最終更新日:2025/12/08
記事公開日:2025/12/05
賃貸営業の現場では、居住者の様子や治安、契約条件など、答え方に工夫が求められる質問がたびたび出てきます。
その場しのぎの返答をしてしまうと、お客様の不信感を招いたり、トラブルにつながったりすることもあるため、リスクを避ける答え方をあらかじめ身につけておくことが大切です。
本記事では、内見中によくあがる「答えづらい質問」をジャンル別に整理し、安心感につなげる回答のポイントを紹介します。
経験が浅い営業スタッフでも使える形にまとめていますので、繁忙期に向けて対応スキルを高めたい方は、ぜひ参考にしてください!

目次

居住者に関する質問は、お客様が物件の雰囲気をつかむためによく尋ねるポイントのひとつです。
ただし、守秘義務の関係から伝えられる情報に限りがあるため、答え方に工夫が求められる難しいテーマでもあります。
営業担当者として「伝えられる部分」と「伝えられない部分」のバランスを意識しつつも、お客様の不安を軽減できる回答方法を学んでいきましょう。
「これまで騒音など大きなトラブルのご報告はないようですね。RC造マンションということで木造に比べて音も響きにくいため、全体的に落ち着いた雰囲気の建物だと思います。」
お客様は「生活のイメージをつかみたい」という軽い気持ちで聞いているケースが多いため、プライバシーに配慮しつつも安心材料を添えて答えましょう。
直接的な個人情報には触れず、「これまでの管理状況」や「トラブルの有無」といった事実を示すと安心につながりますよ。また、物件の構造や静音性にさりげなく話題を切り変えるのも、手段のひとつです。
そのうえで、さらに詳細について尋ねられた場合は、角を立てないよう「具体的なご入居者さまの情報は、個人情報の関係でお伝えできないのですが...」とやんわりお伝えしましょう。
「詳しいご事情までは分かりかねますが、お部屋自体にトラブルのご報告などは受けていません。室内の状態もきれいですので、一般的なお引っ越しだったのではないでしょうか。」
退去理由は、物件の状態をより詳しく把握したいときに出やすい質問です。「なかなか良さそうな物件だけど、どこか問題はないかな?」という探りの気持ちで尋ねられるケースが多いため、客観的かつシンプルに答えるのがポイントです。
理由を深掘りされても、無理に推測したり想像で補ったりする必要はありません。「物件に関する報告を受けていないこと」や「室内の状態が良好であること」など、客観的事実を示すだけでも、お客様の不安は自然に薄れます。

設備の状態や日当たりは、お客様が生活を具体的にイメージするうえで重要なポイントです。
ただし、劣化具合や明るさの印象は人によって感じ方が大きく変わるため、どう答えるべきか迷う場面も少なくありません。
ここでは、お客様に前向きに検討してもらうための回答例を見ていきましょう。
A. 「年式は少し経っていますが、直近で不具合の報告等はございませんでした。もしご入居後に動作に問題があればすぐ対応いたしますので、その点はご安心いただければと思います。」
お客様が気にしているのは、「住みはじめてから困らないかな?」という将来の不安です。そのため、不具合時の対応の流れにも触れておくと、安心してもらいやすくなります。
内見時に室内の電気が使える場合は、エアコンをその場で軽く運転させて、冷風の出方や異音の有無を確認すると、お客様も安心しやすくなります。
その際、お客様がしっくりきていなかったり、メーカーが定める「標準使用期間」を明らかに超えていたりする場合は、オーナーに交換が可能かを確認することも視野に入れましょう。
営業が「大丈夫です」「問題ないです」と断言してしまうと、お客様の不信感につながってしまいます。必要な部分はオーナーに確認をとりながら、中立に進める姿勢を見せることが大切です。
A. 「確かにお時間帯によってはやや落ち着いた明るさになりますね。ただ、午前中はしっかり光が入りますし、照明を工夫すれば十分暮らしやすい印象ですよ。」
日当たりは感じ方に個人差があるため、主観ではなく「時間帯ごとの特徴」を軸に説明するのがおすすめです。
たとえば東向きの場合、午前中は明るく午後に陰ります。一方、西向きは朝日は入りづらいですが、午後には日が入ります。
お客様に根拠ある説明ができるよう、部屋の方角と日当たりの関係性をあらかじめ整理しておきましょう。
また、「暗い=マイナス」と受け取られないよう、良い部分に目を向けてもらう工夫も欠かせません。北向き物件などの日が入りづらいお部屋では、以下のようなメリットがあります。
お客様が「暗い」と感じている状態で、無理に明るさを強調するのは逆効果です。実際に見えている状況をベースに、暮らし方の工夫やメリットに自然につなげることを意識しましょう。

