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賃貸営業担当者必見!お客様の申し込み後のキャンセルを防ぐため確認すべき事項とは

記事公開日:2024/02/07

最終更新日:2024/02/07

申込後のキャンセル防止について確認ポイント

賃貸仲介営業では、申し込み後のキャンセルを防止することが非常に重要と言えます。営業成果や営業効率はもちろん、今後の営業活動にも大きな影響を及ぼすからです。申し込み後のキャンセルにより、家主さんや管理会社からの信頼を失ったり、営業効率が下がり、お客様に費やした時間が無駄になったりしてしまいます。

そこで今回は、申し込み後のキャンセルを防止する方法について解説します。「申し込みから成約への歩留まりを改善したい」「とりあえず申込書を書いてもらう営業姿勢から脱却したい」などの悩みをお持ちの賃貸仲介会社様は、ぜひ最後までお読みください。

お客様が申し込み後にキャンセルされる主な理由

申し込み後のキャンセルを防ぐためには、理由を知ることが重要です。理由を知らずして対策はできません。よくあるキャンセル理由をまとめましたので、細かく確認していきましょう。

引っ越しの必要性がなくなった

ご家庭の事情や転勤がなくなったなど、引っ越しの必要性自体がなくなることもあります。必要のない引っ越しをする人はいないため、キャンセルも仕方ないと考えるべきでしょう。

ほかにもっと条件に合った物件が見つかった

申込書を記入した後に、良い物件が見つかってしまうパターンです。物件の選定におけるお客様とのずれ、お客様へのクロージング不足などが考えられます。対策によっては、防止できそうなキャンセル理由です。

ほかの仲介業者から横やりが入った

競合していた仲介業者からお客様をとられてしまうケースです。仲介手数料の値引きや、上述したもっと条件に合う物件の紹介など、さまざまな手口が考えられます。これらも、コミュニケーションの問題があるかもしれません。

強引に申し込みをさせられたと感じていた

お客様が納得していないのに、流れ的に申込書を記載してしまった、もしくはそう感じてしまったというパターンです。申し込みに至るプロセスや、接客対応に原因を見出せるのではないでしょうか。

気分の問題

なんだか引っ越しをしたいモチベーションが下がってしまったなど、気が変わった場合です。気分と言われるとそれまでですが、この場合であっても対応の方法や手順によって対策ができそうなところです。

担当者に対するクレーム

営業担当者の対応がキャンセルにつながることもあります。お客様は安心して契約できないため、不安や怒りからキャンセルして、違う店舗でまた部屋探しをするケースが定石です。

担当者に対してクレームが発生する要因は、以下のようなものです。

  • 頼りない
  • レスポンスが遅い
  • 進捗の報告がない
  • 質問に対する回答があいまい

営業担当者への信頼が損なわれると、契約まで進むことはほぼ困難でしょう。この場合も事前対策を徹底すれば、回避できる問題です。

賃貸仲介営業担当者がお客様の申し込み後のキャンセルを希望した際の対応

キャンセル要望の連絡が入ったときは、適切に対応することが重要です。お客様に寄り添ってヒアリングし、解決策や代替案を提示することで、キャンセル回避の可能性が残されています。

これより、キャンセル連絡の対応について解説しますので、参考にしてみてください。

まずは理由を詳しく聞く

キャンセルの連絡が入ったときは、まず理由を詳しく聞くことが重要です。理由によっては、キャンセルを回避できることもあります。キャンセル理由の聞き方にも作法があり、聞き方を間違えてしまうと理由すら聞けないことにもなりかねません。

以下、キャンセル理由をヒアリングするときの注意事項をまとめました。ヒアリングにおける最重要課題ですので、徹底しておくと良いでしょう。

キャンセル理由を確認する必要性を説明する

キャンセルの回避目的のほか、家主さんや管理会社への説明にも理由が必要です。理由がないキャンセルの申し出は、自社のイメージダウンにもつながりかねません。理由を言いたがらないこともありますが、必ず聞き出せるように普段からトレーニングしておきたいところです。

理由を深掘りする

理由を聞き終わったら、その内容を深く掘り下げるようにしましょう。お部屋がイメージと違っていたなら、具体的にお部屋のどの部分かを確認する、初期費用の概算が高かったなら総額いくらなら払えるのかまで聞くなど、真因の理解に努めることが重要です。

あくまでお客様に寄り添い話を聞く

キャンセルの理由を聞くときは、必ずお客様に寄り添った姿勢でヒアリングを行いましょう。理由の聞き出しが目的ではありますが、最終目標はキャンセルの回避だからです。キャンセルの回避を最終目標とするならば、お客様の思いをすべて聞く必要があります。友人の悩みを聞くように、親身な傾聴を心がけましょう。

