記事公開日:2022/04/14
最終更新日:2023/11/17
勉強を始めたばかりの方は「宅建試験がどんな内容なのか?」がわからなかったり、すでに勉強に着手していらっしゃる方は「試験1ヶ月前をどう過ごせばいいのか分からない」など悩んでいる方も多くいらっしゃるかと思います。
そんなお悩みを解決できるよう、今回は宅建試験の概要や科目ごとに説明します。是非、ご参考ください。
目次
年間約20万人もの方が受験をする国家資格で、非常に人気のある資格となっています。 試験に合格し様々な手続きを行ったのち、宅建士としての業務が行えるようになります。
宅建士とは、不動産取引には欠かせない重要な業務を行える有資格者です。 国家資格であり、年に1回の宅建試験に合格する必要があります。 また、義務として従業員5人に対して1人の割合で、専任の宅建士を必ず事務所に置かなければなりません。
宅建士の業務には、独占業務(宅建士の資格を持っている方のみにしかできない業務)があります。 その業務が、下記2つです!
宅建士無くして契約行為ができないため、資格の有無が今後のキャリア形成に大きな影響を及ぼします。
宅建試験は例年、毎年10月の第3日曜日に実施されています。
令和4年度の宅建試験は、令和4年10月16日(日)に実施されます。
6月 | 7月 | 8月 | 10月 | 12月 |
実施告知 | 申し込み開始 | 試験会場 通知の送付 | 試験 | 合否発表 |
宅建試験の過去10年間の合格率は約15~18%(昨年の試験は17.9%)で、 毎年の合格者は約3万~4万人という結果となっています。
実績年数 | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率 | 合格点 |
令和3年(10月) | 20,9749 | 37,579 | 17.9% | 34点 |
令和2年(12月) | 35,261 | 4,610 | 13.3% | 36点 |
令和2年(10月) | 168,989 | 29,728 | 17.6% | 38点 |
令和元年 | 220,797 | 37,481 | 17.0% | 35点 |
平成30年 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 37点 |
平成29年 | 209,354 | 32,644 | 15.6% | 35点 |
問題数は計50問となります。解答方式はマークシートで、4肢択一方式により行います。 科目は、「権利関係(民法など)」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」になります。
科目 | 出題数 | 問題番号 | 目標点 |
権利関係(民法など) | 14問 | 第1問~第14問 | 8~10点 |
法令上の制限 | 20問 | 第15問~第22問 | 5点 |
宅建業法 | 8問 | 第26問~第45問 | 18点 |
税・その他 | 8問 | 第23問~第25問 第46問~第50問 | 5点 |
「権利関係」は、”民法”を始めとする複数の法律に関する問題が集まった科目です。
具体的には、下記のような4つの法律に関する問題が出題されます。
民法 | 「契約」を中心に、私たちが生活する上での 基本ルールを定めた法律 |
借地借家法 | 「土地を借りる」(借地)「住まいを借りる」(借家)に、 関するルールを定めた法律 |
区分所有法 | 正式には「建物の区分所有等に関する法律」と呼ぶ。 マンションの居住関係等に関するルールを定めた法律 |
不動産登記法 | 不動産の登記制度に 関するルールを定めた法律 |
“土地”や“建物”にまつわる、様々な制限を勉強するのが「法令上の制限」という科目です。
”土地”や”建物”は、購入したから自由に使えるかというと実は違います。
例えば・・・・「高さはこれくらいまで」「広さはこれくらいまで」というような制限を規定している各種法律の事を総称して「法令上の制限」と言います。各種法律とは、下記6つです。
都市計画法 | 秩序ある街づくりをするためのルールを示した法律 |
建築基準法 | 建築に関するルールを定めた法律 |
国土利用計画法 | 一定の土地利用や土地取引について制限する法律 |
農地法 | 農地を農地以外の用途に変更する事を規制し、農地と農業を守る法律 |
土地区画整理法 | 区画整理するための方法やルールを定めた法律 |