周辺環境に関する質問は、初めて来るエリアでは特に多く出るテーマです。
治安や騒音などはお客様の生活に直結する部分でありながら、実際の感じ方は人それぞれ異なるため、答え方に迷う場面も少なくありません。
ここでは、地域の情報を通してお客様に安心感を与える回答例を見ていきましょう。
A. 「駅前は夜も人通りが多いですが、このあたりは落ち着いた雰囲気ですね。駅からの道には交番もあり、夜間も警察官の方が駐在しているので、安心して暮らしやすい環境だと思います。」
治安に関する質問も室内設備と同じく、営業の主観だけで答えてしまうと受け取り方にズレが生じます。
次のように、「事実として伝えられる情報」を軸に説明するのが効果的です。
こうした「環境の特徴」を踏まえたうえで、通勤・通学に役立つ「プラスアルファの情報」を添えてみましょう。
たとえば、「駅の北側は飲食店が多く夜はにぎやかな印象です」「南側の住宅街ルートの方が落ち着いていますよ」といったアドバイスは、お客様に非常に喜ばれます。
過度に治安の良し悪しを断言する必要はありませんが、営業として把握している情報を積極的に共有する姿勢が大切です。
A. 「車の通りがあるので、時間帯によっては走行音を感じることがあるようです。ただ、窓を閉めると落ち着いた印象になるので、生活するうえでは気にならないという方が多いですね。」
騒音について質問されるお客様の中には、「音」に敏感な方やストレスを感じやすい方が一定数います。そのため、車の走行音や周囲の生活音など、懸念事項があればやわらかく触れておいた方が安心です。
マイナス面も隠さず伝えた方がお客様からの信頼を得られ、入居後のクレーム防止にもつながります。
一方で、音の感じ方には個人差があります。気になる方がいる一方で、「窓を閉めるとほとんど気にならない」という方も多いように、同じ環境でも受け取り方は大きく分かれます。
営業としては、こうした「幅」もふまえたバランスのよい説明を心がけましょう。

契約条件に関する質問は、費用面やルールに直結する内容が多く、お客様の関心も高いポイントです。
しかし、営業の判断だけでは答えきれない内容も含まれるため、説明の仕方には注意が必要です。
ここでは、トラブルを避けつつお客様に納得してもらうための伝え方を見ていきましょう。
A. 「このエリアの相場をふまえると、設定としては適正な水準かと思います。ただ、もしご入居の意向が固まってきているようでしたら、オーナーにご相談することも可能です。どのくらいの家賃であれば、ご希望に近くなりそうですか?」
家賃交渉は、お客様にとって費用を抑えるための大切な確認ポイントですが、営業としては即答しづらい内容でもあります。
まずは、周辺の相場と照らし合わせたうえで「妥当な範囲内の条件であること」をアピールしましょう。
そのうえで、「即答はできないが、相談する姿勢はある」というスタンスを示すのがポイントです。
「あと○千円下がれば即決したい」といった明確な意思がある場合には、オーナーの反応が変わることもあります。
一方的に「できません」と断るよりも、「確認させていただきます」と一度受け止めたうえで、オーナーへつなぐ流れを作るようにしましょう。
A. 「こちらの物件では、ご入居にあたって毎回鍵交換を行っております。防犯面の安心にもつながる部分ですので、ご負担をお願いしている形です。」
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「入居者の入れ替わりによる鍵の取替えは、貸主負担が妥当」とされています。
ただし、法的な強制力はなく、あくまで契約当事者間の合意で決まる項目であるため、物件ごとに対応が分かれるのが実情です。
営業としては、「防犯のために毎回交換している」といった運用目的もあわせて伝えることで、お客様の納得感を高めることができます。
また、ガイドラインで「貸主負担が妥当」と明記されている以上、「決まりです」と強く突っぱねるような対応は避けた方が安心です。
閑散期や空室期間が長引いている物件、即入居の意向を示している場合などは、家賃交渉と同じく、柔軟かつ慎重にオーナーへ確認する姿勢を見せるのも選択肢のひとつです。

内見では、今回扱ったテーマ以外にも思いがけない質問が挙がることがあります。
ここからは、どんな場面でも慌てず対応できるよう、幅広く使える「思考ステップ」を押さえていきましょう。
まずは、「お客様がなぜこの質問をしているのか」を把握することが重要です。
隣人・騒音・設備・日当たりなど、テーマは違っても根底には 「住んでから困りたくない」 という気持ちがあることがほとんどです。
お客様の意図が分かれば、回答の方向性も明確になります。「気になるポイントはございますか?」と軽く確認するだけでも、ズレのない説明がしやすくなりますよ。
答えづらい質問ほど、主観的な表現や曖昧な言い回しは誤解のもとになります。営業担当者として、「今わかっている事実」を落ち着いて整理しましょう。
たとえば、次のような客観的な材料を使うことで、お客様は冷静に判断しやすくなります。
事実ベースで話すことで「断言しない」ラインも自然に保てるため、トラブル回避にもつながります。
不安に感じたポイントを「デメリット」ではなく「検討材料に変える」ことで、前向きな印象につながります。
たとえば「日当たりが悪い→光熱費を抑えられる」「駅から離れている→静かで落ち着いた環境」といったように、視点を変えればメリットに気づける場面は多くあります。
「お客様の不安を否定するのではなく、事実を整理しながら安心へ導く」という姿勢が非常に重要です。
内見では、お客様の疑問や不安がその場で次々に生まれるため、営業の対応力が試されます。
だからこそ、よく聞かれる質問をあらかじめ想定し、「どう伝えるか」の軸を持っておくことが大切です。準備ができていれば、急な質問にも落ち着いて答えられるようになります。
本記事で紹介した回答例を参考に、自分なりの対応の型を整えてみてください。お客様の不安や疑問にまっすぐ向き合いながら、対応スキルを磨いていきましょう!
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