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賃貸営業スタッフ必読!「内見なし入居申込みへの対応ガイド」よくある失敗事例と回避方法も紹介

最終更新日:2025/10/10

記事公開日:2025/07/17

オンライン接客やバーチャル内見など新しいサービスの普及により、従来の「内見→検討→申込み」という流れが大きく変わりつつあります。特に競争の激しい東京都内を中心に、「良い物件を確実に押さえたい」という入居希望者の間で、内見なしでの申込み・契約が年々増加しています。

しかし、この変化に戸惑いを感じる営業スタッフの方も多いのではないでしょうか。「内見なしで本当に大丈夫なのか」「クレームにならないか」といった不安を抱えながら、業務に取り組んでいる賃貸営業スタッフも少なくないでしょう。

本記事では、内見なし申込への対応ステップから現場で起こりうる失敗事例まで、実務に役立つ情報をわかりやすくお届けします。この流れに乗り遅れないよう、今のうちから準備を進めていきましょう!

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東京都内を中心に「内見なし申込み」が増加!

都内の賃貸市場において、内見を行わずに入居申込みをする傾向が年々広がってきています。

出典:PR TIMES【2025年都内引越しトレンド】60%以上が「内見せずに入居申込」、2年間で1.4倍に増加

イタンジ株式会社の最新調査によると、2025年2月には都内を中心とした賃貸物件への入居申込みの60.2%が「内見なし」で行われており、この数字は2023年の43.4%から2年間で約1.4倍に増加していることが明らかになりました。

この変化は、バーチャル内見などのオンライン技術の普及に加えて、お客様の住まい探しに対する考え方そのものが変わってきていることが背景にあると考えられます。

つまり、「必ず現地で確認する」という従来のスタイルから、「効率よく確実に物件を押さえたい」という考え方にシフトしてきていると言えるでしょう。

賃貸営業担当者は、この市場変化を一時的な現象ではなく「今後も続いていく大きな変化」として捉え、営業方針を見直す必要があります。

入居希望者が「内見なし」で申込みをする理由は主に3つ

まず、営業担当者として「お客様がなぜ内見なしで申込みをするのか」という背景を理解しておくことが大切です。

主な3つの理由を理解して、適切な対応ができるよう準備しておきましょう。

1. 居住中のため内見ができない

空室期間を短縮するため、オーナーは退去予告が入ると同時に次の入居者募集を開始します。しかし、前入居者がまだ生活している状況では、物理的に内見を実施することができません。

立地や築年数、設備面など、条件の良い物件ほど退去前から多数の問い合わせが集中します。このような人気物件では、「待っている間に他の人に契約されてしまっては困る」という心理から、内見なしで申込みをするお客様が増えています。

2. 遠方のため現地に足を運べない

転勤や進学による遠方からの引っ越しで増加しているのが、最初から内見なし前提での相談です。急な転勤辞令や遠方の大学合格など、時間的・距離的制約から現地に足を運べない状況が背景にあります。

このタイプのお客様は、移住先エリアに詳しくないケースがほとんどです。通勤・通学のアクセスから買い物施設、医療機関、治安状況など、実際に住んでみないと分からない地域特性について丁寧に説明することで信頼を得られます。

3. 目的の物件を確実に確保したい

新築物件やペット可といった人気の高い物件でよく見られるのが、「確実に物件を押さえたい」という理由での内見なし申込みです。

新築物件は完成前から入居募集を開始するため、実際に内見できる頃には既に多くの申込みが入っていることがあります。そのため、図面や完成予想図での確認をもとに契約を決めるお客様も少なくありません。

また、築浅物件の場合も設備の不具合リスクが低く、写真と実際の状態のギャップが生まれにくい傾向にあります。そのため、「新しい物件なら間違いないだろう」という心理から、内見なしでの申込みに踏み切るお客様が増えています。

内見なし申込みに対応するための賃貸営業戦略

内見なし申込みに適切に対応するためには、段階的なアプローチが効果的です。以下の3つのステップに沿って、お客様に安心して契約していただける体制を整えましょう。

ステップ1. デジタルツールの活用体制を整備する

内見なし申込みに対応するには、VR内見システムの導入が効果的です。360度カメラで撮影した高解像度の映像により、入居希望者は自宅にいながら物件の詳細な状況を確認できます。

ただし、VRだけでは伝えきれない騒音レベルや周辺環境の情報については、オンライン接客と組み合わせて補完することが重要です。営業担当者は事前にVR操作をしっかりと覚えて、お客様をスムーズに案内できる準備を整えておく必要があります。

ステップ2. 丁寧なヒアリングで顧客ニーズを把握する

内見なし申込みのお客様に対しては、通常以上に詳細なヒアリングが求められます。家族構成やライフスタイル、条件の優先順位、現在の住環境での不満点など、お客様の潜在的なニーズまで掘り下げて聞き取ることが重要です。

「リモートワークが多いので静かな環境を重視」「小さい子供がいるので1階は避けたい」といった具体的な要望を把握することで、スムーズに物件提案できます。

また、予算や入居時期、職業や年収といった審査に関わる情報も初回相談時に詳しく確認しておくと、その後の手続きがスムーズに進められますよ。

ステップ3. 内見なし契約のリスクについて説明する

内見なし契約では、実際に現地で確認できない要素があることを正直にお客様に伝えることが重要です。具体的には、以下のような点に注意しましょう。

注意が必要な主な要素

・写真と実際の印象の違い
・周辺環境の騒音レベル
・設備の使い勝手
・日当たりの時間帯による変化

こうしたリスクについて事前に説明することで、お客様は納得した上で契約に進めるため、「思っていた部屋と違う」「こんなに騒音がひどいとは知らなかった」といった入居後のクレームを抑えられます。

内見なし申込みがもたらす「3つの失敗事例」

内見なし申込みが増加する中で、適切な対応ができていない場合に起こりやすい失敗事例をご紹介します。同じような失敗を避けるためにも、ぜひ参考にしてください!