宅建造成等規制法 | 崖崩れ等の災害を防ぐために、土地の造成を規制する法律 |
宅地建物取引業法という法律に関する知識を問う科目です。(通称”業法“とも呼ばれています)業務に直結した問題も多く、しっかり勉強をすれば最も点数を取りやすいため、受験者の多くが特に力をいれる科目です。
宅建業法は全86条から構成されており、出題範囲はとても広くなっています。
ただし、全ての項目からまんべんなく出題されるわけではなく総則からはじまり
などの項目があります。
今回は、宅建業法で特に重要な「35条書面」「37条書面」「8種制限」の3つについて説明いたします。
35条書面は、宅建試験の頻出問題であり、毎年必ず出題されています。宅建業法の35条が重要事項説明について定めた規定となるため、このように35条書面と言われています。
また、35条書面の主な出題ポイントは下記5つです。
37条書面とは「不動産取引の契約内容を書面にしたもの」です。
実務的には契約書に明記されるので、37条書面=契約書と認識されるのが一般的です。
35条書面とよく似ており、似ている部分を突いてくる問題もいくつか出題されますので、二つの分野が混同しないよう、しっかり違いを意識する事が大切です。
こちらも毎年必ず出題され、主な出題ポイントは下記4つになります。
8種制限とは、売主が宅建業者、買主が宅建業者以外の者である場合に、8つの制限が適用されます。
宅建業者以外の者である場合、法律知識などがない買主が不利になるような契約をさせられる可能性があるため、消費者保護の観点から、8つの項目について宅建業者に規制をかけています。
ただし、売主・買主双方が宅建業者の場合は8種制限の適用ありません。
自己所有でない物件の売買契約締結の制限 | 他人物売買を禁止する規定。(宅建業法33条の2) |
クーリングオフ制度 | 買主に対してクーリング・オフを認める規定。(宅建業法37条の2) |
損害賠償額の予定等の制限 | 損害賠償額の予定と違約金の合計を 代金の20%以下とする規定。(宅建業法38条) |
手付額の制限・解約手付 | 受領できる解約手付を 代金の20%以下とする規定。(宅建業法39条) |
契約不適合責任の特約制限 | 買主に不利な種類・品質の不適合に関する 担保責任(契約不適合責任)の特約を無効とする規定。 (宅建業法40条) |
手付金等の保全 | 保全措置を講じない手付金等の受領を禁止する規定。 (宅建業法41条、41条の2) |
割賦販売特約の解除等の制限 | 分割払いの場合に、解除前の書面による 催告などを求めている規定。(宅建業法42条) |
所有権保留等の禁止 | 所有権を留保した売買契約などを禁止する規定。(宅建業法43条) |
不動産に関する税金と、 「宅建業法」や「民法」、「法令上の制限」に当てはまらない、その他の不動産・不動産取引に関する法律等が出題される科目です。
「税・その他」の主な出題ポイントは下記3つになります。
国税 | 国が徴収する税のこと。宅建試験の場合、 国税のうち「所得税(譲渡所得)」「印紙税」 「登録免許税」「贈与税」が出題される。 |
地方税 | 都道府県や市町村が徴収する税のこと。 宅建試験の場合、地方税の内 「不動産取得税」「固定資産税」が出題される。 |
その他 | ”その他の分野”では、 「地価公示法」「不動産鑑定評価基準」が出題される。 |
50問ある問題のうち46~50問目の問題が免除となる制度、それが”5点免除”という制度になります。国土交通大臣が指定する講習を受講し、「登録講習修了証明書」を交付してもらっている者が5点免除の対象者となります。
ただし、登録講習は誰でも受講できるというわけではなく、下記2つの条件を満たしている方のみとなります
①受講するときに宅地建物取引業に就いている
②「従業者証明書」を持っている
①宅地および建物の需給に関する法令ならびに実務に関する科目(46~48問)
②土地の形質、地積、地目および種別ならび建物の形質、構造および種別に関する科目(49~40問)
宅建試験は実際にどんな試験なのか?科目は?合格率は?など、勉強を始める前に概要を把握することはできたでしょうか?失敗しないよう、勉強前にしっかりと計画を立てて合格するための勉強方法をきちんと身につけ、効率よく学習できる環境を整えていきましょう。
試験当日までモチベーションを保てるよう、勉強にメリハリをつけて取り組む事が重要です。
記事へのコメント | |