記事公開日:2023/02/25
最終更新日:2023/08/10
「営業」という業種は楽な仕事ではありません。もちろん、賃貸仲介営業も例外ではなく、厳しい職業といえます。
今回は、私が不動産仲介業界働いていた時のことについて淡々と述べてまいります。
目次
賃貸仲介業界に20年以上従事している私が経験したことをいくつかご紹介いたします。
営業にノルマはつきものです。契約数が少なかった場合、基本給とは別で支給されるプラスのお金が少なくなるので、お財布が寂しくなってしまいます。
多くの契約が取れた月はいいのですが、月をまたぐと売り上げはリセットされます。ゼロからの積み上げに途方もない虚無感を覚えたことがある人は、私だけではないでしょう。
また、「入金をもって売上計上される」という会社では、お客様に決済金の入金を急いでもらうことが月末の恒例行事になります。
IT化が顕著な不動産業界。しかし、現在もアナログな作業で業務を行う会社が一部あります。
賃貸仲介における契約は、最近になってようやく電子契約が増えてきました。しかしメインで行う契約書などには、今でも「紙」のまま残っているものもあります。そのため賃貸借契約のみならず、保険や保証、付帯商品(本商品に付属しているプラスの商品)などは、「紙」での契約を余儀なくされるものが多いです。
長い時間をかけてようやくすべての作業が完了したと思ったのに、捺印(印鑑)漏れが発覚して急いで捺印をもらいに行くといったやり取りは、賃貸仲介の営業マンなら一度は経験しているはずです。
専任物件(特定の不動産業者のみに仲介を依頼している物件)で、電話ではなく会いに行かなくてはいけないという決まりがあるオーナー様が、稀にいらっしゃいます。契約後に捺印をもらいに行くのは仕方ありませんが、空室確認のために訪問していると、時間がいくらあっても足りません。
物件台帳が「紙」という時代もありました。その頃は空室条件を確認して、手書きで号室や条件を記載していました。いつの間にか紙台帳がボロボロになっていて、お客様に提示できない、なんていうことも良くあったのを覚えています。
「電話追客」とは、見込み客へのアプローチを電話で行うことです。
反響メールをプリントアウトして顧客リストを見ながら順番に電話をかけ、週末の来店予約を整えないと店長に怒られる日々。お客様から反応がないときには、個人で持つ携帯電話からかけることもありました。アドレス帳が知人や友人以外の名前で溢れかえるのは、お客様へのアプローチを頑張った証といえるでしょう。
ポータルサイトへの物件登録は集客のために必ずしなければいけない作業です。物件の写真がストックされていなければ、積極的に撮影する必要があります。
最近は撮影直後にそのままドライブ上で処理できますが、以前は会社に戻って撮影した写真をパソコンに保存し、ポータルサイト(物件サイト)に入稿しなくてはいけませんでした。
賃貸仲介営業は非常に辛い仕事ですが、弱音を吐いても始まりません。私は、自分なりにいくつもの失敗と努力を経験してきました。
今回は私が実践した努力や乗り越え方を説明していきます。
私は、お客様からなかなかいい反応が得られなかったり、自分的にはいい反応に感じていても実は温度感の低いお客様だったりした経験から、待ちの営業に苛立ちを感じることがありました。
そこで「待っていてもどうしようもない」ならと、自分からお客様を探しにいくことにしたのです。今思えば手間のかかる方法ではありますが、同じビルに入っている他の会社様への挨拶をしたり、過去に利用してくださったお客様や法人契約の総務担当者宛に、ご紹介をいただけるように手紙も書いたりしました。
お客様と長期的にお付き合いできるよう、入居時の写真を撮影したものをお渡しして、退去時のトラブルを抑制するというサービスも実施。これらの努力は売上の安定につながったので、同業種の方にはぜひ実践してほしい方法です。
そもそも不動産業界自体が非常にアナログで、一つひとつ手間をかけて行う業界であるというイメージがあります。
書面を送付・郵送するにしても、送付状を作成するなど、何かと手間がかかります。そこで私はパソコンのスキルを磨くことにしました。最初に始めたのは、パソコンで文字を打つスピードをあげる練習でした。
同じ会社にいる仲間たちと競い合う形で練習を行ったり、エクセル関数の勉強を行ったりもしました。IFやVLOOKUPなどの汎用性の高い関数を覚えておくと、決済金明細(売上の明細書)や、重要事項説明書(契約上の重要な内容をまとまた書類)の作成がスムーズに進むようになりました。
現在はほとんどの会社でMAツール(顧客獲得のためのマーケティングをサポートするツール)や、CRMシステム(顧客情報を管理するツール)が導入されていますが、PCスキルを向上しておくと、自分でできることが増えるので非常に便利です。
続いて、私は会社に導入されているMAやCRMのツールについても勉強しました。
反響の動向分析やお客様の状況確認を行うときには、これらのツールが欠かせません。さまざまなデータをもとに分析することで、自分の弱点が減っていくように感じました。
成果が出ないことには必ず理由があります。現在使っているツールからデータを抽出し、定点観測をするだけでも、今まで見えていなかったことが見えてくるようになります。
賃貸仲介営業をやっていると、必ず経験している「あるある」。1つや2つでは足りませんが、いくつか挙げてみましょう。
今回は、私は経験してきた賃貸仲介営業マンのあるあるを挙げていきます。
どの業界や業種でも当たり前に経験していることだと思っているかもしれませんが、それは「賃貸仲介業者しか経験しえないこと」かもしれません。あなたはいくつ当てはまりますか?
最近はスマートフォンで簡単にきれいな写真が撮影できるようになりました。専用のカメラを準備している会社や、プロのカメラマンに撮影を依頼する会社もありますが、自分のスマートフォンで撮影することもしばしばあるのではないでしょうか。
ふとスマートフォンのアルバムを見返すと、賃貸物件の写真の山だったという経験はありませんか?
私が非常に困ったのは、どこで撮った物件の写真なのか分からなくなってしまったときです。勉強のために物件の写真を撮影しておくことは非常に有効な手段ではありますが、すぐに写真フォルダに名前をつけて保存するようにしましょう。
「明日は1週間ぶりの休みだから何をしようかな?」と、悩んでいるときに着信が入り、「明日、問い合わせた物件を見たいです」と、お客様から要望をいただいたことが何度もあります。
本当は心の底から休みたいけれど、他の営業マンに案内を頼んで成約・売上を取られるくらいならと、出勤した経験は、一度ではありません。
いくらIT化が進んでも、自分が住む部屋を実際に見たいというお客様はいらっしゃいます。お客様に求められてこその営業なので、代休を申請して快く対応しましょう。
これは一番困る「あるある」な状況ではないでしょうか。お客様に嘘をついてしまったような罪悪感と、振替物件の検索作業で、自分にこれほど集中力があったのかと思い知らされる羽目になります。
一人暮らし用の物件ならまだリカバリーできるのですが、ファミリータイプや分譲賃貸マンションの一点物だったときにはリカバリーが難しく、絶望感を味わったこともあります。
これに似た「あるある」に、現地に案内用の鍵がない、というものもありました。そのような場面に遭遇したら、管理会社に急いで持ってきてもらうようにお願いするしかありません。
このような状況を防ぐためにも、案内終了後には必ず指定の場所に鍵を戻す癖をつけておくことが大切です。帰社後に、ポケットから案内用の鍵が出てきたときの絶望感を味わいないように気をつけましょう。
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