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【知ると差がつく】若手賃貸仲介営業のための「利益」の考え方|賃貸仲介のお金の流れをやさしく解説

最終更新日:2026/01/15

記事公開日:2026/01/15

賃貸仲介営業では「契約数」に目が向きがちですが、営業としてさらにステップアップするためには、「利益にどうつなげるか」という視点が欠かせません。

とはいえ、日々の業務に追われる中で、「1件の契約が会社にどれくらい利益をもたらしているのか」まで意識する余裕はなかなか持てないものです。

そこで今回は、一般的な賃貸仲介業における「収益の仕組み」について、わかりやすく解説します。利益アップにつながる実務のヒントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

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賃貸仲介営業の主な「収益源」

「どんな形で会社に収入が入り、そこからどれだけ利益が残るのか」

こうした仕組みを知っておくことで、営業としての視野はぐっと広がっていきます。ここでは、賃貸仲介業を支える主な5つの収入源について、一つひとつ確認していきましょう。

1. 仲介手数料

賃貸仲介の大きな収入源のひとつが「仲介手数料」です。これはお客様との契約が成立してはじめて発生する成果報酬型の収入で、営業の成果が直接反映される部分でもあります。

宅地建物取引業法では、貸主・借主あわせて「家賃1か月分+消費税」を上限とする報酬額が定められています。つまり、賃料が高い物件ほど仲介手数料も大きくなり、1件あたりの売上を伸ばしやすくなる仕組みです。

こうした背景から、現場では売上を優先して、つい高めの物件を紹介したくなる場面もあるかもしれません。しかし、提案が的外れになるとお客様の信頼を損ね、成約そのものが遠のいてしまうこともあります。

そのため、予算より上の物件を紹介するにしても、「この条件なら、多少家賃が上がっても納得いただける」と自信を持って言える提案であることが前提です。

売上だけに目を向けるのではなく、お客様の納得感を重視した提案を心がけましょう。

2. 付帯商品・サービスの収入

契約時にあわせて案内する「付帯サービス」も、会社にとって重要な収入源です。

たとえば次のようなサービスを紹介することで、売上や提携先からの手数料が発生する場合があります。

主なサービス(一例)

①家賃保証会社
②火災保険
③鍵交換
④24時間サポート
➄引越しの取次
⑥インターネット回線の取次
⑦電気・ガス・水道等の取次

家賃保証会社や火災保険への加入は法律上は任意ですが、多くの管理会社・オーナーが「事実上の必須条件」として設定しています。

また、鍵交換代については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では「貸主負担が妥当」とされていますが、実務では「借主負担」として特約が設けられるケースも少なくありません。

ほかにも、24時間サポートや防虫・消臭のオプションサービス、引越し会社や電力会社などの取次サービスなど、収益を底上げするための工夫は会社によって様々です。

3. 広告費(AD)

「AD(エーディー)」と呼ばれる広告費は、物件オーナーが仲介会社に対して支払うインセンティブで、成約を促進するための報酬です。

相場はエリアや時期にもよりますが、月額賃料の0.5〜2か月分程度であることが多いです。

会社にとっては、1件の契約あたりの収益を大きく底上げできる貴重な仕組みですが、ここで忘れてはいけないのが、「お客様にとってはADの有無は関係ない」ということです。

AD目当てで無理に物件を勧めてしまえば、お客様の希望から外れてしまい、信頼を損ねる原因にもなりかねません。

だからこそ、ADは「ついていればありがたい」程度のスタンスで捉え、あくまでプラスアルファの要素として扱う姿勢が大切です。

4. 管理受託料

自社が物件の管理を請け負っている場合、オーナーから受け取る「管理受託料」も大切な収入源のひとつです。相場は家賃収入の5%ほどですが、毎月安定して発生するため、経営の土台として大きな役割を果たします。

