エピソード

人と街にワクワクを!!不動産サービスの枠を超えてチャレンジし続ける地域貢献企業の姿とは

記事公開日:2023/04/17

最終更新日:2023/04/13

人と街にワクワクを!!不動産サービスの枠を超えてチャレンジし続ける地域貢献企業の姿とはの見出し画像

不動産会社にとって取り組むべき課題は様々です。既存のサービスを強化したり、ユーザー体験の向上を図ったり、ITやシステムによる業務効率化や多角経営などなど。方針やエリア、会社規模等々によって異なります。

今回は「ひとと街にワクワクを」をコーポレートスローガンに掲げる不動産会社 株式会社エヌアセット営業部部⻑上野さんにお話をお伺いいたしました。地域密着で既存の賃貸・管理に力を入れつつも、保育園やコワーキングスペースの運営などにも積極的に取り組まれているエヌアセット様の「あれこれ」に迫ります。

エヌアセットってどんな不動産会社?

営業部部長上野さんにお話をお聞きしました

上野さん 本日はよろしくお願いいたします。

はい。よろしくお願いいたします。

今回は、「人と街にワクワクを不動産サービスの枠を超えてチャレンジし続ける地域貢献企業の姿とは」というテーマとさせていただいております。貴社が行っているいろんな取り組みについてお聞きできますと嬉しいです。

わかりました!遠慮なくどうぞ。

3戦略プラス1で街とともに歩む

事前に貴社ホームページを拝見させていただきました。

貴社は、国内ですと「溝の口駅」のエリアのみに出店していて、しかも「北口」「南口」にそれぞれ出店するという形態が非常に面白いですね。また従来の不動産会社のイメージと異なり、店舗が落ち着けるカフェのような内外装となっている点も興味深いです。

また、不動産業以外にも、保育園の経営やコワーキングスペースの経営だったり、ベトナムにも進出されていらっしゃって、かなり積極的にいろんなことチャレンジされてるなというのを感じます。その辺について、ぜひお聞きできればというふうに思っております。

わかりました。まずそこから行くと、私共の事業の特色は、今まさになかそねさんがおっしゃっているところが特徴と言えるところだと思うんですけど、弊社が掲げている戦略に起因しています。それが弊社の「3戦略プラス1」という戦略です。

3戦略のうちまず1つ目は、「ドミナント戦略」です。現在弊社の拠点は溝の口駅エリアで「北口」と「南口」の2店舗あるのですが、それ以外のエリアには出店はせず、経営効率を高めて地域のシェアを高めることを戦略の1つとしています。

2つ目が「サービスの多様化」です。先述の「ドミナント戦略」※に繋がる話なのですが、地域シェアを高めつつその商圏を活用したサービスの展開をしていこうというものです。例えば先ほどおっしゃっていただいた保育園をはじめとして、コワーキングスペースの運営も行っています。またこれも先ほどおっしゃっていただきましたが、店舗デザインは、一般にイメージされる不動産会社とは一線を画すような内外装にし、不動産会社の色を排除した作りにしています。不動産会社という枠組みを超えた価値観をエリアの方々に提供することが大事だと考えています。

そして3つ目は「街の価値向上」です。地域密着企業として、街を面白くしていく、盛り上げていくということで、特に地域への貢献活動は重視しております。例えば年2回開催している「野菜市」、地域の皆様と共に行う「清掃活動」、毎年200名ほどの子供たちが参加する「野球大会」などです。

その3つの戦略と基幹事業の「仲介」「管理」の質を上げて行く部分が「プラス1」というわけです。

※ドミナント戦略とは?

「集中出店戦略」とも呼ばれ、チェーン経営の会社が、地域を絞って集中的に出店することで、市場の独占状況を目指す経営手法のこと。

野菜市の画像
エヌアセットの野菜市

ありがとうございます。「3戦略プラス1」という明確な方向性を定めているんですね。一般の方々からすれば、不動産会社との接点って「不動産取引」に限られると思うんですよ。用事が無ければ足を踏み入れることってないじゃないですか。

でも貴社の場合は、地域密着企業として街そのものを盛り上げようということまで考えている。「不動産取引以外」で地域との接点を持っているということですもんね。

そうですね。「LTV(ライフタイムバリュー)※ を高めよう」と社内では話してます。賃貸から始まり、不動産購入、売却して買い替え のような循環を、この地域で回せるようにすることを意識しています。知っている間柄を増やすことで、いざ不動産に関するご相談があった時に、気軽にご来店いただけるような会社を目指しています。

※LTV(ライフタイムバリュー)とは?

顧客生涯価値のこと。企業にとってある1人の顧客が将来の関係全体に寄与する価値の予測のこと

街を盛り上げることが自分たちの利益に繋がる

ありがとうございます。ちなみに「3戦略プラス1」に転じたのはいつ頃ですか?

