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【広告審査入門】プロでも迷う!不動産広告表示~景品キャンペーン編~

最終更新日:2025/10/24

記事公開日:2024/10/24

アパート、マンション、一軒家。単に賃貸物件といっても、消費者にはたくさんの選択肢があります。物件選びをする際に参考にする不動産広告には、正しい情報が載っていることが大前提です。消費者の新生活を、適切な情報発信で支えていきましょう。ここでは、物件広告審査の門戸を叩いた新人社員が、不当表示にあたるか迷い立ち止まった物件表示例を取り上げて紐解いていきます。消費者に誤解を与えず正しい情報を届けるために、情報発信前の事前準備を行っていきましょう。

CASE1:景品キャンペーン企画の事前準備

『来店&成約でもれなく家電1点プレゼント!』

『2月までに成約した人はもれなく全員に、家賃1カ月分キャッシュバック!』

繁忙期に向けたキャンペーンの企画を考える時期が近づいてきました。企画したキャンペーンが、不動産公正取引協議会によって定められている「景品類の提供」に該当するのか確認しようとしても、提供する条件が増えれば増えるほど分かりにくくなりがちです。今回は、景品提供のポイントを確認し、企画を適切に実施できるよう紐解いていきます。 

まずは、事前準備。「景品類の提供」に該当するのか確認するポイントは、次の3点です。

「景品類の提供」に該当?チェックポイント

☑顧客を誘引する手段?
☑取引と関連ある?
☑経済上の利益(対価を支払って取得)になる?

では、冒頭の『来店&成約でもれなく家電1点プレゼント!』が「景品類の提供」に該当するかをフローチャートで確認してみましょう。

今回のキャンペーンでは、顧客を誘引する手段として、「キャンペーンの告知」または「来店時に知り得る機会」が想定されます。消費者に直接告知(広告)をする場合はもちろんのこと、事前に広告などで告知していなくても、来店時などに知り得る機会があれば誘引するとみなされる場合があります。

続いて、取引との関連には、「来店」と「成約」が該当します。物件の成約をしていなくとも、来店だけで取引と判断される点に注意が必要です。また、一見誰でも応募参加できるような企画であっても、参加の条件に来店・成約等の取引が必要になる場合も、関連があると判断されますので併せて確認しましょう。

最後に、経済上の利益には、「家電1点プレゼント」が該当します。非売品やノベルティであっても、一般的に市場で取引すると想定されるものは、経済上の利益に含まれますので要チェックです。

以上のことから、『来店&成約でもれなく家電1点プレゼント!』のキャンペーンは、チェックポイント全てに該当する為、「景品類の提供」と扱われます。

その一方で、『2月までに成約した人はもれなく全員に、家賃1カ月分キャッシュバック!』のようなキャッシュバックや値引きは、「景品類の提供」には当たりません。アフターサービスや不動産の取引に付属すると認められる経済上の利益も、もれなく提供する場合には原則「景品類の提供」に該当しないことも抑えておきたいポイントです。

CASE2:景品キャンペーンの提供限度額は?

次に、実際いくらまで景品提供できるのかを考えてみましょう。景品提供の限度額を算出する際にカギとなるのは、「物件の取引価格」です。

ここでは賃貸物件を仲介した場合を想定していきます。「賃貸物件の取引価格」は、景品提供をする条件で算出が異なります。キャンペーンに参加ができる条件として、「物件の問合せや来店」としている場合は取り扱っている全物件の最低家賃を基準に、「物件の契約」を条件にしている場合は契約物件の家賃を基準に、取引価格を算出することとなります。いずれも実際に消費者が支払う仲介手数料ではなく、仲介手数料上限(1.1カ月分)を取引価格とすることができます。

では、これらの「賃貸物件の取引価格」を踏まえた上で、景品の提供限度額を検討していきましょう。先着順なのか、はたまた抽選するのか等、消費者への提供方法により提供できる限度額は異なりますので、違いを抑えておくことが大事です。

【提供方法①総付景品】

・総付景品とは:対象者の全員、または先着順に景品を提供
・一人に提供できる最高限度額:取引価格の10%または100万円のいずれか低い金額

例えば、家賃30万円の物件を契約した消費者全員に、取引価格(仲介手数料1.1カ月分)33万円の10%である3.3万円の家電をプレゼントしてもOKということになります。賃貸物件の仲介では、仲介手数料上限の10%が100万円を超えることがほとんどないため、現実的には仲介手数料上限の10%が景品の提供限度額と覚えておくと良いでしょう。

