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【若手営業スタッフ必見】居住用とはここが違う!事業用物件の案内・契約までの流れを解説【トーク例付き】

最終更新日:2025/10/10

記事公開日:2025/09/11

2024年の新設法人は15万3938社(前年比0.3%増)に上り、統計を開始した2008年以降で過去最多を記録しました。法人設立の増加に伴い、賃貸営業の現場では「事業用物件」への対応を求められるケースが増えてきています。

事業用物件は居住用と似ているようで、費用面や契約条件に大きな違いがあります。この違いをきちんと理解しておかないと、お客様への説明が曖昧になり、せっかくの反響を取りこぼしかねません。

そこで、本記事では「事業用物件の対応方法」について、わかりやすく解説します。

物件案内時や契約時に役立つトーク例も紹介しますので、事業用物件の対応に不安をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください!

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事業用物件と居住用物件の違いを理解しよう

お客様から反響があった際に、まず押さえておきたいのが「事業用」と「居住用」の違いです。 一見すると同じ賃貸契約のように思えますが、使用目的や契約条件など、根本的に異なる点があります。

居住用の感覚で対応すると誤った説明をしてしまうおそれがあるため、両者の違いをきちんと理解しておきましょう。

1. 使用目的の違い

居住用物件の契約は、「生活の拠点として住むこと」が前提です。これに対して、事業用物件はオフィス・店舗・倉庫など「事業活動を行うこと」を目的に契約します。

契約書には必ず「使用目的」が明記されており、これを外れた使い方は「契約違反」となります。

ただし実務では、SOHO(住居兼事務所)のように、居住用物件を事務所として利用するケースも少なくありません。

元々居住用として契約した物件を事業に利用したい場合は、まずオーナーの了承を必ず得ることが大前提です。また、利用目的が変わる以上、契約書も新たに作り直すことが望まれます。

2. 初期費用の違い

事業用物件と居住用物件では、初期費用の内訳も大きく異なります。事業用物件の初期費用は、主に以下の6つの費用から構成されています。

主な費用

①保証金(敷金):修繕や未払いへの担保として預ける費用で、退去時は精算後に返還される場合があります。金額の相場は「賃料の3〜10ヶ月分」です。
②礼金:オーナーへの謝意として支払う一時金で、返還はありません。金額の相場は「賃料の1〜2ヶ月分」です。
③仲介手数料:仲介業務の対価で、上限は「月額賃料1ヶ月分+消費税」です。
④共益費・管理費:建物の共用部分の維持や管理に充てられる定例費用です。
➄前家賃:契約月の日割り分と翌月分の家賃です。
⑥保険料:火災などのリスクに備えるために加入が必要な費用です。

賃貸物件の初期費用は、賃料を基準に算出されます。居住用に比べて賃料が高めに設定される事業用物件では、初期費用も高くなりやすいという点を押さえておきましょう。

また、居住用物件の敷金相場が賃料の1〜2ヶ月分であるのに対し、事業用物件の保証金(敷金)の相場は3〜10ヶ月分と高額です。

3. 消費税の有無

居住用物件の賃料は原則非課税ですが、事業用では消費税が課されます。つまり、同じ賃料でも事業用として契約すれば税負担が増えるという点に注意が必要です。

たとえば、月額賃料20万円の場合、消費税2万円が加わるため実際の支払額は22万円となります。

また礼金や管理費なども同様で、居住用なら非課税、事業用であれば課税対象となります。

資金計画を立てる際は「税抜価格」と「税込価格」の両方を明示するなど、お客様に総支払額を把握してもらうことが重要です。資金計画のズレは運営に大きく影響するため、早い段階で具体的な金額を提示できるよう準備しておきましょう。

なお、オーナーが免税事業者(課税売上高1,000万円以下)の場合、受け取った消費税を実際には納税しないケースもあります。ただし借主から見れば「賃料+消費税」での支払いが基本となるため、営業現場では支払額ベースで説明できれば十分です。

4. 入居審査の基準の違い

居住用物件の審査では収入や保証人といった個人の信用力が重視されます。対して、事業用では会社の経営状況や事業計画、業種の安定性までチェックされ、審査基準もより厳格になります。

