキュリティが強化されており、オートロックや防犯カメラが完備されています。」

自動車販売営業:新型車を顧客に紹介するシーン

例文:「この新型車は前モデルに比べて価格が若干高くなっております。その分、燃費が良く、先進の安全装置が搭載されています。」

B2Bソフトウェア営業:企業向けの新しいソフトウェアを提案するシーン

例文:「このソフトウェアは導入初期に研修が必要になるかもしれません。しかし、ユーザーインターフェースが洗練され、使いやすさがとても向上しています。」

保険営業:新しい保険商品を顧客に紹介するシーン

例文:「この保険は比較的若い方や健康な方には、少し保険料が高めに設定されています。その分、幅広いカバレッジがあり、特に病気や怪我に強いポイントがあります。」

広告代理店営業:顧客企業に新しい広告戦略を提案するシーン

例文:「この新しい戦略は、ターゲットではない中高年層にはやや響きにくい面も考えられますが、若年層には非常に効果的であり、SNSでの拡散力も高いです。」

まとめ

ビジネスシーンや賃貸仲介営業では、相手からの信頼性を高めることが成果につながります。両面提示の法則は、相手からの信頼性を高めるためにとても役立つ伝達手段です。特に、相手の信頼関係がまだ築けていない場合は、デメリットとメリットの両面を提示することにより、相手は商品への理解を深められるうえに、あなたへの信頼性も増して説得力も高まります。

両面提示の法則の活用する際には、今回紹介した①デメリット→メリットの順番で話す、②メリットとデメリットを関連づけて説明する、③デメリットを強調しすぎないことを意識すれば、誰でも簡単に実践できます。思うように成果が出ていないビジネスマンや賃貸仲介営業マンは、ぜひ参考にしてみてください。

さらに、両面提示の法則は事前にデメリットを伝えるので、クレームを防ぐことも可能です。クレーム対応に追われると時間を奪われ、その他の仕事にも影響してきます。クレームがなければ、顧客と良好な関係を長期間築けるので、次のビジネスチャンスにもつながっていきます。ビジネスマンであれば、両面提示の法則をしっかり理解して活用していきましょう。

記事の監修者_てつなり

てつなり

この記事を書いた人

賃貸仲介営業として、関西で数多くのお客様にお部屋を紹介。入居後のトラブルサポートもしており、賃貸生活についての知識は豊富です。現在は、宅建の資格と賃貸仲介営業スキルを活かし、WEBライターとしても活動しています。グルメや旅行が大好きで、時間あればいろんな場所に足を運んでいます。日本各地のおすすめグルメやスポットを紹介するブログも運営中。

■現在の職業・肩書き・資格など
賃貸仲介営業マン / ルームアドバイザー / 宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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