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賃貸営業の現場で役立つ「サブリース契約」の基礎知識|メリット・デメリットもわかりやすく解説

最終更新日:2025/10/10

記事公開日:2025/07/24

「サブリース契約って聞いたことはあるけど、詳しい内容を知らない」「オーナーに相談された時にちゃんと答えられるか不安…」

賃貸仲介営業の現場では「サブリース」という言葉を耳にする機会があるものの、仕組みまで正確に理解しているスタッフは意外と多くありません。

サブリース契約は法的な位置づけが特殊で、トラブルも起こりやすい契約形態です。最近ではオーナーからの質問や相談も増えてきているため、基本的な知識を押さえておくことで、現場でスムーズにやりとりできるようになります。

本記事では、サブリースの基本的な仕組みからメリット・デメリットについてまで、実務に役立つ知識をお届けします。2020年に施行された「サブリース新法」についてもわかりやすくまとめていますので、参考にしてください!

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サブリース契約の基本的な仕組みをわかりやすく解説

サブリース契約を理解するには、まず全体像を把握しておくことが大切です。特に「管理委託契約」との違いについてはオーナーから質問されることもあるため、きちんと説明できるようにしておきましょう。

サブリース契約の基本構造

引用:消費者庁「賃貸住宅経営(サブリース方式)に関する契約を締結する前に

サブリースとは、業者がオーナーの代わりに物件を運用し、オーナーに一定の家賃収入を保証する賃貸経営の手法です。主に、以下の2つの契約で構成されています。

マスターリース契約は、オーナーがサブリース業者に物件を一括で貸し出すための契約です。サブリース業者は借主となり、オーナーに賃料を支払います。

一方、サブリース契約は、物件を借り上げたサブリース業者が入居者に再貸し(また貸し)するための契約です。入居者はサブリース業者に賃料を支払います。

このように、オーナーと入居者の間で直接契約が交わされることはなく、物件に関するやりとりはサブリース業者を介して行われます。

サブリース契約の本来の意味を知っておこう

実際の現場ではこの2つの契約を明確に区別して呼ぶことは少なく、マスターリース契約もまとめて「サブリース契約」と呼ばれるケースが一般的です。

とはいえ「サブリース契約=一連の契約」と捉えてしまうと、それぞれの契約で何が取り決められているのかが曖昧になり、誤解や行き違いが生じる可能性があります。

実務では「サブリース契約」という言葉が広く使われがちですが、本来は「入居者との間で交わされる転貸借契約を指す用語である」という点に注意が必要です。

管理委託との違いは?

よく混同される「管理委託」との違いについても、しっかりと押さえておきましょう。

最も大きな違いは、「物件オーナーと入居者が直接関わるかどうか」です。管理委託方式では、オーナー(貸主)と入居者(借主)が賃貸借契約を結び、管理会社はあくまで契約や家賃集金、設備管理などを代行する立場にとどまります。そのため、状況によってはオーナー自身が家賃滞納や設備故障、近隣トラブルなどの対応に追われることもあります。

一方で、サブリース方式はオーナーと入居者の間にサブリース業者が入る転貸型の仕組みです。物件に関するやりとりは全てサブリース業者が行うため、オーナーは入居者と直接関わる必要がなく、トラブル対応からも解放されます。

ただし、その分コストは割高になる傾向があり、契約内容によっては追加費用が発生することもあります。オーナーから相談された際に、管理の方式や費用面での違いについて具体的に説明できるよう準備しておきましょう。

2020年施行「サブリース新法」で何が変わった?

2020年12月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)」が施行され、サブリース契約に関するルールが大きく変わりました。

業界のコンプライアンス意識を高める大きなきっかけとなった法律なので、主なポイントを一つひとつ確認していきましょう。

誇大広告の禁止(第28条)

「誇大広告の禁止」とは、実際の内容と異なる表示や、事実以上に有利に見せかける宣伝を禁ずるルールです。

サブリース新法により、業者は家賃保証や管理内容について正確な情報を提供することが義務付けられ、誇張した宣伝が規制されるようになりました。この規制により、オーナーが正しい情報をもとに契約を検討できる体制が整いました。

不当勧誘の禁止(第29条)

不当勧誘の禁止とは、間違った情報や曖昧な説明で契約を迫ったり、相手を混乱させるような勧誘を禁止するルールです。

これまで契約内容を十分理解できないままサブリース契約を結んでしまいトラブルに発展するケースがありましたが、この規制により契約の透明性向上が期待されています。

重要事項説明義務(第30条)

