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業務の「属人化」を解消する方法とは?特徴やリスクなども解説

記事公開日:2022/08/04

最終更新日:2024/01/11

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「担当者が不在でわからない」状況になり、仕事が進まなくなってしまったという経験を持つ方も多いのではないでしょうか。特定の人以外、誰も仕事の詳細を知らない状態を「属人化」といいます。属人化は企業にさまざまなリスクを与えますが、知らず知らず属人化していることも多いため、解消に取り組む必要があります。

そこで今回は、業務の属人化の解消方法や属人化が起きる原因・リスクについて解説していきますので、属人化が進んで困っているという方は参考にしてみてください。

目次

業務の属人化とは

業務の属人化とは、特定の業務内容について、やり方や情報が社内で共有されてなく、担当者しか把握していない状況のことを指す言葉です。特に人数が少ない企業や部署で起こり、ニュースや新聞でもたびたび取り上げられている問題でもあります。

属人化は、一見業務がスムーズに進んでいるように見えますが、担当者が退職したりトラブルが発生したりした際に、初めて問題と認識することが多いです。担当者以外は周囲が誰も対応できない事態になり、問題に対応できないとなれば取引先や社内に大きな影響を与えます。あえて属人化をしている場合を除いては、早めの対策が必要です。

業務の属人化が引き起こされる原因

業務の属人化が起こる原因は、主に3つあるとされています。

  1. マニュアルや仕組みが整備されていない
  2. 業務の専門性が高い
  3. 人的リソースが少ない

上記の原因について、詳しく見ていきましょう。

業務属人化の原因①:マニュアルや仕組みが整備されていない

業務の基本ルールとなるマニュアルがあれば、経験が浅い人や未経験の人でもマニュアルに沿って業務に取り組めるため、属人化の問題はほとんど起こりません。しかし、不動産会社のように業務量が多く覚えることも多い業界では、マニュアル作成が追いついていないことも少なくありません。また、経験豊富な社員に頼ってしまい、属人化しやすい環境から抜け出せない会社も多くあります。

業務属人化の原因②:業務の専門性が高い

専門性が高い業務は誰もがすぐに取り組めるものではありません。担当者が他の人にスキルやノウハウを教える体制が整っていれば良いのですが、そもそも専門性が高すぎてマニュアル化できなかったり、研修期間が取れなかったりすると、属人化が進んでしまうのです。

業務属人化の原因③:人的リソースが少ない

人手が足りない部署やチームでは、マニュアルを作成したり、業務を教えたりする余裕がありません。メンバー一人ひとりが抱える業務量が多く、共有できない場合も考えられます。

また業務を教えるよりも担当者がやった方が早いため、人材育成に繋がらず、属人化しやすいのです。

業務の属人化によって引き起こされるリスク

属人化が進んでいくと、状況によっては以下のような問題・トラブルが起こるといわれています。

  1. 業務効率が低下する
  2. 業務の停滞に繋がる
  3. 一定の質を保つのが難しい
  4. 適正な評価が下されない可能性がある
  5. 担当者の負担が大きくなる

どれも深刻な問題に繋がる可能性があるので、詳しい内容を押さえておくようにしましょう。

業務属人化のリスク①:業務効率が低下する

他の人の視点ややり方を取り入れることで、業務効率が改善されます。しかし、属人化していると客観的な視点がなく、作業効率に疑問を持たないまま業務を進めているケースも少なくありません。

また、業務フローには無駄な工程が含まれている可能性もあります。そのため「昔からこのやり方だった」というように、現在のシステムや状況には合っていないやり方で進めていると、無駄な残業が増えてしまうおそれがあります。

業務属人化のリスク②:業務の停滞に繋がる

担当者が仕事をしているうちは、業務も滞りなく進んでいるため問題がないように見えます。しかし、担当者が体調不良で休んでしまった場合、他の人が対応しようとしても、業務内容は担当者しか知らないため業務が停滞してしまいます。

