記事公開日:2022/06/16
最終更新日:2022/09/18
不動産営業マンの中には、不動産に関するさまざまな資格を持ち、それを仕事に活かしている人がたくさんいます。特に宅地建物取引士やマンション管理士などが有名どころですが、「賃貸不動産経営管理士」という資格があるのをご存じでしょうか。
今回は、不動産業界の資格のひとつである賃貸不動産経営管理士について、特徴やメリットを解説していきます。仕事の幅を広げたい、転職して年収をアップさせたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅管理を健全かつ適正に行うために設定された資格です。2021年6月から、賃貸住宅の管理業務には業務管理者の設置が必須となりました。そして、この業務管理者になるには賃貸不動産経営管理士資格が必要とされています。
賃貸不動産経営管理士は、入居者の安全で安心な賃貸住宅での暮らしを実現するために、適切な知識や技能を持って賃貸物件の不動産管理を行います。賃貸不動産経営管理士の主な業務内容は以下のとおりです。
賃貸不動産経営管理士の仕事は多岐にわたり、賃貸物件の所有者である大家さんから依頼を受けて賃貸管理を行うのが一般的です。入居者を集めるために、賃貸物件に対する企画を立てるケースもあります。
賃貸不動産経営管理士は、2021年4月から国家資格として認められています。賃貸不動産経営管理士になるには、年に一度の試験に合格しなければいけません。
賃貸不動産経営管理士が求められる背景として挙げられるのが、賃貸物件の増加です。賃貸物件が年々増加しているにもかかわらず、管理方法の整備が進んでいないのが現状で、「早期の解決が必要だ」といたるところで叫ばれています。
特に、近年は以下の2点が問題視されており、これらも賃貸不動産経営管理士が求められる背景のひとつといわれています。
上記2つの問題を解決するために、2020年6月に賃貸物件における新しい法律が制定され、賃貸管理士の設置が必須となりました。
賃貸不動産経営管理士の資格取得には、3つのメリットがあります。
それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
賃貸不動産経営管理士の資格は、不動産業界の経験者だけでなく学生や主婦、他業界の人など誰でも取得できるのが魅力です。
賃貸不動産経営管理士は賃貸管理に必須であり、需要は年々高まっています。将来不動産業界への就職を考えている人の場合、賃貸不動産経営管理士の資格を持っていることで、選考を有利に運べるかもしれません。
すでに不動産業界で働いている人は、賃貸不動産経営管理士の資格を得ることで業務の幅が広がります。所有する資格が多ければ多いほどキャリアアップや年収アップに繋がるので、存分に活かしましょう。
賃貸不動産経営管理士の資格を取得すると、賃貸物件の経営や管理に関するさまざまな知識や技能が身につきます。これらの知識や技能は不動産業界のさまざまな業務で活用でき、入居者や大家さんの満足度の向上に繋がるでしょう。
また、土地や建物の活用の仕方にも詳しくなるのもメリットのひとつです。不動産賃貸だけでなく不動産売買や用地の業務にも役に立ち、自身のスキルアップにも繋がります。
さらに、別の業界でも賃貸不動産経営管理士の知識や技能が役立つ可能性が高いです。たとえば金融業界で働いている場合、不動産は融資の担保になる確率が高く、不動産の知識が必要になることも珍しくありません。建設業界やハウスメーカーで働いている場合も、賃貸不動産経営管理士の知識はさまざまなケースで活かされます。
このように、不動産業界に携わらなかったとしても、賃貸不動産経営管理士の資格はさまざまな場面で役に立ちます。
賃貸不動産経営管理士の知識を持っていると、賃貸トラブルを未然に防ぐことが可能です。敷金・礼金の扱われ方や、更新料の設定額に違和感を覚えた入居者の質問に応じることができ、スムーズな対応でトラブルの早期解決を図れます。
また、自身が賃貸物件を所有している場合にも、賃貸不動産経営管理士の資格は役に立ちます。賃貸不動産経営管理士の知識を活かし、自主管理に役立てている方も少なくありません。
賃貸不動産経営管理士試験は、1年に1回実施されます。賃貸不動産経営管理士の資格取得に興味がある人は、以下の試験概要を参考に資格取得の準備を始めましょう。
試験時間 | 13:00〜15:00 |
受験料 | 13,200円(税込) |
出題形式 | 四肢択一、50問出題 |
受験用件 | 誰でも受験可能 |
登録料 | 6,600円(税込) |
合格率 | 31.5%(2021年) |
合格者年齢 | 平均42歳 |
合否判定基準 | 40問以上正解 |
受験者数 | 32,459名(2021年) |
目安の勉強時間 | 100〜150時間 |
独学合格可否 | 可能だが継続した勉強が必要 |
出題形式は50問ですが、賃貸不動産経営管理士講習を受けている人は45問と5問少なくなります。その場合の合否判定基準は、35問以上の正解が必須です。
賃貸不動産経営管理士資格を取得しても、賃貸不動産経営管理士にはなれません。賃貸不動産経営管理士になるには、資格を取得してから業務管理者移行講習を受ける必要があります。
業務管理者講習には移行講習(業務管理者移行講習)と指定講習(賃貸住宅管理業業務管理者講習)の2種類があり、それぞれ講習実施機関が異なっているのが特徴です。賃貸不動産経営士の試験に合格した場合、移行講習を受けることで賃貸不動産経営士と名乗ることができます。指定講習を受けるのは、宅地建物取引士の資格を持っている方なので注意が必要です。
業務管理者移行講習の概要は以下のとおりです。
対象者 | 前年度までの試験に合格し登録を受けた賃貸不動産経営管理士 |
学習方法 | インターネットでのeラーニング講習 |
講習時間 | 2時間20分 |
受講料 | 7,700円(税込) |
修了要件 | 7割以上の正答 |
業務管理者移行講習を受けないと賃貸不動産経営管理士にはなれないので、忘れずに受講しましょう。
賃貸不動産経営管理士とは、安心安全な賃貸物件での暮らしのための知識や技能に関する資格のことです。賃貸物件の増加に伴い、2021年から国家資格となり需要も増加しています。
賃貸不動産経営管理士の資格を持つメリットは以下の3つです。
自身のスキルアップにも繋がるので、不動産業界に関わりのある人は資格取得を一度検討してみてはいかがでしょうか。