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不動産業界における物件広告のルールや確認事項を解説!【賃貸仲介会社向け】

記事公開日:2022/09/26

最終更新日:2022/09/26

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不動産業界の物件広告には細かいルールがあり、担当者が知らないうちに違反をしているケースも少なくありません。広告違反をすると違約金や免許取消といった処分を受けるため、広告を出す際には不動産広告のルールを理解しておく必要があります。

そこで今回は、不動産業界における物件広告のルールや確認事項について解説します。また、人の目を引く物件チラシの作成方法もご紹介しますので、広告を出す際の参考にしてみてください。

不動産広告(物件広告)にはいくつか記載ルールがある

不動産広告は、主に「宅地建物取引業法」と「景品表示法」の2つの法律によって厳格なルールが定められています。「宅地建物取引業法」によって定められているルールは、「誇大広告の禁止」「広告開始時期の制限」「取引態様の明示義務」の3つです。

また、「景品表示法」は不動産広告に限らず、他の業界の広告にも影響を与えます。実際よりも良く見せる表示を規制し、一般消費者の利益を保護するための法律ですが、不動産業界に対しての詳細なルールはありません。そこで、不動産業界が公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて設けたルールが「不動産の表示に関する公正競争規約」です。

これらのルールを無視し、物件広告を自由に記載してしまうと、知らない間に違反をしてしまうおそれがあります。場合によっては違約金や業務停止、免許取消などの罰則を科せられることもあるため、記載ルールについて理解したうえで物件広告を出すことが重要です。

不動産広告(物件広告)の規制対象

「不動産の表示に関する公正競争規約」は、「不当景品類及び不当表示防止法」に基づき、不動産業界が自主的に設けた不動産広告のルールです。消費者が広告内容を正しく理解できるよう、詳細な基準を設けています。

不動産広告の規制の対象となるのは、以下の5類型です。

(1) インターネットによる広告表示

(2) チラシ、ビラ、パンフレット、小冊子、説明書 面、電子記録媒体その他これらに類似する物によ る広告表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等 によるものを含む。)及び口頭による広告表示(電 話によるものを含む。)

 (3) ポスター、看板(デジタルサイネージ、プラカ ード及び建物又は電車、自動車等に記載されたも のを含む。)、のぼり、垂れ幕、ネオン・サイン、 アドバルーンその他これらに類似する物による広 告及び陳列物又は実演による表示

 (4) 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気 通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、 演劇又は電光による広告

 (5) 物件自体による表示及びモデル・ルームその他 これらに類似する物による表示

「引用:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約より 第3節用語の定義」

消費者はさまざまな広告媒体で物件情報を得ます。なかでも、現在はインターネットを活用して情報を得るのが主流となっており、WEB広告などを出す不動産会社も増えてきました。不動産広告を出す際には、規制対象の範囲を確認してルール違反をしないように配慮する必要があります。

不動産広告(物件広告)の作成で確認すべき内容

不動産広告を作成する際に、確認すべき内容があります。ここからは、「表示基準」と「特定用語の使用基準」の2つについて見ていきましょう。

表示基準

「不動産の表示に関する公正競争規約」では、一般消費者が理解しやすい表示を行うよう、表示方法が定められており、主に以下のように区分されています。

類型表示内容
取引態様「売主」「貸主」「代理」又は「媒介」(「仲介」)の別をこれらの用語を用いて表示すること
物件の所在地都道府県、郡、市区町村、町又は字及び地番を表示すること
交通の利便性最寄り駅又は停留所の名称及び徒歩所要時間を明示して表示すること
各種施設までの距離道路距離又は所要時間を表示するときは、起点及び着点を明示して表示すること徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること
団地の規模開発区域を工区に分けて工区ごとに開発許可を受け、当該開発許可に係る工区内の宅地又は建物について表示をするときは、開発区域全体の規模及び その開発計画の概要を表示すること
面 積面積はメートル法により表示し、1平方メートル未満の数値は切り捨てて表示する
物件の形質居室と認められない納戸その他の部分については、「納戸」などと表示すること(建物を増築、改築、改装又は改修したことを表示する場合は、その内容及び時期を明示すること)
設備・生活関連施設学校や病院、官公署、公園などは現に利用できるものを表示し、物件からの道路距離又は徒歩所要時間を明示すること
設備・施設など上水道(給水)は、公営水道、私営水道又は井戸などの別を表示し、ガスは都市ガス又はプロパンガスの別を明示して表示すること
写真・絵図宅地又は建物の写真又は動画は、取引するものを表示すること(建物工事が完了前の場合は、一定の要件を満たしている完成予想図などであれば表示可能)
価格・賃料賃料は1ヶ月あたりの料金を表示し、管理費や共益費、修繕積立金については1戸あたりの月額を表示する(土地の価格については、1区画あたりの価格を表示すること)