営業スタッフにとっても、管理物件は条件交渉や手続きがスムーズに進むことが多く、提案しやすいというメリットがあります。

また、内見時に現地で鍵を開けやすかったり、設備トラブルに即時対応できたりと、他社管理物件では得られない利点もあります。

賃貸仲介営業の収益構造をわかりやすく解説

賃貸仲介営業では契約を通じてさまざまな形で収益が生まれることがわかりましたが、ここで注意したいのは、「収益=利益」ではないという点です。

この章では、賃貸仲介営業における基本的な収益構造と、どんな経費がかかっているのかを整理してみましょう。

「売上ー経費=利益」

会社にとっての利益は、売上の数字そのものではなく、「売上から経費を差し引いた残り」で決まります。

たとえ1件の契約でまとまった売上が発生しても、そのすべてが利益になるわけではありません。

たとえば、家賃6万円の物件で契約が決まり、仲介手数料として6万6千円の売上が立ったとします。

一見すると十分な成果に見えますが、実際にはそこに至るまでに空室確認や事前準備、物件案内などで多くの時間と工数がかかっているケースもあります。

こうした目に見えないコストは、お客様の意思決定が長引くほど、また紹介する物件が増えるほど増していくものです。

そのため、来店から契約までに数週間かかり、その間に複数回の内見ややり取りを重ねていたようなケースでは、6万6千円の売上が思ったより少なく感じることもあるでしょう。

売上を「どれだけつくれるか」だけでなく、「どれだけ残せるか」まで意識することが、利益を考えた営業の第一歩です。

賃貸仲介営業でかかる主な「経費」

利益をしっかり残すためには、どんな経費がかかっているかを具体的に知っておくことが大切です。

賃貸仲介営業の現場で発生する主な経費には、次のようなものがあります。

主な経費(一例)

①人件費
②店舗の賃料・維持費
③広告・宣伝費(ポータルサイトの掲載料)
④通信費・システム利用料
➄備品・消耗品費
⑥交通費・ガソリン代

営業経費の中でも、とくに大きなウェイトを占めるのが、人件費と店舗の賃料です。また、広告宣伝費や通信費、営業支援ツール等のシステムの利用料など、継続的に発生するコストに加え、消耗品費やガソリン代なども、積み重なると大きな出費になります。

未契約でもコストは発生する

賃貸仲介営業は、「成約してはじめて収益が発生するビジネス」です。

そのため、時間をかけて対応した案件が未成約に終わると、経費だけがかかっており、結果として会社の利益を圧迫してしまうこともあります。

こうした現場の動きと経費のつながりを意識できるようになると、「初回接客で丁寧にヒアリングして物件を絞り込む」「内見ルートを効率化する」といった工夫が自然と生まれてきます。

【実践編】若手営業スタッフが意識したい3つの視点

売上だけでなく、「どうやって利益を残すか」を意識できるようになると、営業としての視野もぐっと広がります。

ここでは、利益を意識した行動につなげるために、若手のうちから持っておきたい3つの視点を紹介します。

1. 商品・サービスの魅力を自然に伝える

仲介営業では、付帯商品やサービスの提案が利益を左右する大事なポイントになります。

ただし、「売るための押し売り」になってしまうと、お客様の信頼を損ねかねません。重要なのは、商品やサービスのメリットを「自然な流れ」で伝えることです。

実践アクション

まずは、「商品やサービスが、お客様にとってどんなメリットがあるのか」を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

たとえば、24時間サポートなら「深夜にトイレが詰まったときも対応してもらえる」「鍵の紛失時に駆けつけてもらえる」など、リアルなシーンとセットで説明できるようにしておくと効果的です。

加えて、実際に現場で起きたトラブル事例や、お客様からの声をストックしておくと、説得力が一気に高まります。「以前こんなケースがあって…」という実話ベースの説明は、お客様の共感を得やすいため、契約率アップにつながりやすくなりますよ。

2. お客様の不安に提案トークを使い分ける

商品やサービスの魅力を整理できたら、次のステップとして「お客様に響く伝え方」を意識してみましょう。

誰に対しても同じ説明をするのではなく、お客様が不安を感じるポイントを察知し、その問題を解消できるような提案ができると、納得感が得られます。

実践アクション

まずは、ヒアリングや内見時のやり取りで、「お客様がどんな点を気にしているか」を丁寧に読み取りましょう。

とくに、はじめての一人暮らしを迎える学生さんなどは、暮らしそのものに対して漠然とした不安を抱えがちです。そのため、電気やガスのトラブルや鍵の紛失といった「生活まわりのサポート」をアピールすると効果的です。