失敗事例1. 情報提供不足による評判低下

現場では、営業スタッフが申し込み獲得を急ぐあまり、内見なしの申し込みを積極的に促すケースも見受けられます。都内の賃貸仲介会社A社では、内見なし申込みを率先して勧めていましたが、その際従来通りの簡単な物件資料のみを提供していました。

その結果、入居後に「写真と実物で全然違う」「騒音レベルが想像以上にひどい」といったクレームが多発。顧客満足度が低下し、口コミでの評判も悪化してしまいました。

「どうすれば防げたか」ポイントを解説

空き物件が少なくお客様の獲得競争が激化する中、「一刻も早く申し込みを入れたい」という焦りから、十分な説明をせずに契約を進めてしまう仲介業者も見受けられます。その結果、管理会社に迷惑をかけたり、入居者とのトラブルに発展したりするケースも少なくありません。

こうしたトラブルを避けるためには、物件の良い面だけでなくデメリットや注意点も含めた細やかな説明が大切です。例えば、以下のように具体的で正直な情報提供を行うことで、お客様からの信頼を得られる可能性があります。

トーク例

「こちらの物件は西向きで、午後から夕方にかけて西日が差し込み、夏場は少し暑く感じられる可能性があります。ただ、その分午後からしっかり日が入る明るいお部屋となっています。もしよろしければ、VRでお部屋の雰囲気も確認していただけますよ。」

ポイントは、デメリットだけで終わるのではなく「メリットも自然に入れること」です。お客様からの信頼を保ちつつ、入居後のギャップを最小限に抑えましょう。

失敗事例2. デジタルツールへの対応不備による顧客離れ

B社では内見なし申込みに対応するため、VR内見システムを急遽導入しました。

しかし、営業スタッフがシステムの使い方を十分理解していなかったため、実際の対応時にトラブルが続発。手際の悪さや通信状態の不安定さにより詳細まで確認できず、お客様から「結局よく分からなかった」「時間の無駄だった」と厳しい評価を受けてしまいました。

「どうすれば防げたか」ポイントを解説

新しいツールを導入する際は、営業スタッフ全員が操作をしっかりと覚えてから顧客対応を開始することが重要です。VR内見を希望されるお客様は、オンライン接客や電子契約なども同時に求められることが多いため、これらの最新ツールを一通り使えるようになっておく必要があります。

入念な準備なしに新しいサービスを提供すると、かえって顧客離れを招く結果となってしまいます。チーム内で研修を行うなど、実際の対応時を想定したシミュレーションを重ねておきましょう。

失敗事例3. オーナーへの説明不足によるトラブル

C社では内見なし申込みを積極的に推進していましたが、物件オーナーへの事前説明を怠っていました。

ある高級マンションで内見なし契約が成立した後、オーナーから「内見もせずに入居させるなんて、どんな人が住むか分からない」「もし問題のある入居者だったらどう責任を取るのか」と強いクレームを受けました。結果として、そのオーナーの他の物件も全て取り扱い停止となり、会社の売上にも大きな影響が出てしまいました。

「どうすれば防げたか」ポイントを解説

オーナーには、内見なし申込みのニーズが増えていることを具体的なデータとともに予め伝えておきましょう。オーナーの不安を解消するためには、以下のような説明が効果的です。

トーク例

「最新の調査によりますと、都内の6割以上の方が内見なしで申込みをされている状況となっております。VR内見を活用することで、お客様には事前にお部屋の様子を確認いただけますし、オーナー様にとっても空室期間の短縮につながるというメリットがございます。私どもも責任を持ってサポートいたしますので、安心してお任せください。」

このように、内見なしでの申込みが一般的になっていることを伝えつつ、オーナー側にとってのメリットも併せて説明するのがポイントです。

内見なし申込みに対応した賃貸営業戦略を築こう

内見なし申込みは、もはや一時的な現象ではなく賃貸市場の新しいスタンダードとなりつつあります。

お客様に安心して契約していただくためには、十分な情報提供と丁寧な説明が何より大切です。VRツールを活用した詳細な物件案内や、入居後に起こりうるリスクについての事前説明を心がけ、クレームを未然に防ぎましょう。

また、オーナーには内見なし申込みが増えている現状をデータとともに伝え、空室期間の短縮につながることを理解してもらうことが重要です。

本記事でご紹介した内容を日々の営業活動に取り入れて、日々変化する賃貸市場に対応していきましょう!

泉 正孝

この記事を書いた人

ウェブスタジオイズミ代表。宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者・相続マイスター。東京都在住。大学卒業後、電鉄系総合不動産会社に入社し、不動産仲介事業部に所属。

不動産業界歴10年以上、ライター歴7年以上、サイト運営歴9年以上の経験を活かし、ライター兼ディレクター、SEOコンサルタントとして活動中。「住宅ローン・相続・税金・保険・資産運用」など、実体験に基づく記事を1900本以上執筆。SEO上位獲得多数。専門家として1次情報とエビデンスを重視し、読者目線の執筆を心がけている。

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