「参考:一般社団法人 全国公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則

特定用語の使用基準

競合の不動産会社や物件と比較するような用語や表現は、表示内容を裏付ける根拠がない限り使用が禁止されています。禁止されている主な表現は以下のとおりです。

禁止されている用語用語の意味
「完全」「完ぺき」「絶対」欠けることや手落ちがまったくないことを意味する用語
「日本一」「当社だけ」「日本初」「業界一」「抜群」物件の形質や内容、価格などにおいて、他の不動産会社や物件よりも優位に立つことを意味する用語
「特選」「厳選」物件において、一定の基準より選別されたことを意味する用語
「最高」「最高級」「極」物件の形質や内容、取引条件に関する事項について、最上級を意味する用語
「格安」「掘出物」「激安」物件の価格や賃料について、著しく安いという印象を与える用語
「完売」物件について、著しく人気が高く、売れ行きが良い印象を与える用語

「参考:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約

自社の物件・サービスをアピールする際、「当社だけ」「業界一」といった表現をつい使ってしまうかもしれません。しかし、合理的な根拠を示す資料がない限り使用できないため、不動産広告を行う際には十分に注意しましょう。

また、以下の特定用語に対して使用基準を設けています。

特定用語用語の意味
新築建築後1年未満で、誰も居住したことがない物件
新発売新たに造成された宅地又は新築の住宅で、消費者に初めて購入の申し込みの勧誘を行う物件
ダイニング・キッチン(DK)台所と食堂の機能が1室に併存している部屋
リビング・ダイニング・キッチン(LDK)居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋
建物の建築工事の完了 建物をその用途に従い直ちに使用できる状態のこと

「参考:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約

不動産広告(物件広告)で定められているルール

続いて、不動産広告で定められているルールをご紹介します。

  1. 新築・中古の記載
  2. 写真や完成予想図
  3. 価格表示
  4. 所要時間
  5. 敷地面積・建物面積
  6. 間取り
  7. 所在地(地番)
  8. 取引態様
  9. 免許番号

それぞれ順番に見ていきましょう。

新築・中古の記載

不動産広告における新築とは、建築後1年未満かつ誰も居住したことがない物件のことを指します。建築後1年未満でも、一度でも居住した物件の場合は中古と表示しなければなりません。

写真や完成予想図

写真は実際に取引をする物件のものを掲載します。ただし、物件の完成前で完成予想図を使用する際に、実際よりも著しく優良なものと誤認されるようなものは不当表示となるので控えましょう。

また、物件の前にある電柱や電線を消すなど、周辺環境の変更を加えた場合も消費者に誤解を与えると判断されるため注意が必要です。

価格表示

一般的に、土地付き建物を含む建物の価格については税込みの価格を表示しなければなりません。また、不当な二重価格表示も禁止されています。

二重価格表示とは、実際の販売価格より高い価格を併記し、現在の安さを強調するという表示方法です。たとえば、「販売価格3,000万円→2850万円」「期間限定!全戸10%引き」などは二重価格表示に該当します。

ただし、例外として次の要件に該当する場合は、二重価格を表示できます。

①過去の販売価格を比較対照価格とする場合の二重価格表示

過去の販売価格の公表時期、値下げの時期を明示する場合には二重価格の表示が可能です。過去の販売価格は、「値下げの直前の価格であり、値下げ前2ヶ月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格」とされています。また、値下げの時期から6ヶ月以内に表示するものも、二重価格の表示が可能です。

②割引表示

一定の条件に適合する相手に対し、販売価格や賃料などから一定率・一定額の割引をする場合、当該条件を明示して割引率・割引額の他、割引後の額を表示する場合には不当な二重価格表示に該当しません。

所要時間

所要時間は、物件の最寄り駅や停留所からの時間を表示します。徒歩の場合は、80メートル=徒歩1分で算出したものが所要時間です。また、自転車による所要時間は、道路距離を明示し、通常走行で要する時間を表示します。