【提供方法②一般懸賞景品】

・一般懸賞景品とは:対象者の中から抽選などで景品を提供
・一人に提供できる最高限度額:取引価格の20倍または10万円のいずれか低い金額
・抽選で提供する景品の総額の上限額:(抽選対象期間の)取引予定総額の2%以内

例えば、キャンペーンを実施することにより、実施期間中の売上1000万円を見込むケースの場合、取引予定総額は1000万円となり、景品の総額の上限額は20万円(1000万円×2%)、一人に提供できる最高限度額は10万円となります。こちらも、賃貸物件の仲介では、取引価格の20倍が10万円を下回ることはほとんどないため、現実的には10万円が一人に提供できる最高限度額と覚えておくと良いでしょう。

これらを踏まえて、総額20万円以内で一人当たり10万円を上限にした景品提供が可能です。10万円の景品を2人に提供、1万円の景品を20人に提供などのキャンペーンを企画できることになります。

なお、「総付景品」と「一般懸賞景品」は、同時に実施することも可能です。それぞれの上限額以内であれば平行して実施することは可能なので、選択肢の1つに入れてみてください。

CASE3:ちなみにこういう誘引の仕方はNGです 

近頃は、景品キャンペーンにおける消費者に対するアプローチも多様化しています。例えば「口コミサイトで高評価をつけてくれた申込者全員にクオカード500円分をプレゼント」等のキャンペーンはどうでしょうか。

これは投稿される口コミ内容を「高評価」へと事業者が誘導する行為となるため、投稿される口コミ表示は「広告」とみなされることとなります。そのことを明記せずに表示をした場合は、消費者を欺く、いわゆる「ステルスマーケティング」に該当し、景品表示法違反の措置を受ける可能性があります。

「店舗の紹介ページに高評価をつける」行為は、申込後に消費者の自由意思で行われるべきですよね。つくり上げられた店舗の評価を、あたかも消費者により評価されたものだと誤認させている時点で不当表示となります。結果的に消費者から高評価を頂ける店舗を目指していきたいところです。

景品キャンペーンは、事前告知の有無や実施する期間、参加者に求める条件、来店などの条件がある場合はどの店舗が対象店舗となるのか等、様々な要素から構成されています。一つの店舗の来店者20人が当選するのか、全国200店舗のうちの来店者20人が当選するのかだと随分違いますよね。

どれか一つの要素を満たしているからと安心せず、誤った景品提供になっていないか各事項を今一度ご確認ください。不動産会社様にとっても、賃貸物件を契約する消費者にとっても、双方にとってメリットのある景品キャンペーンを実施していきましょう。

まとめ

広告表示において大切なことは、消費者に誤認を与えないこと。常に立ち返り念頭に置くことによって、消費者誤認は事前に防ぐことができます。適正な広告を掲載し、消費者にとっての当たり前を叶えられる情報提供が常に求められます。知らぬ間に「違反広告」を掲載してしまわぬよう、ポイントを抑えて表示していきましょう。

株式会社CHINTAIは、ポータルサイト広告適正化部会に所属しております。他ポータルサイトと連携し、適正な広告が消費者に届くよう推進していきます。

松本 千治(CHINTAI)

この記事を書いた人

新卒で入社した自動車ディーラーで営業職を9年、本部人事担当を2年経験したのち、2020年に株式会社CHINTAIへ入社。

CHINTAI入社後、経営管理室で新卒および中途採用・労務管理を経験したのち、現在の営業企画グループへ異動。クライアントである不動産会社様へのフォローやサービスの活用促進を担当しながら、不動産会社様向けの情報発信メディアであるCHINTAI JOURNAL運用も担当。

【★マツの一言★】
今回は、私の担当店舗様からもよくご質問をいただく「景品キャンペーン表示」のポイントを記事化しました!
皆様もお客様向けにキャンペーンなどを行うケースもあるかと思います。その際に、景品キャンペーンの表示方法について見直したことはありますか?知らない間に実は違反していた・・・は許されませんので、今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです!

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