記事公開日:2023/10/17
最終更新日:2024/01/11
目次
京都大学で家族社会学を学び、シェア居住に注目。自らもシェアハウスを運営するなど、シェア居住にのめりこんできた堀内さん。
そんな堀内さんが代表を務めるShuJu不動産は、『コミュニティそのものをつくる不動産屋さん』として、主にルームシェア物件の仲介を行っています。
今回は、単身世帯の増加が著しい現代でシェア居住に携わる理由、賃貸仲介会社から見るシェア居住の在り方などをインタビュー。 『シェア居住の未来』に迫ります!
堀内さん、本日はよろしくお願いいたします!
よろしくお願いいたします!
早速ですが、堀内さんのご経歴を教えていただけますでしょうか?
滋賀県出身で、親が公務員の教育家庭で兄が二人。不動産業と関係のある家庭で育ったわけではないです。ある程度勉強ができたというのもあって、大学に進学しました。
京都大学ご出身なんですよね。大学では何を?
最初は理系で数学をやっていたんですけど、周りに数学大好きな人が多かったので「自分がやらなくてもいいかな」と(笑)総合人間学部という理系と文系が混ざった学部に転部しました。
当時はサークルの代表をやっていて、そこが自分の居場所みたいなものでした。そこから大学院に進むときに、『場所をつくる』みたいなことをしたいと考えたんです。
サークルでコミュニティづくりに目覚めたんですね!どんなサークルだったんですか?
これが説明が難しくて…『サークルクラッシュ同好会』っていうんです(笑)
京都大学って変なサークルを作っていい雰囲気があるんです。サークルクラッシュ、恋愛で人間関係が壊れる現象のことなんですけど、それをサークル名にしてしまえば面白いんじゃないかと思って作りました。
独特なテーマですね…!!
このテーマにピンとくる人って、精神的に生きづらさを抱えている人が多いんです。
サークルを通じてそういう人と出会う機会が増えて、社会に対してもう少しできることがあるんじゃないかと思いました。
実際、生きづらさを抱えている人の半数以上は、家庭環境が悪かったり、親との関係に問題がある。それを当時勉強していた家族社会学から見てみると、子育てに課題があって。母親にプレッシャーがかかってるんですよね。
そうしたときに、もっと子育てをオープンにした方がいいよなと。大人が複数関わる子育てが必要なんじゃないかと考えるようになりました。
そこからシェアハウスに繋がるんですね。
今の結婚制度をなくすわけにはいかないけど、結婚か一人暮らしかだけでは選択肢が狭い。社会的に、シェア居住が広まらないといけないと思いました。
第三の選択肢として、シェアハウスを普及させたかったんですね。
そうです。そこから、2015年の大学院入学と同時に、ルームシェアのサクラ荘の運営を始めました。
サクラ荘には、「シェア居住を社会に根付かせよう」という理念があって。自分もシェアハウスに住んで、大学でビラを配ったり、ホームパーティーを開いたりして広めました。サクラ荘2号館、3号館…一番多い時で7軒くらいありましたね。
でも途中で解散したり、運営の自分も忙しくて時間を割くのが大変になってきたんです。そして、とどめにコロナの時期が来て。
その時「シェア居住を広めていくには、もっと新しい何かをやらなきゃいけない」と思ったんです。そこで、サクラ荘に住んでいたメンバーと不動産会社をやることになり、今年の2月に立ち上げました。
サークルで感じた『居場所づくりの重要性』から、不動産会社の立ち上げにまで…!すさまじい行動力を感じます。
ところで、ShuJu不動産の店舗名の由来は何なのでしょうか?
『集まる』『住む』で集住、そこからShuJu不動産です。
やっぱりシェアハウスをメインに扱っていこうと思っていたので。
では、現在のShuJu不動産のお仕事内容は、ルームシェア物件の紹介が中心になるんでしょうか?
そうですね。うちのメンバーは全員ルームシェアに実際に住んだことがあって、経験が豊富なので。ノウハウがありますし、どんな物件がルームシェアに向いているかも分かるんです。
具体的には、部屋が分かれていることだったり、分かれてなくても居心地の良い共有空間が作れるかどうかとか。もちろん立地の問題、大学からの距離もですね。
大学のお話が出ましたが、メインのお客様はやはり学生ですか?
そうですね、学生が多いです。サクラ荘の時から学生との繋がりがあって、口コミで集客ができています。
別に大学生じゃなくてもいいんですけどね。事業体がやってるシェアハウスって、20代後半の女性が一番割合として多いみたいです。社会人になって、まだお金がたまっていない状態で上京してきたイメージ。
ただ京都、特にShuJu不動産のある左京区は大学があるので、やっぱり学生メインにはなってきますね。
学生でルームシェア、楽しそうです!
一方で、ルームシェア物件って、騒音だったり突然の解約だったり、大家さんや不動産会社はネガティブなイメージが大きいと思うんです。その点についてはどう思われますか?
