記事公開日:2022/04/21
最終更新日:2023/11/17
賃貸物件の営業マンは、クレーム対応も重要な業務のひとつです。特に気温や湿度の高い時期には、壁や水回りなどで見られるカビに対するクレームが寄せられます。カビに関するトラブルは、入居者からのクレームだけでなく大家さんから相談を受けることもあります。
今回は、賃貸物件でのカビ発生対策や、クレームが起きた場合の対処法を解説していきますので、カビに関するクレームでお困りの営業マンはぜひ参考にしてください。
目次
カビの原因を追求するには、壁を壊すなど大掛かりな対処が必要です。また、カビの発生には入居者の使い方が大きく関係しますが、具体的な原因はなかなか特定できません。このようにカビの原因を特定するのは困難なため、事前にカビが発生しないよう日頃のカビ対策が重要です。
カビが発生すると入居者からのクレームだけではなく、入居者の退去や次の入居者が見つからないなどさまざまなデメリットが生じます。不動産会社や大家さん、管理会社に迷惑をかけてしまうため、賃貸マンション・賃貸アパートのカビ対策は入念に行いましょう。
なお、不動産会社が賃貸物件を管理している場合は今回ご紹介するカビ対策を実施し、すでに入居者がいる場合には契約時にカビ対策を行ってもらうよう注意喚起することが大切です。
賃貸物件に有効なカビ対策は以下の4つが挙げられます。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
カビの発生の主な原因は気温と湿気です。一般的に、温度25度・湿度70%以上の環境になれば、カビは短期間で繁殖するといわれています。そのため、カビ対策にはこれらの環境を避けることが求められます。
室内の気温と湿度を下げるためには、こまめな換気が有効です。部屋の窓を開けて風通しを良くし、湿気がこもらないようにしましょう。
部屋の換気は、特別な道具を使用せずに行える便利なカビ対策です。入居者募集中の空き物件であっても、こまめに訪れて定期的に換気をすることでカビ発生を防ぐことができます。仕事の都合で訪れるのが難しい場合には、大家さんに依頼しましょう。
花粉が気になる季節や雨の日は、窓を開けての換気が難しくなります。そのような場合におすすめのカビ対策は、除湿機を活用することです。特にヒーター付きの除湿機を使うことで、気温が低い冬場でも除湿が叶い、結露の発生を防ぐことができます。
ただし、除湿機は電気を必要とするため入居者がいない状態では活用できません。そのような状況では、除湿剤の設置がおすすめです。
除湿剤にはさまざまなタイプがありますが、タンク型の除湿剤を選ぶと部屋の中のあらゆる場所へ設置できます。湿気が発生しやすい水回りやこもりやすい密閉空間など、複数個設置するとより高い効果が期待できます。また活性炭入りの除湿剤を選ぶことで、やっかいなカビ臭への対策も可能です。
除湿機だけでなく、サーキュレーターもカビ対策に有効な家電のひとつです。サーキュレーターとは、空気を循環させるために使う機械のことです。扇風機と同じように見えますが、扇風機よりもファンが小さく、直接的に風を送るのに優れています。
サーキュレーターを使うことで部屋全体の空気の循環を促し、空気中の水分が凝固するのを防いでくれます。窓の近くの他、外壁に面する壁の近くに置くとより効果的です。
サーキュレーターには電池式のものもあるため、人が住んでいない賃貸物件にも使うことができます。また、ポータブルタイプのサーキュレーターをいくつか持ち歩いておくと、管理している賃貸物件を訪れたときに設置できるため便利です。
カビ発生の原因には家の中の水分量も関係するため、できるだけ水気を減らす必要もあります。水回りの対策はもちろんのこと、窓に発生する結露もカビの大きな原因のひとつです。
結露は、部屋の中と外の温度差が大きい場合に窓に発生します。窓ガラスについた結露を放置するとカビになるため、結露が発生しないような窓ガラスにすることが重要です。そこでおすすめなのが、窓に防湿フィルムを貼ることです。
ただし、賃貸物件は大家さんの所有物のため、たとえ管理をしていても勝手に防湿フィルムを貼ってはいけません。大家さんに確認を取ったうえで、管理者が変わったときのために跡が残らないものを選びましょう。
万が一賃貸物件にカビが発生した場合は、以下の方法で対処しましょう。
それぞれの内容は以下のとおりです。
初期段階のカビの場合、水で拭き取るだけでカビを除去できます。水で拭き取った後はきれいに水気を取り、新たなカビの発生を防ぎましょう。
また、拭き取った後にエタノールを使うと、カビの除去効果が高まります。エタノールを吹きつけた後は、乾いた布などできれいに拭き取りましょう。
カビは放置すればするほど、除去するのが難しくなります。そのため、初期段階のカビを見つけたらすぐに対処するよう心がけましょう。
水拭きでは対処しきれない場合、市販されているカビ取り剤や防カビ剤を活用しましょう。カビが発生している部分にカビ取り剤をスプレーし、数分放置して水で拭き取ります。詳しい使い方はカビ取り剤によって異なるため、使用前に使い方を確認することが重要です。
カビ取り剤でカビを除去した後は、防カビ剤を使ってカビの再発生を防ぎましょう。防火カビ剤は煙などを部屋全体に散布するタイプのものが多く、その間は外出しておく必要があります。
カビ取り剤も防カビ剤も、効果が高い分誤った使用方法をすると人体に悪影響を与える可能性があります。事前に取扱説明書などを読むなど、安全に使うための準備を怠らないようにしましょう。
自分で対処してもカビが取れない場合は、クリーニング業者に依頼するのがおすすめです。ただし、賃貸物件の所有者である大家さんに確認を取ったうえで依頼しましょう。その際は、どちらが費用を負担するかも話し合う必要があります。
一部屋でカビ発生が確認された場合、他の部屋でもカビが発生している可能性が高いです。他の入居者にも確認して、同時にクリーニングを行いましょう。
賃貸物件で発生したカビの対応責任は、状況によって以下のように異なります。
入居者が負担する場合 | 結露の放置によるカビ発生・不十分な換気、清掃によるカビ発生 |
大家さんが負担する場合 | 構造上の問題によるカビ発生・水漏れなどのトラブルによるカビ発生 |
入居者の利用状態が原因でカビが起きた場合は入居者の責任、トラブルや建物が原因の場合は大家さんの責任です。大家さんが管理を不動産会社や管理会社に依頼している場合、不動産会社・管理会社が責任を負わなければいけません。
ただし、入居者の責任になるのは扱いがあまりにもひどい場合のみに限ります。カビ発生は経年劣化や自然損耗とみなされる場合が多く、そのような場合の責任は大家さんとなるので注意しましょう。
最後に、実際の賃貸物件で起きたカビに対するクレームと具体的な対処方法をご紹介しますので、自身の状況と比べながら参考にしてみてください。
賃貸物件でカビが発生すると原因究明に手間や時間がかかるため、事前のカビ対策は必須です。また、入居者にも注意喚起することで、カビの被害を未然に防ぐことができます。
カビ発生に対する責任は、発生原因によってそれぞれ異なります。掃除・換気の怠惰など扱いがひどい場合は入居者の責任ですが、それ以外は大家さんの責任となるのが一般的です。カビに関するクレームが生じた場合、スケジュールを調整してすぐに駆けつけるなど、できる限り真摯な対応を心がけましょう。
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