エピソード

夢が叶うDIY賃貸 人とまちの縁を紡ぐ“コミュニティのリノベーション”に迫る 

記事公開日:2024/02/02

最終更新日:2024/02/02

お部屋探しとまちづくりで、縁を紡ぐ不動産会社

賃貸エージェント 髙橋 隆幸さん

松戸と下北沢に店舗を構えるomusubi不動産。
DIY可能賃貸の管理戸数は220戸を超え(2023年4月時点)、入居者の理想の部屋づくりが叶う物件を多く取り扱っています。
更に賃貸仲介業に留まらず、地域イベントの開催にも積極的。店名に「おむすび」とあるように、入居者や街の人々とお米を育てるなど、コミュニティ作りに大きく寄与している不動産会社です。

今回は、そんなomusubi不動産の賃貸エージェントである髙橋 隆幸さんにインタビュー。
DIY物件でのエピソードや、不動産会社が担うまちづくりについて、お話を伺います!

omusubi不動産 髙橋さん

omusubi不動産とは?

「自給自足できるまちをつくろう。」をコンセプトに、おこめをつくる不動産屋として2014年4月に千葉・松戸で創業。今年4月に10周年を迎えられます。

DIY賃貸やリノベーションを推進し、空き家を活かしたまちづくりを行いながら、お米づくりをはじめ、シェアアトリエやシェアカフェ、アートフェスティバルの運営など、空き家の再生を起点に人々が交わる機会を提供し、まちのコミュニティのリノベーションにも取り組んでいらっしゃいます。

2020年には東京・下北沢に2号店を出店され、近年は小田急電鉄・東急電鉄とタッグを組んで沿線の空き家活用にも注力。また、さまざまな地域のまちづくり開発から運営をサポートするなど事業を拡大中の、今注目すべき不動産会社様です!

タイミングが重なって出会った不動産業界

転職、震災、コロナ…激動の中で歩き始めた道

髙橋さんはじめまして!本日はよろしくお願いいたします。

こちらこそよろしくお願いいたします!

早速ですが、髙橋さんのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか?

宮城県出身で、高校卒業まで地元にいました。
高校を卒業した後は仙台市のファッション系の専門学校に進学し、仙台市でセレクトショップを展開する会社で2年ほど働いて…。あとは少しふらふらしていた時期もあって、結局のところ2011年までは仙台にいました。

そのあとに千葉へ出てきて、今のomusubi不動産にて勤務といった経歴です。

ファッション系を学ばれていたんですね!
不動産とはなかなか結び付かないのですが、どのような経緯で不動産業界への道を進まれたのでしょうか。

仙台市にいた頃、働いていた会社がつぶれそうになりまして…めちゃくちゃ時間があったんです。
その会社には同年代が多くいたのですが、リーダー的存在のスタッフが「もうこの会社潰れるから、スキルアップとかに時間使って自分たちで次の就職先見つけたりしな!自由に時間使おうぜ!」みたいになって(笑)

ただ当時28歳だったので、転職するにもなかなか厳しい。
そう思っていた時に友人に相談したところ、「資格を何か取った方が転職に有利。髙橋の職務経歴を活かせる今から狙える資格は宅建だ、今(7月)からでも宅建は狙えるよ」と紹介してもらって。
そこから3ヶ月ひたすら宅建の資格勉強だけをやって、合格しました。

勤めていた会社は宅建合格までの間に潰れてしまったので、じゃあ転職だ!と。

髙橋さん

そこで不動産業界に足を踏み入れるわけですか。

実はそうではなくて。面接を色々受けて、結局は不動産会社ではない会社から内定をいただきました。
その会社で働き始めるぞと準備していたところに、2011年の東日本大震災が起きて…。震災の影響で、内定先の企業から「雇う体力がなくなった」と言われ、仕事を求めて千葉に来たという流れです。

千葉に来てからは宅建の資格を活かして、不動産会社で4年間働きました。
いつか仙台に帰ってアパレル系の創作活動をしたいな~という夢もあったので、本格的に夢に取り組みたいと思ったタイミングでその会社は辞めました。
その後2年学校に通い、そのあとまた別の不動産会社の管理部門でアルバイトをしつつ、創作活動を続けていました。

創作活動が軌道に乗って、そろそろバイトも辞めて一本化するかと思い立ったとき、コロナの時期がやってきまして…。バイト先も辞めようとしていたので続けられない、創作活動もコロナでダメージを食らって厳しい。

そんな状況で見つけたのがomusubi不動産の求人だったんです。

救世主のような出会いですね…!

モノづくりと不動産業

元々omusubi不動産についてはご存じだったのでしょうか。

創作活動の関係で自分のアトリエを探していた時に、omusubi不動産のホームページをよく見ていたんです。
モノづくりって、騒音の面で不動産会社から断られることが多くて。omusubi不動産では手ごろな賃料で、ある程度音を出しても大丈夫な環境を整えている物件も扱っていたので、この不動産会社いいなと印象に残っていました。
そこで求人が出ていたので応募して、今に至ります。

では、今は不動産会社で働きつつ、創作活動もされていると。

そうですね。omusubi不動産で働きつつ、今も創作活動を続けています!