説得が可能な理由か否かを判断する

キャンセルの理由や原因が特定できたら、説得が可能かどうかを判断します。最初から説得ありきで話を聞くと、お客様の話をさえぎって説得することにつながってしまいます。

キャンセルに至った経緯、理由などを総合的に判断してからでも遅くはありません。強引な説得は、自社の評価を下げる可能性もあります。また、キャンセル理由がお客様の誤解や勘違いであることもあるでしょう。親身に聞くこと、そして最後まで聞くことなくして説得は困難であると、認識しておくことが重要です。

説得が可能と感じたら、説得を試みる

お客様のキャンセル理由や原因が説得可能なものと判断できたら、説得にうつります。説得に入る前には、必ず論点を整理しましょう。お客様のキャンセル理由と伺った内容に間違いがないかを、説得前に確認するのです。

双方の認識が異なっている状態での説得など、通じるはずがありません。認識が間違っていないことを確認することで、お客様にも安心感が生まれるでしょう。キャンセルの連絡を受けたからと言って、すぐに説得に入るのは無謀です。これらのプロセスを適切に踏むことによって、お客様も説得を聞く準備ができるようになります。

具体的なキャンセルの理由別対策方法

これより、キャンセルの理由ごとに、どのような対策方法があるかを解説します。事前の対策と事後の回避策に分けて、原因ごとにまとめました。

ほかにもっと条件に合った物件が見つかった場合の対策方法

好条件の賃貸物件が理由のときは、以下のようにまとめられます。

キャンセルの原因:物件の提案漏れ、納得感がなかった

■事前の対策:
・提案の質量改善物件仕入れ、調査の強化ロープレによる営業力強化

■事後の回避策:
・自社でも紹介可能と説明
・家主や管理会社へ事前交渉し、自社申し込みの優位性をアピール
・仲介手数料減額などを提案

自社の提案漏れは避けたいところです。日頃から新着物件を共有するなどして、物件力を鍛えておくことが重要と言えます。これらは一朝一夕で達成できませんので、日頃から意識して業務にあたることが求められるでしょう。

ほかの仲介業者から横やりが入った場合の対策方法

他社から横やりが入る理由は、安価な仲介手数料の提案、もしくは異なる物件提案のいずれかに分類できます。これらを踏まえ、以下のようにまとめました。

キャンセルの原因:他社ともやりとりしていた

■事前の対策:
・他社とのやりとりを遮断する差別化接客応対品質の向上付帯サービスの向上
・クロージングで防御する同一物件の他社申し込みは審査落ちのリスクがある
など

■事後の回避策:
・異なる物件であれば、自社でも紹介可能と説明
・同一物件であれば、仲介業者のマナー違反を伝える
・家主さんや管理会社から再審査で落とされる可能性を伝える
・さらなる仲介手数料減額などを提案

キャンセルの原因:他社が仲介手数料を安く提示した

■事前の対策:
手数料は必要経費と理解してもらう

■事後の回避策:
・異なる物件であれば、自社でも紹介可能と説明
・同一物件であれば、仲介業者のマナー違反を伝える
・家主さんや管理会社から再審査で落とされる可能性を伝える
・さらなる仲介手数料減額などを提案

いずれのケースであっても、他社とのやりとりを早期に謝絶させることが最重要課題です。そのためには、自社の信頼を確固たるものにすることも必要ですが、事前に説明を怠らないことも忘れてはいけません。

強引に申し込みさせられた場合や気が変わったときの対策方法

これらの場合は、接客の過程に問題があると考えられます。事後の対応は少々困難ですので、事前の対策でキャンセルを防止するのが良いでしょう。

キャンセルの原因:強引に申し込みさせられた

■事前の対策:
・接客品質の向上 納得感のある接客※ヒアリングの徹底やニーズの把握
・お客様自身の選択を促す接客物件選定をオープンに行う
※一緒に画面を見ながら行うなど申し込み前に確認する時間を設ける※無理やり申し込みさせない、必要なら1日空ける など

■事後の回避策:
・賃貸物件に納得していないとき納得感がない部分をヒアリングし、再度の探し直しを申し出る代替物件がないときは、その旨も真摯に説明してみる
・担当者に問題があるとき担当者の変更を申し出て、再度の物件検索や引き続きの契約手続きを選んでもらう
・気分が変わったとき理由が具体的でないことが多いため、気分で説得にあたる※住んでみると気分が変わるかもしれないと、お客様の言葉を借りて賃貸物件の良いところを説明してみる

キャンセルの原因:気分が変わった

■事前の対策:
・申し込みの重大さを理解してもらう申し込みは契約行為であることを認識

■事後の回避策:
・賃貸物件に納得していないとき納得感がない部分をヒアリングし、再度の探し直しを申し出る代替物件がないときは、その旨も真摯に説明してみる
・担当者に問題があるとき担当者の変更を申し出て、再度の物件検索や引き続きの契約手続きを選んでもらう
・気分が変わったとき理由が具体的でないことが多いため、気分で説得にあたる※住んでみると気分が変わるかもしれないと、お客様の言葉を借りて賃貸物件の良いところを説明してみる