弊社は2008年の設立なのですが、2016年に代表からこの方針がリリースされました。

設立後会社としても落ち着いてきたころで、数字以外で進めべき方向性を示したほうが、より成長が見込めるだろうということで、幹部クラスが議論を重ねたそうです。
それを代表がまとめ、出た結論が「3戦略プラス1」でした。

なるほど、承知致しました。

ちなみに「3戦略プラス1」を方向性として定めているのは、どういった理由からですか?

これから先選び続けられる不動産会社を考えた時に、2つ目指したい会社像が上がったそうです。

1つは、サービスや人の役に立つことで多くの人から選ばれ、口コミや紹介が多い会社。そしてもう1つが物件だけでなく、街の魅力づくりもできる会社です。

それを実現する為に、必要な要素をどんどん上げていきました。分かりやすいところで言うと「1つのエリアでナンバーワンにならなきゃいけないんじゃないか」という。それからですね。少しづつ、そういった戦略になっていったのは。

あとひとつ言えるのは将来的に国内の人口は減りますよね。だから住みたい街だったり、実際に住んでみてよかったねと思ってもらえないといけないと感じています。そのための活動が必要です。

管理業が基幹の事業ですので、街自体が盛り上がる事が結局自分たちの利益になります。

すごいですね。その発想はなかったです。不動産会社様が自分の会社を盛り上げていこうっていうのは、当然のことだと思うんですけど、地域に根差すために、街そのものを盛り上げていこうっていうことですよね。

そうです。私も最初聞いた時、「なるほど。凄いな」と思いました。

溝の口駅は、JRや東急線も走っていて、ある程度人気はあると思います。とは言え、人口がこの先どんどん減って行けば、多分いずれは廃れていってしまうということもあるかもしれません。川崎市自体まだまだ人口が増えると言われているものの、積極的に地域に根差した企業として盛り上げていくことは必要だと思います。

溝の口南口店の画像
カフェのような店舗づくりが特長(写真は溝の口南口店)

賃貸仲介業務の取り組み

外国人向け賃貸のニーズを捉える

ありがとうございます。続いて賃貸仲介業に関するお話もお聞かせください。貴社では賃貸仲介業務のDX化や外国人向けの賃貸の取り組みもなさっているとお聞きしました。その辺お聞きしても良いですか?

はい。少し経緯からお話させてください。私が賃貸部門の責任者になったのは、2015年でした。その時すでに管理物件も多くあり、シェアもある程度とれていたと自負しているのですが、正直なところ客付けがそこまで強くなかったり、学生集客や法人集客が得意な会社ではありませんでした。

物件のラインナップはあるものの、自分たちで契約してもらうのではなく、他社に決めてもらっているようなことが多かった。その点を課題に感じていました。

そこで、3つのターゲットを設定して集客を図っていこうという方針を立てました。まずは「地域の法人様」、次に「シニアのお客様」、そして三つ目が「外国人のお客様」です。それが始まったのが2017年ぐらいだったんですが、たまたまその年に中国語・日本語・英語が話せる優秀な海外籍の社員が入社しました。そこで外国人向けの賃貸仲介をやってもらおうという事になって、始めたっていうのがスタートですね。

そういう経緯だったのですね。それにしても我々日本人の感覚からすれば3か国語はすごいですね。でも海外籍のお客様って、結構入居し辛かったりしませんか。

そうですね。一般的に言うとそうなんですが、我々の得意とするエリアに来られる海外籍のお客様って、比較的リッチな方が多いんですよ。少しお高めのマンションやアパートを借りる方が多いです。より渋谷方面に近いエリアをご希望だったり…。

二子玉川に楽天のオフィスだったり、渋谷もたくさんIT企業があります。メディアでたまに取り上げられるような、1つの部屋に大人数で住むような方は、基本的にいらっしゃらないですね。現在弊社の管理物件ですと4~5割は海外籍の方でも入居可能な状態になっています。

凄い…4~5割って結構多いですよね。

そうですね。また都内の物件をご希望される海外籍のお客様がいても対応できるような体制にはしております。いわゆる他社物件です。最近の海外籍のお客様は都内をご希望されるケースも多いですね。

あ、そうなんですね。どうしてなんですか?

はい。去年の3月からコロナによる入国制限が徐々に緩和されてきて、ビジネスマンが多く入ってきたというのが感覚としてはあります。管理物件ではないものの、都心で探すのでADが高いお部屋を仲介できることが多々あります。概ね2ヶ月や3ヶ月といったところです。

外国籍スタッフの画像
多言語対応可能な海外籍のスタッフが多数在籍

来店不要のお部屋探し「リモートレント」

それは大きいですね。なるほど、承知致しました。DX化に関してはいかがですか?

