記事公開日:2022/01/27
最終更新日:2023/11/16
お客様の希望にぴったりのサービスや商品を提供できて、笑顔で「ありがとう」と言っていただけるのは営業職の醍醐味であり、やりがいを感じられる瞬間です。しかし、中には無茶な要望を言ってきたり、難癖をつけてきたりする嫌なお客様もいます。
ここでは、そんな「嫌なお客様」に対し、クレームなどを回避して穏便に収めるための接客ポイントを紹介します。
目次
「営業や接客はつらい仕事」といわれることもありますが、これはこちらの対応に関係なく、文句や難くせをつけてくるお客様がいるからです。クレームへの対応法は、シチュエーションやお客様のタイプによって変わりますが、ここでは、営業や接客をしていてつらいと感じる「嫌なお客様」の具体的なタイプや、それに対する対応法を紹介します。
お客様の中には店員やバイト、営業マンを見下している人もいます。そのため、明らかに年下であってもタメ口で話しかけてくる上から目線のお客様や、ちょっとしたことで怒鳴る高圧的なお客様、やたらとうんちくを語りたがるお客様は多いかもしれません。
上から目線や高圧的な態度を取られると、たとえお客様であっても、カチンとくるかもしれませんが、冷静に対処することをおすすめします。いちいち反応しても気分が悪くなるだけですし、お客様に反抗するわけにもいかないので、上手にやり過ごしましょう。
クレーマータイプのお客様は、ささいなことをオーバーに文句を言う方と理不尽な文句を言ってくる方の2つのタイプに分かれます。どちらの場合も、まずは一言お詫びをしてから、冷静に話を聞いてみて、問題点を確認することが重要です。
そのうえで、ささいなことでも落ち度があった場合は、不手際をお詫びし、再度要望にあったサービスや商品の提案をします。明らかに理不尽でこちらに落ち度がなかった場合は、「説明不足で失礼しました」など一言お詫びをして、不満に思われている点に関して説明をし、こちらに落ち度がないことを明確にしておきましょう。
落ち度がないのに全面的な謝罪をしてしまうと、中には無茶な要求をしてくるお客様もいるので、き然とした対応で臨んでください。
営業や接客では、希望にそったサービスや商品の提案ができるよう、お客様の要望をヒアリングする必要があります。そのため反応(返事)がないお客様というのも「嫌な客」の部類に入ります。
親と一緒に来店する学生の方や、そもそも自分の希望を明確にしていない方など、要望を聞き取ることが難しい場合は、「はい」「いいえ」で答えられる形式の質問をするのがおすすめです。たとえば不動産会社の場合は「間取りのご希望はありますか?」ではなく、「1DKが良いですか?」「1Rが良いですか?」というように、具体的な質問をして物件を絞り込んでいきましょう。
商品やサービスにまったく関係のない話で脱線させたり、プライベートなことまで聞いたりしてくるお客様というのも、営業・接客効率が悪くなるので「嫌だ」と感じる方もいるかもしれません。
話を脱線させるお客様に関しては、適当に合わせながら、適度なタイミングで「お話を戻しますと」というように話を戻すことができます。しかし、プライベートに関してはあんまり話したくないということもあるので、同じ質問をそのままお客様に返してしまうのがベストです。
たとえば、「どこに住んでいるの?」と聞かれた場合は、「お客様はどちらにお住まいですか?」と聞き返してみましょう。食べ物の美味しいお店はあるか、最寄り駅はどこかなど、どんどん質問をしてプライベートな話題からそらしていくという方法があります。
プライベートなことをお客様に話すと仕事をしにくくなることもあるので、あまりにもしつこい場合は、上司や同僚に助け船を出してもらうと良いでしょう。
値切り交渉ばかりしてきて、なかなか契約に進めないというお客様は、営業効率が悪くなるので「嫌なお客様」と感じるのも当然です。
値引きに関しては、自分に与えられている権限以上のことはできないので、上司に商談を続けるか判断を仰いでください。上司が「続けない」という判断をした場合は、再度商談をした際、値切り交渉が始まるようであれば1度相談を打ち切ります。「続ける」という判断の場合は、どれぐらいまで値下げをしていいか確認をして、商品・サービス代金の端数を切るなどの値下げ幅を提示しながら交渉を進めてください。
不動産会社や車の販売会社など、契約までにやり取りが必要な販売業の場合、電話などでの連絡がつきづらいお客様というのは困るので「嫌だな」と感じることもあるかもしれません。お客様の都合もあるので、連絡がつきづらくてもある程度は我慢して、何回も連絡を取り続けるしかありません。
ただし、あまりにも連絡がつかないと契約などを進められないこともあるので、連絡がつきやすい日時や時間帯を確認しておくことも大切です。できる限り、お客様の都合が良い時間に合わせて連絡をすれば、「ぜんぜん連絡が取れない」というストレスを溜めることもありません。
