記事公開日:2022/08/18
最終更新日:2022/09/18
「営業で思うような成績が残せない」「営業戦略を改善しても効果がない」といった人は、セールスファネルについて学んでみてはいかがでしょうか。聞き慣れない言葉かもしれませんが、セールスファネルはターゲットを顧客化していく考え方のひとつであり、マーケティングに取り入れられれば現在抱える課題をクリアできる可能性があります。
今回は、セールスファネルの基礎やメリット、導入のステップなどについて解説します。具体的な事例も併せて紹介していきますので、自身の仕事をイメージしながらチェックしてみてください。
目次
セールスファネルとは、潜在顧客が顧客化していくプロセスを段階的に示したものです。各フェーズで顧客数が絞られていくため、漏斗(ファネル)のようにイメージされます。
具体的にイメージできるよう、セールスファネルの例を見てみましょう。
顧客の状態を段階的に示すことで、顧客別のアプローチ方法や有力な顧客などが理解・把握できます。
ここからは、セールスファネルの基本形を3段階に分けて解説していきます。各フェーズへの理解を深め、適切な顧客アプローチを行いましょう。
トップ・オブ・ザ・ファネルとは、セールスファネルにおける最初期のフェーズを指します。潜在顧客ではあるものの、自社商品・サービスへの認知が低い状態(認知していないor認知したばかり)です。
顧客自身が課題やニーズに気づいていない他、自社への興味・関心もありません。そのため、以下のような方法で顧客と関係性を築いていく必要があります。
購入・契約の意欲がない潜在顧客に対しては、上記のように「無料」で利用できるコンテンツ・サービスに触れてもらいましょう。
ミドル・オブ・ザ・ファネルとは、トップ・オブ・ザ・ファネルの施策で自社に興味・関心を持ってもらえたフェーズです。認知されているものの購入・契約へは繋がらない状態なので、顧客の関心度に合わせたアプローチを行いましょう。
顧客とより深い関係を築き、購買意欲を高められる施策がポイントです。
個別にパーソナライズされた情報や顧客にとって価値ある情報を提供し、各顧客のニーズ・課題を表面化させましょう。顧客自身がニーズ・課題に気づいたとき、自社商品・サービスの購入・契約に繋がります。
ボトム・オブ・ザ・ファネルとは、顧客と良好な関係を持ち、契約・購入に近いフェーズです。顧客は自身の課題やニーズを解決するため情報収集を行い、各社の商品・サービスの比較検討へと進んでいきます。
これまでの各フェーズよりも、以下のような具体的かつ積極的なアプローチを行いましょう。
ボトム・オブ・ザ・ファネルでは、顧客に自社を選んでもらえるよう導くことへ注力します。限定的な特典や割引なども活用し、自社のリピーターとなってもらいましょう。
次に、セールスファネルをビジネスで活用するメリットについて解説します。自身のビジネスに活用できるよう、セールスファネルの魅力を理解しましょう。
セールスファネルはフェーズごとに顧客との関わり方が変化していくため、良好な関係を築きやすくなります。自分たちから声をかけるわけではなく、まずは自社を認知してもらうことがセールスファネルのスタートラインです。顧客に受け入れてもらいやすい状況を作ってから営業活動を行うため、顧客に不要な警戒心を与えることなく契約・購入へ到達できるというのがセールスファネルのメリットです。
セールスファネルはフェーズごとに効果測定できるため、営業活動の改善をスピーディーに行えます。たとえば、成約率は安定しているものの集客率が不安定な場合、トップ・オブ・ザ・ファネルのアプローチ方法に問題があるかもしれません。
各フェーズでデータの集計・分析を行うことで、セールスファネルのどのフェーズに問題があるのか迅速に把握可能です。改善行動へ移るスピードが上がるため、PDCAサイクルの精度や顧客への対応力向上などにも期待できます。
セールスファネルによって購入・契約意欲の高い顧客を絞り出せるため、成約率向上が見込めます。すべての顧客に対し均一なアプローチを行っていては、成約の見込みがない顧客に対して無駄な工数を費やしてしまいます。これではコストパフォーマンスや作業効率が上がらず、効果的な営業活動には繋がりません。
しかし、セールスファネルの場合は顧客の興味や意欲を段階的に分けられるため、有力な顧客に対して適切なアプローチが行えます。営業活動にかけられる時間的なコストは有限なので、限られた時間内に成果を出すためにもセールスファネルの活用は有効といえます。
セールスファネルの活用により、マーケティングの自動化に期待できます。セールスファネルは顧客の状態(ニーズや興味・関心の度合いなど)を段階的に示せるため、追加での訴求が必要な見込み顧客は誰なのかが明確になります。