準備不足による審査落ちを避けるためにも、必要書類を早めに案内し、余裕を持って準備してもらうことが大切です。

5. 契約条件の違い

居住用契約は比較的シンプルですが、事業用契約では用途や業種に応じた特約が追加されることがケースがあります。原状回復の範囲や営業時間の制限など、入居後の運営に直結する内容も含まれます。

また、事業用物件は居住用に比べて定期借家契約が多い傾向があります。これは「用途や事業リスクに応じて契約期間を区切りたい」というオーナーのニーズによるものです。

条件を曖昧にしたまま契約すると、後のトラブルにつながりかねません。お客様が安心して契約へと進めるよう、細かい条件までしっかりと整理しておきましょう。

居住用物件を事業用に転用できない理由

賃貸営業の現場では、「この物件(居住用)を、事務所として使えないか」と相談を受ける場面があります。 

しかし、賃貸借契約書には「居住目的以外での使用禁止」と明記されているケースが大半で、勝手に事業用に転用することはできません。

では、なぜ居住用物件をそのまま事業用に使うことができないのでしょうか。代表的な理由を3つ見ていきましょう。

理由1. 他の入居者への迷惑防止

多くの居住用物件では、「入居者が静かに生活すること」が前提で設計されています。そこに不特定多数の人が出入りする事務所や店舗が入ると、防犯面の不安や生活環境の乱れにつながります。

とくに集合住宅では、来客や荷物搬入が日常的に行われるだけで、周囲の入居者に大きな負担を与えます。

こうした背景から、契約で「居住専用」と明記することが一般的になっているのです。

理由2. 物件の損耗リスク

事業利用は居住利用に比べて、人や物の出入りが多くなりがちです。結果として、床や壁の損耗や共用部の摩耗が進みやすく、原状回復の負担も大きくなる傾向にあります。

貸主としては、高額な修繕コストを抱えるリスクがあるため、事業利用に関して慎重にならざるを得ません。

こうした物件の損耗リスクをカバーするための仕組みとして、事業用物件ではあらかじめ保証金(敷金)が高めに設定されているのです。

理由3. 建築・制度上の制約

建築基準法や都市計画法では、用途地域ごとに建物の使い方が細かく定められています。たとえば、第一種低層住居専用地域では、独立した店舗・事務所としての利用は認められていません。

さらに、消防法でも住宅と事務所は別の区分とされ、設置すべき消防用設備や点検・報告の内容も変わってきます。

このように、用途外での利用は法令や安全基準に抵触する可能性があるため、居住用物件を事業用にそのまま転用することは、原則認められていません。

営業担当者としてお客様に自信を持って説明できるよう、こうした背景もきちんと理解しておくことが大切です。

事業用物件の対応ステップ

事業用物件の対応では、「お客様の目的や業種に合わせた提案力」が求められます。

営業プロセスを3つのステップに分け、対応のポイントを整理しておきましょう。

ステップ1. ヒアリング

事業用物件を探すお客様は「新しくお店を始めたい」「会社を立ち上げたい」と、人生の節目に立っています。

そのため、ヒアリングでは広さや賃料といった条件だけでなく、業種・従業員数・将来的な拡張計画など、事業運営の背景を丁寧に聞き取ることが重要です。

たとえば、スタートアップ企業なら「将来的に採用を増やす予定があるか」、士業事務所なら「独立した応接室が必要か」といった点を深掘りすることで、物件選びの方向性が明確になります。

業種を聞いて終わりにするのではなく、事業の進め方や将来計画まで掘り下げたうえで、条件の優先順位を整理しておきましょう。

お客様のニーズを深掘りするトーク例

「コンサルティング業でのご利用とのことですが、打ち合わせは社内で行うことが多いですか?もしお客様をお呼びする機会が多いようでしたら、アクセスの良さや応接スペースも重要になってきますね。」

今後の人員計画に関するトーク例

「今回は社長お一人でのスタートと伺っていますが、スタッフの採用予定はございますか?今後人数が増える可能性があるようでしたら、少し余裕のある広さで探しておくと安心です。」

