最終更新日:2025/10/10
記事公開日:2025/08/28
「物件広告の確認作業、どこまで徹底していますか?」
忙しい賃貸営業の現場では、物件の設備や条件表記などの細かいチェックがつい後回しになりがちです。しかし、それが「違反」とみなされた場合、顧客対応・オーナー対応を含めて現場は一気に混乱します。
2025年に入ってからも、公正取引協議会は複数の処分事例を公表しており、決して他人事とは思えない内容ばかりです。
この記事では、実際に処分を受けた事例をもとに「なぜ違反が起きたのか」「どう防ぐべきか」を徹底的に解説します。明日からの広告作成業務にすぐ活かせる「実践チェックリスト」もご用意しましたので、ぜひ最後までご覧ください!

目次
不動産広告に関する規制は年々強化されており、もはや「うっかりミス」では済まされない時代に突入しています。
中でも以下の動きは、不動産業界全体に大きな影響を与えました。
・2019年 不動産公正取引協議会による注意喚起
・2022年 公正競争規約の改正
・2024年 景品表示法改正
これらに共通しているのは、「消費者が誤解してしまうような広告をなくす」という責任が重視されている点です。
たとえば、2024年の景品表示法改正では、再違反時の課徴金率が 従来の3%から4.5%に引き上げられました。さらに、不当表示の内容によっては100万円以下の罰金(直罰規定)が科されるなど、より強いペナルティが設けられています。
こうした法改正や規制強化を受けて、不動産広告の取り扱いにはこれまで以上に慎重さが求められています。
そして忘れてはならないのが、宅地建物取引業法(宅建業法)の存在です。違反内容によっては、指示処分や業務停止処分、最悪の場合は免許取り消し処分にまで発展する可能性があります。
広告表示違反は、もはや「現場でどうにかすれば済む」という問題ではありません。「単なるミスだから」と軽視せず、広告作成やチェックの段階から法令・規約の正しい理解と対応を徹底することが、今後ますます重要になっていくでしょう。
2025年に入ってから公表された違反事例を、以下の5つのパターンに整理しました。
・募集終了物件をそのまま掲載
・交通アクセス・立地条件等の誤表記
・間取り・設備・構造等の誤表記
・費用や条件の説明不足・記載漏れ
・所属団体・会員資格に関する虚偽表示
どれも日常の広告業務で起こりうるものばかりですので、気をつけるべきポイントも含め、一つひとつ確認していきましょう!
契約済み又は入居済みとなった後、長いもので1か月以上、短いもので16日間継続して広告掲載
成約連絡を受けたにもかかわらず、ポータルサイトへの削除依頼を忘れたり、他のスタッフへの連絡が遅れたりすることで、掲載が継続されてしまうケースです。
特に繁忙期には「とりあえず契約が決まったから後でサイトを更新しよう」と後回しにしがちですが、これが「おとり広告」とみなされ、処分の対象になります。
「駅徒歩5分以内」と記載されていたが、実際には徒歩5分以内に駅がない
「○○店(ショッピングセンター)まで1727m」と表記されていたが、既に閉店しており利用できない
ショッピングセンターや商業施設は突然閉店することもあるため、広告作成時には営業していても掲載期間中に閉店してしまうといった事例が見受けられます。
また、「徒歩○分」の表記も要注意ポイントです。実際の道のりを確認せず計測したり古い情報を使い回したりすることで、思わぬ違反を招く恐れがあります。
「間取り 5LDK」「和室」と記載し5LDKの間取図を掲載していたが、実際は3LDKで和室はない
「洗面2ボウル」と記載されていたが、実際は1個のみ
「構造 鉄筋コン」と記載されていたが、実際は鉄骨造
間取りの表記は、物件選びの根幹に関わる情報です。誤表記が発覚した時点で契約が白紙に戻る可能性が高いうえ、会社の信頼性に大きな影響を及ぼします。
また、室内設備や建物構造の誤表記も深刻な問題です。洗面ボウルの数や建物の構造(鉄筋コンクリートか鉄骨造か)といった情報は、入居者の生活の質や安全性に直結するため、正確性が求められます。
「保証会社利用必 初回保証料 総賃料の50%」等と記載されていたが、次回以降の家賃保証料が不記載
「敷金 33万円」「敷引・償却 -」「ペット相談」と記載されていたが、ペットを飼育する場合は敷金が66万円に増額され、うち33万円は償却される旨が不記載
