記事公開日:2025/06/26
最終更新日:2025/06/25
不動産賃貸営業の仕事をスタートさせた新人スタッフの皆さん、毎日のお仕事、本当にお疲れ様です。お客様にぴったりのお部屋を紹介し、「ありがとう」と言われたときの喜びは、この仕事の大きなやりがいですよね。
しかし、意欲とは裏腹に、ちょっとしたマナーミスでお客様や家主様に不安を与えてしまい、信頼を失ってしまうケースも少なくありません。マナーは単なるルールではなく、相手への「思いやり」を形にする大切なスキルです。
そこでこの記事では、多くの新人営業スタッフが経験しがちなマナーミスを、筆者の経験に基づきランキング形式でご紹介します。具体的なNG事例と改善ポイントを解説しますので、「自分もやっていないか?」と振り返りながら、明日からの業務に活かしてみてください。
目次
さっそく新人賃貸営業スタッフが起こしてしまいがちなマナーミスをランキング形式で紹介いたします。どこの業界でもしてはいけないビジネスマナーや、賃貸仲介営業としてはご法度のマナーまで、幅広く揃えました。
電話、メール、対面での接客など、あらゆる場面で必須となる敬語。間違った使い方をしてしまうと、お客様に違和感や不信感を与え、一気に「頼りない新人」という印象を持たれてしまいます。特に、尊敬語と謙譲語の混同や「バイト敬語」は要注意です。
正しい敬語はすべてのビジネスにおいて必要な、いわゆる身だしなみの一つとも言えるものです。敬語の正しい使い方のすべてをここで網羅することはできませんが、一例を紹介いたします。
OK例:「〇〇様でいらっしゃいますね」「〇〇様でよろしいでしょうか?」 →「よろしかったでしょうか」は過去形であり、現在の確認には不適切です。
OK例:「部長が申し上げておりました」 →社内の人物(上司)の行為には謙譲語を使い、相手(お客様)を高めます。
OK例:「資料をお持ちします」「〇〇円をお預かりします」 →「〜のほう」「〜からお預かりします」は、冗長で丁寧さに欠ける印象を与える「バイト敬語」の代表例です。シンプルで正しい言葉遣いを心がけましょう。
敬語は奥が深く、一朝一夕での習得は難しいものです。不安な方は、まず基本だけでもしっかり押さえましょう。敬語の使い方については、こちらの記事も参考になります。
お客様との最初の接点になることが多い電話応対。しかし、このビジネスの電話は、普段のLINEやSNSといったスマートフォンでの会話とは異なる「ルール」が存在します。相手の顔が見えないだけでなく、保留や転送といった特有の機能もあり、この「文化のギャップ」こそが、多くの新人スタッフが電話応対でつまずいてしまう大きな原因なのです。
会社の印象を左右する重要なスキルだからこそ、焦りや知識不足から、知らず知らずのうちに失礼な応対をしてしまうケースが多いと言えるでしょう。基本をしっかり押さえて、自信を持って受話器を取れるようになりましょう。
まずは、無意識のうちにやってしまいがちなNG例を見て、自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
OK例:「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、〇〇店の△△が承ります。」
第一声は明るくハキハキと。会社の代表として電話に出ている意識を持ち、少し高めのトーンで明るく名乗りましょう。
OK例:「お問い合わせいただき、ありがとうございます。物件名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
丁寧な言葉遣いを徹底しましょう。馴れ馴れしい言葉や専門用語の多用はNGです。お客様が安心できる丁寧な言葉を選びましょう。
OK例:「大変恐れ入ります、ただいまお調べいたしますので、30秒ほどお待ちいただけますでしょうか?」
保留前には必ず許可を得て、目安時間を伝えましょう。保留にする際は必ず許可を得ます。時間がかかりそうな場合は、「1分ほどお時間を頂戴しそうですが、お待ちいただけますでしょうか。もしくは、後ほどこちらからお掛け直しいたしましょうか?」と、お客様に選択肢を提示するのが親切です。
より詳しい電話応対のコツは、こちらの記事も参考にしてみてください。
お客様との連絡手段として、メールやLINEの重要度は増すばかりです。しかし、返信の遅れや不適切な文章は、お客様の部屋探しへの熱量を一気に下げてしまう原因になります。文章は記録として残るため、誤字脱字や失礼な表現がないか、送信前のチェックは必須です。
ビジネスシーンでは、LINEやメッセージではなく、メールでのやりとりが主流です。LINEやメッセージとは異なるメール独自のマナーをこの機会に覚えておきましょう。
OK例:件名は「誰から・何の件か」を具体的に記載しましょう。「【株式会社〇〇】〇〇物件の内見日程のご相談」のように、分かりやすい件名をつけましょう。
OK例:「宛名・挨拶・本題・結び・署名」の基本構成を守りましょう。これはビジネスメールの鉄則です。特に署名は、会社名、氏名、連絡先などを記載したものを事前にテンプレート設定しておくと、漏れがなくなり効率も上がります。
OK例:返信は「スピード」と「一次返信」が命です。可能な限り早く返信するに越したことはありません。すぐに詳細な回答ができない場合でも、「ご連絡ありがとうございます。お問い合わせの件、確認して本日18時までにご連絡いたします。」といった一次返信をすぐに入れるだけで、お客様の安心感は格段に高まります。
来店後のフォローメールで差がつきます。感謝の気持ちを伝えるメールの書き方はこちらを参考にしてください。
お客様は、お部屋だけでなく「この人から部屋を借りたいか」という営業スタッフ自身もシビアに見ています。第一印象を決定づける服装や身だしなみは、信頼感に直結する重要な要素です。ヨレヨレのスーツや汚れた靴は、「だらしない人」「仕事も雑なのかも」というマイナスの印象を与えかねません。