部署・社内の業務がストップするだけでなく、取引先や顧客からの問合せにも対応できず、信頼を失う可能性もあるでしょう。

業務属人化のリスク③:一定の質を保つのが難しい

属人化している現場ではマニュアルが存在していないことも多く、業務の進め方や顧客への対応が担当者基準になっていることがほとんどです。このように基準がない状態では、担当者の不在で他の人が対応したときに適切に業務を進めているのかわからなかったり、成果物にバラつきがあったりと、一定の品質を保てなくなります。

業務属人化のリスク④:適正な評価が下されない可能性がある

業務内容について、周りの人はもちろん直属の上司もわかっていないため、適正な評価が下せない可能性があります。質の高さはもちろん、担当者が前回からどれだけ成長しているか誰もわからない状態となることも多いです。上司は適切な人事評価が行えず、担当者にとっては「これだけやったのに評価されていない」と不満を抱く可能性があります。

業務属人化のリスク⑤:担当者の負担が大きくなる

特定の人が業務を進めているため、周囲の人に分担されることなく業務が集中します。これにより、業務量の多さから期間内に仕事が終わらないことも少なくありません。長時間の残業によってパフォーマンスが低下する他、体調不良などで休職してしまうかもしれません。

良いこともある?業務の属人化によるメリット

属人化が引き起こすリスクは企業に大きな影響を与えますが、一方で以下のようなメリットがあります。

①取引先や社内からの信頼を得られやすい

取引先から「この業務は○○さん」と認識されれば次の取引も進みやすく、スピーディーな対応が可能になります。また、社内でも「○○さんに任せよう」となれば自信に繋がる他、社内外から信頼を得られやすくなります。

②専門性が高まる

他の人にはない経験や能力を持った人がその業務にコミットすることで専門性が高まり、さらなるスキルアップに期待できます。

③本人のモチベーションに繋がる

業務の属人化によって、「大事な仕事を任せられた」と実感する方も少なくありません。貴重な人材として認められれば仕事へのモチベーションが上がり、業務に対して前向きに取り組めます。

ネガティブな印象が強い属人化ですが、場合によっては良い方向に進むこともあるので、本人の意思と周囲の状況を確認しながら今後の対応を考えることが重要です。

業務の属人化を解消するための方法

業務の属人化によって問題が大きくなる場合、早いうちに解決する必要があります。ここからは、業務の属人化の解消方法を3つ紹介していきます。

  1. マニュアルや仕組みを整備する
  2. 権限を複数の社員に与える
  3. ナレッジマネジメントシステムを活用する

なかには時間がかかるものもあるので、できるところから始めてみてください。

業務属人化の解消方法①:マニュアルや仕組みを整備する

業務のマニュアルを作成したり、業務フローを見える化したりすることで属人化は防げます。マニュアルがあれば担当者が不在でも他の人が対応可能な他、万が一退社した場合にも「何から手をつけていいかわからない」といった状況になりません。マニュアルを作成した後は、保存場所を社内で共有しておきましょう。

また、業務が複雑なほど属人化しやすいものです。業務フローを分解して可視化すれば、無駄な業務が削られシンプルな仕組みになり、新人の方でも業務を進められます。また、上司や他の社員が携わることで、何か新しい問題点が見つかるかもしれません。

業務属人化の解消方法②:権限を複数の社員に与える

業務の権限を複数の社員に与えることも属人化の防止に繋がります。特定の一人に権限を与えるのは、業務がスムーズに進むメリットがある一方、他の社員が何もできず業務が属人化しやすくなります。

権限を複数の社員に与えれば、たとえ担当者がいなくても、メンバーはもちろん顧客にも迷惑がかかりません。なお、サブ担当者を作るだけでも属人化の解消に繋がります。いずれにせよ、一人しか業務について知らないという状況を避けるのがポイントです。

