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カタルシス効果とは?営業で活用するためのタイミングについても解説!

記事公開日:2022/06/02

最終更新日:2022/09/18

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多くの営業マンは、自身の目標を達成するためにさまざまなテクニックを使って顧客にアプローチしています。活用するテクニックは人によって異なりますが、心理学を使った営業テクニックを駆使して契約を獲得している方も珍しくありません。

今回は、心理学のひとつである「カタルシス効果」について、主な概要や活用する際のおすすめのタイミング、重要なポイントまで詳しく解説します。今までとは違った方法で営業成績を上げたい人や、営業成績に関して悩みがある人はぜひ参考にしてください。

カタルシス効果とは?

心理学用語のひとつであるカタルシス効果とは、不安・不満・怒り・悲しみ・悩みなどのネガティブな気持ちを口に出すことで、気持ちがやわらぎ安心感を得られる現象のことです。マイナス感情に襲われたとき、モヤモヤした気持ちを口に出してスッキリしたという経験を持つ方も多いのではないでしょうか。これがカタルシス効果の代表例です。

ネガティブな気持ちを自分の中で抑えると、強いストレスとなって身体にさまざまな影響をおよぼします。反対にそのような気持ちを口に出して発散することで、感情が整理されて心が落ち着いてきます。独り言でも効果はありますが、モヤモヤする気持ちを他者に話すとより効果的です。

カタルシスの語源は、ギリシア語で浄化の意味がある「katharsis」からきています。カタルシス効果は昔からさまざまなシチュエーションで用いられており、精神療法のひとつとしても活用されています。

カタルシス効果が発揮しやすいシーン

カタルシス効果は、営業活動以外にも以下のようなシーンで発揮されます。

親や友人、パートナーと接しているとき

カタルシス効果は自分だけでも得ることができますが、他者との交流の中で実感することも可能です。人は自分について話すときに、脳の中の快感レベルが上昇するといわれています。これも一種のカタルシス効果です。

また、カタルシス効果を高めたい場合、自分にとって信頼できる人を選びましょう。家族や親しい友人、恋人などのパートナーであれば、自分の内なるマイナス感情を吐き出しやすいです。距離の近い相手に話を聞いてもらうだけで、想像以上のカタルシス効果が期待できます。

また、不安・不満・怒り・悲しみ・悩みなどのネガティブな気持ちを人に伝えると、これまでわからなかった自分の本音にも気づけます。これによって感情が整理され、これまで抱えていたモヤモヤが晴れることも珍しくありません。

芸術に触れているとき

映画や美術作品、歌などの芸術に触れるなど、普段は経験できない感動が生まれることでもカタルシス効果が表れます。

「自分と同じシチュエーションの主人公の姿に共感した」「素敵なピアノの旋律に触れて元気が出た」「絵画を見て涙が出てきた」などの感情・反応はすべてカタルシス効果によるものです。言葉では表現できない芸術作品は、心を強く動かす源ともいえます。

また、芸術作品を味わうだけでなく、自分が創作する場合でもカタルシス効果は生まれます。このようなカタルシス効果は芸術療法でも用いられ、絵画の制作や作詞・作曲などさまざまな活動に力を入れている方も珍しくありません。なお、ストレスが溜まったから料理をして発散しているという人も、カタルシス効果を得ていると考えられます。

涙を流したとき

「泣いたら心のモヤモヤが解消した」という経験をされたことのある人も多いのではないでしょうか。涙を流すことはストレス解消に効果的で、近年では意図的に泣くことでストレスを発散させる「涙活」も盛んに行われています。

涙は感情が動くことで発生するので、涙を流すほどの感動があれば大きなカタルシス効果に期待できます。さらに、感動で流す涙にはストレスホルモンが含まれているため、カタルシス効果の他、ストレスの解消にも効果的です。

また、涙を流すことで身体をリラックス状態に導くこともできます。涙を流すと副交感神経が働き、休息や睡眠と同じ効果が得られます。疲れた身体を労わることも可能なので、ネガティブな感情で心がいっぱいになったときは涙を流す「涙活」を実践してみてください。

カタルシス効果が与える良い影響

カタルシス効果は、安心感を得る以外にも3つの良い影響を与えてくれます。営業活動だけでなく、日常生活にも役立つカタルシス効果の影響について見ていきましょう。

ストレス解消効果が得られる

精神分析学の創始者によると、そもそもストレスとは、人間の本能的な性と暴力の衝動と、破壊的な本能のエネルギーが根本の原因といわれています。このような衝動的なエネルギーの対にあるのが、攻撃的な欲求を浄化するためのカタルシスです。

このような背景から、カタルシス効果には大きなストレス解消効果があるとされています。カタルシス効果は、抑えられていた感情が解放されることを意味します。ストレスも他のネガティブ感情と同じように抑えられている状態にあるため、カタルシス効果を発揮することでストレスの解消に繋がるのです。

日常生活で強いストレスを感じた場合、上記で説明したようなカタルシス効果を得られる行動を実践しましょう。暴言や悪口でもカタルシス効果を得ることができますが、これは根本的な浄化行動にはなりません。ストレスの解放に繋がらないため、健全な方法でカタルシス効果を得ることが重要です。

QOL(Quality of Life)が向上する

QOL(Quality of Life)とは、生活の質を指す言葉です。心身ともに健康な状態、良好な人間関係、やりがいのある仕事ができているかなどが自身のQOLを決める要素です。QOLに大きく関係のある心身の健康には、以下の5つの要素が不可欠です。