身だしなみは、世代や会社によってOKとNGの線引きが異なるため、どこに合わせるべきなのか迷いやすいポイントです。そこで、ここでは、どの世代に対しても最低限守っておきたいレベルの身だしなみについて解説を進めます。
OK例:「清潔感」は何物にも勝ります。出社後と接客前の鏡チェックを習慣にしましょう。また、スーツは定期的にクリーニングへ。シャツは必ずアイロンをかけましょう。特に夏場は汗ジミも目立ちやすいので、インナーを着用するなどの配慮も必要です。
OK例:お客様は足元を見ています。靴は常に磨き、綺麗な状態を保ちましょう。内見で靴を脱ぐ機会も多いため、靴下の穴や匂いにも細心の注意を払いましょう。
OK例:不快感を与えない「匂いケア」を徹底しましょう。髪は整髪料で整え、フケなどがないか確認します。香水はつけすぎず、喫煙者は接客前に歯磨きをしたり、タブレットを口にしたりする配慮を忘れないようにしましょう。
清潔感は、お客様だけでなく、家主様や管理会社からの信頼獲得にも繋がります。
この仕事の全ての起点でありながら、人によって差がつく部分です。「傾聴力」のような言葉で表されることもあります。単に条件を聞くだけでなく、お客様の「なぜ?」という背景やライフスタイルを深掘りできていないミスは、相手に敬意を払っていないためマナー違反とも言えます。
電話や対面でのヒアリングによって、その後の内見やクロージングまでが決まると言っても過言ではありません。ここでよくあるミスと改善すべきポイントを整理しておきましょう。
OK例:ライフスタイルに関する質問を投げかけてみましょう。「なぜ駅から近い方が良いのですか?」「お休みの日はどう過ごされますか?」など。共感を示しながら会話を広げ、お客様がリラックスして本音を話せる雰囲気を作りましょう。敬語や相槌のスキルを活かす絶好の機会でもあります。
OK例:お客様の軸を明確にしましょう。条件の優先順位を会話から一緒に整理するだけでも、成約率は大きく変わります。
ここを丁寧に行うことで、その後の物件探しの精度が格段に上がり、成約への近道となります。引き出すことと「なぜ?」を繰り返して、お客様の要望を深掘りしていきましょう。
プロとして、物件の良い点(メリット)と悪い点(デメリット)の両面を客観的に伝える誠実さが求められます。契約ほしさにデメリットを隠したり、ごまかしたりする姿勢はビジネスマナー面で良くないだけでなく、お客様の信頼を根本から揺るがす重大なミスとなりえるため、絶対にすべきではありません。
物件を紹介するときは、良い面と悪い面の両方を伝えることが重要です。それぞれの物件に良い面と悪い面が存在するほか、特定の人にのみ存在するメリットとデメリットもあります。お客様のニーズや状況により異なりますので、ヒアリングなどからお客様に寄り添っておかないと、何が良くて何が悪いのかすら判別がつかないため注意しましょう。
OK例:デメリットを正直に伝えた上で、それを補う提案をしましょう。
「ご指摘の通り、線路が近いので音は少し気になるかもしれません。その分、駅から徒歩3分と近く、家賃も相場より5千円お安くなっています。二重サッシになっているので、窓を閉めれば音はかなり軽減されるかと思います。一度窓を閉めて音を聞いて確認してみましょう。」など
OK例:お客様のライフスタイルと照らし合わせ、「お客様にとってはデメリットではない可能性」を提示しましょう。
「1階なので防犯面がご心配かもしれませんが、防犯グッズの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか?また、重い荷物がある時やお子様連れにとっては、1階はとても便利ですよ」など
物件の「案内」や「紹介」で終わるのではなく、お客様の「良き相談相手」となることが、真の顧客満足に繋がります。気を付けて実践することで、かならず身につけることができるスキルですので、積極的に意識しておきたいところです。
新人賃貸営業スタッフがやりがちなマナーミスをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。「あ、これやってしまっていた…」と、ヒヤッとした項目があったかもしれません。
しかし、大切なのは、ミスを恐れて消極的になることではなく、一つひとつの失敗から学び、次に活かしていく姿勢です。今回ご紹介したマナーは、小手先のテクニックではなく、その根底にあるのは、お客様・家主様・管理会社など関係者の方々の「敬意」と「思いやり」の心です。
正しいマナーを身につけることで、お客様はあなたを信頼し、もっと色々なことを話してくれるようになります。そうなれば、この仕事はもっともっと楽しく、やりがいのあるものになるはずです。
「この人に任せたい」「この人から借りたい」と心から思っていただけるような、信頼される営業スタッフを目指して、日々の業務に取り組んでいきましょう。この記事が、あなたの成長の一助となれば幸いです。
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CHINTAI JOURNAL編集部です。
今回の記事では、新人営業スタッフが「うっかり」やってしまいがちなマナーミスについてまとめました。
不動産業界に限らず、営業職に就いている方なら「あるある!」と感じる内容かもしれません。
もしあなたが新人時代に経験したマナーミスや、目撃した面白い・ためになるエピソードがあれば、ぜひコメントで教えてください!
その失敗からどう立ち直ったか、どんな対策が有効だったかなど、あなたの貴重なご意見は、これから営業職を目指す方々にとって大きな学びとなります。
皆さんのコメントを心よりお待ちしております!