保証会社の更新料や、ペット飼育時の追加費用など、「条件によって発生する費用」の記載漏れは非常に多い違反パターンです。初期費用は明記されていても、継続的に発生する費用が記載されていないケースが目立ちます。
契約段階で初めて追加費用の存在が発覚すれば、お客様との信頼関係に大きな影響を与えてしまいます。
「(一社)全国住宅産業協会会員」と記載されていたが、同協会の会員ではなかった
信頼性や権威性をアピールするための団体名表示について、実際の加盟状況と異なる表記をしていた事例です。過去に会員だったが更新手続きを忘れていたり、加盟予定だが手続きが完了していない状態で表示してしまうといったケースも含まれます。
各種協会への加盟状況は、お客様や取引先、地域の方々が信頼性を判断する際の大きな指標となります。加盟の有無や更新状況を正確に把握し、広告表示に反映させることが大切です。
参考:公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「違反事例」
広告表示違反が起こる背景には、日常の業務フローに問題が潜んでいるケースが少なくありません。ここでは誤表記が起こる主な原因を分析しつつ、必要な対策も一緒に見ていきましょう!
契約済み物件の情報が削除されず、ポータルサイトに掲載されたまま放置されることで「おとり広告」とみなされるリスクがあります。
特に繁忙期では複数の案件が同時に進行するため、更新作業が後回しになってしまいがちです。また、社内での連携不足により、営業担当者が契約完了を把握していても広告管理担当者への連絡が漏れてしまうことがあります。
情報共有ミスはどんな現場でも起こりうる課題ですので、他人事とせず社内全体で対策を講じていきましょう。
「おとり広告」を防ぐためには、「契約が決まった時点で、即座に広告を削除するルール」を徹底することが重要です。「後で更新しよう」という考えを改め、契約と同時にリアルタイムで削除作業を行う習慣を社内全体に根付かせましょう。
また、個人の意識だけに頼らず、体制そのものを見直すことも必要です。成約情報や条件変更、周辺環境の変化などを即座に全担当者が把握できるクラウドベースの管理システムの導入を検討し、情報の一元化を図りましょう。変更履歴を記録し、誰がいつ更新したかを追える仕組みも併せて構築することで、責任の所在を明確にできます。
さらに、人的なダブルチェック体制も有効です。週に1回社内ミーティングを行い、掲載中の物件情報と実際の状況にズレがないかをスタッフ全員で確認しましょう。
営業スタッフが多忙な場合は、広告更新業務を専門で担当するバックオフィススタッフを配置し、営業部門と管理部門の役割分担を明確にすることで、更新漏れのリスクを大幅に軽減できます。
法令や業界規約の理解が不十分だと、知らず知らずのうちに違反してしまう危険があります。不動産広告で注意すべき主なルールは、以下のとおりです。
◆ 「新築」の使用
「新築」は、築1年未満かつ一度も入居履歴のない物件にのみ使用できます。築1年を過ぎた物件や短期間でも入居があった場合は、「新築」と表記できません。
◆ DK・LDKなど間取り表記の基準
「DK」や「LDK」といった間取り表記には、以下のような基準が設けられています。
| 居室数 | 1部屋 | 2部屋以上 |
| DK | 4.5畳 | 6畳 |
| LDK | 8畳 | 10畳 |
参考:不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」
広い印象を与えるために基準未満のスペースを「LDK」と表記したり、ワンルームを「1DK」とするのは規約違反にあたります。
また、たとえどんなに広いキッチンであっても、「居室が併存していなければ『K』と表記しなければならない」という点も重要なポイントです。
間取り表記を行う際は、必ず最新の間取り図や実測データと照らし合わせ、基準を満たしているかを正確にチェックしましょう。
◆ 駅や施設までの徒歩所要時間の算出
駅や施設までの徒歩所要時間は、「道路距離80m=1分」として算出し、端数は切り上げると規定されています。直線距離や地図アプリの表示をそのまま使うと誤表記になるため、規定に沿って算出しましょう。