DIY可能物件ならではの魅力と接客法

理想を叶えるためのお部屋

omusubi不動産ではDIY可能物件を多く取り扱っていらっしゃると思うのですが、通常の不動産会社と比べて、どのようなお客様が多いのでしょうか?

性質は全く異なります。

一般的な不動産会社は、普通の住居として、どちらかというと住みやすさを求めている方がほとんどという認識ですよね。
新築とか設備が整っている物件が一般的な賃貸だと人気なんですけれども、DIY賃貸を求めてやってくる方というのは、そのような一般的な物件では自分の目的が果たせない方が多いんです。

絵を描いたりモノを作ったり、後はDIYに興味があり自分でDIYをやりたいなど。「自分でお部屋を作りながら住んでいきたい」という思いが特徴として挙げられます。

あとは…DIY賃貸ですと相場よりもだいぶ家賃が安いので、そこも魅力に感じて探されている方が多いように感じております。

相場的には通常の物件とどれくらい違うんですか?

一概には言えないのですが、大体通常の物件の5~7割くらいです。

かなり変わってくるんですね…!!
自分好みにお部屋をDIYできるとなると、omusubi不動産にいらっしゃるお客様は物件にどんなこだわりや条件を持ってお部屋を探すのでしょう?

自分のやりたいことがこの物件で叶えられるのか?という点がこだわりになってくると思います。
例えば木工作業をしたいとなると、先ほどもお話しした音出しができる環境かどうか。絵を描きたいとなると、広い部屋があるかどうか。そういった方には戸建ての賃貸物件もおすすめしています。

髙橋さん

受け継がれるDIY物件

それから、DIY可能賃貸だと2人目以降の入居者様になる物件も人気です。
2、3人目の入居となるお部屋は、築年数が古い物件でも、omusubi不動産で(DIY可能賃貸として)お預かりした最初の入居者様によるDIYで、綺麗になっていることが多いんです。
一番最初にお部屋に住んだ方は床を張り替えたり、壁に漆喰を縫ったりと大型のDIYをする確率が高いので、そのDIY後の雰囲気を気に入ってお部屋を選ぶ方がいらっしゃいます。

先人のデザインを気に入って入居する…素敵なお部屋の引継ぎ方ですね。

そのお部屋はリノベーション物件みたいに見えたりするので、他のDIY物件よりもおしゃれで注目度がアップします。

印象に残っているお部屋はありますか?

弊社のパンフレットにも掲載しているのですが、このお部屋ですね。

omusubi不動産の入居者様のDIY例(出典:omusubi不動産公式note

元々は古い2DKの間取りだったお部屋を、美大出身の方に借りていただきました。

天井や壁をハンマーでぶち抜いて、柱も取っ払って、畳を取り除いて床材はグレーのシートを貼って、壁は漆喰塗りにして…和室がおしゃれで広い空間に変わったんです。
そこに入居者様の家具が入ることで、さらに洗練された雰囲気のお部屋になりました。

見違えるようです…!築古の和室だったとは思えません。

正直ここまで手をかけて改装するという方は少ないのですが、DIY可能賃貸としてお預かりした物件の最初の入居者様ですと、本気でDIYに挑戦するという方もいらっしゃいます。
本気のDIYをされた後の物件に出会えるというのもDIY賃貸の醍醐味であり、omusubi不動産の魅力なのかもしれません。

デメリットも誠意をもって伝える

DIY可能物件を多く扱っているomusubi不動産ですが、髙橋さんが接客中に特別意識して行っていることはありますか?

物件の良いところだけでなく、デメリットもきちんと伝えるところです。
DIY物件って聞こえはいいですが、やはり築古物件が多いので難ありなお部屋もあるんです。排水の流れが良くなかったり、建て付けが悪かったり。
そういった部分は必ずお伝えして、それも含めて現状で貸出しているということをご理解いただくようにしています。

あとは、入居者様がDIYを行う際、改装内容は事前に改装届という書類を提出いただき、omusubi不動産がオーナー様に改装内容の許可を取っています。
許可を取った上でのDIYは原状回復義務なしという条件になっているのですが、「原状回復義務なし」を勘違いされる方もいらっしゃって…。一度も掃除をされずに退去され、クリーニングが大変だったケースもありました。
非常に稀ですがそういった事例もあるので、丁寧な説明は常に心がけています。

退去時のトラブルは普通の不動産会社でも起こりうるものですもんね。
デメリットも真摯に伝える、とても大事なことだと思います。

髙橋さん

「人とまちを繋ぐ不動産会社」として

入居者発信のイベント開催も

ここまでは髙橋さんの賃貸エージェントとしてのお仕事についてお伺いしたのですが、omusubi不動産で行っているイベントのお話に移らせていただきます。

髙橋さんは賃貸のいわゆる営業のお仕事ですが、イベントに携わることもあるのでしょうか?

omusubi不動産はイベントの企画を担うチームと不動産チームで分かれているのですが、不動産側でも物件見学ツアーなどの企画は行っています。

入居希望者様向けのイベントで、個々の方の内見を一堂に集めて実施しているイメージです。通常の居住物件の他にも、テナントやアトリエ物件の見学ツアーも行っているので、入居者様との交流の機会を設けることもあります。

効率よく、かつ満足度の高い内見ができそうですね!

