記事公開日:2023/10/23
最終更新日:2024/01/11
不動産広告のルールとして、物件の情報は正しく掲載しなければいけない。これは誰でも知っていることです。ですが、実際にポータルサイトにおいて物件広告の違反をしてしまった場合に、その情報が不動産公正取引協議会やポータルサイト間で共有されていることをご存じでしょうか。
違反が共有された場合には、違反の程度や内容にもよりますが、各ポータルサイトで一定期間の広告掲載ができなくなるという事態があるかもしれません。ここでは、現在、物件広告のポータルサイトが取り組んでいる活動や、違反が発覚した場合のリスクについて、解説をしていきます。
目次
2012年、首都圏不動産公正取引協議会にポータルサイト広告適正化部会が設置され、現在は物件広告のポータルサイトである、株式会社CHINTAI・アットホーム株式会社・株式会社LIFLE・株式会社リクルート・LINEヤフー株式会社が参加をしています。
その中での主な取り組みとしては、以下のようなものがあげられます。
いずれかのポータルサイトで違反と認定された物件を、全てのポータルサイトから早期に取下げるため、違反が発覚した場合には、該当する物件の情報等がポータルサイト間で共有されています。
また同様に、繰り返し違反が発覚するなど、改善が見られないためにポータルサイトとの契約が解除となった不動産事業者の情報についても、ポータルサイト間で共有されています。
各ポータルサイトにおける入会審査自体は各社の判断で行われるものではありますが、上記のような違反により契約解除となった不動産事業者については、場合によりポータルサイトへの入会がしにくくなるという可能性があります。
またポータルサイト広告適正化部会に参画の会社では、首都圏不動産公正取引協議会等より委託を受け、各自自社の媒体における掲載状況を一斉に調査し、その結果について、首都圏不動産公正取引協議会と共有をしています。
2023年9月には、12回目となる一斉調査の結果が公表されました。
その内容をみると、調査対象378物件のうち34物件(9%)におとり広告が認められ、不動産事業者としては、54社のうち13社(24.1%)、67店舗のうち15店舗(22.4%)におとり広告が認められています。
このおとり広告が認められた13社については、その後、首都圏不動産公正取引協議会より一定の措置が取られると公表されており、首都圏不動産公正取引協議会でも調査が行われた結果、違反の程度が重い場合には、違約金課徴の処分等が課されることが想定されます。
なお、ポータルサイト広告適正化部会の取り組みの一つとして、不動産公正取引協議会の違約金課徴や行政処分となった不動産事業者に対し、各ポータルサイトは一律で掲載停止の措置を行っています。
現在この取り組みは、首都圏・近畿・九州エリアが対象となっており、連携する以下の不動産情報サイトの運営会社・団体の全てにおいて、実行されています。
ここでの停止期間は、原則1ヶ月以上としているため、不動産公正取引協議会や行政の処分が確定してしまうと、主要なポータルサイトにおいて、長期間にわたりほぼ広告することができなくなってしまうとも言えるでしょう。
つまり最悪のシナリオでは、「各サイトで違反が見つかる → 不動産公正取引協議会から違約金が課徴される → 主要な全てのポータルで1ヶ月以上掲載することができなくなる 」 というようなことが、可能性としてあると言えます。
万が一、繁忙期に自社HPのみの広告掲載しかできない事態となってしまった場合は、集客において大きな影響があると考えなければいけません。
ポータルサイト広告適正化部会から公表されるおとりの件数は、年々少なくなってきてはいますが、メンテナンス不足や登録ミス等によると思われるものも含め、違反の数はまだゼロではありません。
ポータルサイト広告適正化部会では、このような取り組みの他にも、広告ルールの勉強会等、様々な活動を行っており、今後もより公平・公正な不動産マーケットづくりを推進していく予定とのことです。
CHINTAIでは、引き続きポータルサイト広告適正化部会の活動に寄与するとともに、広告ルールについては、動画での解説やガイドブックの提供、独自の検定試験を設けています。広告ルールを守ることは、消費者のためだけではなく自社を守ることにもつながります。
最悪な事態とならないためにも、あらためて物件情報の精査をすることや、広告掲載ルールについて確認することが大切でしょう。
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