顧客を絞れた後は、WEB広告やステップメールを自動配信することでマーケティングの自動化が可能です。これらを仕組み化できれば、作業していない間にも自社へ興味・関心を示す顧客を増やせる可能性があります。
続いて、セールスファネルに基づいた顧客化のステップを4段階に分けて解説していきます。実際の業務をイメージしながら、自身のノウハウとして落とし込んでいきましょう。
自社の商品・サービスの認知度をアップさせ、潜在顧客の獲得を目指しましょう。潜在顧客は見込み顧客へと繋がる重要な要素であり、獲得できなければ今後のフェーズには進めません。
潜在顧客の獲得にはコンテンツマーケティングが有効です。総務省が発表する情報通信白書によれば、国内のインターネット利用率は約83%(2020年の調査)を超えています。コンテンツマーケティングであれば国内全国へ向けたアプローチも可能なため、潜在顧客の獲得へ有効に働きます。
※参考 総務省 「令和3年 情報通信白書」
以下に、潜在顧客の獲得へ向けたコンテンツマーケティングの例を挙げていくので、施策実行の際は参考にしてみてください。
潜在顧客の獲得に成功した場合、リード(見込み顧客)獲得へのステップ(商品・サービスへ興味・関心を持ってもらう)に移ります。このステップは顧客との信頼関係を築いていく初期の段階なので、焦ってクロージングへ移行してはいけません。
情報提供をベースとし、「この会社なら安心できる」「購入しても問題なさそう」と印象付けましょう。このとき、無料のお試しサービスや特典ありの無料登録などで興味・関心を持ってもらうのもひとつの手です。
ステップ②でリアクションのある顧客がいた場合、積極的にセールスを行い購入の意思決定を促しましょう。このステップからクロージングへと移行し、自社の顧客化を目指します。
顧客化に向けたクロージングのポイントは次のとおりです。
またオンライン上での商品購入・サービス契約であれば、ライティングページから意思決定を促す方法もあります。
顧客化に成功した後は、リピーターとして継続的な利用も促しましょう。リピーターは自社への安定した売上確保に繋がる他、口コミ・評判などで新たな顧客獲得も目指せます。
リピーター化を目指す場合は、顧客満足度の向上を継続して行う必要があります。自社サービスを通じて顧客課題を解決したり、メール・プッシュ通知による告知(お得情報や特典など)をしたりするなど継続的なフォローを行いましょう。
最後に、業種別で見るセールスファネルの事例を3つご紹介します。自社の事業と照らし合わせながら、具体的にイメージしつつ参考にしてみてください。
SNSマーケティングは、セールスファネルの考え方に当てはめやすい手法です。たとえば不動産営業マンの場合、SNS上のキャンペーンによって自社サービスの認知拡大や顧客獲得を図っていくと良いでしょう。
賃貸住宅情報をメインに扱う企業では、以下のような方法でSNSマーケティングが実施されました。
上記の事例では、キャンペーンの参加自体が情報拡散の意味を持っています。自社の認知度拡大が図れる他、キャンペーンの参加によって潜在顧客の獲得も可能です。さらに、自社のファン(見込み顧客)を獲得できれば、将来的には自社サービスの利用も見込めます。
SNSはマーケティングにおける導入コストを抑えられるため、どの企業でも活用しやすいツールです。広告にかける費用がネックとなる企業は積極的に活用してみましょう。
ECサイトの場合、広告からの認知拡大やオムニチャネル化による顧客化などの事例があります。大手アパレル企業を例に、セールスファネルの事例を見ていきましょう。
大手アパレル企業では、広告により自社ブランドの認知度拡大を強化し、オムニチャネル化の利便性を感じてもらうことで新規顧客獲得を目指しています。
また、ECサイトは世界中の人が潜在顧客となりえます。限定的なマーケティング・集客など、実店舗ならではのデメリットを改善しつつ売上アップを図れることも魅力です。
BtoBビジネスにおいては、WEBマーケティングによるセールスファネルの事例があります。製造関連の企業では、以下のような施策を講じて顧客獲得を実現しています。
BtoBビジネスはBtoCビジネスと比べ、メディアへの露出が低く知名度も高くありません。しかし、WEB上であれば接点のない潜在顧客とも関係構築が見込めます。また、問合せがある場合はそこで有力な顧客を絞れるため、アプローチにかける工数を減らすこともできます。
セールスファネルは顧客の状態を段階的に示せるツールでもあり、うまく活用できれば契約数・顧客数のアップに繋がる適切なアプローチを実行できます。さらに、期待する成果が得られないときは、問題のあるフェーズを発見しやすく改善行動に移りやすいメリットもあります。
少々難しい概念かもしれませんが、今回ご紹介したセールスファネルの基本を見直して今後のマーケティングに活かしてみてはいかがでしょうか。