重要事項説明義務とは、契約の重要なポイントを書面にまとめて説明することを業者に義務付ける制度です。

サブリース契約では、サブリース業者が家賃の改定条件や契約解除の要件などを記載した書面をオーナーに交付し、内容を説明することが義務付けられました。

これは通常の賃貸契約と同様に、オーナーが契約内容を正しく理解し、納得したうえで契約に臨めるよう整備された仕組みです。また、契約時の認識違いを防ぎ、サブリース業者とオーナー間でのトラブルが生じないようにするための重要なルールでもあります。

さらに、2021年からは第三者による通報を可能とする「申出制度」も導入されるなど、より一層業界の透明性向上が期待されています。

なお、2023年3月、国土交通省は大手サブリース業者に対して「15日間の業務停止命令および改善命令」を下しました。これは新法施行後、行政処分が実施された代表的な事例として、サブリース業界に大きな影響を与えています。

今後の営業活動においても、法律遵守の姿勢がますます重視される流れとなるでしょう。

サブリース契約のメリット

ここからは、賃貸仲介営業職のスタッフが知っておくべきサブリースのメリットについて説明します。

融資や相続といった資産形成にも関わるため、オーナーからの質問に自信を持って答えられるようにしておきましょう。

1. 空室や滞納リスクを回避できる

サブリース契約では、オーナーに対して毎月一定額の「保証家賃」が支払われるため、空室が出ても収入がゼロになることはありません。

また、入居者が家賃を滞納した場合も、最終的な支払い責任はサブリース業者が負うため、経営の安定性を求めるオーナーにとっては大きな安心材料となります。

2. 管理業務を任せられる

サブリース契約では、入居者対応や家賃の集金だけでなく、入居者の募集・審査・契約手続き・解約立ち合い・リフォーム手配など、賃貸経営に関するすべての実務をサブリース業者が代行します。

管理委託方式では、入居審査の判断や修繕の最終決定などでオーナーの確認が必要になる場面もありますが、サブリースでは契約上の借主がサブリース業者であるため、細かい判断も不要です。

たとえば空室が出ても、オーナーが広告内容を確認したり、家賃交渉に対応したりする必要はありません。文字通り「おまかせ経営」ができる点が、管理委託との大きな違いです。

3. 融資を受けやすくなることも

保証家賃が契約によって定められていることから、金融機関から「収入の見込みがある物件」として評価されやすくなります。その結果、物件の購入資金などの融資を受ける際に審査が有利に働くケースがあります。

ただし、サブリース契約が融資審査において必ず有利になるとは限りません。実際は、物件の立地や規模、築年数などによって判断が分かれるという点は理解しておきましょう。

4. 確定申告がスムーズになる

収入が一定となるため、収支の記録や確定申告の手続きがシンプルになります。

通常の賃貸経営では、入居者ごとの家賃収入に加え、原状回復費や広告費、修繕費といった細かな経費の管理が必要です。

一方でサブリースの場合、オーナーが受け取るのはサブリース業者からの一定額の家賃のみであるため、申告時にはその収入と必要経費をまとめて処理すればよく、帳簿づけの負担が大きく軽減されます。

5. 相続対策になる

相続時の不動産評価額は、物件が「どれだけ貸されているか(賃貸割合)」によって変わります。つまり、空室が少なく入居率が高い物件ほど評価額が抑えられるため、課税額が少なくなるというわけです。

サブリース契約では、実際に空室があったとしても形式上は「満室」として評価されるため、相続税の負担軽減につながります。

さらに、節税効果だけでなく、相続後の実務負担を減らせるという点でもサブリース契約は有効です。賃貸経営をまったく経験したことがない家族が相続することになった場合でも、運営はすでにサブリース業者に任されているため、対応や管理の手間なく家賃収入を受け取れます。

サブリースのデメリット

サブリース契約には一見メリットが多く見える一方で、注意すべき点も多々あります。オーナーとの信頼関係を築けるよう、次のようなデメリットについてもきちんと説明できるようにしておきましょう。

