記事公開日:2022/03/17
最終更新日:2023/11/16
今回は営業職の残業がなぜ多いのか、その理由と残業時間を減らすための工夫について解説します。「気が付けば毎日残業していた」「仕事が忙しくて帰れない日が多い」という人は、残業してしまう理由を見つめ直してみましょう。理由がわかれば、解決策を講じることで残業時間が減らせるかもしれません。
また、実際の営業マンから聞いた、残業時間を減らすことに関するエピソードも紹介しています。自分と照らし合わせながら、具体的な解決策を見つけていきましょう。
最後は、残業代の請求について解説しています。残業代が未払いになっている人、請求に必要なものがわからない人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
最初に、営業職の残業が多い理由と原因について解説します。
営業職の残業が多い理由は、事務作業などの時間が定時内に確保できないためです。営業職のメインは営業活動(外回り、電話・メール、顧客案内など)なので、付随する事務作業を定時内に処理しきれず残業時間が発生します。
たとえば、外回り営業を行った場合、顧客情報の整理や見積書の作成なども行わなければなりません。これらはメインの営業活動終了後に対応するため、勤務時間外に行われることが多いです。
ノルマ達成に追われることで、残業時間が増えることもあります。ノルマは営業社員の評価基準としても扱われ、達成できない場合は給与やボーナスなどの査定に影響しかねません。
そのため、ノルマ達成が見込めていない状況に陥ると、不足している業務を残業時間で補うことがあります。
上司や得意先との付き合いが多いことも、残業時間が増える原因の1つです。営業職は人付き合い・コミュニケーションも大切な仕事なので、周囲との人間関係を円滑に保たなければなりません。
上司や得意先に飲み会などへ誘われた際は、付き合いとして参加することもあります。定時後のプライベートな時間とはいえ仕事の延長線上にある付き合いなので、結果的に残業時間が増えることへ繋がってしまいます。
業務上の負担を軽くするため、営業職の残業を減らす方法について解説します。
通常業務のスキマ時間に事務作業を行うことで、残業時間の減少が期待できます。帰社してから行う事務作業をスキマ時間で終わらせることができれば、事務作業が原因の残業時間は少なくなります。
具体的にどのようにしてスキマ時間を利用するのか、例を挙げて見ていきましょう。
昨今はスマホやタブレット、ノートPCなどのデバイスが普及しているので、外出先での作業も気軽に行えます。ただし、企業によっては、社内情報や端末の持ち出しが許可されていないこともあるので、事前に確認しておきましょう。
タスクの優先順位を付けることで業務に余裕が生まれ、残業時間が減少するかもしれません。優先順位が明確になると、1日の仕事量やペース配分などを適切に管理できます。無駄な作業を洗い出すことができるため、業務効率化による残業時間の短縮へと繋がります。
また、トラブルの発生や急な顧客対応があったとしても、適切なタスク管理が行われていれば、業務スケジュールの調整も可能です。定時内に終わらせたい事務作業へも手が回りやすく、残業時間の減少に期待できます。
退社時間を自ら設定し、無駄な残業時間を減らすことも意識しましょう。「仕事が終われば帰る」ではなく、「○○時までに仕事を終わらせる」という考え方を持つことが大切です。
仕事量と時間の関係性において、「与えられた時間をすべて満たすまで仕事量は膨張する」という法則(パーキンソンの法則)があります。つまり、残業時間も含めて仕事をするつもりでいると、定時内に終わるはずの仕事が終わらないということです。
自らデッドライン(退社時間)を決めて行動することで、自身へプレッシャーを与え、より集中して業務に取り組めます。
なんとなく残業して仕事を続ける癖はやめて、定時内に帰ることを当たり前にしましょう。上司が残っているから残業しよう、残業した方が評価が上がるかも、といった考え方では残業時間が減らせません。常習化してしまうと残業への抵抗感がなくなり、残業して働くことが当たり前になってしまいます。
ベストなパフォーマンスを発揮し効率的に仕事を終わらせることへ集中すれば、残業時間の減少はもちろん、社内評価のアップにも期待できます。
ITツールを導入することで業務が効率化され、残業時間の減少が見込めます。営業職の場合、SFAツール・システムによる情報の自動管理が効果的です。
SFAは営業支援システムと呼ばれ、顧客管理や行動管理、進捗管理など営業活動の支援ができます。不動産営業であれば、外回り営業の際に顧客情報を外出先から閲覧したり、業務日報をスキマ時間で作成し社内で共有できたりします。
