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不動産賃貸仲介のオンライン接客の流れと満足度を高めるポイントとは?通常の案内とどう違う?

記事公開日:2023/08/22

最終更新日:2023/10/06

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不動産業界もIT化の波が押し寄せ、さまざまな変化が起こっています。とくに現場を惑わせているのが、オンライン接客です。

遠方のお客様や、多忙なお客様の対応に非常に役立つという点があるものの、なかなか「これだ!」という最適解を見いだせず、手探りで対応しているという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、オンライン接客にフォーカスを当て、その対応方法について解説します。

不動産賃貸仲介のオンライン接客・案内の流れ

タブレットを持って屋外に立つスーツを着た男性の画像

オンラインでの接客や案内を求められたときは、準備と段取りが重要といえます。いかにお客様にストレスを感じさせることなく、接客と案内を行うかです。慣れることも大切ですが、最低限押さえておくべきポイントと流れをご説明します。

①開始時間の15分前に現地入りする

オンラインでお客様をご案内し、室内を確認いただく際には、予定時間の15分前には対象物件で案内準備を始めましょう。

15分間で準備することはたくさんあります。まずは、電波状況の確認です。マンションなどでは、駐車場部分や共用部分で電波が弱いことがあります。電波状況の確認はお部屋のみならず、共用部分も必須です。映像や音声をフリーズさせないためにも、電波状況の確認は欠かせません。

どうしても電波が弱く、映像として利用できそうにない場合は、この時間を利用して写真を撮影しておきましょう。落ち着いたところで画面共有するなどすれば、説明としては十分に成立します。

また、これは対面接客でも当然に行っていると思いますが、案内物件の現地に鍵がある場合は、鍵の保管場所をお客様にあまり見せないようにすることも重要です。とりわけ、オンラインで内覧時には、映像がよくわからないことになる可能性もあります。事前に案内用の鍵は回収して、開錠しておきましょう。

②定刻通りオンライン接客・案内を始める

時間になったら、オンラインでの接客案内をスタートさせましょう。なお、このときに、どこから案内を始めるかという点にも気を遣うべきです。

エントランスや共用部分が豪華な場合はエントランスから始める、アプローチや外観が重要な場合は道路から始める、室内からの眺望が良い場合は室内から始めるなど、物件によって工夫する必要があります。

天気やお客様の訴求ポイントを考え、最適なストーリーを作れるオンライン案内の利点を最大限活かすような工夫をしましょう。

ただし、いくつか注意すべきポイントもあります。一つ目は電波状況です。エレベーターは通信がかなり高い確率で切れますので、その点はご注意ください。

二つ目は場所をわきまえることです。共用部分で大きい声を出すと、お住いの方々のご迷惑となります。説明に集中するあまり、声が大きくなりがちなのがオンライン内覧のあるあるです。くれぐれも配慮を忘れないようにしましょう。

③物件の詳細情報を伝える

もちろんのこと、物件の良いところ、悪いところを余すことなく伝えましょう。重要なことは、営業担当者はお客様をリードする立場でありながら、お客様の代わりに物件を見ているという二つの立場を忘れないことです。

ただお客様の指示にしたがって気になるところを映すのではなく、いつもより細かい説明を忘れないことが求められます。

例えば、フローリングの色は見ればわかりますが、歩いた感触は営業担当者しかわかりません。ドアや折り戸を開閉するときのストレスの有無など、普段はお客様が感じられる部分を言葉で説明することを忘れないようにしましょう。

オンライン接客・案内でお客様満足度を高めるポイント

パソコンを見る男女の画像

オンライン接客・案内で最低限しなければいけないことがわかれば、さらにその技術を昇華させ、お客様満足度をアップさせましょう。競合他社との差別化を図るためにも、ここで終わらせてはいけません。

無料版ツールには制限時間がある

オンライン接客・案内を行うにあたり、時間配分に気を付けましょう。

無料版ツールには、時間の制限があります。時間がぎりぎりになると、説明を端折ってしまったり、省いてしまったりすることになります。こうなってはもはや本末転倒です。どれだけ丁寧に下準備をしたとしても、最後がグダグダになって良い結果が得られるとは到底思えません。

そのためにも、時間を常に気にしておく必要があります。時間切れによる再度の接続は、お互いにストレスがたまるものです。良いことなど一つもない時間切れは、絶対に避けましょう。

