記事公開日:2022/03/03
最終更新日:2023/11/16
商談の前に雑談を行うのが一般的ですが、「どのように話していいかわからない」と悩んでいる営業マンも多いのではないでしょうか。口下手だからと諦めてしまう方も少なくありませんが、たとえ相手を笑わせるようなトークスキルがなくても雑談上手になることは可能です。
今回は、雑談の目的や使いやすい雑談ネタをご紹介します。雑談が苦手な方でも実践できますので、雑談をする際の参考にしてみてください。
目次
商談にはさほど関係がないと思う方もいるかとは思いますが、なぜ営業では雑談が大切といわれているのでしょうか。営業における雑談の目的は主に以下の3つです。
上記3つの内容について、ひとつずつ見ていきます。
知らない相手から商品を購入するのと、知っている相手から商品を購入する場合、多くの人は知っている相手から購入したいと考えます。初対面の相手がいきなり商談やサービスの説明を始めると「売り込まれるのではないか」と、相手は警戒心をもってしまうからです。顧客との信頼関係を築くためには、雑談をしながらお互いの距離を縮めることが大切です。
初対面の人と話す際は、誰でも無意識に緊張してしまうものです。警戒心や緊張感をもったままの商談ではコミュニケーションがうまく取れず、話がスムーズに進みません。
初対面の相手との緊張をほぐすことを「アイスブレイク」と呼びます。アイスブレイクは職場や学校などさまざまなシーンで行われており、営業では雑談によって場の空気をやわらげていきいます。緊張感がほぐれれば会話がスムーズになり、相手と打ち解けやすくなるのです。
相手の話を聞くときには、笑顔で相槌を打ちながら適切なリアクションを取りましょう。視覚情報・聴覚情報・話の内容の3つのうち、相手に与える印象が特に大きいのは視覚情報といわれています。これは「メラビアンの法則」によるもので、非言語でのコミュニケーションを使いこなせれば顧客との良好な関係が築けます。
相手の価値観や深層心理を探る際にも雑談は有効です。身につけているアイテムが珍しかったり、個性的なものだったりした場合は、「なぜそれを買ったのか」を聞いてみましょう。
購入した理由が「安かったから」であれば価格を基準に購入する人、「質が良かったから」なら商品の質に魅力を感じて購入する人と推測できます。雑談で相手の価値観を知れば、より効果的な営業トークが展開できます。
営業における雑談では、以下のスキルを身につける必要があります。
どれも重要なものなので、ひとつずつ順番に見ていきましょう。
雑談がうまい人と聞いて、トークがおもしろい人や興味深い話題を提供できる人をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし実際に雑談がうまい人は、自分が話すのではなく相手に話をさせることに意識を向けます。相手の話に共感しながら適度に質問をし、つい相手が話してしまうように会話を誘導しています。
また、情報収集力も必要なスキルのひとつです。顧客の業界や経済状況などに関する情報を新聞やテレビ、業界誌やインターネットなどで集めます。日頃からアンテナを張り情報を集めることで共通の話題が生まれ、顧客との距離が縮まります。
会社周辺の飲食店や、顧客が身につけているものからも会話を広げられます。たとえば会社の周辺におしゃれなカフェがある場合、コーヒーが好きかを聞いたり、おすすめのメニューなどを教えてもらったりできます。また、顧客が身につけている時計やネイルが前回と変わっていれば、それを褒めつつ会話を広げることも可能です。
さらに、店内や社内などの様子から話題を振ることもできます。賞状やトロフィーが多ければ、「有名人なんですか?」と尋ねることでも話題が生まれます。
洞察力とは、目には見えない本質の部分を見抜く力のことです。相手の表情や言葉からその真意を汲み取れれば、「今はAのサービスを好んで使っているようだけど、本当はBが良いと思っているのでは?」など、適切な判断に導くことができます。
雑談で大事なコツやスキルがわかったとしても、実際にどのように会話を始めればいいか困ってしまうことも少なくありません。雑談の話題に悩んだときは、以下の雑談ネタを使いましょう。
それぞれひとつずつ説明していきます。
仕事の話は話題にしやすい雑談のネタのひとつです。たとえば、顧客に「お仕事は何をされているのですか?」と尋ね、仕事に関する話から会話を広げます。
その仕事や業界について知らなくても、「繁忙期はいつですか?」「お休みは土日ですか?」といった質問は顧客の情報を引き出すことができ、そこからさらに趣味などの話に繋げられるのです。
時事ネタやニュースなどは、新聞やインターネットなどで目にしている人も多いため話題にしやすいネタです。ニュースは日々新しい情報が入ってくるので、日頃からニュースをチェックするクセをつけておきましょう。