来店不要で契約可能な取り組みとして「リモートレント」というサービスを行っています。

今でこそどの会社様でも取り組んでいることですが、弊社ではコロナ前から「部屋を見ず、来店もせず、契約できたら良いんじゃないか」ということで始めていました。不動産実務の現場ではとにかく「紙」を多用する傾向がありますので、どんどん紙は無くしてデジタルに移行していきたかったですし、結果実施して良かったと感じています。

リモートエンドの画像
来店不要でお部屋探しができる体制を完備

賃貸仲介業で大事にしていること

本音を聞くには「共感力」が重要

なるほど。ありがとうございます。そうしましたらここから終盤に向かっていくような感じになるんですが、賃貸仲介業で大事だと思う事、大事にしていることをお教えください。

そうですね。個人としても会社全体としても「共感力」は大事にしたいと考えています。

共感力ですか?

はい。例えば、今後確実に部屋の探し方や、営業マン側の仕事が効率化される中でも、『人に相談して決めたい』というニーズは、必ず一定数今後も存在し続けると思っています。

この『人に相談する』というのはAIにも取って代われないと思いますし、借りたい人の本音を引き出すのもまだまだ人の力が必要と思います。「営業マンの資質」として、この部分は今後も磨き続けていかないといけないと考えています。

エヌアセットの「これから」と業界の「未来」

成功事例を作ってノウハウを輸出する

なるほど。人の本音というのは技術がないとなかなか引き出せるものではないですものね。ありがとうございます。これが最後のご質問になるのですが、貴社の「これから」や業界の未来についての見解をお聞きしてもよろしいですか?

はい。会社としてでいうと、自社で行っている戦略「3戦略プラス1」をより、高い水準に上げていくことだと思います。地域活性のために何ができるのかを考え、サービスを多様化していき、街の価値向上に努めつつ、基幹業務の質を高めていくことです。

そこで成功事例を作っていきたい。もし成功事例が作れたなら、それを他のエリアにも広げていくということができればと思っています。

他のエリア…溝の口以外のエリアにということですか?

はい。これは他の商圏に進出していく というような発想ではなく、成功事例を他のエリアにも広げていくことで、国内の賃貸仲介や管理業を盛り上げていきたいという発想です。

よって我々が行わずとも、例えば別の不動産会社様にも事例を共有していくというような、「ノウハウの輸出」という意味合いです。「同じような価値観が波及してくれればいいな」と思っています。

高齢化社会と賃貸について

なるほど。ありがとうございました。すごい勉強になりました。特に「会社を盛り上げていく」という発想ではなく「街全体を盛り上げることが会社の価値向上に繋がる」という発想はその通りだと。そう考えると「不動産業」ってすごい力を持っていますね。エリアに人を集め、盛り上げる力を持っている。

そうですね。ただそのために大きな課題もあるなと私は思っています。先ほど3つのターゲットを設定して集客を図るというお話をさせていただきました。「シニア」もターゲットにいれておりますが、「入居のしづらさ」に課題があります。

日本全体における65歳以上の高齢者の割合は約3割ほどで、賃貸を探されているシニアの方は多くいらっしゃる傾向です。

確かに「シニア」向け賃貸は、考えなければいけない課題ですね。

川崎市も、賃貸に入居したいシニア層のニーズはかなりあると感じていますが、肝心の「入居できるお部屋」は少ないです。

もちろん画一的に皆そうということではありませんが「孤独死リスク」や「金銭的なリスク」等があると、承諾できる大家様は少ないかと思います。理想とする「街の価値向上」のためには、その課題は避けて通れないと考えています。老人ホームやサ高住という選択肢もありますが、コストは普通の賃貸と比べてかかります。今後もその課題には向き合っていきたいです。

不動産業の枠を超えた「地域貢献企業」 エヌアセット

ありがとうございます。最後に一言お願いいたします。

弊社は溝の口エリアに根差した地域密着型の企業です。近隣のエリアはもちろん沿線の物件についても、お任せいただけるだけの体制を整えております。ぜひお気軽にご相談ください。

ありがとうございます。

本日は「街の価値向上」に尽力されている地域貢献企業株式会社エヌアセット営業部部長上野さんにお話をお聞きしました。ありがとうございました。

なかそね

なかそね

この記事を書いた人

沖縄県出身。宅地建物取引士で2児(双子)の父。引越し好きが高じて住宅会社のセールスをしたり、不動産会社のセールスになったり、結果CHINTAIに入社したり…という半生です。
今までの経験活かしつつ、現在はCHINTAI JOURNAL編集部で主に活動しています。

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