「不動産会社では、内見の日時や契約の日時、持参していただくものなどお客様おと約束をすることが多いので、約束事にルーズなお客様は非常に困ります。そのお客様は、すべてお約束事にルーズでした。
そのため、「契約事ですので守ってもらわなければ契約が破談になる」ということを伝え対応しました。そういったお客様は、入居後も問題になることが多いため、「お客様は神様です」の対応はしないようにしています。」
(不動産営業/41歳/男性)
嫌なお客様への対応法はあるとしても、シチュエーションによっては自分の裁量で対応しなければならないときもあります。もちろん臨機応変に対応できるのは良いことですが、NGな対応もあるので注意が必要です。
ここでは、嫌なお客様にやってはいけない対応を紹介するのでチェックしておきましょう。
すぐにお客様の言う通りにする、というのはNG対応です。クレームをつけるお客様の中には、「上司を出せ」「責任者を呼べ」「責任を取れ」という方もいますが、こういったワードにすぐに「はい」と言ってしまうと、強く言えば何でも要望が通ると思われてしまう可能性があります。
言う通りにすれば丸く収まるイメージがあるかもしれませんが、たとえ「責任を取る」としても、責任の所在が明確になっていなければ問題は解決しないので、話を聞いて冷静に対応することが大切です。
クレームの発端となったことを掘り下げてみると、お客様が間違っているということもあります。当然ですが、お客様が間違っているのであれば、上司を呼ぶ必要はありません。
いくらお客様のクレームであっても、結果として他の人の迷惑につながりそうな場合は、しっかりこちらからNGを出してください。営業や接客業でも、状況によっては「お客様は神様ではない」という精神をもつことが大切です。
その場で、自分判断でいろいろ決めようとせず、上司や他の人に意見を求めることも重要です。担当者であれば「自分でなんとかしなければいけない」と思ってしまうかもしれませんが、理不尽な要求などを自分1人で解決しようとすると、かえって話がこじれてしまうこともあります。
自分にはない権限の要求があった場合は、「上司に確認いたしますので、しばらくお待ちいただけますでしょうか」など一言断って、上司などに意見を聞いてから対応してください。
お客様の話をさえぎる、間違いを直に指摘するのは、決してやってはいけないNG対応です。話の途中で「そこは違う」と思うことがあっても、さえぎるのは大人としてマナー違反ですし、さらに不愉快にさせてしまいます。
また、「それはお客様の勘違いです」「そこは、契約書と違います」など間違いを直に指摘すると、より怒りを倍増させてしまうおそれがあるので注意してください。
クレームの内容にかかわらず、相手の神経を逆なでしてしまうような、不適切な言動はNGです。神経を逆なでされると怒りが倍増してしまうこともあるので、以下のような言動は慎んでください。
それは契約書に書いてありますよね | お客様の見落としを指摘すると、引っ込みがつかなくなります |
弊社ではそういう決まりになります | 企業の決まりごとはお客様には関係ありません |
私は担当者でないので | お客様は、会社やお店に対して話しているだけで、担当者でないことは関係ないのです |
それでは、どのようにすればいいのですか? | 責任を放棄し、逆ギレのように思われてしまいます |
これは普通のことです | 「あなたは普通でない」と言っているのと同じ意味で、相手を不快にさせます |
このように、クレームの場面では不適切な言動があるので気をつけてください。
嫌なお客様に当たってしまうと、前向きな接客ができなかったり、仕事が嫌になったりするかもしれません。しかし、マイナスなことだけではないのです。嫌なお客様の対応をすることで、相手を不快にさせない言葉の使い方や、相手の意図がくみ取れる洞察力を学ぶことができるでしょう。
また、クレームの中には、商品やサービスの改善点を言い当てていることもあるのです。クレームに対して適切な対処ができれば、周りからの評価もアップします。
このように、嫌なお客様の対応は「営業マンとして成長のチャンス」とプラスにとらえると、前向きな接客ができます。
お客様は十人十色なので、どんなに真摯に対応をしても、希望にそえるよう努力をしてもクレームをつけられることがあります。まじめな対応をしているのにクレームをつけられれば、腹が立つかもしれません。しかし、営業職や接客業においては、たとえ自分に非がなくてもよほどのことがない限り、お客様を責めるわけにはいきません。
「嫌なお客様」というのはどんな業界にもいるので、対立したり自分を責めたりするのではなく、適切な対応で穏便に済ませてやり過ごしましょう。
記事へのコメント | |