1. 家賃保証額は下がる可能性がある

契約時に定めた保証家賃は、将来にわたって固定されるわけではありません。市場家賃の下落や入居率の低下を理由に、サブリース業者が家賃の減額を求めるケースがあります。

これは借地借家法第32条に基づく正当な権利であり、オーナーが拒否できないこともあります。

2. 免責期間が設けられることがある

サブリース契約には、「免責期間」と呼ばれる、家賃支払いが発生しない期間が設けられていることがあります。これは、入居者募集の準備期間として設定されるもので、新築であれば引き渡し後1〜6カ月、中古物件であれば退去後1〜3カ月が一般的です。

この期間中は、たとえ契約がスタートしていてもオーナーに家賃は支払われないため、ローンの返済計画や資金繰りに影響する可能性があります。契約前にこの点を把握し、事前にオーナーへ説明しておくことが重要です。

3. 収益性が低くなることもある

サブリース方式は入居者対応を含めた「一括管理」が提供されるため、手数料が高めに設定される傾向にあります。一般的には保証家賃の10〜20%程度が差し引かれるほか、別途手数料が加算されることもあります。費用対効果をよく検討したうえで契約することが求められます。

また、礼金や更新料などの一時金については、オーナーではなくサブリース業者の収入となるのが一般的です。管理委託のケースと異なり、「オーナーが受け取れない収入がある」という点も併せて覚えておきましょう。

4. 入居者を選定できない

入居者の選定はサブリース業者が行うため、オーナー自身が入居者を選ぶことができません。そのため、サブリース業者の入居審査基準によっては、オーナーの希望と異なる入居者が住む可能性もあります。

5. 解約が難しい

サブリース契約では、オーナーから一方的に契約を解除することは原則認められません。解約には「正当事由」が必要であり、以下のような事情が求められます。

正当事由になりうる事情の例

・ローン返済が困難になり売却せざるを得なくなった

・老朽化などにより建物を取り壊さなければならなくなった

・オーナー自身や家族の入居が必要となった

しかし、こうした正当事由が認められた場合でも、違約金や立ち退き料などの条件交渉が生じるケースがほとんどです。違約金の相場は家賃収入の6ヶ月分程度で、契約内容によってはさらに高額に設定されていることもあります。

このように、借主であるサブリース業者は借地借家法によって保護されているため、オーナーの都合だけでは簡単に契約を終了できないのが現実です。

また、過去には大手サブリース業者が経営破綻した事例もありました。2018年に社会問題となった「かぼちゃの馬車事件」では、「利回り8%・30年間家賃保証」をうたった女性専用シェアハウス運営会社が破綻し、700人以上の投資家が被害を受けました。物件数は1,200棟以上、ローン総額は1,500億円以上にのぼるとも言われる大規模な事件です。

このように、サブリースは忙しいオーナーにとって非常に便利な仕組みですが、その一方で、高額な違約金が発生するリスクや、サブリース業者の経営状態に左右されるといった注意点も多く存在します。

オーナーから相談を受けた際には、サブリース業者の経営状況やこれまでの実績を十分確認し、契約条件の細部までしっかりと検討するよう促しましょう。特に、免責期間や違約金に関しては後のトラブルにつながりやすいため、契約前にしっかりと確認しておくべきポイントです。

サブリースの特徴を理解してワンランク上の営業を目指そう

サブリース契約は、賃貸経営を支える選択肢の一つですが、仕組みやリスクを正しく理解していないと、オーナーとの関係に支障をきたすことがあります。

たとえば「家賃保証はずっと固定される」「いつでも解約できる」といった間違った情報をオーナーに伝えてしまうと、実際の契約内容と異なることが判明した際に「営業担当者から聞いた話と違う」と信頼を失ってしまう恐れがあります。こうした行き違いを防ぐには、メリットだけでなく注意点やリスクも含めてバランスよく説明する姿勢が重要です。

本記事をきっかけにサブリース契約に関する正しい知識を身につけて、現場での対応力を高めていってください!

泉 正孝

この記事を書いた人

ウェブスタジオイズミ代表。宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者・相続マイスター。東京都在住。大学卒業後、電鉄系総合不動産会社に入社し、不動産仲介事業部に所属。

不動産業界歴10年以上、ライター歴7年以上、サイト運営歴9年以上の経験を活かし、ライター兼ディレクター、SEOコンサルタントとして活動中。「住宅ローン・相続・税金・保険・資産運用」など、実体験に基づく記事を1900本以上執筆。SEO上位獲得多数。専門家として1次情報とエビデンスを重視し、読者目線の執筆を心がけている。

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