そうですね。入居希望者様から出てくる質問が毎回同じだったりするので、皆様に同時にお伝えできるのも良いポイントです。

松戸市内のシェアアトリエ物件に入っているブランドさんで、合同の展示会を開催したこともありました。
あとはomusubi不動産にはせんぱく工舎というシェアアトリエがあるのですが、月に一度「ゆるっとオープンデー」というイベントを開催しています。
これは弊社がイベント企画を主導しているのではなく、入居者様発信で開催されているイベントです。

ゆるっとオープンデーで行った流しそうめんの写真
イベント「ゆるっとオープンデー」の様子

普通の不動産会社から借りたテナント物件だと、テナント同士の関わりってあまりないですよね。

確かに!その繋がりを入居者様が企画しているのも、素敵ですね。

面白い不動産会社であるために

このイベントは地域の方も参加されているんですね。

むしろそこに目的があります。
せんぱく工舎にお越しいただき、こういうアトリエがあるという場所の認知度のアップと、omusubi不動産の存在を知っていただける良い機会になっています。

実際にイベントに参加していただいた地域の方からの、「松戸のまちの色々なところでomusubi不動産の名前を聞くよね」というお言葉が印象に残っています。
ポジティブな反応を頂戴しているので、面白い会社として今後もやっていかないと!と思っています。

入居者様だけでなく、地域の方との交流も。
コミュニティそのものを作って、さらに広げる役割を不動産会社として担っていらっしゃるんですね。

イベントを開くと、その参加者同士がさらに繋がってマルシェを開催したり、場所を跨いで別のイベントに出店してくれたりもします。
私たちが関わっていないところで、自発的に繋がりが生まれているのはとても嬉しいですね。

イベント「縁」の写真
イベント「縁」の様子

こういったイベントを開催することで、不動産会社としてのメリットはあるのでしょうか。

ダイレクトにはないかもしれないのですが、イベントを開催することでその物件の雰囲気が伝わり、早めに入居が決まる…ということはあります。

内見では伝わらない、リアルな雰囲気が感じ取れるのはいいですね!

omusubi不動産が目指すファンづくり

気軽に相談できる不動産会社になりたい

そんな周囲の方からも愛されるomusubi不動産ですが、今後はどのような会社になっていきたいとお考えですか?

不動産屋って敷居が高いような、気軽に相談できない印象があるので、不動産関係の相談でもそれ以外の話でも、フラッと世間話をしに入れるお店にしていきたいと思っています。
賃貸でも売買でも、例えば相続が発生するときなどでも、どこに相談したらいいんだろうと悩む方々が、雑談ベースで話せる不動産会社になれたらいいなと。

3年間omusubi不動産で働かれてきて、その姿に近づいてきたなと感じる瞬間はありますか?

入居者様の繋がりで「この人が物件探してて」とお客様をご紹介いただいたり、「こんな物件あったら紹介してほしいです」と頼られることも増えてきたので、相談しやすい環境にはできているような気がしています。

人に勧めたりリピートしたくなる不動産会社って、魅力的ですよね。

伝えたいのは「まちの魅力」

では、最後の質問になります。
髙橋さんが、このomusubi不動産で叶えたい夢をお伺いしたいです。

今後も良いパフォーマンスを続けて、omusubi不動産のファンをたくさん作っていきたいです。
そのためにも、アーティストさんやクリエイターさんの入居をもっと増やして、つながりを増やしていけたらと思っています。

それこそ、空き家を持っている方にイベントに来ていただきたい。
アトリエを見ていただいて、「こんな物件の活用方法があるんだ」「私もomusubi不動産に物件を託したい」と思っていただけたら、もっとお預かりする物件も増えるはずです。

そうなればその物件に素敵なお店や入居者様が入って、さらに建物全体が盛り上がり、まちの魅力も増す。そういったきっかけを僕自身でも作っていきたいです。

ファンづくり、とてもワクワクする夢ですね!
不動産業を飛び越えて、人つまちの縁を紡ぐomusubi不動産。
おしゃれで面白く、あたたかい取り組みがこれからも続いていくと思いますので、注目させていただきます!

髙橋さん、本日は本当にありがとうございました!

ありがとうございました!

omusubi不動産の外観

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