担当者に対するクレームがあった場合の対策方法

賃貸仲介の現場では、担当者マターのクレームが最も多い印象を著者は持っています。このケースではやるべきことは、非常にシンプルです。

キャンセルの原因:担当者に対するクレーム

■事前の対策:
接客品質の向上複数名での対応情報の社内共有質疑の回答スピードと内容確認

■事後の回避策:
担当者の変更を申し出る上司による対応が鉄則

担当者に対するクレームは、上司が最初から最後まで対応することが鉄則と言えます。同僚や下の役職者による代理対応は、お客様のさらなる反感を買う可能性が非常に高いからです。普段からクレームになりそうな状態を作り出さないこと、クレームになったときは上司が対応してリカバリーに努めることを意識しましょう。

一方で、担当者クレームによるキャンセルが最も説得の成功率が高いように思われます。クレームは嫌なものですが、担当者個人や組織の弱点を知るチャンスでもあるのです。契約までしっかりと対応できれば、その痕跡は必ずや財産となるでしょう。

申し込み後のキャンセルを防ぐためのテクニック

これより、申し込み後のキャンセルを防止するためのテクニックを紹介します。接客対応や営業力の強化以外にも、キャンセルを防止するためにできることはたくさんあります。著者が、実際の賃貸仲介現場で感じてきた内容を多く盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてみてください。

申し込み前に家主さんや管理会社に相談しておく

家主さんや管理会社に事前相談を必ずしておくと、キャンセルの防止につながります。事前相談が効果的な点は、以下のとおりです。

■追加の確認事項が減る
⇒審査後に追加の確認事項が減ることで、お客様が不安になったり、めんどくさくなったりすることがありません。

■入居審査の回答を早くもらえる
⇒お客様に悩む時間を与えないことも、キャンセルを防止するうえで重要なテクニックです。

申し込みを行い、審査が完了するまでの時間が短いほど、キャンセルになるリスクも当然に減少します。審査の早期化や迅速化のため、できることは事前に終わらせておくのが良いでしょう。

申し込み後のフォローを必ず入れる

申し込みを頂戴してからは、必ず定期的に連絡を入れてください。審査完了まで連絡を入れないことにより、気が変わる余裕をお客様に与えてしまっているのです。

連絡を入れるにも、話題がないと思うかもしれません。そこで著者がおすすめするのは、キャンセルしにくい空気を作ることです。例としては「申し込みをしたところ、家主さんや管理会社さんがすごく喜んでいらっしゃいました」と伝える、店長など責任者が連絡をして「良い賃貸物件を選んだ」と言ってもらうなどがあります。

いずれも、お客様はキャンセルしにくくなることや、申込物件に確信を持つことを期待するものです。申し込み後こそ、フォローが必要と覚えておきましょう。

引っ越しを前提とした動きを促す

当たり前のことのように思われますが、審査確定前から引っ越しに向けた動きを促すことも重要です。申込書を記載いただいてからは、以下のような話をしてはいかがでしょうか。

  • 公的書類の取得予定を確認する
  • 引っ越し業者は決まっているかどうか
  • ライフラインの開栓手続きの代行提案
  • 採寸日時の調整

言い方はさまざまですが、ポイントはお客様の気分を高揚させることにあります。ただし、詰め込みすぎると、お客様の理解が追い付かなくなることには注意しましょう。クロージングやフォロー電話で1つずつと決めておけば、お客様も混乱することなく受け入れやすくなります。ぜひ実践してみてください。

申し込み後のキャンセルは減らせる

今回は、賃貸物件を申し込みしてからのキャンセル理由と、その対策について解説しました。申し込み後のキャンセルを防止する施策は、日頃の営業活動から防止すること、申し込み後のフォローを徹底することの2点です。

キャンセルはやむを得ない理由で発生することもあるため、完全になくすことは不可能と言えます。ただし、会社全体の努力や、営業担当者の対応によって減らせるものでもあるのです。この記事を参考に、不要なキャンセルによる機会損失がなくなり、営業活動の役に立つことを祈っています。

KS

この記事を書いた人

大学卒業後、賃貸仲介業や管理業を約4年間経験したのち、知人の独立を手伝い賃貸仲介会社を2社立ち上げ。後に賃貸管理業のプロパティマネージャーやアセットマネージャー、総合不動産会社での経営企画室室長としてのキャリアを積む。
現在は、賃貸事業、管理事業、注文住宅事業の立て直しのため、店舗店長を兼任し、マネジメントを行っている。

■現在の職業・肩書き・資格など
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士

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