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物確(物件確認)とは?課題から見えてくる、効率良く進めるポイント

記事公開日:2022/10/06

最終更新日:2024/01/11

物確(物件確認)とは

賃貸仲介営業マンの仕事のひとつに、物確と呼ばれる物件確認の作業があります。できるだけサクサクと進めていきたいものですが、この物確は多くの手間や時間がかかるため、「何か良いアイディアはないのか」と悩む方も少なくありません。

今回は、賃貸仲介営業の仕事で必要になる物確を効率的に行うポイントや、物確と併せて効率化できる業務の種類などについて解説していきますので、業務効率を上げて売上アップを叶えたいと考えている方はぜひチェックしてみてください。

※下記の関連記事では賃貸営業で成功するためのコツを解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

物確(物件確認)とは

物確と呼ばれる物件確認とは、取り扱っている物件の空室状況や販売状況を確認する業務のことです。賃貸物件・売買物件どちらにもあり、不動産仲介会社にとって避けられない業務のひとつといわれています。

取り扱っている賃貸物件は、複数の不動産会社で共有しているのが一般的です。晴れて契約締結となった場合、レインズや不動産ポータルサイトの情報を更新しなくてはなりませんが、場合によっては対応が遅れてしまうことも珍しくありません。その間に別の顧客が「契約したい」と申し込みを入れた場合、大きなクレームに繋がりかねません。

このようなトラブルを避けるために、物件を所有している不動産会社や管理会社などに物件の情報を確認する「物確」が行われます。また「すでに誰かの手に渡っていないか」「物件の売り出し価格は変わっていないか」など、物確は一度だけではなく定期的に行う必要があるので、多くの不動産営業マンが頭を悩ませているのです。

賃貸仲介における物確の方法

賃貸仲介における物確には3つの方法があります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

電話やFAXなどで確認する

まずは、物件の所有者や管理会社に電話やFAXを利用して確認する方法です。一度に聞く物件の数が5件以下の場合は電話での物確が効率的ですし、それ以上の場合はFAXで確認しましょう。

直接物件を確認しに行く

電話やFAXでの物確に合わせて、直接現場に出向いて確認をしに行くことも重要です。物件の状況が変わっていないか自分の目で確認します。

インターネットの物確システムで確認する

管理会社によっては、インターネット上でのシステムを利用して空室情報を公開している場合があるので、そのシステムを利用して確認するのも有効です。インターネット上でのシステムの場合、空室状況や家賃などの条件が一目でわかるので、うまく活用して業務を円滑に進めましょう。

賃貸仲介営業マン必見!物確をスムーズに行うポイント

物確は業務の中で多くの比率を占めており、スムーズに進まなければ他の業務に支障が出てしまいます。次項で物確をスムーズに行うポイントを見ていきましょう。

電話で行う場合

まずは電話で行うケースを紹介します。

①物確内容を整理する

電話物確の場合、まず「どこに」「どの物件を」聞くのかをまとめてから、電話をかけることが重要です。そうしないと、確認漏れが発生して再度電話をかけるというタイムロスが起きてしまいます。

②文言をシステム化する

最短で物確ができるよう、電話の文言をシステム化すると効率が良くなります。無駄な文言を削り、最短時間で物確を行うことで効率的に進められるほか、電話代の節約にも繋がります。

③大きな声で電話をする

大きな声でハキハキと電話をすることも重要です。大きな声でハキハキと電話をすることで相手側の聞き間違いを防ぐことになります。基本的なことかもしれませんが、意外とできていない方が多いので、こちら側のイメージアップにも繋がります。

FAXで行う場合

次に、FAXでやり取りをするケースを見ていきましょう。

①情報の整理を欠かさない

FAXで物確を行う場合には、情報整理をしてから送ることが重要です。以前の物確で状況が変わったにもかかわらず、それが反映できていないと二度手間になってしまいます。タイムロスが発生しないよう、FAXを送る前に一度確認しましょう。

②チェックシートを作成する

FAXの返信があった管理会社を把握するシステムの構築も大事なポイントです。相手側の見落としなどでFAXの返信がない場合に、催促の電話をかけられるよう、チェックシートを作成するなどの対策を講じましょう。