そうなんですよね…。大家さんにとっては正直あまりメリットはない。家賃あげてくれるならって人はいますけどね。
ただ、今京都ってファミリー層の30~40代が流出しているんです。マイホームだったら滋賀に買ってしまおうみたいな。
その現象もあって、ファミリーが住む想定の戸建てに借り手がつかないってことはあり得ると思うんです。木造で築年数も古い。その時に、ルームシェア希望の入居者も選択肢に入れることは必要になりますよね。空室を埋める意味でも。
僕らとしても、ルームシェアが流動的で長く続かないことを良くは思っていないんです。だからこそ、ルームシェアが長く続くように、「どうしたらいい関係で住み続けられるか」というノウハウ面での支援もしていこうと。
堀内さんはルームシェア経験者ですから、確かにノウハウの提供はタメになりそうです!これはShuJu不動産ならではの特色ですね。
通常の賃貸仲介業と違って、ルームシェア物件を探しているお客様を接客するときに意識することってありますか?
不動産会社って、別に生活の仕方までどうこう言わないと思うんです。
ただルームシェアだと、生活において何が必要かという話は多少なりとも出てきます。「共有スペースをどう使うか?」「家具とか家電とか持ってくる人はいるの?」とか。場合によっては「僕たちが用意しましょうか?」って話にもなりますね。
難しい問題ですけど、「連帯保証人は誰が立てられますか?」とかも大事です。
大家さんによっては「住む人全員連帯保証人立ててくれ」ってところもありますし。問題を回避するにはどうしたらいいかってところまで調整します。
でも生活し始めたら、結構面白いところもあるんですよ!住んでいく中で、住んでいる人たちなりの秩序ができていく、それがやっぱり楽しい。サクラ荘の運営をやってきた分、頼ってきてくれる方、色々質問してくださるお客さんはいますね。そういう時は、「こういうルールを作ったら?」と、生活レベルでアドバイスもします。
ルームシェアのトータルサポートですね!!
そういうイメージです!
長いことルームシェアに携わってきて、研究としてもやってるみたいな感じです。
これまで接客面でのお話を聞いてきたので、集客の面で質問させてください。
HPを拝見したのですが、物件紹介記事がとても素敵で!こだわりやコンセプトってあるんですか?
物件を見るってどうしてもデータという感じで、面白さというより、住むための手段になっていると思うんです。
そこをもうちょっと面白くしてもいいんじゃない?っていうのは考えていて…ブログをX(旧Twitter)に貼って、記事を読んでもらって物件紹介をするっていうのが結構面白いんじゃないかなと。これが基本的な話です。
僕らが住んできた左京区がかなりサブカルチャーが強い地域で。ライブハウスとか劇場とか、古い喫茶店とか。東京で言う高円寺みたいなイメージなんです。
中身の作り方としては、そういった左京区のサブカルな雰囲気に寄せた記事を意識しています。雑誌を参考にサムネイルを作ったりしていますね。
左京区ってサブカルの街だったんですね!恥ずかしながら、初めて知りました。
確かにShuJu不動産の記事はお洒落で、楽しくお部屋を探せます。
僕らの裏コンセプトとして、不動産業を通じて、左京区の発信がしたいという意味もあるんです。高円寺のように、左京区をブランディングしていくことが目標です。
お部屋探しのサポートに留まらず、街のブランディングまで視野に入れて不動産業をやられているんですね…!!
それでは、ShuJu不動産の今後の展望をお聞きしてもよろしいでしょうか?
今後一番の目玉は、他の会社さんと協力しながら『シングルマザーシェアハウス』をやっていこうというプロジェクトです。二条駅の近くで他社さんがホテルを経営しているんですけれども、その1階部分をシングルマザー向けのシェアハウスとして転用していくという話が立ち上がりまして。
シングルマザーというのは、やはりケアを必要とされている。色々な困難を抱えていらっしゃるので、シェアハウスでお互いにサポートしあい、福祉面でもそのフロアに入ってもらいたいと考えています。
冒頭でお伺いした『居場所づくり』にもつながりますね。
それからShuJu不動産としては、サブリースで管理報酬を得る ということもやっていきたいのですが…まだまだ難しいですね。
サクラ荘の運営のご経験もあるので、近い将来実現できるのではないでしょうか。
では、賃貸仲介会社であり、社会学を研究してきた一面もある堀内さんから見て、今後ルームシェアやシェアハウスといった形態での入居希望者は増えていくと思いますか?
これは結構難しい問題というか…。
昔から、家族というものは強固ですよね。ただ結婚する人の割合は減っている。生涯未婚率も2割。今後は一生結婚しない人が3割くらいになっていくと予想されています。
今はルームシェア=若者のイメージが強いですが、これからは結婚する年齢層、30代~50代の人がルームシェアをする時代が来るんじゃないかと。そうなったら、爆発的にルームシェアが増えると思います。
結婚じゃなくても、他人と一緒に暮らすハードルが高い状態になっちゃうといけない。シェア居住は、社会的孤立といった問題の解決にも繋がると思います。
結婚、一人暮らし、ルームシェアという選択肢の時代。
困難を抱える人の居場所づくりとしてのシェア居住。
ShuJu不動産の取り組みには、大きな意味が込められていたんですね。
今後のShuJu不動産の動きに注目していきたいです。
堀内さん、貴重なお話をありがとうございました!!
ありがとうございました!
■合同会社SHUJU/ShuJu不動産■
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