  • 十分な睡眠時間
  • 適度な運動
  • バランスの良い食生活
  • 定期的な休養
  • ポジティブな考え方

特に「定期的な休養」と「ポジティブな考え方」には、カタルシス効果が有効です。ストレスを取り除き、ネガティブな感情を浄化させることで、心身ともに健康な状態に近づいていきます。その結果、QOLが向上するのです。

脳の快楽レベルが上昇する

カタルシス効果は、脳の快楽レベルにも大きく影響します。たとえば、自分が抱えているネガティブな感情を他人に打ち明けることで、脳の快楽レベルは高まります。ネガティブな感情だけでなく、自分について話すことで快楽をもたらすホルモンが増えるという研究もあるほどです。

カタルシス効果の状態にあるときは、幸福物質と呼ばれるホルモンのセロトニンが放出される他、ストレスに打ち勝とうとするホルモンのノルアドレナリンの量も調整されます。これらの影響により脳の快楽レベルが上昇し、ストレスフリーの状態になります。

不動産営業で活用すべきカタルシス効果のタイミング

両手を前に出す男性営業マンの画像

ここまで紹介したカタルシス効果の作用は、営業活動にも効果的です。特に2つのシチュエーションで活用できるため、営業マンの人は参考にしてみてください。

顧客との距離を縮めたいとき

大事な顧客との距離を縮める際に、カタルシス効果は有効です。先述したとおり、自分のことを話すことによって、脳の中で快楽物質であるドーパミンが分泌されます。顧客の不安や悩みなどのマイナスな感情を引き出すことができれば、自身に対する信頼度を高める効果に期待できます。

受注に繋げたいとき

ネガティブな感情を相手に吐き出させると、顧客との仲間意識が強まります。「この人なら信頼できる」「この人が提案するサービスなら安心して購入できる」と判断してもらえれば、受注に繋がる可能性は大きくアップします。

そのために重要なのが、共通の課題を見つけるためのヒアリングを徹底的に行うことです。ヒアリングができていないとカタルシス効果が発揮されないため、相手にマイナス感情を吐き出させる状況を作り出しましょう。

カタルシス効果を狙うときに大切にしたいこと

カタルシス効果を狙う際は、5つのポイントを押さえてから行動に移す必要があります。これらのポイントを意識しないと、期待通りのカタルシス効果が得られません。それぞれの詳しい内容は以下のとおりです。

自分の意見を押し付けないようにする

カタルシス効果で重要なのが、相手のネガティブ感情に共感することです。ネガティブ感情に対して自分の意見を押し付けてしまうと、カタルシス効果が発揮されません。たとえ問題を解決する良いアイデアがあったとしても自分の意見を伝えるのは控え、まずは相手に共感しましょう。

共感をする際は、「そうですよね」「おっしゃるとおり」などといった肯定する言葉が効果的です。また、相手の目を見て適度にうなずくだけでも好印象を与えることができます。

心理的安全性を確保する

心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを安心して伝えることができる状態・環境のことです。心理的安全性が確保できないとネガティブな感情を吐き出しにくく、カタルシス効果が発揮できません。たとえば、細かいミスを執拗に責めてしまうパワハラ上司がいる組織の場合、心理的安全性が確保できていない環境といえます。

相手が話しやすい場所・時間帯・雰囲気であるかを判断し、そうでない場合は環境をあらためるなどの改善を行いましょう。もちろん、自身の挨拶や言葉遣いにも気を配る必要があります。

信頼関係を大切にする

ネガティブな感情を聞いてもらおうとしたとき、自分にとって信頼している人を選ぶのが一般的です。これと同様に、カタルシス効果を得るためにはお互いの信頼関係が特に重要とされています。

何度かコミュニケーションを重ねている顧客であれば、カタルシス効果を引き出すことはある程度容易です。しかし初対面の顧客であっても、最初から相手の話を親身に聞く姿勢を見せていれば、比較的早期での信頼関係の構築が叶います。

創作活動を楽しむ

前述のとおり、書道や陶芸などの創作活動を楽しんでいる場合、カタルシス効果を得ることができます。専門の教室に通う他、自宅で創作活動を行うことでも十分な効果に期待できます。楽器や料理など、性別や年齢にかかわらずできる創作活動も多いため、興味のある分野から始めてみるのがおすすめです。

自己開示を行う

相手の内なる気持ちを引き出すには、自己開示を行うことも重要です。こちらが心を開いていなければ、相手は警戒して何も話してくれなくなってしまいます。

自分が話すことで、相手も「何か話さなければ」という気持ちにさせることができます。たとえば不動産営業の場合「私には3歳の息子がいて、広い間取りのマンションに引越そうと考えているのですが、◯◯様は今のお住まいに対して何か不満などはありませんか?」という風に、最初に自己開示を行ってから質問をしてみてください。お互いの緊張がほぐれ、相手も話しやすくなります。

カタルシス効果は営業活動に効果的

走る男性営業マンの画像

カタルシス効果とは、ネガティブな気持ちを浄化して安心感を得る現象のことで、自分の話をしているときや心が動いたとき、涙を流したときに発揮するとされています。カタルシス効果は、ストレス解消やQOLの向上などに役立ちます。

不動産営業においても、アポ取りからクロージングまでさまざまなシーンでカタルシス効果を活用でき、顧客の話を親身に聞くことで成約に繋げている営業マンも少なくありません。カタルシス効果を日々の営業に活かしたいという方は、今回ご紹介した5つのポイントを意識しつつ、顧客目線でのアプローチを続けてみてはいかがでしょうか。

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CHINTAI JOURNAL編集部

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