◆ 学区や行政サービスの範囲
「○○小学校区」などの表記は、教育委員会が定めた正式な学区に基づく必要があります。行政区の境界変更や学区の改定が行われると該当区域が変わることもあるため、最新の公式情報を確認しておきましょう。
法令・規約違反を防ぐためには、継続的な知識のアップデートが欠かせません。月1回の勉強会や、実際の違反事例を題材にしたケーススタディ研修を実施し、社内全体の知識レベルを底上げしましょう。
また、法改正や目新しい処分事例が出た際には速やかにミーティングを開き、変更点の周知を徹底することが重要です。
勉強会やミーティング後は、学んだ内容をもとに簡易的な資料を作成しておきます。間取りや徒歩所要時間などの使用基準や表記ルール、法改正の変更点を整理しておくと、知識の定着につながりますよ。
実際よりも魅力的に見せる誇張表現を無意識に使ってしまうことで、広告表示違反につながるケースも少なくありません。特に以下のような抽象的な用語は、公正競争規約や景品表示法で使用が制限されています。
・完全
・絶対
・日本一
・最高
・格安
・激安
参考:公益社団法人全日本不動産協会「不動産広告のルール」
根拠が明確でない表現や基準を示せない表現は「不当表示」とみなされ、違反となる可能性があります。
なお、営業現場で意外と多いのが、過去に反響が良かったフレーズや競合他社の表現をそのまま使い回してしまうケースです。
「以前このキャッチコピーで問い合わせが増えたから」「あの会社も同じような表現を使っているから大丈夫だろう」といった判断で、表現の適法性を十分に検証せずに使用してしまうと、思わぬ違反につながることがあります。
過去に効果があった表現であっても、法改正や規約変更により現在は使用できない可能性があります。特に数年前から使い続けているフレーズや定型文については、最新の基準と照らし合わせながら再検証しましょう。
また、他社が使用しているからといって、それが必ずしも適法というわけではありません。参考にする際は自社の基準に従い、「疑わしい表現は使用を控える」といった慎重な姿勢が求められます。
誇張表現による違反を防ぐためには、社内で「表現ガイドライン」を策定するのも効果的です。使用制限用語を一覧化し、全スタッフが参照できる状態にしておくことで、現場での判断ミスを大幅に減らせます。
その際、紙とデータの両方で用意しておくと、デスクワークと外出先での作業のどちらにも対応できて便利ですよ。
広告作成時に注意すべきポイントを、チェックリスト形式にまとめました。日常的なうっかりミスや思い込みを防ぐためにも、ぜひご活用ください!
□ 募集中止・成約済み物件が掲載されていないか
□ 間取り・面積などの物件情報に誤りがないか
□ 建物構造・築年数が実際と一致しているか
□ 設備(洗面台・エアコン等)の数や有無が正確か
□ 掲載写真が現況を正しく反映しているか
□ 家賃・共益費・管理費の金額に誤記載がないか
□ 敷金・礼金・償却など初期費用が明確か
□ ペット可否や追加費用の記載があるか
□ 駐輪場・バイク置場の有無・使用料が明示されているか
□ 保証会社の利用条件・費用が明記されているか
□ 駅までの距離・所要時間が正確か
□ 周辺施設が最新の情報に更新されているか
□ 所在地と地図情報が一致しているか
□ 所属団体の記載に誤りがないか
□ 公開前に他スタッフによるダブルチェックを行っているか
この15項目は、あくまで基本形です。自社の業務フローや物件種別に応じて項目を追加・修正するなど、日々の実務に合わせてカスタマイズしましょう。
また、法改正や業界規約の変更があった際には、チェックリスト自体の見直しも欠かせません。最新の基準に合わせてアップデートしながらお使いください。
2025年の違反事例を見ても分かるように、広告表示ミスは思ったよりも身近なところに潜んでいます。
「知らなかった」「他社がやってるから問題ないと思った」では済まされないのが、今の不動産業界の現実です。
本記事で紹介した違反事例や対策法、チェックリストを活用し、ぜひ今日からの実務にお役立てください。現場全体で情報を共有し、誤表示ゼロを目指していきましょう!
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