また、女性の一人暮らしのお客様には、防犯面に対する不安が大きい傾向があります。「万が一の際には、24時間365日体制で駆けつけてくれるサービスもご利用いただけます」と伝え、安心感につながる提案を心がけましょう。

高齢者のお客様に対しては、「ガラスが割れた」「お湯が出ない」といったトラブル時に、自分で対応するのが難しいという点に配慮し、「電話一本で業者が来てくれるサービスがあります」と提案すると、関心を持ってもらいやすくなります。

お客様は、強引な勧誘や「売るためだけの提案」を敏感に感じ取ります。

やみくもにサービスを勧めるのではなく、その場のお客様の不安に対して、どのサービスが役に立つかを丁寧に結び付けることが大切です。

サービス内容を整理し、お客様のタイプ別の提案トークをいくつか用意しておくと、臨機応変に対応できるようになりますよ。

3. 日常業務を効率化して営業に使う時間を確保する

賃貸仲介営業の仕事は、契約対応や物件案内だけではありません。空室確認や物件登録、申込書類の作成、オーナーや管理会社とのやり取りなど、事務作業も多く発生します。

これらの作業に時間を取られすぎてしまうと、お客様対応の時間が圧迫され、本来注力すべき「収益を生む活動」に手が回らなくなってしまいます。

作業の無駄を減らし、営業活動に集中できる環境を整えることが非常に大切です。

実践アクション

物件確認、ポータルサイトの掲載、空室状況の把握、追客対応、契約書類の作成など、毎日繰り返している業務を洗い出してみましょう。その中から「手間がかかっている」「時間を取られている」と感じる業務を見つけることが、効率化の第一歩です。

こうした繰り返し業務の中には、「仕組み化」できる部分が必ずあります。定型文やテンプレートを用意し、業務スピードアップを図りましょう。

さらに、「時間も正確さも求められる作業」には、外部のサービスやツールの導入も有効です。ポータルサイトへの物件連携、追客の自動通知、顧客管理や契約進捗の可視化など、専用の不動産業務支援システムを活用することで、大幅な効率化が期待できます。

ただし、こうしたツールの導入には、相応のコストがかかるのも事実です。便利だからと導入しすぎると、かえって経費が膨らみ、結果的に利益が残りにくくなることもあります。

最初から全てを導入するのではなく、まずはお試し的に一部の業務で導入してみて、成果の手応えがあれば徐々に広げていくというやり方が現実的です。小さな改善の積み重ねが、全体の生産性を大きく変えていきますよ。

契約数だけでなく、利益にも目を向けよう

賃貸仲介営業の現場では、「契約を取る」ことばかりに気を取られがちですが、収益構造を正しく理解することで、利益を意識した行動がとれるようになります。

とくに、売上に直結しやすい付帯商品やサービスの提案は、現場レベルで利益を底上げできる大きなカギです。また、日常業務の効率化によって、お客様対応にかけられる時間を確保できるようになれば、成約率アップにもつながります。

本記事で紹介した実践のヒントを参考に、限られた時間の中でもしっかりと利益を残せる営業スタイルを築いていってください!

泉 正孝

この記事を書いた人

ウェブスタジオイズミ代表。宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者・相続マイスター。東京都在住。大学卒業後、電鉄系総合不動産会社に入社し、不動産仲介事業部に所属。

不動産業界歴10年以上、ライター歴7年以上、サイト運営歴9年以上の経験を活かし、ライター兼ディレクター、SEOコンサルタントとして活動中。「住宅ローン・相続・税金・保険・資産運用」など、実体験に基づく記事を1900本以上執筆。SEO上位獲得多数。専門家として1次情報とエビデンスを重視し、読者目線の執筆を心がけている。

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