ステップ2. 物件案内

物件案内では、お客様が「ここで働く姿」をイメージできるように導くことが大切です。

たとえば、弁護士や税理士といった士業事務所であれば、まず静かで落ち着いた執務環境が欠かせません。あわせて、応接室の配置や来客のしやすさも重要な条件となります。

また、顧客訪問が多い場合は駅からのアクセスやエントランスの印象も大きな評価ポイントです。

一方で、IT系やフリーランス向けのオフィスの場合は、通信環境や電力容量といったインフラ面の条件が重要です。PCやサーバーを複数稼働させる前提であれば、回線の導入状況やコンセント数をチェックして案内する必要があります。

さらに、共用部の清潔さや宅配便の受け取り方法など、日々の業務に直結する部分にも触れておくと、安心感を持って検討してもらえますよ。

動線の良さをアピールするトーク例

 「こちらのお部屋ですが、お客様との打ち合わせ時などに応接室としてもお使いいただけます。入口から直接アクセスできる配置になっているので、来客時に業務スペースを通らずにご案内できるのがポイントです。」

インフラ環境をアピールするトーク例

「こちらの物件は光回線が既に引き込まれており、すぐにインターネットをご利用いただけます。コンセントも壁面に8カ所ございますので、PCや機材を複数お使いいただいても安心です。」

ステップ3. クロージング

事業用物件は居住用と異なる点が多いため、後からトラブルにならないよう、丁寧な説明が求められます。

とくに、賃料にかかる消費税や原状回復の負担については、資金計画や事業の継続に関わるため、必ず押さえておきたい項目です。

また、法人契約の場合は書類や社内手続きが増えるため、お客様が余裕を持って準備できるようサポートしましょう。主な必要書類は、以下の通りです。

主な必要書類

・履歴事項全部証明書(法人登記簿謄本)
・決算報告書の写し
・法人の印鑑証明書
・会社案内・パンフレット等
・法人税納税証明書
・事業計画書

必要書類は会社の規模や経営状況、オーナーの意向によっても変わります。中には取得に時間がかかるものもあるため、早めの準備が肝心です。

なお、法人印を社外に持ち出せない会社が多いため、契約書のやり取りも郵送で行うのが一般的です。書類の手配や郵送期間を考慮し、余裕を持ったスケジュールで手続きを進めていきましょう。

初期費用に関するトーク例

「こちらの物件は、保証金として賃料(15万円)の4ヶ月分をお預かりします。消費税10%が加わるため、合計66万円です。こちらは、退去時に原状回復費用を差し引いてご返金する形となっています。」

契約準備に関するトーク例

「契約時に必要な書類の一覧をご用意しました。法人でのご契約となりますので、履歴事項全部証明書や決算報告書、印鑑証明書などが必要になります。とくに履歴事項全部証明書は法務局での取得が必要で、郵送にすると数日かかりますので、お早めに準備していただくとスムーズです。」

ヒアリングや物件案内では、今の条件だけでなく「将来の使い方」まで意識することが大切です。お客様にとって先を見据えた提案ができるよう、一歩踏み込んだ質問と確認を心がけましょう。

事業用物件の対応を「苦手」から「強み」へ変えよう

事業用物件は、居住用と比べて契約条件や審査基準が複雑で、最初は戸惑うことが多いものです。とくに、物件案内時は専門的な視点が求められるため、苦手意識を持つ営業スタッフは少なくありません。

しかし、難しい領域だからこそ、理解を深めてお客様に寄り添った説明ができれば「この人に任せれば安心」という信頼につながります。

実務の現場では、業種だけで判断せず事業の中身や運営スタイルまで丁寧にヒアリングすることが第一歩です。その上で、お客様が実際に働く姿をイメージできるような、具体的な提案を心がけましょう。

ぜひ本記事の内容を実務に取り入れて、「事業用にも強い営業スタッフ」として信頼を積み重ねていってください!

泉 正孝

この記事を書いた人

ウェブスタジオイズミ代表。宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者・相続マイスター。東京都在住。大学卒業後、電鉄系総合不動産会社に入社し、不動産仲介事業部に所属。

不動産業界歴10年以上、ライター歴7年以上、サイト運営歴9年以上の経験を活かし、ライター兼ディレクター、SEOコンサルタントとして活動中。「住宅ローン・相続・税金・保険・資産運用」など、実体験に基づく記事を1900本以上執筆。SEO上位獲得多数。専門家として1次情報とエビデンスを重視し、読者目線の執筆を心がけている。


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