帰社する手間と時間が省け、情報共有のスピードも上がるため、業務効率化による残業時間の減少が期待できるITツールです。
残業しないために心がけていることについて、営業マンの回答と実際のエピソードを紹介します。
不動産関係の営業マンへ「残業しないために心がけていること」を聞いたところ、「営業成績アップの努力をしている」と回答しています。この回答理由は次のとおりです。
つまり、残業時間が少ない営業マンとは、営業成績・業務効率が良い人を指しています。そのため回答者は、営業マンとしての努力を怠らず、スキルアップすることが残業時間を減らす方法だと回答しました。
残業時間が減ったエピソードを紹介します。
・賃貸物件のメリットやお客様とのマッチング度を要領よく説明できたことで、実際にご案内することなく契約を決められました。ご案内までの時間が短くなったことにより、次のお客様を素早く対応できたほか、他の業務へ使う時間も増やせたため、残業時間が減っています。
・店舗内トップの営業成績を目指して努力していました。対応できるお客様を増やせるよう、業務効率アップに注力したことで、結果的に残業時間は減少しています。
どちらのエピソードにも共通して言えることは、営業マンとしての能力が向上したため、残業時間が減少したということです。「どのような方法を試しても残業時間が減らない」と感じる人は、営業マンとしてのスキルアップを目指すというのも、残業時間を減らす一つの方法かもしれません。
残業時間の手当ては営業職でも請求できるのか、その可否について解説します。
固定残業制の場合、残業代の請求が可能です。固定残業制とは、企業側が毎月発生する残業を想定し、あらかじめ給与に残業代を反映している制度を指します。
たとえば、毎月15時間の残業を想定し、残業代が50,000円だった場合、残業時間が5時間だったとしても満額支給されます。しかし、残業時間が15時間をオーバーした場合、実労働時間とは関係なく残業代は50,000円です。
固定残業制の企業であれば、この決められた額の残業代を請求できます。
みなし労働時間制の場合、原則として残業代の請求はできません。みなし労働時間制とは、1日あたりの労働時間をあらかじめ想定し、この労働時間に当てはめて給与が決定される仕組みです。
たとえば、みなし労働時間が8時間と決められている場合、1日4時間働いたとしても所定の給与が支給されます。一方、1日11時間働いて残業が3時間発生したとしても、超過分の給与は支払われないので注意が必要です。
また、みなし労働時間は8時間(法定労働時間)と決められているわけではありません。業務を遂行するのに10時間かかると想定される場合、みなし労働時間は10時間に設定されます。
この場合は、法定労働時間を超えているため、労働基準法により企業側は労働者へ割増賃金を支給しなければなりません。残業代を請求する際は、みなし労働時間の確認を行い、請求できるかどうか確認しましょう。
営業職が残業代を請求するために確認すべきポイントは「実労働時間」です。営業職の場合、常に社内で仕事をしているわけではないため、実労働時間の把握が難しくなります。把握できない残業時間の手当ては未払いになる可能性もあるので、まずは実労働時間の立証から始めましょう。
実労働時間の立証に必要なものを紹介します。
客観的に実労働時間を立証しやすいのは①~③です。特に電磁的に記録されたものに関しては、事実として証明しやすくなります。
取引先との連絡履歴については、日時が明確になっているか確認してください。メールやFAXなどに記載されていれば、実労働時間の立証に利用できます。他の従業員からの証言もあると、より立証しやすくなります。
また、残業代の請求には未払いの証拠となる給与明細も必要です。いつから未払いなのか、何時間分の残業代が支払われていないのかを証明するために用意しておきましょう。
不動産関係の営業職に就いている人は、残業時間を減らしてワークライフバランスを整えましょう。残業のやりすぎは心身の疲労が溜まり、ベストなパフォーマンスを発揮できなくなるかもしれません。まずは残業時間が発生する原因を把握し、解消すべき問題を見つけましょう。
残業時間を減らすには、以下の工夫を試してみてください。
また、残業時間未払いが続いた場合は「残業時間の請求は営業職でもできる?」を参考に、残業代を請求しましょう。就業形態によっては、残業代を請求できる可能性があります。
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