業務属人化の解消方法③:ナレッジマネジメントシステムを活用する

ナレッジマネジメントシステムは、個人の知識や経験などを組織で共有するツールです。個人が培ってきたスキルや持っている情報は、文章などで発信しない限り他の人には伝わりません。

ナレッジマネジメントシステムを活用すれば、情報を文章化・共有して組織の財産として蓄積することが可能です。属人化が防げるため生産性向上に繋がるだけでなく、新たな価値観に気づける可能性もあります。情報を一ヶ所に集約できる他、スマホ対応のツールなら外出先からのアクセスも可能です。

不動産営業においては、ナレッジマネジメントシステムの活用で、顧客対応の履歴やトラブル事例などを共有することで迅速な対応が叶います。また、優秀な社員のスキルや行動を共有して、社内全体の営業力の向上も図れます。

サービスや管理の質を上げるには「業務標準化」がおすすめ

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業務標準化とは、従業員全員が手順に沿って業務を進められる状態のことを指す言葉で、主に「業務フローの標準化」「タスクの標準化」の2つに分けられます。「業務フローの標準化」は、業務の流れを従業員全員が把握できる状態にすること、そして「タスクの標準化」は、誰が行っても一定の品質が保てるよう手順や方法をマニュアル化することとされています。

業務の標準化が進むと以下のようなメリットが得られるため、属人化解消に向けて努めていきましょう。

  1. 同じ品質の成果物を提供できる
  2. 無駄なリソースの削減ができる
  3. 担当者が不在でも柔軟に対応できる

上記3つのメリットについて、詳しく解説していきます。

業務標準化のメリット①:同じ品質の成果物を提供できる

業務標準化は、成果の出た方法を標準化してマニュアル化するため、誰が業務を行っても同じ品質で成果物を提供できます。従業員によって品質にバラつきがあればやはり優秀な人に任せてしまうことになり、そのまま属人化が進んでしまいます。もし業務の標準化ができれば従業員全員がマニュアルに従って作業できるため、属人化することなく仕事が回せます。

業務標準化のメリット②:無駄なリソースの削減ができる

業務標準化がされていない状態では、「どのように取り組めばいいのか」など考える時間や周囲に相談する回数が増えます。また、無駄なタスクが含まれている場合もあり、業務効率が下がっている場合もあるでしょう。

業務の標準化が進めば、周囲の時間を奪うことなく自分のタスクを消化できます。また、タスク改善を周囲の従業員と協力して行っていけば、より良いアイデアが出たり他の業務を改善するきっかけになったりして、全体の業務効率化にも期待できます。

業務標準化のメリット③:担当者が不在でも柔軟に対応できる

全員が業務フローの流れを把握し、マニュアルによって安定した品質を提供できるため、担当者が不在でも柔軟な対応ができます。担当者の長期休暇や休職の際に、誰も対応できないようでは組織として大きな問題です。また、担当者が退職をした際に十分な引き継ぎができず、取引先や顧客からの信頼を失う可能性もあります。

もしマニュアルが整備されていれば、担当者不在時にも問題なく対応できるうえに、退職の際の引き継ぎもスムーズに行えるため、後手に回らないよう事前に準備しておきましょう。

属人化を解消して業務効率化を図ろう

属人化は、個人の個性やスキルを活かせるといったメリットがあります。しかし、担当者以外は業務を把握しておらず、担当者が休むと業務が停滞したり品質にバラつきがあったりと、顧客や社内に与えるリスクの方が大きいといわれています。

属人化の防止には、業務フローを可視化して改善したり、マニュアルに落とし込んで安定した品質を保ったりと、「あの人しかわからない・できない」状態をなくすことが重要です。社内全体の業務効率アップにも繋がりますので、今回ご紹介した方法を実践して社内環境を整えましょう。

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CHINTAI JOURNAL編集部

この記事を書いた人

CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。

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