③返信しやすいフォーマットを作成する

相手側が返信しやすいフォーマットを作成してFAXを送ることも重要です。FAXを返信する側も多くの業務を行っています。その中でスムーズに返信してもらえるよう、無駄な記入をせずに返信できるフォーマットを作成しましょう。

直接確認をする場合

顧客の都合によって、直接確認することになるケースも少なくありません。以下のポイントを意識して行動しましょう。

①無駄なく動く

限られた業務時間の中で移動することになりますので、無駄な時間を極力減らす工夫が必要になります。直接物件を確認する場合は、あらかじめ出向く場所の情報をまとめておき、最短経路で向かうようにしましょう。

②細かい変化にも気づく

物件の細かな変化に気づくことも大事なポイントです。リフォームの進捗やガレージの空き状況など、お客様が気になると思われるところは抜けがないように確認しましょう。

現地に行かなければ、変化に気づかないことが多くあります。このとき、見ておくべきポイントを事前にリスト化すれば、さらにレベルの高い物確となるでしょう。

③オーナーとのコミュニケーションを欠かさない

物件を直接確認する際、場合によってはオーナーに出会うことがあります。オーナーとのコミュニケーションを密にすることで、条件交渉がしやすくなるというメリットがあるので、機会があればぜひ挨拶してみてください。

現在の物確(物件確認)の課題

顧客の質問に答えるために欠かせない物確ですが、この物確には主に3つの課題があるといわれています。いずれも不動産営業マンの悩みの種といわれているので、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

課題①:確認が必要な物件数が多い

不動産営業マンは、一日に何人もの顧客に対応しなければいけません。さらに、一人の顧客が希望する賃貸物件は一件だけとは限らず、一人の営業マンが一日に数十件の物件を確認しなければいけないこともあります。

物確の主な内容は、賃貸物件が空いているかを確認することなので、一件あたりの時間は数分となることが多いです。しかし、数十件もの賃貸物件を確認するとなると、1~2時間では終わらないことも考えられます。

また、一日のほとんどの時間を物確に割いてしまうことも多く、休日や業務時間外に他の業務を行う方も珍しくありません。担当する顧客の数が多ければ多いほど、時間を要してしまうことになるでしょう。

課題②:確認完了までに時間がかかる

物確は、電話・FAX・メールのいずれかで行うのが一般的です。それぞれの対応方法は以下のとおりです。

■電話の場合

  1. 物件の売主または所有者に電話をかける
  2. 該当の物件の空室状況を確認する
  3. 図面を依頼する
  4. 図面がFAXやメールで送られてくる

早い回答が欲しい場合は、電話で物確を行います。すぐに電話が繋がれば1件あたり数分で完了しますが、図面を受け取るまでにはある程度の時間を見ておく必要があります。また、電話でのやり取りはリアルタイムでの対応が必要になるため、営業マンの都合の良いタイミングでまとめて作業を行うことはできません。

■FAX、メールの場合

  1. 書類を作成し物件の売主または所有者に送信する
  2. 返答を確認する
  3. 図面を依頼する
  4. 図面がFAXやメールで送られてくる

システム化が進んでいる不動産業界ですが、FAXを使ってやり取りを行うことが多くあります。FAXを使う場合は専用の書類を用意しなければいけません。一件ごとに書類を作成する必要があるので、膨大な時間を要します。

物確は電話やFAXで行うのが主流といわれていますが、いずれの方法であっても物確の数が多ければ多いほど大量の時間が必要です。

課題③:人手不足を引き起こしている

他の業界と比べても、不動産業界は常に人手が足りない業界といわれています。不動産業界に人手が足りない理由のひとつが、物確のようなアナログ業務が多いことです。

物確の業務効率化を図ることは、長時間労働や休日出勤の減少に繋がります。このように、働く環境が整備されれば人材の流出を防げるかもしれません。

課題④:アナログな作業が多い

電話やFAXなどを使った連絡、チェックシートへの記入など、物確にはアナログな作業が多いです。特に、メールやメッセージアプリだけでコミュニケーションを取る若い世代には不慣れな作業が多いので、まずはアナログな作業になれることから始めなければいけません。

課題⑤:ヒューマンエラーが発生しやすい

電話物確では、聞き間違いや言い間違いが起こると「言った言わない」のトラブルになり、その結果大きな問題に発展してしまうことがあります。また、些細な確認漏れといったヒューマンエラーが発生することもあります。