ただし、特定の政治団体や宗教、ひいきにしているプロ野球チームについて話すのは避けましょう。野球は熱狂的なファンも多く、敵と味方にわかれやすいため、話の内容によっては相手を怒らせてしまうこともあります。
年齢や性別に関係なく話題にしやすいのが天気と季節です。「午後から雨が降るそうですよ」「12月なのに暖かいですね」など、天気のことはチェックしやすく雑談ネタの定番です。また、お正月やGWなどの話題を振り、「どのように過ごされますか?」と聞いて会話を広げることもできます。
ただし、天気や季節に関する雑談はあくまで会話のきっかけづくりです。ずっと天気の話をするわけでなく、そこから会話を広げていきましょう。
趣味の話は自分も相手も話しやすく、共通の趣味があればなおさら盛り上がりやすい話題です。相手の趣味についてよく知らなくても、質問をしたり次に会うまでに調べたりしておけば相手も心を開きやすくなります。相手が身につけているものや飾っているものや、雑談中に出てきたキーワードから「○○がお好きなんですか?」と質問し、相手に話してもらいましょう。
家族構成についてすでに知っている場合は、家族の話をするのも有効です。お互いに子どもがいる場合、学校行事や子育ての共通の話題があるため話も広がりやすくなります。もし相手の家族についてわからない場合は、「最近子どもが生まれたのですが…」「独身で現在結婚相手を探しています」など、自分の状況について話し、相手の反応をチェックしてみてください。
営業において雑談は顧客との信頼関係を築く大切なものですが、雑談をする前に以下の点を押さえておく必要があります。
相手に好印象をもってもらえるよう、それぞれ詳しく見ていきましょう。
前述のとおり、雑談は相手に会話の主導権を渡すようにすることが大切です。沈黙をなくすように焦って話したり、「雑談をしなければ」と思い自分ばかり話したりすると、相手はうんざりしてしまいます。相手の話を聞きながらリアクションを取り、質問を挟みながら会話を膨らませることを意識してください。
相手の話を聞くことは大事ですが、相手への回答を間違えないように注意してください。たとえば、相手が「昨日、映画館に行きました」と話し始めたのに、「私もこの間行きましたよ!」と反応するようなケースです。相手は映画について話したかったのに、この反応では自ら相手の話題を奪ってしまうことになるため、相手がどのような意図で会話を始めたのかを汲み取り、適切な返答をしましょう。
顧客は単なるお喋りをするために時間を割いているわけではありません。だらだらと雑談を続けてしまうと、「早く本題に入ってほしい」と思われてしまいます。雑談が一通り盛り上がったところで切り上げ、本題に入っていくようにしましょう。
雑談は場の空気をなごますためにも必要ですが、雑談が苦手な方も少なくありません。話を振っても反応が薄かったり、会話に乗り気でなかったりした場合、余計な雑談をせずに本題に入りましょう。
雑談がうまくできても、本題に入るタイミングがつかめないと話が長引いてしまい、商談にかける時間が少なくなります。雑談から本題に入るコツは、雑談と本題を明確に分けないことです。雑談が盛り上がったところで、「それではそろそろ本題に入りましょう」と切り出すと相手は身構えてしまうため、雑談をしながら本題に入るのが理想の流れです。
たとえば物件を提案する場合、趣味の話題から、以下のような展開にさせることができます。
顧客:「最近、リモートワークで家にいることが多いんですよね」
自分:「家にいると体を動かす機会がないですよね。何か運動はされていますか?」
顧客:「ジョギングが趣味なんですよ」
自分:「近くに大きな公園やジョギングコースがあると、趣味のジョギングも続けやすいですよね。このA物件は、徒歩5分のところに大きな公園があって、インターネットも無料なのでリモートワークもしやすいですよ。」
雑談の流れを切らずに、「いつの間にか本題に入っていた」となるように誘導するのがコツです。事前に雑談から本題に入る流れを考えておくと無理なく本題に入れるようになるので、実際の商談に使うサービスや商品のことをイメージしながら準備してみてはいかがでしょうか。
雑談力は、顧客との信頼関係を構築し、商談をスムーズに進めるために必要な能力のひとつです。営業マンが一方的に話すのではなく、顧客に話してもらうように質問しながら、提案のヒントになる情報を引き出します。雑談が苦手な人も、天気のことや顧客が興味をもっている話題を振って雑談力を磨き、契約率をアップさせましょう。
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