2人以上で対応を行う

個人的に最も重要と考えているのが、この2人で対応するという作業です。手間はたしかにかかりますが、非常に効果的といえます。

映像で実際にお部屋を見ればわかるのですが、単純に室内を確認するだけであれば、写真でも十分です。しかし、人が映りこむことで、そのサイズ感がよりリアルに伝わるというメリットがあります。SNSのルームツアーで必ず人が映っていることからも、理由は明白です。

さらに、オンライン案内は現地に来られることが困難な方に向けて実施されるため、細かい採寸をお願いされることもあります。2人体制であれば、細かい採寸と採寸結果の書き取りにも容易に対応が可能です。

時間と手間に余裕があれば、カメラマンと営業という2人体制を徹底しましょう。

録画機能を活用する

最近のツールには、ほとんど録画機能が実装されているため、これを使わない手はありません。お客様に録画できることをお伝えすることで、不要な再度の現地確認作業を減らすことが可能です。

さらに、自社でも録画をするメリットは多数あります。最も大きいのは、物件紹介のデータベースになることです。これにより、次回同じ物件の退去予定があったときには、予定の段階であっても他社より早く、かつ具体的な情報をお客様にお伝えできます。

次に考えられることは、社内研修資料としての活用です。著者も営業成績が大きく伸びたのは、自分の接客を録音したものを聞き返すようになってからのことでした。実際の接客営業中に指摘はできませんが、事後に見返すことで思わぬ発見をすることはたくさんあります。

最初は恥ずかしいものですが、慣れれば大したことはありません。自社営業社員同士のロールプレイングも有効ですが、どこか「なあなあ」になりがちですよね?そこを打破するのが、この録画映像を活用した営業検証です。ぜひ一度チャレンジしてみてください。

なお、Zoomを例に挙げますと、約1時間の映像容量は約200Bとされています。

不動産賃貸仲介の店舗接客との違い

パソコンを操作する手元の画像

技術的な向上が見込めたところで、店舗接客と変えなければいけないポイントをご説明します。ついつい対面での接客と同じような対応をしていると、思わぬ落とし穴にハマるかもしれません。

物件選定とヒアリングの時間のかけ方

実際の対面では複数物件を見ていただくのは当然ですが、オンラインの場合はそうはいきません。映像で見ていただく物件を、最小値まで絞り込むことが求められます。

そのため、ヒアリングに十分すぎるくらいの時間を費やしましょう。オンラインでは多くの物件をご案内することが優良なサービスであるという論理は、一度捨てるくらいの気持ちで臨んだ方が良いと考えます。

徹底したヒアリングで、可能であれば1物件、多くても2物件に絞り込みましょう。提案の段階でほぼ決定しているくらいまでお客様を温め、案内は確認です程度に持っていければ、オンライン接客の理想といえるのではないでしょうか。

また、オンラインで対応を希望されている方には、オンラインですべて完結できることを必ず説明してください。当たり前のことですが「大丈夫ですよ」の一言で終わらせていることがあります。

お客様が実際に物件を見なくても、映像で自社はどのような物件説明ができるのか、重要事項説明に留まらず、契約書本文の読み合わせやかみ砕いた説明ができるかなど、これまで得た工夫と自社の強みをアピールできるチャンスです。

これは、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、言葉で説明できるようになる頃には、他社との差別化は十分に図れているオンライン接客レベルに達していることでしょう。

説明の仕方や内容

間取りとパソコンの画像

少々テクニカルなお話になりますが、いかにオンラインならではのお客様の心配ごとを少なくできるかに、フォーカスすることが重要です。

例えば、オンラインでの案内時は、コンセント・スイッチ・テレビジャックの位置・口数まで確認し、サイズの確認も細部にわたります。キッチンは横幅と奥行きだけではなくシンクと調理スペースまで、トイレの上部収納の高さや、レンジフードから床面の高さ(男性は頭を打つことがある)など、詳細に確認しましょう。

このようにしてできたサイズ表と、コンセントやジャックの配置図を清書して、お客様にお渡ししてください。このときに気を付けることは、反転間取りを使用しないことです。

一度やってみると、意外と簡単にできます。他物件の成果物を事前にお客様に提示することで、信頼感を得られること間違いなしです。

まとめ

オンライン接客・案内は最初少し気恥ずかしく、お客様の細かい表情や機微が汲み取りにくいため、やりづらさを感じるものです。

しかし、同じ悩みを抱えている仲介業者は多数存在しています。裏を返せば、少しの工夫とテクニックで一気に差を広げるチャンスになるのです。とくに法人契約で総務の方をファンにできれば、以降の紹介件数の増大にも直結します。

オンライン接客・案内を極めて、他社との差別化を図り、地域ナンバーワンを目指しましょう。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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