物確(物件確認)を効率良く進める3つの方法

物確を効率良く進めることができれば、大幅な業務改善に繋がります。ではどのようにすれば効率良く進めることができるのでしょうか?ここでは3つの方法を紹介するので、詳しく見ていきましょう。

システムの自動化を行う

たとえば、「毎週月曜日の10時にFAXを送る」といったシステムの自動化を行うことで、物確の効率化が叶います。会社の物件管理システムを確認し、もしこのような自動化を導入できる環境であれば積極的に利用しましょう。

問合せフォーマットを統一する

相手側が返信しやすいFAXのフォーマットを統一して作成することで効率が良くなります。FAXのフォーマットは一度作成してしまえば長く使えるので、早めに着手することが重要です。また、新入社員への教育がしやすくなるのもフォーマット作成のメリットのひとつです。

物件情報を1つのデータベースを統合する

物確をした情報が散乱しないよう、データベースを統合することも重要です。特に電話物確の場合、一度聞いた内容はデータベースに残すことをおすすめします。これによって情報の共有が叶い、業務の効率化が進むようになります。

家の模型画像

物確(物件確認)と併せて効率化が図れる業務

不動産業務でアナログな方法が使われているのは物確だけではありません。ここからは、物確と併せて改善することで業務効率化が図れる4つの業務を紹介します。

効率化が図れる業務①:内見予約

内見予約において、顧客からの電話やメールに逐一対応している不動産営業マンも多いのではないでしょうか。このような対応は一括で対応することができず、一つひとつ対応するには手間と時間がかかってしまいます。

内見予約も物確と同じように、問合せフォームを統一することで業務効率化を図ることができます。たとえば、インターネットからのみ内見予約を取れるようにすることで、電話やメールに割いていた手間と時間を節約することが可能です。

特に電話の場合、営業時間外の予約に対応できません。顧客によって都合の良い時間はそれぞれ異なるため、24時間365日対応が可能なインターネットからの内見予約を取り入れることで、機会損失も防ぐことができます。

効率化が図れる業務②:申し込み

申し込み業務をカバーするシステムを導入すると、顧客が登録した情報をシステム上で確認することが可能です。進捗状況も一目でわかるため、たとえ担当の営業マンが不在の場合でも社内で情報を共有できます。

効率化が図れる業務③:契約手続き

今までは対面でしか行えなかった契約手続きですが、2022年から電子契約が可能になったことで契約手続きの業務効率化もできるようになりました。

契約書の締結や重要事項説明など一連の契約手続きがシステム上で行えるほか、遠くに住む顧客との契約手続きも可能です。それにより、不動産契約のために必要だった移動時間やコスト、書類郵送の手間などの削減が叶い、大幅な業務負担減少に繋がっています。

効率化が図れる業務④:図面請求や送信

不動産会社が管理物件を所有している場合、多くの不動産会社からの物確リクエストに応える必要があります。特に図面の請求があった場合、いちいち相手の番号を調べてFAXで図面を送信しなければいけません。

しかし、業務改善システムを導入することで、このような作業が自動化されます。また、請求のあった図面を自動的にデータベースで照合させ、番号の特定から図面送信まで自動で行ってくれるサービスもあるので、気になったサービスがあれば導入してみると良いでしょう。

工数の多い物確は効率化が重要!

不動産業界に欠かせない、売り出し中の物件の空室状況や販売状況を確認する物確業務は、電話やメールなどで行うのが一般的で、わずらわしい手間がかかってしまうのがネックでした。

しかし、自動化システムの導入やフォーマットの統一などによって、物確業務の効率化は叶います。また、内見予約・申し込み・契約手続きなどにも同じ対応ができるため、日々の業務を効率良く進めたいと考えている方は、今回ご紹介した内容を振り返りながら日々の業務を見直してみてはいかがでしょうか。

記事の監修者_あきら

あきら

この記事を書いた人

元不動産営業のWEBライター。12年以上の不動産営業を経験。売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通している。住まいに関することや、不動産取引で失敗しないコツ、不動産営業への転職のお手伝い、不動産営業のノウハウ等を発信中。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで、敷居が高い不動産をもっと身近に感じてもらいたいです。さらに、不動産取引で少しでもお得になるような情報も発信しています。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 賃貸不動産経営管理士 / 不動産特化WEBライター

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