敷地面積・建物面積

敷地面積は水平投影面積、建物面積は延べ面積を表示します。面積表示はメートル法で表示し、1平方メートル未満の数値は切り捨て表示が可能です。

間取り

不動産広告では、1DKや3LDKなどと間取りを表示します。「ダイニング・キッチン(DK)」は、食堂と居室が併存し、「リビング・ダイニング・キッチン(LDK)」は、食堂と居間と居室が併存した部屋のことです。

「DK」と「LDK」は、最低限必要な広さが決められています。

居室(寝室)数1部屋2部屋以上
DK4.5畳6畳
LDK8畳10畳

「参考:公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会 特定用語の使用基準

なお、仮に「DK」と「LDK」の広さを満たしていたとしても、形状や機能を満たさない場合は「DK」は「K」、「LDK」は「DK」と表示する必要があります。

また、間取りの表示には物件の形状や機能をわかるように表示し、各部屋の畳数を付記するのが望ましいです。畳数の基準は、「畳1枚あたり1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上」とされています。「畳1枚あたり1.62平方メートル」と基準が設けられているのは、関西地方や九州地方など、エリアによって1畳の広さが異なるからです。

所在地(地番)

所在地は、都道府県、郡や市区町村、字及び地番を表示します。

取引態様

取引態様は、「売主」「貸主」「代理」「媒介」(「仲介」)のいずれかを表示しなければなりません。「代理」の場合、物件を所有する貸主の代わりに不動産会社が仲介を行います。また、「媒介(仲介)」は不動産会社が貸主と借主の間に入り、取引をして契約を結びます。

免許番号

不動産広告では、多くの媒体で広告主の宅建免許番号、事務所の所在地や商号などを明示する必要があります。

物件チラシの作成方法~不動産広告(物件広告)を遵守しよう~

物件チラシは、消費者にとって見やすく魅力的なデザインにすることが重要です。そのため、デザインの方に力を入れる必要はあるものの、不動産広告のルールを守った内容にしなければなりません。

最後に、物件チラシを作成する方法を以下の3ステップに沿って紹介していきます。

  1. レイアウトを考える
  2. 必要な情報を記入する
  3. 最終確認を行う

どれも大事な工程なので、順番に見ていきましょう。

STEP1.レイアウトを考える

物件情報のフォントや文字サイズ、配色や配置などを考えます。物件チラシは多くの情報を記載するため、読み手が読みやすいようなレイアウトにしなければなりません。

「不動産の公正競争規約」では、記事広告について「見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない」と明記されています。なお、文字サイズは原則7ポイント以上の大きさと決められています。

STEP2.必要な情報を記入する

物件チラシに必要な情報をまとめ、紙面に合わせて記入します。このとき、アピールポイントが多い物件だと情報の量が増えがちです。しかし、小さい文字で埋め尽くされたチラシは読みづらく、よほど気になっているものでない限り処分されてしまうので、物件チラシには必要な情報だけを記入するようにしましょう。

また、写真の枚数も重要です。物件の外観や内観の写真、間取りなど、できる限り多くの写真を載せたくなるのが心情です。しかし、枚数が多すぎると何をアピールしたいのかわからなくなってしまうため、特に目立たせたい写真をメインにし、設備や間取り図などはメインより小さめに2〜3枚配置しましょう。

STEP3.最終確認を行う

物件チラシを作成した後は最終確認を行いましょう。このときのポイントは、不動産広告の表示方法に違反していないかを確認することです。

たとえば、物件の基本情報が事実に反するのは広告違反です。入力ミスの場合も違反にあたる可能性があるので、数人でチェックをしましょう。

また先述のとおり、根拠のない特定用語の使用なども広告違反にあたります。物件の魅力を伝えたいあまり、文中に「最上級」「激安」といった文言が入っていないかどうか確認しましょう。

不動産広告のルールを守って物件の魅力を伝えよう

スーツ姿の男性の画像

今回は、不動産広告に関する大事なルールをご紹介しました。物件の魅力を伝えるため、実際よりも良く見せるような内容にしてしまう気持ちもわかりますが、不動産広告には詳細な表示ルールが定められており、違反内容によっては免許取消処分という重い罰則を受ける可能性もあります。

なかには不動産広告のルールの理解が浅く、「知らない間に違反していた」というケースも少なくありません。不動産広告の表示基準や定められたルールを守りながら、物件の魅力を伝える広告を作りましょう。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。